転職の一次面接ではどんな質問がされる?具体例と必要な準備を解説

転職活動で一次面接を突破したいなら、質問に対して、的確に答えなければなりません。何も準備しないで挑むと、失敗する確率が高くなります。あらかじめ一次面接で聞かれる質問をチェックし、回答を準備しておきましょう。

転職の一次面接の傾向

バインダーの資料に書き込む男性

(出典) photo-ac.com

面接は段階ごとに、質問や重視される部分が異なります。一次面接では、どんな点が重視されているのか見ていきましょう。

第二新卒や若手はマインドや意欲が重視される

第二新卒や中途採用では「働く意欲の高さ」や「入社後に成長する見込み」が感じられるかを、重視されます。若手の転職者は短い在職期間で一度は会社を辞めているため、「次もまた短期間で辞めるのではないか」と思われがちです。

企業は手間やコストをかけて採用面接をしており、継続的に企業に貢献してくれる人材を採用したいと考えています。一次面接で、すぐにまた離職する可能性があると感じさせれば通過は困難です。

面接を通過するには、その仕事への思い入れや熱意をうまくアピールしなければなりません。性格面から成長する見込みを測れるので、どんな人柄であるかも重要視されます。

即戦力を求める場合はスキルや経験を優先

中途採用の場合、即戦力となる人材を積極的に採りたいと考える企業が少なくありません。即戦力を求める場合は、これまで経験した職種と希望する職種との「マッチング」が厳しく見られています。

関連性が薄いスキルや経験しか持っていない場合は、一次面接で振り落とされる可能性が高いでしょう。専門知識や実務経験を有しているかだけでなく、自分から進んで仕事ができるかや自社の社風に合っているかなどもチェックされる傾向です。

仕事に対する明確なビジョンを持っていて、将来を見据えて計画的にやるべきことが分かっている人は、より通過しやすいといえます。

一次面接通過のためのポイント

ノートに書き込むスーツの男性

(出典) photo-ac.com

一次面接で落とされる機会が多いと自信を失ってしまいますが、改善点を見つけて取り組むことが大事です。一次面接を通過するには、どんな点を意識すればよいのか見ていきましょう。

自己分析や企業研究など、事前準備が不可欠

一次面接でよくある質問に答えられるようになるには、「自己分析」や「企業研究」が欠かせません。自己分析が足りないと、自己PRや長所・短所などの質問に的確に答えられず、個性が薄くなりがちです。

自分を客観的に見つめ直し、第三者に意見を聞くなどの方法を取り入れ、自己分析に役立てましょう。

また、企業研究が不足していれば、説得力のある志望動機を言えず、ほかの企業にも転用できるような内容になってしまいます。

仕事内容に対する理解が薄いと、自分が希望する働き方とマッチしなくなる恐れもあります。企業の公式ホームページや採用ページなどをよく見て、研究しましょう。

声に出して練習を繰り返す

一次面接を通過するには、明るくハキハキと質問に答える必要があります。実際に発声して受け答えを練習し、印象をよくしましょう。声に出して何度も練習すると、うまく話せるようになります。

面接官からの質問をイメージできたら、浮かんだ答えを頭の中でまとめて紙に書き出しましょう。その後、書いた内容をもとに「自分の言葉」で話せるようにします。

紙に書いた文章を暗記するだけでは、自分の言葉として伝えられません。また、書いたものを読み上げるだけでは、想定外の質問が来たときにうまく対応できない心配もあります。実際に声に出して練習し、本番に対応できるように備えましょう。

【一次面接質問例1】人柄に関する内容

女性の面接官

(出典) photo-ac.com

一次面接で必ずといっていいほど聞かれるのが、応募者の人柄に関する質問です。質問例や押さえておきたいポイントを見ていきましょう。

自己紹介をしてください

自己紹介では「自分の基本的な情報」を、簡潔に「1分程度」で述べます。具体的には以下の要素を盛り込みます。

  • 氏名
  • 卒業した学校名と学部名
  • 在職中の会社名・事業内容・担当している仕事内容
  • 仕事への意気込み

まずは肩慣らしとして自己紹介から始まる確率は高いので、スムーズに言えるように準備しておきましょう。明るい笑顔で伝えられれば「第一印象」がよくなります。

【例】
本日はお時間をいただき、ありがとうございます。○○(氏名)と申します。2016年に○○大学○○学部を卒業し、新卒で株式会社○○に入社し、営業部営業一課に配属されました。

3年間、○○業界向けの○○というサービスの提案や販売を行いました。これまでの経験を生かし、御社でも営業として結果を出したいと考えています。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

