職歴欄の書き方を解説!アルバイトや派遣の経験の記入方法は?

これまで複数の仕事を経験している人は、たくさんいるはずです。そのような場合、職歴は全て履歴書に書くべきなのでしょうか。アルバイトや派遣社員の経験まで書かなくてもいいのでは、と考える人もいるかもしれません。職歴の書き方を解説します。

職歴欄の基本的な書き方

職歴欄とペン

(出典) photo-ac.com

履歴書は就職活動で最初に採用担当者の目に留まる書類です。履歴書の内容によって、面接に進めるかどうかが決まる場合もあります。

履歴書には過去の職歴を記載する欄がありますが、書き方がよく分からない人もいるかもしれません。まずは職歴の基本的な記入方法から説明しましょう。

学歴の下に「職歴」と書き時系列で記入する

一般的な履歴書には、氏名や現住所などの項目の下に「学歴・職歴」と書かれた欄があります。まず最終学歴まで記載した後、1行空けて「職歴」と記入し、そのまま行を空けずに書き始めましょう。

職歴は最初に就いた仕事から、1社ごとに時系列で書いていきます。入社だけでなく、退職した年月の記入も必要です。年号は西暦和暦どちらでも構いませんが、混在させずどちらかに統一しましょう。

社名は略さず所属部署や雇用形態も書く

勤務していた会社名だけでなく、所属部署も書きましょう。社名や部署名が長いからといって略さずに、正式名称で書くことが必要です。社名を書く際は「(株)」とせず、「株式会社」と記載します。

雇用形態の記載も必要です。正社員以外で勤務した場合は、「派遣社員として」「アルバイトとして」などと記入しましょう。企業の合併などで現在と社名が異なる場合は、「〇〇株式会社(現××株式会社)」とすればOKです。

ポジティブな退職理由なら書いてもよい

退職理由は具体的に書く必要はありません。一般的には「一身上の都合により退職」とすればOKです。「留学のため」「キャリアアップのため」などポジティブな理由は、むしろ書いた方がプラスになるケースもあるでしょう。

会社から退職を言い渡された場合や、契約期間満了後継続しなかった場合などは、「会社都合により退職」または「契約満了により退職」と書いても問題ありません。

「職場の人間関係のトラブルにより」「給与に不満があったため」などは、要注意人物と思われる可能性もあるので書くのは控えましょう。

在職中の場合は「現在に至る」と書く

在職中に転職活動をしているケースでは、現在勤務中の会社に入社と書いた後、「在職中」または「現在に至る」と書いて終わります。有給休暇を消化中の場合も在職中の扱いになるので注意しましょう。

退職予定日が決まっているなら、「現在に至る」の後に「(××年〇月△日 退職予定)」と記載してもOKです。職歴欄ではなく、本人希望欄に勤務開始可能日とともに記入する方法もあります。

退職予定日が決まっていなければ書く必要はありません。

ケース別の職歴の書き方と記入例

職歴を記入する手元

(出典) photo-ac.com

派遣社員やアルバイトの場合はどう書けばいいのか、よく分からない人もいるかもしれません。公務員や看護師、自営業などの場合は書き方が異なるのでしょうか。職歴の書き方のポイントと記入例をケース別に紹介します。

派遣社員の職歴の記入例

派遣社員で働いていた場合は、派遣元と派遣先の社名を書くことが必要です。派遣先が多い場合は派遣元の会社名を履歴書に書き、派遣先は職務経歴書に記載します。派遣先が少ないなら、職歴欄に書いても差し支えありません。

【記入例1】

〇〇年 ×月 〇〇株式会社に登録
       △△株式会社営業部に営業事務として派遣

〇〇年 △月 派遣期間満了につき退職

 

【記入例2】

〇〇年 ×月 株式会社〇〇に登録
       △△株式会社に一般事務として派遣(〇〇年×月まで)
       株式会社〇△に営業事務として派遣(〇〇年△月まで)

〇〇年 〇月 派遣期間満了につき退職

 

アルバイトやパートの職歴の記入例

短期のアルバイトやパートは、基本的に記載する必要はありません。しかし社会人になってから長期でアルバイトしていた時期がある場合や、アルバイト経験しかない場合は職歴欄に書きましょう。職種によっては選考の際にプラスになる可能性もあります。

アルバイト先で社会保険に加入していると、転職先への入社後に保険手続きをする際に分かるため、あらかじめ書いておく方がおすすめです。

【記入例1】

〇〇年 〇月 〇〇株式会社入社(アルバイトとして)

〇〇年 ×月 一身上の都合により退職

 

【記入例2】

〇〇年 ×月 〇〇〇スーパー パート勤務開始

       現在に至る

 

