転職活動をしている人の中には、企業からのメールにどう返信したらよいか分からず困っている人もいるでしょう。企業とメールのやり取りをする際のマナーを解説します。この記事を参考に、ビジネスメールのいろはをマスターしましょう。
企業への返信メールの基本マナー
企業とメールをするときに、最低限押さえておきたいマナーを解説します。選考を受けるとき以外でも大切なマナーなので、この機会に把握しておきましょう。
できるだけ早く返信する
早く返信をすることは、相手が企業でない場合でも重要な基本マナーです。メールを確認したらすぐに返信が原則ですが、遅くとも24時間以内には対処しましょう。
メールの返信が早い人と遅い人、どちらと一緒に仕事をしたいと思うでしょうか。あえて遅く返信する理由もメリットもありません。
とはいえ夜中にメールを確認した場合は、この限りではありません。生活リズムが不規則な人だと思われる可能性があるので、企業の営業時間内に返信し、深夜や早朝の連絡は避けた方がベターです。
時間を置くと返信を忘れる心配がある人は、予約機能を使って翌日の午前中に自動で送るよう設定することをおすすめします。
件名の「Re:」は消さない
企業からのメールに返信するとき、件名に「Re:」が追加されているのに気付くでしょう。特に初めてやり取りをするときは、この「Re:」を消すべきか迷う人もいるのではないでしょうか。
結論をいうと「Re:」は消さなくても問題ありません。むしろ消さない方がよいといえます。
「Re:」は返信であることを表し、受け取った側は件名を見ることでやり取りの続きであることを把握できるためです。そのため件名もむやみに変えない方がよいでしょう。
ただし使っているメールアプリによっては、返信をする度に「Re:」がたまっていく場合があります。そうなると「Re:」を1つにするのが、見栄えをよくするのに有効です。
「Cc」「Bcc」でメールが来た場合の返信方法
場合によっては、企業から「Cc」や「Bcc」の形式でメールが送られてくることがあります。そもそもCcとはカーボンコピーの略で、宛先の人に送ったメールをCcに含まれている人にも送信する機能です。やり取りしている当事者以外にもメールの内容を知っておいてほしい場合に使われ、Ccに含まれた人も内容を把握できます。
上記の理由から、Cc入りのメールに返信をする際は、Ccに含まれた人を外さないのがマナーです。また宛先はメールの送り主だけで問題ありません。
一方でBccのBはブラインドの頭文字で、送られてきたメールを見ても自分以外の誰に送られているかはわかりません。一斉送信でよく使われる方法です。
そのためBccのメールには原則返信をする必要はありません。しかし、どうしても返信が必要な場合は、送り主にだけ返信をしましょう。
メール本文の構成
返信メールの本文をどのように書いたらよいか、分からない人もいるでしょう。ビジネスメールはある程度型が決まっています。企業に送るメールの型を解説します。
宛先
メールの冒頭には宛先を記します。もっとも丁寧な書き方は、企業名、部署名、担当者名をそれぞれ1行ずつ記載する方法です。このとき、企業名は「株式会社」「有限会社」を含む正式名称で書きます。
相手の名前や漢字のつづりを間違えることは失礼にあたるため、くれぐれも間違いのないよう注意が必要です。心配な場合は、名刺を見て正式名称を確認するか、名刺がない場合は漢字にせずカタカナにするのが無難です。
なお、担当者名がわからない場合は、名前の代わりに「ご担当者様」としましょう。
導入部分に入るあいさつ文
ビジネスメールではいきなり本題に入らず、あいさつと名乗りを入れるのがマナーです。初めて連絡する場合のあいさつは「初めてご連絡いたします」として、2通目以降は「お世話になっております」と書きましょう。
あいさつの後には自分の名前をフルネームで記載します。在職中であっても、転職活動におけるメールには勤めている会社名を記載しなくても問題ありません。
なおメールは手紙と異なり、丁寧ながらも簡潔に用件を伝えることが求められるため、時候のあいさつは不要です。
本題と締めの言葉
あいさつと名乗りの後から、本題を書き始めます。本題を書くときは、簡潔にわかりやすく書きましょう。書くときのポイントは、以下の通りです。
- 結論から書く
- 適度に改行、段落分けをする
- 箇条書きを使う
