ボーナスをもらって退職するポイントは?減額される可能性も

転職を決めたら、損しないようにボーナスが支給されてから辞めたいと感じる人が大半です。何も考えずに退職時期を決めると、ボーナスをもらえない可能性があります。満額を受け取るために押さえておきたいコツや、確認すべきポイントなどを見ていきましょう。

退職予定でもボーナスはもらえる?

賞与規定

(出典) photo-ac.com

退職時期は人によって異なり、時期によってボーナスがもらえる場合とそうでない場合があります。勤務先の支給条件を確認する方法を見ていきましょう。

条件を満たせばボーナスは受け取れる

会社を辞めるのであれば、ボーナスを受け取ってからの方が得です。退職の意思を伝えると、本来もらえるはずのボーナスが受け取れなくなるのではないかと不安を感じる人もいるでしょう。

しかし、退職願を会社に提出した後でも、ボーナス支給日に在籍していれば支払われるケースが一般的です。

このルールの場合にはボーナスの査定期間中に在籍していたとしても、支給日前に退職した人は支給対象になりません。受け取りを希望するなら、退職日が支給日以降になるように調整して、日程を組むようにしましょう。

ボーナスの支給には法律による決まりがない

労働基準法では、賃金・労働条件・休日に関する定めはあっても、ボーナスの支給額や方法に関する決まりはありません。条件は会社によってそれぞれなので、まったく支給されない会社もあれば、年に数回支給する会社もあります。

ボーナスの支給額や支払時期などは会社が自由に決定します。労働者の勤務成績や会社の業績などに応じて決められるケースが一般的です。

支給条件は就業規則をチェック

ボーナスの支給条件は、就業規則の賃金規定に記載されているのが一般的です。就業規則はその会社で働く上でのルールを定めたもので、賃金やボーナスに関する項目が設けられています。

支給額や算出方法に関する記載だけでなく、いつまで在籍している人に対し支給されるのかといった基本的な条件も記載されているので、自分が対象となるのかチェックしましょう。

就業規則の賞与の項目で『原則として支給しない』とと規定されていれば、退職するしないにかかわらずそもそもボーナス支給の制度がない会社です。

退職予定でボーナスをもらう際の注意点

お札と給与明細

(出典) photo-ac.com

会社を辞めるタイミングは人それぞれのため、もらえるはずだったボーナスを受け取れないというケースもあります。「転職するけれどボーナスを受け取りたい」と考えている人が注意すべき点を見ていきましょう。

支給額を減らされる可能性も

ボーナスは個人や会社の業績に応じて分配されるだけでなく、従業員個人の将来的な活躍への期待も込めて支給額を算定している場合があります。その場合、減額されたとしても違法にはなりません。

会社を辞める人に対する将来への期待度がなくなる分、減ってしまうという考え方です。就業規則に「ボーナスの支給後○日未満で退職する場合は○%の減額をすると定められているケースでは、規則に従って減額されます。

従来よりボーナスが減っているからといって、それがすぐに違法行為というわけではない点に注意しましょう。

不当に支給されない場合は賃金未払い

ボーナス支給日に会社に在籍しており、就業規則上の支給条件を満たしているにもかかわらず、退職の意思を伝えただけで、ボーナスがなくなった場合は違法の可能性があります。

賃金未払いの事実が表沙汰になれば会社の評判が下がるので、法律違反している事実を伝えれば、会社は本来の支給額を支払う方法をとるでしょう。

退職するという理由だけで支給されないというのは認められませんが、業績の悪化により退職の有無にかかわらずボーナスが支給できない場合は問題にはなりません。

ボーナスをもらって退職するコツ

退職届

(出典) photo-ac.com

ほかの従業員と同様に仕事をしてきたのに、退職するからといって本来もらえるはずだったボーナスがもらえなくなる事態は避けたいものです。ボーナスをもらって退職するために、知っておきたいコツを見ていきましょう。