自己PRをしてください

自己PRでは「自分の強みを生かして、どんなふうに企業に貢献できるか」を問われています。応募する企業の経営理念や仕事内容に応じた内容を、答えなければなりません。

例えば、営業職を希望するのであれば、「お客様のニーズを速やかに把握できるところ」「人と関わるのが大好きなところ」などがPRポイントとして使えます。

自己紹介と自己PRを混同してしまう人がいますが、自己紹介は面接前のあいさつのようなもので、緊張をほぐし基礎的なコミュニケーション能力をチェックすることが目的です。

「自己紹介と自己PRをお願いします」というように、同時に回答させられるケースもあるので、焦らずに答えを準備しておきましょう。

あなたの長所・短所を教えてください

企業は応募者の長所・短所から、「どんな人なのか」「何が得意な人なのか」などを読み取ろうとしています。

長所・短所に関する質問は、本人がどれだけ自分を客観視できているかを判断できるとともに、「短所をカバーしながら長所を磨けているか」もチェックできる項目です。

長所はありのままを答えて構いませんが、短所は考えようによってはポジティブな内容に転換できるものを選んだ方がよいでしょう。

例えば、「頑固である」という短所は、「意志が強い」と言い換えられます。短所を克服するために、どんな努力をしているかも付け加えるようにしましょう。

どう考えてもカバーできないような短所を、あえて答える必要はありません。営業職で「時間にルーズ」「人嫌い」などの短所を挙げてしまうと、社会人としての資質が不足していると思われてしまいます。

【一次面接質問例2】職歴・スキルに関する内容

バインダーをもって考え事をしているスーツの男性

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応募者の職歴・スキルは、企業からの注目度が高い部分です。履歴書と食い違いがないように、自分の言葉で説明できるようにしておきましょう。具体的な質問内容と答え方を紹介します。

これまでの職歴を教えてください

「前職は株式会社○○で経理事務を担当していました」というように、社名と仕事内容を簡潔に述べられるように準備します。「具体的な仕事内容や、何を学んだのか」なども説明し、入社後にどのように貢献できるかという話につなげましょう。

多くの職歴があるときは、前職の情報を伝えます。応募する職種と前職に関連性がない場合は、これまで経験してきた仕事の内容を掘り下げ、共通点を探してみましょう。

例えば、販売職と一般事務は仕事内容がかけ離れているようですが、販売職で身に付けたコミュニケーション能力は、一般事務の仕事でも職場の人とうまくやっていく上で生かせる能力だといえます。

経験や実績を教えてください

経験や実績は企業が重視する部分なので、聞かれる機会が多い傾向です。できれば、数字ではっきりと示せるものを選ぶと、より分かりやすく伝えられます。

「顧客のニーズを見直し、売り上げを30%伸ばした」「取引先と粘り強く交渉した結果、仕入れ額を20%削減した」など、客観的な事実として認識できる内容にするとよいでしょう。

数字で示せるような実績がない場合、成果を出そうとしてどのような努力や工夫をしたのかを伝えます。説得力を持たせるために、根拠となるエピソードを交えながら話すことが大事です。

転職理由・退職理由を教えてください

企業は応募者の転職理由・退職理由から、「すぐに離職しない人物であるか」を探ろうとしています。人間関係でのトラブルが退職理由となっている人を、積極的に採用したいと思う企業はありません。

待遇への不満や仕事内容がつまらないなどが直接的な原因であっても、ネガティブな印象を与えないように慎重に答える必要があります。

「○○が嫌だったから辞めた」ではなく、「○○を実現したいと考えて辞めた」というように言い換えて、ポジティブな印象を与えましょう。

前職に対する愚痴にならないように、理想の働き方や将来を見据えた転職である点をアピールすることが重要です。

【一次面接質問例3】志望動機に関する内容

机を挟んで女性と面接をする男性

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志望動機は、採用面接で必ず聞かれる質問の1つです。明確に答えられるようにしておくと、通過できる可能性が高まります。詳しい質問内容や回答の仕方を見ていきましょう。

当社を志望する理由を教えてください

企業は志望動機を通じて、自社とのマッチングや自社に貢献してくれそうな人物かどうかを知りたがっています。

志望動機は、企業側にとって「働く上で何を重視しているか」「なぜ、自社を選んだのか」「どのような貢献をしてくれそうか」などを、まとめてチェックできる質問です。応募する企業や職種にマッチする内容にまとめましょう。

給与や待遇などの自分が求める条件面を満たしているというだけでなく、その企業で働きたいと思った理由を述べなければ、働く意欲をアピールできません。

例えば、「この企業でなら自分の強みを生かせると思ったから」という内容であれば、志望度の高さを伝えられます。

内容に説得力を持たせるには、その企業の事業内容に対し、自分の強みをどのように生かせるかを説明しなければならないので、十分な企業研究や自己分析が必要です。

入社後にどんなことを実現したいですか?