看護師や公務員の職歴の記入例

看護師や公務員の職歴も、一般企業に勤務の場合と同じように、勤務の開始から退職までの経歴を記入しますが、「入社」とは書きません。病院に勤務していた人は「入職」、公務員の場合は「入庁」と記載します。

看護師の場合、同じ病院内の病棟異動も大事な情報なので、忘れずに書きましょう。

【公務員の記入例】

〇〇年 ×月 △△市役所 入庁
       臨時職員として戸籍課に勤務

〇〇年 △月 任期満了のため退職

 

【看護師の記入例】

〇〇年 〇月 〇〇病院 入職
       内科病棟にて勤務

〇〇年 △月 産婦人科病棟に異動

〇〇年 ×月 一身上の都合により退職

自営業の職歴の記入例

自営業から転職する場合、起業していたか、個人事業主やフリーランスで働いていたか、家業を手伝っていたかによって、書き方が少しずつ異なります。

起業の場合は「設立」「解散」、個人事業主からの転職は「開業」「廃業」という書き方をします。個人事業主で屋号を持っていた場合は、屋号を書いても構いません。

家業を手伝っていたケースでは「家業の〇〇に従事」と記載しますが、家業が法人の場合は一般企業と同じように「入社」「退職」と書きましょう。

【起業の記入例】

〇〇年 ×月 〇〇株式会社 設立
       マーケティングコンサルティング事業を展開

〇〇年 △月 〇〇株式会社 解散

 

【フリーランスの記入例】

〇〇年 ×月 〇〇 開業
       システムエンジニアとして従事

〇〇年 〇月 〇〇 廃業

 

【家業手伝いの記入例】

〇〇年 ×月 家業の〇〇株式会社に入社
       人事担当として従事

〇〇年 △月 一身上の都合により退職

 

職歴を書く上で気をつけたいポイント

履歴書を差し出すスーツの女性

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応募者の職歴は企業の担当者にとって、採用の可否を決定する上で参考となる重要な要素です。募集している職務の経験があれば、選考に有利に働くこともあるでしょう。自分の職歴をしっかり伝えるために、記載する際に気をつけたいポイントを解説します。

職歴が多い場合も全て書く

在職期間が短い、または試用期間中に退職したといった場合も含めて、全ての職歴を書きましょう。転職回数が多いと印象が悪くなるのではないかと考えて省略しても、社会保険に加入していれば入社後に分かってしまいます。

職歴を隠していたことで信頼感を失うだけでなく、最悪の場合、採用を取り消されてしまうかもしれません。書ききれない場合は入社と退職を1行にまとめて記載し、詳細を職務経歴書に書いて提出しましょう。

職歴欄が多い履歴書を使うのもおすすめです。

異動や昇進の内容も書く

昇進した経歴があるなら、アピールになるので職歴に書いておくのがおすすめです。異動の場合は、必ずしも履歴書に書く必要はありません。

しかしまったく違う業務に変わった場合は書いた方がいいでしょう。応募している職務と関係のある部署への転属は、選考にプラスに働く可能性もあります。

異動が多い場合は、職務経歴書に書いても問題ありません。

空白期間がある場合は簡潔に理由を書く

病気で療養していた、転職先がなかなか決まらなかったなどの理由で、空白期間がある場合は職歴に詳しく書く必要はありません。

しかし採用担当者からすると、長いブランクがあると不安に感じる可能性もあるでしょう。簡潔に理由を書いておくと担当者も安心します。

出産や介護などのやむを得ない事情や、留学や資格取得の勉強といったポジティブな理由の場合は、書いた方がよいでしょう。

職歴は省略せずに正しく書こう

履歴書用封筒

(出典) photo-ac.com

中途採用の履歴書の職歴欄は、採用担当者が特に重視する項目です。たとえ転職回数が多くても、職歴を隠すのはやめましょう。入社後に発覚すれば解雇処分になる可能性もあるからです。

正社員としての職歴がない場合でも、派遣やアルバイトで積んだ経験が転職活動にプラスになるケースはあります。自分の職歴は省略せず、全て正しく書くことが重要です。

小寺良二
【監修者】All About キャリアカウンセラー/起業・経営ガイド小寺良二

若者の就職支援を専門とするキャリアカウンセラー。アメリカの大学を卒業後、アクセンチュアを経てリクルートに入社し100社以上の新卒・中途採用のコンサルティングを経験。独立後は採用と就職活動の双方を知る「若者就職支援のプロ」として官公庁や人材企業の若年就労支援プロジェクトに携わる。全国の大学で教員やキャリアカウンセラー向けの研修を行うなど、若者支援者の養成にも力を入れている。
All Aboutプロフィールページ

著書:
美文字履歴書の書き方&マナー