転職の書類選考で落ちる理由とは?通過率を上げる書き方を解説

転職活動中、書類選考に落ちるのはよくあることですが、何度も落ちる場合は応募書類の書き方や、記載内容が間違っているかもしれません。書類選考でよく見られているポイントや落ちる理由を確認しながら、通過率をアップする方法を見ていきましょう。

書類選考でチェックされるポイント

書類をチェックする女性

(出典) photo-ac.com

書類選考の通過率をアップするには、どんな部分をチェックされているのか理解することが大事です。採用担当者がチェックする部分を見ていきましょう。

採用基準を満たしているか

書類選考は採用基準を満たしていない人を落とし、ある程度の人数に絞り込むことを目的としています。採用基準を満たしているかどうかは、書類選考でチェックされるポイントです。

ほとんどの企業は、募集要項で経験やスキルに関する条件を出しています。学歴や年齢の制限がある場合も、珍しくありません。求める人材の要素を備えていない人は、どんなに優れた人でも書類選考で落とされてしまう可能性が高いでしょう。

書類選考の通過率を上げるには、求人情報をよく見て採用基準を満たしているものに応募することが大事です。

面接で話を聞いてみたいか

応募者が多数いる場合、全員と面接をするわけにはいきません。全員に等しく時間やコストをかけようとすれば、通常業務が滞る原因になったり、選考が長引いて速やかに人員を確保できなくなったりするリスクがあります。

限られた時間の中で採用面接をしなければならず、応募者を振るいにかけて「面接で話を聞いてみたい」と思う人だけを残すのです。

採用基準を満たしていたとしても、ほかの候補者と比較したときに優先度が低いと判断されれば、書類選考を通らない原因になります。

自社にフィットする人物か

応募者が自社にフィットする人物かどうかも、応募書類を通じてチェックされています。人間性や仕事を通じて実現したいことなどが、企業の方針と合わないと感じられる人物は採用されにくいものです。

採用担当者は、応募書類を見て「この人なら、やる気を持って長く働いてくれそう」と感じられる人物を採用したいと思っています。

どんなに素晴らしい経歴があり、強力な強みを持っていたとしても「自社で生かしてあげられない」と感じさせてしまえば、書類選考を通過する可能性は低くなるのです。

面接に進む前の段階では、応募書類に書いてある情報以外は読み取れません。書類選考をパスするには「ほかの企業の方が向いているのでは」と感じさせない工夫が必要です。

書類の書き方で落ちるケース

書類を記入する男性

(出典) photo-ac.com

応募書類の書き方を間違っていると、書類選考を通過できません。どんな書き方だと落とされてしまうのか見ていきましょう。

書式を満たしていない

履歴書や職務経歴書などで求められている書式が守られていないと、一般常識を疑われたり、ミスが多い人物とだと判断されたりします。必要な情報を全て書き込まなければ、書類選考は通過できません。

履歴書の各項目は空欄にせず、必ず全て埋めるようにしましょう。当てはまるものがない場合は「なし」と書きますが、賞罰や資格のように客観的な事実として該当するものがないとき以外は、内容を具体的に記載します。

項目が一部でも抜けていると、入社への意欲を疑われるでしょう。後で書き込もうと思っていて記入を忘れてしまう場合もあるので、提出前に何度も見直しをすることが大切です。

基本的なマナーに問題がある

「応募書類に誤字脱字が多い」「文字が汚すぎて読めない」「提出期限が守られていない」など基本的なマナーに問題があると、書類選考で落ちる可能性が高まります。

書類作成能力が低いと思われるだけでなく、人間性にも問題があると思われてしまうでしょう。

また、採用担当者が見たときに、欲しい情報が分かりやすく書かれているかも重要なポイントです。

よい評価を受けるには、伝えるべき情報をできるだけ端的に書く必要があります。だらだらと長いだけで必要なことが書かれていなければ、マイナスの評価を受けるでしょう。

記載内容で落ちるケース

書類を記入している手元

(出典) photo-ac.com

基本的なマナーが守れているかだけでなく、記載する内容によっても通過率が変わります。記載内容で落ちるケースには、どんなものがあるのか見ていきましょう。

自分のよさを伝えられない

必要事項が全て記載されていたとしても、内容があまりにも事務的すぎると自分のよさを伝えられず、落とされてしまうでしょう。

書類選考では応募書類から伝わってくる内容が全てなので、採用担当者が「この人のことをもっと知りたい」と思えるような要素が何もないと、本来の魅力が伝わらず次の段階に進めなくなります。

自己PRや特技の欄などで内面を伝えられるエピソードを添えると、話が具体的になりますし、人間性も見えてきます。

例えば、「営業成績を○%アップさせた」と書くより、「チームワークを生かし、営業成績を○%アップできた」と書かれていた方が、自分の手柄だけでなく他者を尊重し、協調性を大事にする人という印象を与えられるはずです。

希望条件がマッチしない

年収・勤務地・働き方など応募者の具体的な希望と、企業側がかなえられるものがかみ合わない場合は、書類選考で落ちやすいといえます。

企業は、できるだけ応募者の希望がかなう形で採用したいと考えています。採用後に「思っていたような働き方ができない」と感じる可能性が高い人は、早々と退職してしまうリスクがあるからです。

企業研究が足りていないと、かなえられない希望を提示してしまいやすくなります。募集要項や待遇面などをしっかりと確認して、ズレがないように注意しましょう。

志望動機が抽象的で弱い

志望動機は、入社への熱意がダイレクトに感じられる部分なので、抽象的な書き方をすると落ちる可能性が高まります。どの企業にも当てはまるような書き方はせず、その企業でなければならない理由を伝えるようにしましょう。