採用担当者は、日々大量のメールを受け取っています。一通一通にじっくりと返信している余裕はないため、すぐに要点を伝えてくれるメールの方が相手にとっては嬉しいでしょう。
また簡潔に伝えるだけでなく、見やすさも重要です。改行がなく文章がびっしりと詰まったメールは、相手に圧迫感を与え、見る気を無くさせてしまいます。
意味のかたまりごとに改行や段落分けをして、面接の候補日時などは箇条書きを使うなどしておきましょう。相手がストレスなく読めるように配慮するのが大切です。
署名
意外と忘れがちなのが、メール末尾の署名です。この署名も必ず記載しましょう。署名には以下の順番で自分の連絡先を記載します。
- 氏名
- 住所
- 電話番号
- メールアドレス
本文と区別するために、署名欄は「-」や「=」で線を引くとわかりやすくなります。署名を都度記載するのが面倒な場合は、メールアプリで署名を設定すれば自動でメールに反映してくれるのでおすすめです。
以上のポイントを守れば、マナーに沿ったビジネスメールが書けるでしょう。
使い方を間違いやすい言葉をチェック
多くの人が間違えがちな言葉と、正しい用法を解説します。知っておかないと、気付かぬうちに使ってしまう言葉ばかりです。しっかりと押さえておきましょう。
「了解しました」
実は「了解しました」を目上の人や取引先に使うのは失礼にあたります。「了解しました」は同僚や目下の人に使う言葉だからです。しかし社会人でも間違って使っている人が多いのが事実です。他の人が使っているからといって釣られて使ってしまわないよう、注意する必要があります。
ビジネスシーンでは「承知しました」や「かしこまりました」というのが適切です。いずれも入社後の上司とのやり取りで使えるため、汎用性の高い言葉です。
「取り急ぎ」
「取り急ぎ」はビジネスシーンでもよく使われており、使い分けの難しい言葉です。急ぎで返信だけでもしたい場合に使われる言葉で、早いレスを心がけていることを伝えられます。
「取り急ぎ」には「とりあえず」「一応」といった意味合いがあり、結論をいうと目上の人や取引先に使うのは失礼に当たります。
言い換え表現としては「まずは」を使うとよいでしょう。「まずはご報告まで」とすれば、失礼には当たりません。しかし、その後には必ず省略した内容を追ってメールしましょう。また時間が空いたときには、連絡を2回に分けず1回のメールで本題をすべて伝えるのがマナーです。
「御社」
「御社」は就活生なら耳にたこができるほど聞く言葉でしょう。しかし「御社」は口頭でのみ使える表現で、メールでは「貴社」が正しい表現です。
「会社を丁寧にいう言葉=御社」というイメージが染みついている場合、つい間違って使ってしまうこともあるでしょう。その場合は丁寧に表現しようとしていることは相手に伝わっているため、わざわざ訂正する必要はありません。
なお会社の属性によって「貴社」以外の表現を使う場合があります。例えば、銀行なら「貴行」、学校なら「貴校」、病院なら「貴院」と表現します。話し言葉の場合は「御行」「御校」「御院」となり、ルールは「御社」「貴社」と同じです。
メールの例文
まだ返信メールのイメージが湧かない人に向けて、実際のメールの例文を紹介します。メールを返信する際の参考にしましょう。
面接日程の調整をする場合
面接の日程調整をする場合のメール返信例は、以下の通りです。
株式会社◯◯
◯◯様お世話になっております。
◯◯です。面接日程のご連絡、ありがとうございます。
下記にて希望日時をお送りいたします。第一希望:◯月◯日 XX:XX〜XX:XX開始
第二希望:◯月◯日 XX:XX〜XX:XX開始
第三希望:◯月◯日 XX:XX〜XX:XX開始お忙しいところ恐れ入りますが、何卒よろしくお願いいたします。
候補日時を送る際は、開始時間なのか終了時間なのかを明記しましょう。1日の間に調整可能な時間帯が複数ある場合は「XX:XX〜XX:XX、XX:XX〜XX:XX」とわかるように記載するのもポイントです。
決まった日時を変更してもらいたい場合
一度決めた日時を後から変更することは、面接よりも他の予定を優先することを意味するため、連絡の際には細心の注意を払う必要があります。
予定を変更してもらうことに対するおわびの気持ちと、日程変更を打診しなければならない理由を添えることがポイントです。返信文の一例は以下の通りです。
株式会社◯◯
◯◯様お世話になっております。
