内定辞退は承諾してしまった後でもできるのか、誰にいつ連絡すべきか、迷っている人もいるのではないでしょうか。内定辞退の意味と連絡先・タイミングといった基本的な知識とともに、内定辞退を伝えるポイントや例文も紹介します。
この記事のポイント
- 内定辞退とは?連絡先とタイミング
- 内定通知を受けた後に辞退することを内定辞退といいます。連絡先は採用担当者、タイミングは可能な限り内定通知から1週間以内が目安です。
- 円滑に内定を辞退するには
- 内定をくれた企業への誠意を忘れず、担当者の都合にも配慮して連絡しましょう。
- 内定辞退を電話・メールで伝えるポイント
- 電話の場合はメモに話の流れを書いておくと慌てずに済みます。メールの場合、電話で連絡できなかった理由も添えると丁寧です。
内定辞退の意味や連絡先・時期
内定をもらったけれど、志望度が低い・別の企業から内定が出たなどの理由で辞退を考えている人もいるでしょう。まずは内定の意味や辞退するときの連絡先、辞退を伝えるタイミングを紹介します。
内定通知を受けた後に辞退すること
内定辞退とは、内定の通知が来た後に辞退することです。内定を承諾した後(場合によっては内定通知を受けた時点で)は、過去の判例から「解約権を留保した労働契約」が成立していると解釈されています。
条件付きとはいえ労働契約が成立しているため、企業側が一度出した内定を取り消すには、一定の厳しい要件を満たさなければなりません。
一方で応募者側からの内定辞退にはほぼ制約がなく、民法の定めに従って入社予定日の2週間前までに申し出れば、法的には問題なく辞退できます。
出典:労働基準判例検索-ID番号00173「大日本印刷事件」
出典:e-Gov 法令検索|民法 第627条1項
辞退の連絡は採用担当者へ電話で
内定辞退の連絡先は、企業の採用担当者や人事担当部署です。自分の専属の担当者と連絡を取っていた場合は、その人に宛てて連絡しましょう。
転職エージェントなど人材紹介サービスを使っていた場合、内定辞退の連絡先はエージェントのキャリアアドバイザーです。
連絡方法は、確実に辞退したい旨が伝わるよう電話で連絡するのが基本です。マナーという観点からも、電話で直接伝えた方が誠意が伝わります。
担当者が不在だったり体の状態や環境から電話が難しかったりする場合は、メールで連絡しても失礼には当たりません。
連絡はできる限り早めに
法律上は入社予定日の2週間前まで内定を辞退できますが、企業は内定を出すまでの採用活動に多大なコストと労力をかけています。自分が辞退することで、新たに人材を探さなければならないケースもあります。
内定辞退の意思が固まったらできるだけ早く、可能な限り内定通知から1週間以内に連絡しましょう。
第1志望の企業の選考結果が出る前に第2志望の企業から内定が出たというケースでは、「とりあえず」で承諾するより、第1志望の企業の結果を待ちたい旨を伝えて内定承諾を保留してもらう方がトラブルになりません。
内定辞退を円滑に進めるポイント
内定を辞退したい旨が確実に伝わらないと、辞退したつもりでも入社手続きが進んでしまうかもしれません。円滑かつ確実に内定を辞退するには、何に気を付ければよいのでしょうか。
誠意を持って連絡する
内定辞退は、書類選考や面接・応募者との日程調整など、自分のために多大なコストをかけてくれた企業の期待に応えられないと伝える行為です。
連絡の際は誠意を持って、内定を出してくれたことへの感謝と、内定辞退に対するおわびをしっかりと伝えましょう。誠実な態度ではっきりと辞退したいことを伝えれば、円滑かつ確実に内定を辞退できます。
辞退理由はごまかさず丁寧に伝える
企業にとって内定辞退の理由は、今後の採用精度を上げるために必要な情報です。辞退の旨を伝えたとき、理由を聞いてくる企業は多いと考えましょう。
選考して内定をくれた企業へのお礼としても、聞かれた場合はうそをついたりごまかしたりせず伝えた方が誠実です。ただし、他の企業からの内定が理由で辞退する場合、具体的な企業名は出さない方がよいでしょう。
内定を辞退する企業に、今後一切関わらないという保証はありません。将来的に転職を考えたとき不利にならないよう、社名は出さず「検討の結果」「他の企業から内定をもらったため」といった伝え方にとどめるのが賢明です。
辞退の旨がはっきり伝わるよう話を構成する
内定辞退の連絡では、相手に辞退したいことが伝わらなければ意味がありません。第一に内定を辞退するという意思が明確に伝わるよう、話の構成を考えましょう。
- 内定を出してくれたことへの感謝
- 辞退すること
- おわびの言葉
- 結び
このような流れで内定辞退を伝えることで、誠意を伝えながら辞退する意思を確実に伝えられます。
担当者の都合を考えた時間に連絡する
内定辞退のケースに限りませんが、連絡は大前提として企業の営業時間内にするのがマナーです。
特に電話で連絡する場合、担当者が忙しい・対応が負担になると考えられる次のような時間帯は避けましょう。
- 始業直後
- 就業前
- 昼休み
メールで連絡することになった場合も、営業時間内が基本です。やむを得ない事情があって営業時間内の連絡が難しい場合は、「営業時間外に失礼します」という一言や事情を書き添えておくと失礼な印象になりません。
内定辞退の伝え方と例文【電話・メール別】
内定辞退に当たって、具体的にどのような伝え方が適しているのか悩む場合もあるでしょう。電話・メールで連絡するケース別に、ポイントや例文を紹介します。
電話の場合
電話で内定辞退を伝えるとき、緊張して話そうと思っていた内容が抜けたり早口になったりしてしまう可能性があります。
メモに話の流れを書き、事前にシミュレーションしておきましょう。メモを手元に用意して電話をかけると、話の内容が抜けてしまう事態を防げます。
辞退の理由は、相手から聞かれなかった場合には自分から話す必要はありません。
電話で伝えるときの例文
会話形式で、電話で伝える場合の例文を見てみましょう。
自分:お世話になっております。内定通知をいただいた〇〇〇〇と申します。人事部の〇〇様はいらっしゃいますでしょうか。
(担当者が出た場合)
自分:お世話になっております。選考いただいております〇〇〇〇です。先日いただいた内定通知の件でお伝えしたいことがあるのですが、今お時間のご都合はいかがでしょうか?
