志望動機の例文をチェック!採用担当者が確認するポイントとは?

志望動機は、採用担当者から特に厳しく見られやすい部分です。注目されているポイントが分かっていないと、うまく自分の能力をアピールできません。志望動機の書き方のポイントや、職種別の例文をチェックしましょう。

志望動機を書く際のポイント

履歴書とペン

(出典) photo-ac.com

志望動機を書く際は、どんな思いを持って何をするために応募したのかを、自分の言葉で伝えられるようにしましょう。志望動機を書くときに、重要なポイントを紹介します。

結論から書き出す

文章の書き出しは、重要な部分です。なぜ志望したのかという動機から書き始めましょう。最後まで読まないと、何が言いたいのか分からない志望動機はNGです。

『最初に一番伝えたい情報』を持ってきて『理由』や『具体例』などにつなげると、説得力のある印象的な志望動機を書けます。

一行目から読み飛ばしたくなるような内容だと、後半にどんなに良いことが書かれていたとしても、印象が薄くなってしまうでしょう。

活かせるスキル・経験を伝える

応募者がどんなスキルや経験を持っているかも、企業が重視するポイントです。自分のスキルや経験を、その企業でどのように活かせるかという視点で書きましょう。

企業側は『自社とマッチする人材』を探しています。どんなに素晴らしいスキルや経験を持っている人であっても、ニーズに合わない人材を雇うことはまずありません。

「この人を採用したら、お互いにメリットがある」と感じられる内容になっているか、チェックしましょう。

応募企業でなければいけない理由

企業は応募者の熱意を図るために『ほかにもたくさんの企業があるのに、なぜわが社でなければならないのか』という理由を知りたがっています。

上手に伝えるには、その企業独自の取り組みや『同業他社にはない部分』を志望動機につなげることがポイントです。

事業内容や企業理念などを参考にしながら、その企業でなければならない理由を伝えます。その企業ならではの特色をよく理解できていないと、失敗しやすいので注意しましょう。

事務職の志望動機例文

パソコン操作をするスーツ姿の男性

(出典) photo-ac.com

事務職はさまざまな事務処理をこなすスペシャリストで、さまざまな分野の事業で求められています。事務職を目指す人の志望動機を、職種別に見ていきましょう。

一般事務

一般事務は、事務作業の的確さや素早さが求められる職種です。パソコンを扱えるスキルはもちろん、「この人になら、安心して任せられる」と思わせるような、性格面のアピールもできると良いでしょう。

【例文】

私が貴社を志望した理由は、これまでの事務職で培った経験を活かして、即戦力として働けると思ったからです。

私は与えられた業務を漫然とこなすのではなく、仕事のやりかたを研究してより効率よく進めることを得意としています。例えば、事務用品の見直しや整理整頓しやすい環境づくりなどに、積極的に取り組んできました。

貴社では、能力がある者にはどんどん新しい仕事を任せると聞き、やりがいと魅力を感じています。常に行動することでやる気を示し、周囲から頼りにされる人材として活躍したいです。

営業事務

営業事務は書類作成などの事務作業をしつつ、営業をサポートする職種です。電話対応やメール対応などでお客様とやりとりすることもあるので、事務処理能力だけでなく『コミュニケーション能力』もアピールできると良いでしょう。

【例文】

私はこれまで培ってきた営業職の経験を活かし、ぜひ貴社の営業のサポートをしたいと考え、志望いたしました。

前職では顧客とのコミュニケーションを密にしながら、常に先を読むことを心掛けてきましたので、営業事務に必要なスキルは一通り身に付けていると自負しています。

貴社は人材教育に力を入れ、社員が率先して動ける環境であると聞きました。営業での経験を活かして受け身になりすぎず、どう動けば良いのかを意識しながら営業スタッフを支え、会社に貢献したいです。

