SPIの性格検査とは?基本知識と問題の出題傾向までチェック!

書類選考通過後にSPIの性格検査を受ける場合は、事前にしっかりと準備をしておくことが大切です。出題傾向や対策方法を把握しておけば、テストに対する不安を軽減できるでしょう。この記事では、SPI性格検査の基礎知識や受検のポイントを解説します。

SPIの性格検査とは?

マークシート

(出典) photo-ac.com

SPIの性格検査とはどのようなテストなのか、まずは概要を押さえておきましょう。

多くの企業に支持されている性格検査

そもそもSPIは、多くの企業に支持されているメジャーなテストです。新卒採用時だけでなく、転職者向けのテストとしても用いられます。

その中でも「性格検査」は、応募者の性格を見極めるために行われます。普段の行動や考え方についての質問に回答することで、応募者の人となりや企業との相性をチェックできます。問題数が300問前後と非常に多く、多岐にわたることから対策が難しい検査としても有名です。

受検方式は主に3種類

SPIは「テストセンター」と呼ばれる会場での受検が一般的です。
このテストセンター方式では、事前に自宅のパソコンやスマートフォンで性格検査を受検してから、会場でパソコンを使って能力検査を受けます。

テストセンター以外の方式としては、応募した企業のオフィスなど、企業側が用意した会場で、ペーパーテストまたはパソコンでテストを受けるパターンもあります。

3つめの受験方式は、自宅で受験する「WEBテスティング」です。

どの方式で受けることになるのかは、応募企業により異なります。また、受検方式により試験範囲が変わる可能性があることも覚えておきましょう。

性格検査を実施する目的

ボードに記入する女性

(出典) photo-ac.com

SPI性格検査は書類選考後の面接前に実施されるのが一般的です。企業が性格検査を実施する主な目的について解説します。

応募者の性格を把握するため

SPI性格検査の主な目的は、面接だけでは把握しにくい応募者の人となりを、客観的に判断することです。

応募者は面接時に自分のことをよく見られようと思うあまり、内面を表に出さない傾向があります。面接官からしてみれば、当たりさわりのない回答をされても、応募者の性格をうまくつかみきれません。また、応募者によっては面接では緊張して自己表現がうまくできないケースもあります。

その点、性格検査なら応募者がある程度落ち着いて受検できるため、性格についてより精度の高い判断が可能です。

自社の社風・働き方に合っているか

SPI性格検査では応募者と企業との相性を把握できます。応募者が自社の社風や働き方に合っているかを確認する目的でも活用できるのです。

例えば面接時におとなしい応募者は、リーダーシップがないと判断されやすいでしょう。しかしSPI性格検査により、実は優れたリーダーシップを持っていることが分かるケースもあります。

また、自社と相性が良い応募者なら、入社後すぐに辞めてしまう可能性が低いため、企業からすれば入社後のミスマッチや早期の退職を防げます。

面接の参考にするため

SPIの性格検査が面接前に実施される場合は、応募者の内面をより深く探るために、検査結果が面接の参考資料として用いられることもあります。

応募書類の記載内容しか予備知識がない状態より、性格検査の結果が面接官の手元にある状態のほうが、面接の効果を高められます。個別の質問を用意しやすくなるため、面接もスムーズに進むでしょう。

テスト結果を反映させた面接なら、自分を必要以上に大きく見せていないか、うそをついていないかなどを確認することも可能です。応募者側も性格検査で回答した内容を踏まえて面接に臨む必要があります。

SPI性格検査を受ける際のポイント

たくさんの鉛筆

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SPI性格検査を受けるときに注意したいポイントを紹介します。以下に挙げることを意識すれば、検査結果の評価を高められるでしょう。

できるだけ素早く回答する

SPI性格検査は約300もの質問が出題されます。そのため、1つの質問に時間をかけすぎると、時間切れになってしまう可能性が高くなります。

性格検査の場合は、論理や数学の問題が出される「能力検査」と違って"正解"がないため、個々の質問に時間をかけすぎず、すべての質問に素早く回答することが重要です。

具体的な対策としては、最初に質問数と制限時間を確認し、時間配分を決めた上で回答を進めていくことが大切です。

基本的にうそはNG

性格検査では自分を良く見せようとするあまり、うそをつきたくなる場合もあるでしょう。しかし、基本的にうその回答をするのはNGです。

SPIに限らず、性格検査ではあえて似たような質問が複数回出てきます。これは受験者の回答にうそや矛盾がないかを確認するためで、自分を偽った回答がばれたり、信憑性が低いというテスト結果が出たりします。