例えば、「貴社の製品は、国内シェアがナンバーワンだから」「貴社が提供するサービスを長年利用しており、親近感があった」などが、その企業でなければならない理由です。

その企業だからこそ、自分が目指す働き方を実現できるという方向につなげると、さらに説得力を持たせられます。

経営理念やその企業が提供している製品・サービスの内容、そこで働いている人々の特徴などを十分にリサーチし、見当違いなことを書かないように注意しましょう。

転職の書類選考で落ちる確率

バインダーを手に考え事をしている男性

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転職活動がうまくいかないのは、珍しいことではありません。書類選考で、どれくらいの人が落とされているのか見ていきましょう。

書類選考で半分近く落ちることも

応募する企業や職種にもよりますが、転職活動中の書類選考で半分近くの応募者を落とす企業も珍しくありません。

書類選考に通過する確率は決して高いとはいえないので、慎重に書類作成しましょう。細かい部分も丁寧に、より伝わりやすく書くことを意識します。

一般的に、転職者の年齢が上がるほど、書類選考を通過する確率は低くなる傾向です。年齢が高い人の方がより多くの経験やスキルを求められ、ライバルとなるほかの候補者の経験やスキルも高くなるからだと考えられます。

内定獲得に必要な応募数

書類選考を通過しなければ面接には進めませんが、面接で落とされる可能性も考えると、内定獲得までに必要な応募数はそれなりに多くなります。

転職に有利な20~30代の人でも、内定をもらうまでに6~10社程度に応募する場合が少なくありません。

結果が出るまで1社ずつ応募しようと考えていると、よい企業に出会うタイミングを逃したり、内定をもらうまでにより多くの時間がかかったりするリスクがあります。

書類選考の通過率を上げるコツ

書類を手に考え事をする男性

(出典) photo-ac.com

書類選考のハードルは低いとはいえないので、より採用担当者の心に響く内容にすることが重要です。書類選考の通過率をアップするためのコツを見ていきましょう。

自己分析をしっかり行う

自己分析が足りないと自分のよさを伝えられず、書類選考に通過しづらくなります。自分の希望と企業のニーズがマッチしないミスを防ぐためにも、自己分析は必要です。

自分の内面を掘り下げ、人から褒められた経験や、仕事でうまくいった経験などを書き出していきましょう。自己分析を十分に行うには、マイナスの面にも目を向けて、どのように克服していくのかを考えることも大事です。

「どのような働き方がしたいのか」「将来、どんな自分になっていたいのか」など、未来に目を向けた目標も明らかにし、キャリアプランを思い描くことも効果的です。

数字など客観的な要素を盛り込む

応募書類は、採用担当者が見たときに分かりやすい内容にすることが大事です。「客観的に見たときにどうか」という視点を意識し、文章を組み立てましょう。

どんなによいことが書いてあっても根拠となるものがないと、「自己満足なのではないか?」「信頼性がない」などと思われるので、具体的な数字を盛り込んでエピソードを伝えます。

例えば、自己PRに「売上アップに貢献した」と書くより「ポップの書き方を見直し、売上を前年比で50%伸ばした」というように書いてあった方が、より具体的で分かりやすくなるのです。

仕事内容を説明する際も同様で、対応件数や年数などの数字を入れるとより分かりやすい内容にできます。

業界・企業研究の内容を反映する

書類選考を通過するには、志望動機や自己PRなどを記載する際に業界・企業研究を反映し、「なぜその業界を選んだのか」「なぜその企業でなければならないのか」などを的確に伝えましょう。

業界・企業に関する情報が不足していると、他社でも使い回せる抽象的な内容になってしまい、内容に説得力を持たせられません。

1社ごとに最適化した応募書類を作成するように心掛け、企業のホームページから分かる情報や、業界の動向などに神経を張り巡らせておくことが大事です。

内容は分かりやすく簡潔にまとめる

「文字が雑すぎる」「狭いスペースに文字がぎっしりと書いてある」など、視認性が低いと内容が分かりづらくなり、マイナスの評価を受けます。読んでもらえなければ始まらないので、読みやすさを意識して書きましょう。

読みにくいものを提出すると、「相手のことを考えない人」「情報の整理がうまくできない人」と評価される可能性があります。よい内容にまとめてあったとしても、読みづらいと感じる要素があると、書類選考を通過できない可能性が高くなります。

また、自分の魅力を全て伝えようとするのではなく、応募する職種や企業に関連性が高いものを取捨選択し、簡潔な内容にまとめましょう。結論から書き、具体例や補足につなげる構成がおすすめです。

応募書類は書式と内容どちらも大切

ファイルを確認しているスーツの女性

(出典) photo-ac.com

転職活動で書類選考を通過するには、応募書類の書式を守ることと内容を充実させることの両方が必要です。書き方を間違えると「一般常識がない」と思われますし、言いたいことが分かりにくいと「面接する価値がない」と思われやすくなります。

転職活動の際は、応募者の約半数が面接に進む前に落とされるとされており、書類選考のハードルは決して低くはありません。何社かを同時進行で受けるスケジュールを組むと、転職活動がスムーズに進みます。

自分のよさが伝わる書き方や、具体的な数字を入れて内容を分かりやすくするなどの工夫をし、魅力的な応募書類を書き上げましょう。