入社後に実現したいことへの回答からは、「どんな目標を持った人物なのか」が見えてきます。求人内容や経営理念との食い違いが起きないように注意しながら、入社後に「働いている姿」をイメージさせるような回答をしなければなりません。

例えば、応募者が入社後に1人1人の顧客に対し、きめ細やかなサービスをしたいと考えていても、効率化を何よりも重視している社風であれば、実現できない可能性が高いといえます。

一次面接ではミスマッチがないかだけでなく、自分の目標を分かりやすく言語化できる人物かどうかもチェックされる傾向です。

何か質問はありませんか?

面接官からの「逆質問」は、面接の終盤でよく登場します。採用面接は、企業側が応募者に一方的に質問をぶつけるだけでなく、応募者側から企業に対して質問できる機会でもあるのです。

面接官は、応募者の疑問を解消することだけが目的ではなく、志望度の高さや業界への関心の深さなどもチェックしようとしています。

何も質問しないと自己アピールの機会が減ってしまうので、いくつか質問を用意しておきましょう。

例えば、「○○さん(面接官の名前)が、仕事で最もやりがいを感じる場面はどんなときですか?」というような質問をすれば、働く意欲が高く現場の意見を知りたがっていると判断してもらえます。

ただし、事前に調べれば簡単に分かるような内容を質問し、勉強不足だと判断されないようにしなければなりません。面接の中ですでに説明された内容を質問すると、「話をきちんと聞いていなかったのか」と思われてしまうので注意しましょう。

面接の受け答えのポイント

両手を広げ話しをしているスーツの男性

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質問への答え方のポイントが分かっていれば、事前に練習できます。どんな点を意識しながら答えればよいのか見ていきましょう。

結論から始め、簡潔にまとめる

質問に答える際は、結論から話し始めます。「私の長所は、○○です」と言い切った後に具体例やエピソードなどにつなげて、説得力を持たせる方法がおすすめです。

話の締めくくりの部分で結論を述べる方法だと、話の要点が分かりづらくなり、面接官の印象に残らない心配があります。

一生懸命自分のよい部分をアピールしようとすると、つい長々と話してしまいがちですが、できるだけ簡潔に要点をまとめる工夫をしましょう。

一方的にしゃべりすぎない

聞かれていないことまで一方的にしゃべると、面接官が聞き出したかった内容とズレやすいので、「聞かれた質問にのみ的確に答える」ようにしましょう。

頭の中で話すことがまとまっていないと、余計なことまでしゃべってしまいます。長くしゃべれば、熱意が伝わるとは限りません。

話が長いと「要点をまとめて答える能力がない」と判断されてしまう心配があります。3分以上話すと面接官に長いと感じさせやすいので、「1分程度」で回答できるように練習しましょう。

自己紹介のように簡単に答えられる質問は、1分未満の回答でも構いません。質問に応じて的確な長さで答えましょう。

話すスピードや声の大きさ、トーンも意識

面接で話す内容だけでなく「話し方」も重要です。話すスピードが速すぎたり声が小さすぎたりすると、何を言っているか聞き取りにくく、言いたいことが伝わりません。「はっきりとした大きな声」で、話すように意識しましょう。

面接官に向かって話していると、つい小声になってしまう人は少なくありません。「面接官の後ろにある壁に、声を届かせるようなイメージ」で話すと改善しやすいでしょう。

また、声のトーンが低すぎても、暗い印象を与えたり聞き取りづらかったりするので「普段の話し方に比べて、やや高めの声でハキハキと話す」のがおすすめです。

緊張すると早口になってしまう人は、意識して丁寧にしゃべります。面接官の表情をよく見て、伝わっているかを確認しながら話しましょう。

想定される質問への回答は事前に準備を

ノートを書き込んでいる女性

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企業が採用面接で知りたがっていることは、自社とのマッチングや企業にメリットをもたらしてくれる人物であるかどうかです。企業研究を怠らず、どんな人物が求められているかを意識した答えを用意しておきましょう。

一次面接で聞かれる質問はある程度パターン化されているので、事前の準備をしておけば問題なく乗り越えられるはずです。

話し方や回答の長さなどに注意し、ハキハキとした声で明るい笑顔を意識するだけでも印象がぐっとよくなります。要点をまとめて簡潔に話せれば、社会人として必要なコミュニケーション能力に問題がないと思ってもらえるでしょう。