内定辞退はどう伝えたらいい?電話やメールの例文とマナーを紹介

面接を受けた企業から内定をもらった後で、さまざまな理由から入社するのを躊躇するケースもあるかもしれません。そうした場合、内定をもらった後で辞退はできるのでしょうか。内定辞退のマナーや伝え方のポイントを、例文とともに解説します。

内定辞退とはどういうこと?

内定通知書

(出典) photo-ac.com

そもそも内定辞退とはどういうことか、よく分からない人もいるかもしれません。まず、内定辞退の定義について知っておきましょう。

内定をもらった後に辞退すること

内定辞退とは、採用面接に合格し内定通知をもらった後に、何らかの理由で入社を断ることです。複数の企業から内定をもらい第一志望の会社以外を断るケースや、業務内容を再度検討した結果、辞退するなど、さまざまな理由があります。

内定通知後に承諾書を提出すると、労働契約が締結されたことになります。しかし民法では、労働者側からいつでも契約の解除を申し出られることになっているため、もし内定承諾書を提出してしまっても辞退を申し出ることは可能です。

内定辞退を伝える際のマナー

スマホを操作するスーツの女性

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面接を受けた企業から内定をもらえるのは喜ばしいことです。しかしさまざまな理由から、内定を辞退せざるを得ない場合もあるでしょう。

内定を辞退する際には、相手に失礼のないように伝えることが大切です。内定辞退を伝える上でのマナーを解説します。

内定辞退の連絡はできるだけ早くする

内定辞退を決めたら、迅速な連絡が大切です。辞退するのを申し訳なく思ったり、企業の担当者から叱られるのではないかと不安になったりして連絡しにくいかもしれません。

しかし内定を辞退された企業は、また一から採用活動を始めなければならないため、時間がたつほど迷惑をかける結果になってしまいます。特に内定を承諾している場合は、承諾後1週間以内に連絡しましょう。連絡せずに辞退するのはNGです。

営業時間内に電話で伝える

連絡は基本的に営業時間内に行いましょう。ただし始業直後や終業前などの忙しい時間帯はなるべく避けた方が無難です。昼休憩の時間に連絡するのも、迷惑になるので注意しましょう。

内定辞退は基本的に電話や対面で伝えるのがマナーです。メールだと不達になったり他のメールに埋もれてしまったりして、開封されない可能性も考えられます。

担当者によっては、メールで辞退を伝えることに対して失礼だと感じるかもしれません。辞退することをお詫びし、誠意をもって対応するためにも直接伝えるのが大切です。

やむを得ない場合はメールでもOK

忙しい担当者だと、何度電話をしてもつながらない場合もあるかもしれません。そのようなやむを得ない理由がある場合は、メールでの連絡でも構いません。

メールで内定辞退を伝える場合は、内定辞退だと分かるような件名にして送ります。数回電話したが不在でつながらなかったためと、理由を書き添えておくのがおすすめです。

メールが開封されたか確認するためにも、後日電話で連絡し、あらためてお詫びの気持ちを伝えましょう。

内定辞退の伝え方と例文

電話をしているスーツの女性

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内定辞退を伝えるのは気が進まないものですが、辞退すると決めたのであれば誠意をもって対応することが大切です。内定辞退を伝える方法や、電話とメールそれぞれの場合に使える例文を紹介します。

理由をはっきり伝える

内定辞退の理由も一緒に伝えることがおすすめです。メールの場合は、理由を尋ねる返信が来る場合もあるでしょう。

他社への入社を決めた場合は、詳しい企業名まで述べる必要はありません。正直に伝える必要はありますが、「第一志望ではなかったため」といった言い方は相手の心証を悪くするので避けた方が無難です。「他社への入社を決めたため」などにとどめておきましょう。

他社に入社した後で取引先になる可能性も考えられるため、なるべく印象を悪くせずに伝えられるのが理想です。

採用のお礼や辞退のお詫びも忘れずに

内定を辞退する理由に加えて、採用へのお礼や辞退することへのお詫びも忘れずに伝えましょう。採用までには、面接に割いた時間や労力などさまざまなコストがかかっています。

短い期間だったとはいえ、電話やメールでのやりとりでお世話になった担当者に感謝し、辞退によって企業に迷惑をかけてしまうことをきちんと謝罪するのが社会人としてのマナーです。