経理事務

経理事務はお金に関する事務処理を行う職種で、伝票の整理・請求書発行・給与計算・お金の出し入れなどの業務を行います。事務処理能力に加え、『簿記の資格』があると有利です。

【例文】

未経験でも、チャレンジ精神を持って取り組む人にチャンスを与えるという貴社の経営理念に感銘を受け、貴社を志望いたしました。

私は前職で営業職として売り上げ達成を目指す中で、常に数字を意識して行動してきました。数字の動きを見ているうちにお金の流れに強い興味を持ち、前職在職中に日商簿記検定2級を取得しています。

これまでに営業職で培ってきたコミュニケーション能力を活かし、ほかの部署と連携しながら、職場を活気づけていきたいです。

 

営業職の志望動機例文

養親に記入するスーツ姿の男性

(出典) photo-ac.com

営業職は自社の商品やサービスの魅力を伝え、契約に結び付ける仕事です。優れたコミュニケーション能力やヒアリング能力が求められます。志望動機を書くポイントと例文を、業界別にチェックしましょう。

自動車営業

自動車業界のトップ企業は年収も高く、転職先として人気があるだけに競争率は決して低くありません。車が好きなだけでなく、製品に対する十分な知識と『良い製品を提供したい』という熱意が求められます。

【例文】

大好きな車を通じて、多くの人々とコミュニケーションを取れることに大きな魅力を感じて貴社を志望いたしました。

私はこれまでIT機器のメーカーで営業職として勤務してきた経歴を持ち、営業成績では常に上位20%を維持し、ほぼ毎年表彰されてきた実績があります。

貴社では最新の営業システムで膨大な顧客情報を効率よく取り扱っていると聞き、自分も使いこなしてみたいと感じました。入社後は貴社が取り扱う幅広いラインアップを活かし、一人一人のお客様に合った最適な車を提案していきたいです。

不動産営業

不動産営業は物件や土地を借りたい人と、貸したい人を仲介する業務です。企業によっては、不動産売買や貸主としての事業も展開している場合があります。志望する企業が『どんな事業を展開しているか』を押さえておきましょう。

【例文】

私はこれまで、住宅メーカーで不動産販売をしてきましたが、今後はより幅広いお客様に関われる不動産賃貸仲介営業職に就きたいと考え、貴社での不動産営業職を志望いたしました。

前職では具体的な売り上げ目標を立て、努力が数字に表れる点に大きなやりがいを感じてきました。何より、お客様の喜びを間近で感じられるところに愛着を感じています。

賃貸物件を取り扱った経験はありませんが、これまで真摯にお客様の要望を聴き取ってきた経験を活かし、お客様の満足度を大切にしている貴社で、多くのお客様に喜んでもらえる住まいを提案していきたいです。

 

保険営業

保険営業は個人や法人などに保険商品を販売する業務で、金融業界の一部であり資産計画などを請け負うこともあります。保険業界に対する知識や、コミュニケーション能力が求められることを押さえておきましょう。

【例文】

私は人の役に立つ仕事がしたいと考え、多くの人を陰からサポートできる保険業界を志望いたしました。

貴社の「お客様を第一に考えた経営理念」に魅力を感じ、自分も多くの人の人生に寄り添い、転ばぬ先の杖になれるような保険営業がしたいと思っています。

前職の携帯電話販売業では1日10人近いお客様の要望をヒアリングし、一人一人ぴったりな商品の提案やサポートをしてきました。この経験を貴社でも活かせると考えています。

 

