面接に「私服でお越しください」と案内があった場合、本当に私服で行ってよいのでしょうか?どんな格好で行けばよいのか、迷ってしまう人は少なくありません。私服を指定してくる企業の意図や、好ましい服装例について紹介します。
面接で私服を指定してくる企業の意図とは?
まずは、企業側がどんな意図で私服を指定しているのかを知りましょう。企業側の目的を理解することで、着て行くべき服装を決めやすくなります。
企業によってそれぞれ意図は異なりますが、主なものは次の3つです。
リラックスしてもらうため
多くの人にとって、面接は非常に緊張するものです。
企業側も応募者が緊張しているのは理解していますし、緊張状態だと実力が十分に発揮できない可能性があることも分かっています。
そのため、少しでもリラックスして、できるだけ普段通りの状態で受け答えができるようにという理由から、私服を指定している企業もあります。
この場合、企業側としては私服の内容で個人を判断しようという目的はないものの、やはり面接にふさわしい格好をすることで好印象を与えられるでしょう。
TPOの判断ができるかチェックするため
面接にふさわしい格好をしてくるかどうかで、TPOの見極めができる人か否かを判断する目的を持っている企業もあります。
私服だから何を着てもよいというわけではなく、一般的にオフィスカジュアルで行くのが社会人としてふさわしいでしょう。ダメージ加工のジーンズやヨレヨレのシャツなど、面接には不適切と思われる服装で行くと、常識がないと判断されてしまう可能性があるので注意しましょう。
自由な社風をアピールするため
実際に働いている社員がスーツを着用していない企業の場合、自由な社風のアピールを目的としているケースもあります。
IT系やクリエイティブ系などのベンチャー企業に多く、「細かいルールに縛られず、のびのび仕事ができる」というイメージを応募者に与えるのが狙いです。
こういった企業では、かなりラフな格好をしている社員もいるかもしれませんが、応募者としては面接にふさわしい服装をして行くことを心掛けましょう。
私服指定の面接にスーツを着て行くのはNG?
面接に私服で来るよう案内があったときに、スーツを着て行くのはよいのでしょうか?スーツ着用でもOKなのか、私服を着て行った方がよいのかは、企業からの案内の文言によって判断ができます。
私服で行った方がいい場合
面接に行く際、以下の文言の場合には私服を着て行くのがよいでしょう。
- 私服でお越しください
- カジュアルな服装でお越しください
- あなたらしい服装でお越しください
- 普段通りの格好でお越しください
私服を指定する案内があるにもかかわらずスーツを着て行くと、相手の意図にそぐわないことにもなりかねないので注意が必要です。
もし「あなたらしい格好」でスーツを着用して行く場合は、「なぜスーツが自分らしいのか」を根拠を持って説明できるように準備しておくとよいでしょう。
スーツを着てもいい場合
以下の文言の場合は、スーツを着用して行ってもよいでしょう。
- 私服可
- 服装自由
このような選択権が応募者側にあるような案内の場合は、スーツを着て行くのがよいでしょう。指示がないのに私服を着て行くと、場違いな印象になる場合があるため気を付けましょう。
【男女別】私服で面接に行く場合の服装例を紹介!
私服で面接に行く場合の具体的な服装例について、男女別に紹介します。基本的には、男女ともにオフィスカジュアルが理想です。そのまま打ち合わせや商談に行っても問題がないような、ビジネスシーンを意識した格好を目指しましょう。
【男性編】私服面接に好ましい格好
男性のオフィスカジュアルは、以下が基本です。
- シャツ
- チノパンorスラックス
- ジャケット
服装は全体的に「落ち着いた色」に統一し、カバンは自立する「ビジネスバッグ」、靴は「革靴」を着用するのが好ましいでしょう。
時期によっては、ジャケットの上にさらにコートを着用することもありますが、コートは応募先の企業の建物に入るタイミングで脱ぐのが基本です。
面接会場に入ったら、コートは指示がある場合は指定の場所に置きます。指示がない場合はカバンの上に置きます。寒い冬でもダウンなどのかさばる上着は場所をとるため避けた方が無難です。
【女性編】私服面接に好ましい格好
女性のオフィスカジュアルは、男性より少しバリエーションが多めです。
- シャツ or ブラウス or カットソー
- スカート or パンツ
- ジャケット or カーディガン
カバンは自立する「トートバッグ」や「ビジネスバッグ」、靴は「パンプス」を選択し、スカートでもパンツでも「ストッキング」を着用しましょう。