選考を通るための対策として、企業の雰囲気を意識した回答をすることはあっても、自分がまったく思っていないような答えは出さないことがポイントです。

ある程度は企業寄りの回答もアリ

上でも触れたとおり、あからさまなうそをつくのはNGですが、ある程度は企業寄りの回答にすることは問題ないでしょう。

企業が求める人物像を把握した上で、その人物像を意識して回答すれば、検査結果の評価を高められる可能性があります。企業のウェブサイトに載っている企業理念や、採用ページが求める人物像を把握する参考になります。

ただし、本来の性格とかけ離れた回答をすると、入社後に苦労しかねない点には注意が必要です。

自己分析で自分の性格を把握しておく

SPI性格検査を受ける際は、事前にしっかりと自己分析を行っておきましょう。自分の性格の傾向をある程度つかんでおけば、回答がスムーズになります。矛盾も発生しにくくなるでしょう。

自己分析で自分の性格が把握できたら、性格を端的に示せるキーワードをいくつか持っておくのがポイントです。普段の言動についてテスト中に迷ったときにも、キーワードを思い出せば回答しやすくなります。

性格検査の対策として自己分析を行うことで、自分の得意なことや苦手なことが分かるため、転職活動の軸も明確になるでしょう。自分にとって大切なことやこれまで優先してきたことがはっきりすれば、テストだけでなく面接時にも意欲を伝えやすくなります。

自己分析で性格を把握するには?

スーツで考えている男性

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自己分析を行う場合は、自分史やマインドマップの作成が効果的です。自己分析と併せて行いたい他己分析についても解説します。

自分史(年表)の作成

自己分析で性格を把握する方法としては、自分史の作成が挙げられます。自分史とは、小学校から社会人までの自分自身の経験や出来事を年表形式でまとめたものです。

小学校・中学校・高校・大学・社会人で区切った表を作り、フェーズごとに出来事・やったこと・感じたこと・身につけたスキルなどを書けば、自分史が完成します。

過去の自分の傾向から自分の人間性や考え方を明確化するのが、自分史を作成する目的です。比較的簡単に自分のことを客観視できるため、気軽に自己分析を行えるでしょう。

マインドマップの活用

自分史とは異なるアプローチで自己分析を行える方法の1つがマインドマップです。マインドマップを作成すれば、自分自身の考え方や大切にしているものを深掘りできます。

マインドマップでは中心にテーマを書き、関連する言葉やイメージを放射線状につなげていきます。例えば中心に「自分」と書き、「性格」「好きなこと」「やりたいこと」などをつなげたら、それぞれの言葉をさらに関連ワードで掘り下げていくのです。

テーマを限界まで掘り下げれば、自分のやりたいことや長所・短所などを深部まで理解できます。自分について新たな気づきを発見できることもあるでしょう。

他己分析も有効

自己分析と併せて行っておきたいのが他己分析です。第三者から見た自分の印象をフィードバックしてもらうことで、より正確に自身についての理解を深められます。

自己分析は自分と向き合う作業であるため、どうしても自分の理想や思い込みが影響して分析結果にバイアスがかかりがちです。他己分析を行って客観的な視点を加えることで、本来の性格により近い結果を出せます。

他己分析では、家族や友人などできるだけ多くの人に自分のことを質問してみましょう。自己分析と他己分析で強みが一致すれば、自信を持って自分の強みにできます。自己分析と異なる弱みを多くの人に指摘された場合も、前向きに受け止めることが大切です。

SPIの性格検査で出される問題

マークシート

(出典) photo-ac.com

SPI性格検査ではどのような内容の問題が出されるのでしょうか。出題される問題の傾向を知り、事前に対策を立てる際の参考にしましょう。

社会性やモラルに関する問題

SPIの性格検査では、社会的・人間的モラルに関する問題が出題されます。「うそをつきやすいか」「約束を守るほうか」など、NG回答が明らかな問題です。

自分の本質的な考え方に関係なく、社会的・人間的モラルに関する問題では、選択ミスが致命傷になりかねません。たとえば「うそをよくつくほうだ」という質問に以下の選択肢がある場合を考えてみましょう。

  • あてはまる
  • どちらかといえばあてはまる
  • どちらかといえばあてはまらない
  • あてはまらない

この場合は「あてはまらない」の一択です。他の回答を選んだ場合はうそをつく可能性があるとみなされ、採用されない可能性が高くなります。

考え方に関する問題

自身の考え方から性格を測る問題も、SPIの性格検査に含まれています。「落ち込みやすいか」「新しいことに挑戦するのが好きか」といった質問です。

考え方に関する問題の回答は人によりさまざまであり、ある程度正直に答えてもよいでしょう。ただし、極端な回答を選ぶと印象を悪くしてしまう恐れがあります。

例えば「落ち込みやすいほうだ」の質問なら、「あてはまる」を選ぶとミスをしたときに落ち込みすぎるイメージを与えやすく、逆に「あてはまらない」を選ぶと楽観的で責任感がない印象を与えやすいでしょう。