IT系技術職の志望動機例文

パソコンとティーカップとバインダー

(出典) photo-ac.com

IT系技術職は、現代ではなくてはならないIT関連の技術のスペシャリストです。職種別に志望動機の例文をチェックしましょう。

システムエンジニア

システムエンジニアは、顧客がどんな問題を解決したいと思っているのかを聞き出し、どんなシステムを構築する必要があるのかなどを具体化していく仕事です。

論理的な思考だけでなく、優れたコミュニケーション能力が求められます。IT技術への高い関心や、最新技術への理解力なども重要なポイントです。

【例文】

貴社のように全員がエンジニアとしてレベルの高い能力を備えており、向上心を持って仕事に取り組める環境で働きたいと考え、志望いたしました。

私は前職で営業職をしており、お客様の要望を聴き取ることが得意です。自社のホームページ作りを担当したことがきっかけでITの知識を学び、システム開発に興味を持ちました。

これまでに学んだコミュニケーション能力とITの知識の両方を活かし、教育制度が充実した貴社で経験を積みながら一流の技術者を目指し、質の高いサービスをお客様に提供したいと思っています。

 

インフラエンジニア

インフラエンジニアは、ネットワークやサーバーなどの設計・構築・運用・保守を手掛け
『通信環境を整備する仕事の総称』です。

社内インフラを整えるだけでなく、顧客となる企業に常駐してITインフラの運用や管理を行う場合もあります。志望する企業がどのようなタイプの仕事をしているのか、研究しておきましょう。

【例文】

物流倉庫でマネジメントをしていた際、社内インフラがダウンしたことで丸一日仕事にならなかった経験から、安心して働くにはインフラが整備された環境が不可欠だと痛感し、インフラエンジニアの仕事を志望いたしました。

貴社の教育制度や資格取得による昇給制度は充実しており、やりがいを持って新しい技術を身に付けられる環境に大きな魅力を感じています。

管理指標を設けて品質・納期・コストにおける問題を数値化して管理し、収益を向上してきた経験を活かしながら、現代社会において必要不可欠なインフラを支え、社会貢献できる人材になるべく邁進したいです。

 

ネットワークエンジニア

ネットワークエンジニアは、インフラエンジニアの中でもネットワークの設計・構築・運用・保守などに関わる業務を専門的に扱います。インフラエンジニアとは違い、ネットワークの分野に特化していることが特徴です。

【例文】

貴社は未経験者でも意欲がある者は積極的に採用し、教育カリキュラムによって業務知識を高められると知り、自分の可能性を伸ばして社会に貢献できるチャンスだと考え志望いたしました。

私は物事に対し真面目にコツコツと取り組める性格で、物事を論理的に考えいかに効率よく進めるかにこだわることが好きです。

前職の一般事務では表計算ソフトのマクロ機能を駆使し、より早く事務処理ができるように工夫し周囲に共有することで、チーム全体の業務効率をアップしてきた実績があります。

ネットワークエンジニアとしての基礎知識を身に付けるために、在職中にCCNAを取得いたしました。少しでも早く一人前のネットワークエンジニアになり、お客様に最適な環境を提供できるように、努力を惜しまない所存です。

 

クリエイティブ職の志望動機例文

メモパッドを使用する人

(出典) photo-ac.com

ものを生み出すクリエイティブ職も、人気がある職業の1つです。自分の得意分野を押し出しながら、どんな価値があるものをつくり上げたいのかを含んだ内容の志望動機を書きましょう。クリエイティブ職に転職したい人向けの例文を紹介します。

デザイナー

デザイナーは『顧客の要望を理解して、デザインに落とし込む能力』が求められます。志望動機を書く際は、それぞれの業界で求められるものが違う点を理解することが大事です。

【例文】

「クリエイティブな発想で世界をより良いものに変える」という貴社の企業理念に感銘を受け、情熱を持って仕事に取り組めると感じて志望いたしました。

私はこれまでDTPデザイナーとして、婦人誌を中心とした多くの雑誌に携わってきました。デザインの自由度を感じさせながらもコンセプトを意識した制作が得意です。

紙媒体ではかなえられない、自由な発想を実現できるwebデザイナーの仕事にやりがいや魅力を感じています。貴社で多くの経験を積み、将来的にはwebディレクターとして活躍し、多くの企業の夢や理想の実現をサポートしたいです。