「支給日在籍条項」があるか確認

会社の制度としてボーナスを設ける際には、就業規則にボーナス支給のルールを定めなければならないと労働基準法で決まっています。

支給日在籍条項は、ボーナスの査定期間に勤務していたとしても『ボーナスの支給日に在籍していなかった従業員』には、ボーナスを支給しないとする条件のことです。

たとえ支給日の前日に会社を辞めたとしても、支給対象になりません。確実にボーナスをもらいたい人は、慎重に退職予定日を設定しましょう。

参考:労働基準法 | e-Gov法令検索

支給後に退職意思を伝えるのがベター

退職の意思を会社に伝えた後にボーナスが支給される場合、本来もらえるはずだった額を受け取れないかもしれません。確実に受け取りたいなら、ボーナスが支給された後で退職の意思を伝えましょう。ただし、就業規則等で退職の申し出がいつまでに必要かを確認し、期日を守るようにしましょう。

多くの会社は夏と冬に1回ずつ、ボーナスが支給されます。夏のボーナスは7月中旬ごろ、冬のボーナスは12月中旬ごろに支給されるのが一般的です。

ボーナスが支給された直後に退職すると印象が悪いので『夏は8月末、冬は1月末』に退職するなど、余裕を持ったスケジュールを組んで転職活動をしましょう。

周囲への気配りも忘れずに

勤務先のルールにもよりますが、一般的には後任に引き継ぎをしてから辞められるように退職時期を調整します。1カ月程度は引き継ぎ期間を設けるようにして、周囲に迷惑をかけないようにするのが社会人としてのマナーです。

ボーナスさえもらえば辞めていいという態度でいると、周囲から反感を買ってしまうでしょう。在職中の職場だけでなく、転職先にも気遣いが必要です。

内定後1~2カ月で新しい会社に入社するのが一般的なので、無理のないスケジュールで進めましょう。前職でのボーナスをもらうために入社を引き延ばすと、印象が悪くなるので注意が必要です。

退職時のボーナスについての疑問

お札と電卓

(出典) photo-ac.com

退職時期とボーナスの支給時期が近い場合や、年俸制など給与の支給方法が通常と違う場合などは、さまざまな疑問が湧いてくるはずです。退職時のボーナスに関する、よくある疑問を解消しましょう。

有給消化中でも在籍日にカウントされる?

一般的に退職時に有給休暇が残っていた場合、全て消化してから辞めることが多いようです。

休暇中であっても、その会社に在籍していることは変わりないため、ボーナス支給日に会社に在籍している人を対象にボーナスを支給すると就業規則で決まっているのであれば、ボーナス支給日が有給休暇の消化中であったとしても、ボーナスの査定期間に勤務実績があれば支給対象になります。

年俸制の場合、ボーナス額はどうなる?

年俸制の人は月給制の人とは違い、あらかじめ決まった年額からボーナスの額を導き出し、支給する方法をとります。年俸制の場合、年間に払われる全額を賃金として考え、既に決定した年収をもとにボーナスの額を決めるのです。

ボーナス支給日がいつなのかに関係なく、『在籍していた期間分のボーナス』を支払う決まりになっています。細かい条件や算出方法は就業規則や雇用契約によって異なるので、チェックしましょう。

ボーナスをもらっての退職はタイミングに注意

お札と電卓と通帳

(出典) photo-ac.com

ボーナスを支払う条件は会社によって異なります。詳しい条件を知るには、就業規則をチェックしましょう。ボーナス支給日に在籍している従業員が対象になっている場合、退職時期を間違うと受け取れません。

タイミング次第では、通常の額から減額される場合もあります。本来もらえる額を受け取りたい人は、ボーナス支給後に退職するようにスケジュールを調整しましょう。

 

長友秀樹
【監修者】All About 社会保険労務士試験ガイド長友秀樹

医療機関の人事・労務はお任せ!元製薬会社MRの社会保険労務士
社会保険労務士。社会保険労務士法人NAGATOMO代表社員。MR、人事コンサルタント、医療業界を熟知した社会保険労務士の経験をいかし、病院・クリニックの規模に合わせた人事制度の構築、人事・労務問題をサポートしている。
All Aboutプロフィールページ
公式サイト