このケースでは「どちらかといえばあてはまる・あてはまらない」を選び、考え方に極端な偏りがないことを示すのが無難です。

企業・職種に関する問題

SPIの性格検査では、企業や職種に関する問題も出題されます。質問の回答から応募企業や希望職種に合うかどうかを見極める問題です。

例えばコンサルティング業界なら、道理立てて説明できる能力を求められます。「物事を深く考えすぎるほうだ」という質問では、「あてはまる」を選べば必要な能力を持っていることが示せるでしょう。

結果を重視する外資系企業に応募する場合、協調性を重視する人は敬遠される傾向があります。思いやりを前面に出すより、不合理を排除する回答のほうが適しているでしょう。

SPI性格検査のおすすめ練習方法

パソコンを操作する手元

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SPI性格検査の事前対策を講じておく場合は、無料の性格判断サイトで練習したり対策本を利用したりするのがおすすめです。それぞれの具体的な内容を解説します。

無料の性格判断サイトで練習

SPI性格検査の練習方法としては、性格判断サイトを使ってみるのがおすすめです。ネット上には無料の性格判断サイトが数多くあるため、いくつか試しに受けてみましょう。

性格判断サイトを利用すれば性格検査がどのようなものか分かる上、問題数が多いサイトを選べば時間配分の練習になります。本番でも慌てずに回答を進められるでしょう。

自分の強みや適性を知れたり、虚偽の回答をしていないか確認できたりすることも、性格判断サイトで練習するメリットです。いくつかのサイトを受けることで、より適切な回答にブラッシュアップされていくでしょう。

対策本を利用する

SPI性格検査の準備には対策本も利用できます。SPI性格検査の対策に特化した書籍が数多く販売されているため、良さそうなものを数冊選んで勉強するとよいでしょう。

ただし、対策本で実践を想定した練習は困難です。出題の傾向をつかんだり問題の意図を理解したりする目的で利用しましょう。

SPIにはバージョンがあり、2022年時点での最新バージョンはSPI3です。受検するテストがSPI3だと分かっている場合は、SPI3に特化した対策本で学習するのがおすすめです。

SPIの性格検査で落ちるパターン

パソコンを前に考える男性

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SPIの性格検査で企業から評価を得られない人には共通の特徴があります。SPIの性格検査で落ちやすい人物像をチェックしておきましょう。

企業との相性が合わない

SPIの性格検査は応募者と企業の相性を見る目的でも実施されます。回答結果があまりにも企業に合わないと判断された場合は、落ちる結果になりやすいでしょう。

ただし、企業との相性が合わないということは、応募者にとっても志望企業との相性が合わないことになります。相性が悪い企業に入社しても苦労しかねないため、結果的には双方にとって良い結果が出たともいえるでしょう。

企業寄りの回答を意図的に増やしてしまうと、本来の相性を測れない恐れもあります。しっかりと相性を見てもらうためにも、できるだけ素直に回答するのがおすすめです。

極端な回答をする

性格検査で正直に回答することはある意味大事なことです。ただし、ある程度柔軟な考え方も持っておかなければ、極端な回答を増やしかねません。

柔軟な対応が必要な問いに対して極端な回答を出した場合、扱いにくい人物と判断される恐れがあります。問題の意図や企業の思惑をくみ取ろうとする意識も必要です。

例えば「自分の意見は曲げない」という質問が出た場合、「あてはまる」を選ぶと極端な考え方の持ち主だとみなされやすくなります。「どちらかといえばあてはまる・あてはまらない」を選んでおくのが無難です。

回答に空欄が目立つ

SPI性格検査は問題数が約300問と多いことから、いくつか時間内に終わらなかったというケースもあるでしょう。最後に未回答が数問残ってしまうのは仕方がありません。

しかしテスト全体を通して空欄が多すぎる場合は、「時間配分ができない人」「優柔不断な人」と判断され、検査の評価を下げてしまう恐れがあります。

1つの質問に深く悩まず、できるだけ素早く答えていく意識でテストに臨むことが大切です。適切な回答がない質問は、自分の考えに近い回答を選ぶようにするとよいでしょう。

性格検査は気負いすぎないことも重要

資料を見て考える男性

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SPIの性格検査は、応募者の人となりや企業との相性を判断するために実施されます。できるだけ素早く回答することや、回答にうそ・矛盾がないように気を付けることが重要です。

極端な回答が目立つ人や未回答の項目が多い人は、性格検査で落ちやすくなります。性格判断サイトや参考書で事前の対策を講じ、あまり気負いすぎずにできるだけ素直な気持ちでテストに臨みましょう。