◯◯です。◯月◯日に面接のお約束をさせていただいておりましたが、現職にて急遽顧客対応をしなければならなくなり、当日にお伺いすることが難しくなってしまいました。
せっかくご調整いただいたにもかかわらず、大変申し訳ございません。
私の都合で大変恐縮ですが、下記日時にて再度ご調整いただくことは可能でしょうか。
◯月◯日 XX:XX〜XX:XX開始
◯月◯日 XX:XX〜XX:XX開始お忙しい中ご迷惑、ご不便をおかけいたしますが、何卒よろしくお願いいたします。
再調整を打診する場合、相手に手間を取らせてしまっているため「第◯希望」の記載は避けた方が良いでしょう。また候補日時はできる限り直近の日程を提示することも重要です。
面接を辞退したい場合
他社から内定が出た、あるいは急遽転職活動を中止することになった場合は、面接を辞退するメールを送る必要があります。返信文の一例は以下の通りです。
株式会社◯◯
◯◯様お世話になっております。
◯◯です。◯月◯日に面接のお約束をさせていただいておりましたが、一身上の都合でこの度の面接を辞退させていただきたく、ご連絡いたしました。
せっかくご調整いただいたにもかかわらず、大変申し訳ございません。
末筆ながら、貴社の益々のご発展を心よりお祈り申し上げます。
面接を辞退する場合は、再調整の打診のときよりも理由を詳しく記載する必要はありません。もし突っ込んで聞かれた場合は、簡潔に答えればOKです。
またおわびの文言を入れることも、忘れないようにしましょう。締めの言葉は、定型文でも問題ありません。
返信メールの注意点
企業からのメールに返信する際の注意点を2つ解説します。どちらも初歩的なものですが、だからこそ気を付ける必要があります。
記号や装飾・顔文字の使用はNG
元気であることや明るい性格であることをアピールしたいあまり、メールに顔文字や絵文字を入れたいと思う人もいるかもしれません。しかしビジネスメールにおいて顔文字や絵文字、文字装飾はNGです。
メールにおいては、元気さよりも誠実さやマナーがきちんとしているかの方が重要です。そのため、記号や文字装飾をすると「プライベートとの区別をつけられない人」と判断されてしまう恐れがあります。
明るい性格は、面接のときにアピールしましょう。
誤字脱字が無いようチェックを
せっかくマナーや言葉遣いに気を配れていても、誤字脱字があると台無しになってしまいます。誤字脱字は誰でもやってしまうミスですが、同時に誰でも確認すれば防げるミスでもあります。それだけに、誤字脱字があることで仕事が雑な人と思われてしまう可能性もあるでしょう。
メールを送る前は、最低2回は文章を読み返し、タイプミスがないかを確認することをおすすめします。初歩的なミスだからこそ、しっかり防ぐことが重要です。
メールに気付くのが遅れた場合
もし企業からのメールに気付くのが遅れてしまった場合は、どのように対処すればよいのでしょうか。確認が遅れた場合の対応のポイントを2つ紹介します。リカバリー次第で、印象を回復することも可能です。
気付いた時点で即返信と謝罪
メールが来ていることに遅れて気付いた場合は、その時点で即返信と謝罪を入れましょう。うっかり見過ごしてしまうことは、誰にでも起こりうることです。同じミスをしないよう対策を考えることは大切ですが、反省する前に目の前のことを対処する必要があります。
もうだめだと思って返信をしなかったら、選考が進む確率はゼロでしょう。仮に面接日程が過ぎていたとしても、対応次第では再調整を検討してくれる可能性があります。わずかな望みに賭けて、返信は必ずしましょう。
遅れたときの謝罪の文例
返信が遅れてしまった場合は、慌てずに丁寧なメールを送りましょう。下記は、企業から面接候補日が送られてきたメールに対する返信が遅くなってしまった場合の例です。
株式会社◯◯
◯◯様お世話になっております。
◯◯です。ご返信が遅くなり、大変申し訳ございません。
面接の日程についてですが、ご提示いただいた日時では別件との兼ね合いで調整が難しく存じます。
私の都合で大変恐縮ですが、下記日時にて改めてご調整いただくことは可能でしょうか。
◯月◯日 XX:XX〜XX:XX開始
◯月◯日 XX:XX〜XX:XX開始
◯月◯日 XX:XX〜XX:XX開始お忙しい中恐れ入りますが、何卒よろしくお願いいたします。
まずは本題に入る前に、返信が遅れたことに対するおわびの言葉を入れましょう。なお「返信が遅れた」と判断する目安は、メール受信後24時間以上経過したタイミングです。丸一日以上時間が空いた場合は、おわびの言葉を入れた方が望ましいでしょう。