 

出版・広告

出版・広告業界での仕事内容は、営業・編集・進行管理・オペレーターなど、多岐にわたります。志望する企業が手掛ける商品のジャンルを見極め、その仕事を通して『どんな価値のあるものを消費者に届けたいか』を伝えましょう。

【例文】

私は「平和な世界を作るのは知の力」という貴社の企業理念に心から共感し、志望いたしました。昔から教育関連の仕事に非常に興味を持ち、前職でも学習教材を中心とする販売業に従事しています。

商材を通じて、貴社が発行している学習参考書は使用する人の立場になって考え抜かれたつくりになっていることを知り、これからの未来を担う人材を育成するために不可欠だと感じるようになりました。

前職で培ったコミュニケーション能力や販売力を活かして、子どもたちがより学習内容に集中しやすい学習参考書を作っていきたいです。

 

志望動機を書く際の注意点

履歴書とペンとティーカップと携帯

(出典) photo-ac.com

志望動機を書く際の注意点も知っておくと、より採用担当者の心に響く内容にできます。やってしまいがちなNGポイントを知って、事前に失敗を防ぎましょう。

読みやすさを心がける

志望動機を書く際は読む側の気持ちになって考え、ちょうど良い量の文章を心掛けましょう。

エントリーシートや履歴書の志望動機は記入欄の8割以上を埋めることが基本ですが、履歴書の志望動機の欄を小さい文字でびっしりと埋めると、相手は読むのが嫌になってしまいます。アピールし足りないと感じる部分は面接の際に口頭で補足することもできるので、要点をまとめることが大事です。

また、漢字とひらがなの割合に気を配ると、より視認しやすくなります。漢字を過剰に使うと読みづらいので漢字3割、ひらがな7割ぐらいのバランスを意識しましょう。

理由・エピソードは具体的に

漫然と『貢献したい』と書くのではなく、その職種に就きたい理由や自分が持つ能力をどのように活かすのかを具体的に書くことが大事です。

例えば、コミュニケーション能力があるというだけでは、具体的にイメージできません。表彰された実績や褒められた経験などの『自信を裏付けるエピソード』を添えれば、内面や能力をより深く知ってもらえます。

お客様視点で終始しないよう注意

志望動機にありがちなNGポイントの1つに、志望する企業の良い点だけを挙げた『ファンレターのような内容』というものがあります。

企業は従業員としてどのように貢献してもらえるのかが分からないと、採用に踏み切れません。その企業や製品に好意を持っているというだけでは、志望動機としては非常に弱いものになってしまいます。

志望する企業を愛する気持ちを、どのように仕事に活かせるかを具体的に書くと採用担当者の心を動かせるはずです。

志望動機を熱く語ってやる気を見せよう

ネクタイとワイシャツと履歴書と封筒

(出典) photo-ac.com

採用担当者の心に響く志望動機を書くには、志望する企業の『事業領域』や『企業理念』などを必ず研究し、自分の得意分野と結び付けてやる気をアピールすることがポイントです。

入社後にどう活躍してくれるかをイメージさせ、採用担当者が「この人を採用したら、長く続けてくれそう」と思えるような内容にしましょう。うまく書けないときは、業界研究と自己分析が不十分でないかを見直すことが大事です。

小寺良二
【監修者】All About キャリアカウンセラー/起業・経営ガイド小寺良二

若者の就職支援を専門とするキャリアカウンセラー。アメリカの大学を卒業後、アクセンチュアを経てリクルートに入社し100社以上の新卒・中途採用のコンサルティングを経験。独立後は採用と就職活動の双方を知る「若者就職支援のプロ」として官公庁や人材企業の若年就労支援プロジェクトに携わる。全国の大学で教員やキャリアカウンセラー向けの研修を行うなど、若者支援者の養成にも力を入れている。
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著書:
美文字履歴書の書き方&マナー