担当者:大丈夫です。
自分:この度は内定のご連絡をいただき、ありがとうございます。大変申し上げにくいのですが、検討の結果、御社の内定を辞退させていただきたいと思っております。
担当者:そうでしたか。差し支えなければ、辞退の理由を聞かせていただけないでしょうか?
自分:自分の適性を考え、他の企業との縁を感じたため、そちらへの入社を決意いたしました。
担当者:ありがとうございます。弊社としては大変残念ですが、辞退を承りました。
このような流れで話すことにより、誠意を示しながら確実に内定の辞退を伝えられます。
メールの場合
担当者の不在や、やむを得ない事情でメールでの連絡となった場合も、伝える内容は基本的に電話と同じです。
ただ、電話ではなくメールでの連絡になってしまった理由を書き添えておくことで、誠意が伝わります。
件名だけで何についてのメールなのか、一目で分かるようにしておくことも大切です。「内定辞退についてのご連絡」など、担当者がメールボックスを開いてすぐ要件を把握できる件名で作成します。
メールで伝えるときの例文
メールで伝える場合の例文も紹介します。
件名:内定辞退のご連絡/〇〇〇〇(自分の氏名)
〇〇株式会社
人事部人事課
〇〇様お世話になっております。
内定通知をいただいた〇〇〇〇と申します。先ほどお電話をさせていただきましたが、ご不在だったためメールにて失礼いたします。
この度は内定のご連絡をいただき、誠にありがとうございました。
検討の結果、大変心苦しいのですが内定を辞退させていただきたくご連絡いたしました。内定まで何度もお時間を割いていただいたにもかかわらず、このような形でご連絡することとなり大変申し訳ありません。
採用に関わってくださった皆様には大変お世話になり、心より感謝しております。
末尾ながら、貴社の益々のご発展をお祈りしております。
______________________
氏名
住所
電話
メールアドレス
______________________
自分の状況に合わせ、例文をカスタマイズして活用しましょう。
辞退の連絡をした後の対応
内定の辞退を伝えたら、基本的には相手が辞退を了承して終わりです。ただ、中にはメールの返信がない・引き止められるというケースもあります。そのような場合はどう対応すればよいのでしょうか。
メールの返信が来ない場合は再度連絡を
内定辞退のメールに返信がない場合、メールを受け取った担当者が確認できていない可能性があります。メールを見落とされたまま何もアクションしないと、辞退の意思が伝わらず入社手続きが進んでしまう事態になりかねません。
数営業日たっても返信がなければ、担当者の都合が良さそうな時間帯に電話で連絡してみましょう。つながらなければ、改めてメールを送ります。
引き止めには意思が変わらないと冷静に伝える
近年ではまれですが、内定辞退に対して引き止めに遭うケースも中にはあります。申し訳ない気持ちを伝えることも大切ですが、辞退するという自分の決断を変えるつもりはないと、明確に伝える必要があります。
引き止めがしつこくても感情的にならず、丁寧に内定辞退の意思が変わらないことを伝えましょう。呼び出しがあった場合でも、応じる必要はありません。
誠意のある伝え方で円滑に内定を辞退しよう
内定をもらって承諾しても、入社予定日の2週間前までなら法的には問題なく辞退できます。とはいえ企業は内定までの選考に多大なコスト・労力をかけているため、できるだけ早く誠意を持って連絡するのがマナーです。
連絡先は採用担当者や人事担当部署、キャリアエージェントなどです。電話での連絡は担当者が多忙な時間や昼休みを避け、紹介した流れに沿って話を進めると、誠意と辞退する意思が伝わります。メールの場合も基本的な流れは同じです。
例文も活用しながら、自分の状況に合わせた誠実な対応で内定を辞退しましょう。