「お礼」「辞退する意思と理由」「お詫び」の順に伝えればよいでしょう。

電話で伝える場合の例文

電話をかける前に伝える内容をまとめておき、慌てず落ち着いてゆっくり話すように心掛けましょう。

【例文】

「お世話になっております。内定通知をいただいた〇〇〇〇と申します。人事部の〇〇様はいらっしゃいますでしょうか。」

(採用担当者が出る)

「お世話になっております。この度は内定のご連絡をいただき、ありがとうございます。大変申し上げにくいのですが、検討させていただいた結果、御社からの内定を辞退させていただきたいと思いご連絡いたしました。自分の適性を考え、他の企業との縁を感じたためにそちらへの入社を決意いたしました。

本来ならば直接うかがってお詫びすべきところですが、取り急ぎお電話でご連絡させていただきました。面接に貴重なお時間を割いていただきながらこのような結果になってしまい、大変申し訳ありません。何卒よろしくお願いいたします。」

 

メールで伝える場合の例文

メールで伝える場合は、内定辞退だと分かるような件名をつけて送信することがポイントです。

【例文】

件名:内定辞退のご連絡/〇〇〇〇(自分の氏名)

〇〇株式会社
人事部人事課 
〇〇様

お世話になっております。
内定通知をいただいた〇〇〇〇と申します。

先ほどお電話をさせていただきましたが、ご不在だったためメールにて失礼いたします。

この度は内定のご連絡をいただき、誠にありがとうございました。
あらためて御社での業務内容を検討させていただいた結果、大変心苦しいのですが内定を辞退させていただきたいためご連絡いたしました。

内定まで何度もお時間を割いていただいたにもかかわらず、このような形でご連絡することとなり大変申し訳ありません。

採用に関わってくださった皆様には大変お世話になり、心より感謝しております。

末尾ながら、貴社の益々のご発展をお祈りしております。

______________________
氏名

住所
電話
メールアドレス
______________________

 

内定辞退を伝えた後の対応

パソコン

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内定辞退をメールで伝えると、通常企業から返信が来ます。どのような対応をすればいいのか見ていきましょう。

メールの返信がないときは必ず確認

もし数日たっても企業から返信が届かない場合は、メールを再送するか電話をかけて確認しましょう。内定辞退のメールを送信すると、企業から返信が届くのが一般的です。連絡が来ない場合は、担当者がメールに気づいていない可能性もあります。

そのままにしておくと内定辞退を知らずに入社手続きを進められてしまい、余計なトラブルにもなりかねません。「もうメールで伝えたのだから」と考えず、必ず確認しましょう。

理由の問い合わせや再検討の依頼には返信

内定辞退を了承した旨のメールには、基本的に返信する必要ありません。しかし詳しい理由を聞かれるメールが来たら、誠実に対応することが必要です。

場合によっては、あらたな条件などを提案して、入社を再検討するようお願いされるケースもあります。そのような場合も内定辞退の決意が固まっているなら、意思は変わらないと誠実に伝えることが大切です。

呼び出されたら断ってもOK

内定辞退を伝えた後で、辞退を撤回するよう説得するために呼び出す企業もあります。しかし内定を辞退することを決めているのであれば、呼び出しに応じる必要はありません。

そのまま無視しても問題はありませんが、採用までの間お世話になった企業に対して、最後まで誠実に対応するのが社会人としてのマナーです。あらためて内定辞退することについてお詫びをしつつ、訪問しない旨を丁寧に伝えましょう。

内定辞退は早めに連絡してトラブル回避

内定通知

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内定通知をもらった後でも、辞退を申し出ることは可能です。法律的にも問題ないとはいえ、企業にとっては辞退されたことであらたな採用活動を始めなければなりません。

内定辞退の連絡をするのは気が引けてしまうなどと考えて先延ばしにしたり、連絡しないまま辞退したりするのはマナー違反です。トラブルを避けるためにも、内定を辞退する場合は早めに伝えることが大切です。

井上真里
【監修者】All About キャリアカウンセラー/起業・経営ガイド井上真里

採用コンサルタントおよび現役人事。慶応大学卒業後、東証一部上場企業2社で人事を担当。20代で独立し企業の採用コンサルティングを行う傍ら、個人の面接指導やキャリアコンサルティングに従事。書籍、雑誌、テレビなどメディアに出演。現在はキャリアコンサルタントおよび企業の人事責任者として、個人側・企業側双方の立場から、心も経済的にも豊かなキャリアを描くための支援を行う。
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著書:
就活女子のための 就活迷宮から抜け出すトビラ (TAC出版)