また、パンプスのヒールの高さは「3~5cm」が理想で、歩くたびにカツカツと音が鳴り響くような高いヒールの靴やサンダル、ミュール、ブーツなどは避けましょう。
受ける業界に合わせた私服を選ぼう
面接においての私服は、オフィスカジュアルが基本ですが、面接を受ける業界の基準に合わせて服装を選びましょう。
事務職・金融
事務職・金融系などは、仕事柄真面目な印象の人を求める傾向があるため、清潔感のあるきれいめな格好が好ましいといえます。
私服指定の場合はスーツを着用する必要はありませんが、ブラウスやジャケットなどで信頼感がある服装を選ぶとよいでしょう。
「あなたらしい格好でお越しください」や「カジュアルな格好でお越しください」と案内があった場合でも、カジュアルさは少し抑えめにするのがよいでしょう。
アパレル・美容・広告
アパレル・美容・広告などの業界は、応募者のセンスを見るために面接で私服を指定することがあります。
その場合、それぞれの企業イメージに応じた服装で、ある程度個性を出すことも大切です。
特にアパレルは洋服を販売するのが仕事です。面接で服装のコンセプトなどを質問されることもあります。
コンセプトを説明できるように準備しておくだけでなく、「ブランドのイメージに合うか?」「トレンドを取り入れているか?」など、事前のリサーチもしっかりとしておきましょう。
私服で面接に行く場合の4つのNG項目
私服での面接で、企業からの印象が悪くなる4つのNG事項について説明します。
面接に着て行く服を決めたら、以下の点に該当していないかどうかを必ず確認しましょう。
ラフすぎる
Tシャツ・ジャージ・ジーンズなどラフすぎる格好だと、やる気がないように見られてしまう可能性があります。
「普段通りの格好」や「カジュアルな格好」と指定があった場合でも、カジュアルになりすぎないように注意が必要です。
また服装だけでなく、髪型を整えていないと清潔感のない印象を与える原因となります。寝ぐせが残っていたりボサボサだったりすることのないよう、きちんと整えることが大切です。
男性は軽く整髪料で整え、女性は束ねるか耳に掛けるなどして、男女ともに顔の表情がよく見えるようにしましょう。
派手すぎる
奇抜な色や大きなプリントなどの派手すぎる服装は、面接にふさわしくないので避けましょう。
ただしアパレルやデザイナーなど、個性・センスがチェックされる職種の面接においてはアピールになることもあります。業界の特徴なども考えながら、服装を選択しましょう。
また、髪色も応募先の企業が求めている人物像に合わせます。自由度が高い職種でも、派手すぎる髪色は控えたほうが無難でしょう。
露出が多い
露出の多い服装は、面接には好ましくありません。男性の場合は半ズボンやシャツの襟元を必要以上に開けたり、女性の場合はミニスカートやノースリーブなど、肌が多く見える格好をしたりしていると相手に不快感を与えるおそれがあります。
また、女性が胸や脚などを露出していると、面接官やほかの応募者が目のやり場に困ってしまうということもあります。露出は控えめにし、ビジネスシーンにふさわしい格好を意識するようにしましょう。
目立つ装飾品・香水をつけている
面接に時計・アクセサリーをつけて行く場合は、控えめで目立たないものを選ぶようにしましょう。時計はシンプルで時間が確認しやすいものがよいでしょう。
ピアス・指輪・ネックレスなども目立たないものであれば着用可能ですが、面接でセンスをアピールする必要のある業界を除いては、何もつけないで行くか、結婚指輪にとどめておくのが無難でしょう。
また、香水は匂いが苦手な人もいるので、つけないのが基本です。汗などの匂いが気になるという人は、制汗剤などを使用するとよいでしょう。
TPOに合った私服で好印象を与えよう!
面接で意図しない不利益を被らないために、服装選びは重要です。TPOや企業イメージにそぐわない服装をしないことや、企業の面接案内の文言から、スーツで行くべきなのか私服で行くべきなのかを判断することも大切です。
面接にふさわしい服装を正しく理解して適切な格好で面接に臨み、しっかりと自分自身をアピールして合格をつかみ取りましょう。
コミュニケーションでまごころを伝える、ビジネスマナーの専門家。池坊短期大学教授。日本女子大学大学院人間社会研究科博士課程修了。勤務校でビジネスマナーやコミュニケーション、就職の面接対策講座を担当。企業や官庁関連機関で就労支援講座を行う。
All Aboutプロフィールページ
著書:
VUCA時代をよりよく生きるためのキャリア形成とコミュニケーションスキル(ナカニシヤ出版)
心地いい人がしている、人づきあいに役立つ習慣術(ぱる出版)
新社会人のためのビジネスマナー講座(ミネルヴァ書房)