ファイル添付の返信が必要な場合
昨今ではメールで応募書類を送るケースも少なくありません。ファイルのやり取りが必要な場合のマナーを解説します。
ファイル添付について触れる
ファイルを添付する際は、必ず何のファイルを添付するかを本文で伝えましょう。添付ファイルの内容が明記されていることで、相手は安心してファイルを開けます。
また万一添付漏れが発生した際に、相手が気付きやすくもなります。メールアプリによっては「添付」という言葉が本文に入っているときに、ファイルが添付されていないとアラートが出る機能もあるので、活用するとよいでしょう。
容量・形式に注意
ファイルをメールで送る際には、データ容量とファイル形式に注意が必要です。一般的に、データ容量の目安は2MBまでといわれています。容量が大きすぎると相手がうまくファイルを開けず、迷惑をかける可能性があります。
またファイル形式は、特に指定がない場合はPDFで送るのが無難です。PDFは第三者が編集できない形式であり、かつレイアウトを崩さず印刷できるため便利です。現在ではスマホでスキャンしてPDF化できるアプリもあるので、活用してみましょう。
企業への返信メールに関するQ&A
企業への返信メールでよくある質問に回答します。ここで疑問点を解消し、スムーズにやり取りを進めましょう。
メールを返信する時間帯は?
基本的には、気付いたらすぐに返信して問題ありません。しかし夜中や早朝に返信すると、生活リズムが乱れていると思われる可能性があるため、その場合は予約機能を使って午前中に送るとよいでしょう。
またスムーズなやり取りをするには、企業の営業時間内に返信するのがおすすめです。電話の場合は営業時間内でも避けるべき時間帯がありますが、メールの場合は深夜や早朝を除いてNGな時間帯はありません。
いつまで返信を続けるべき?
やり取りが一段落したら、返信をストップしてよいでしょう。例えば面接の日程が確定したタイミングが挙げられます。
また返信を求めていないメールには「不明点がありましたら、ご連絡ください」などの文言が末尾に含まれていることが多いため、これも目安になるでしょう。
ただし、できるだけ自分からの返信でやり取りを終わらせるのが望ましいという意見もあります。明らかに返信が不要と思われるとき以外は、簡単にでもこちらから返信してやり取りを終わらせるとよいでしょう。
自動返信メールにもお礼がいる?
自動返信メールに返信する必要はありません。自動返信を取り入れている企業には、応募者が多いために採用担当者の負担を軽減したい意図があると考えられます。また双方向のやり取りというよりは、企業からの報告を目的として使っているケースもあるでしょう。
自動返信メールに不用意に返信をすると、日々大量のメールを受け取っている採用担当者にさらに負担をかけてしまう可能性があります。
最初に返信メールをする際の件名は?
件名を書くときのポイントは、それを見ただけで用件がわかる内容と、自分の名前を入れることです。件名には「求人について」など抽象的なものではなく「求人への応募 ◯◯(自分の名前)」と簡潔ながらも具体的に書きましょう。
また求人に応募する際は、求人表に書かれている通りの職種を記載するのがマナーです。求人票と異なる記載をすると、採用担当者の混乱を招く可能性があります。
企業から返信が来ない場合は?
企業からの返信がこない場合は、催促をする前に迷惑メールフォルダに入っていないかなど、自分が見落としている可能性がないかを確認しましょう。
自分の見落としでない場合は、採用担当者の対応漏れの可能性があるため、リマインドのメールを送ります。その際は「◯月◯日にお送りしたメールの件ですが」とすでにメールを送っていることを伝えるとスムーズです。
面接候補日までに返信が来ない場合や、急いでいるときは電話での問い合わせも手段の1つです。その際は、返信が来ないことをとがめるような表現は避けましょう。
返信メールからビジネスマナーを学ぶ!
企業とのメールのやり取りには、気を付けるべきマナーが多く存在します。しかし、これらはすべて入社後も生きるため、今のうちから身につけておいて損はありません。
特に即返信することは、ビジネスメールの原則といえます。世の中には返信が遅い人がいることも事実なので、返信が早いだけで好印象を与えられます。この記事を参考に、ビジネスメールをマスターしましょう。