職務要約とは何?重要性や書き方のポイント、職種別の例文を紹介

転職の際は、履歴書以外に職務経歴書の提出も求められます。職務経歴書に記載する「職務要約」とは何なのでしょうか?職務要約に書く内容や、企業が記載を求める理由を解説します。職種別の例文や、よくある疑問についても見ていきましょう。

職務要約とは?

職務経歴書を記入している

(出典) photo-ac.com

職務経歴書には、職務要約を記載します。何をどのように要約するのか、悩むこともあるでしょう。職務要約に書かれる内容や、記載が求められる理由を解説します。

職務経歴書を端的にまとめたもの

職務要約とは、これまでの職務・スキルについて、端的にまとめたものです。職務経歴書の冒頭部分に記載します。

最初に全体的な経歴を知ってもらうため冒頭に記載しますが、経歴書を作成する段階では職務経歴の構成を考えた上で、最後に要約することになるでしょう。

職務経歴が勤務先・プロジェクトごとの詳細な実績・内容を記載するのに対し、職務要約は数百文字で簡単にまとめます。

これまで勤務してきた会社名や仕事内容をざっくりと記載し、特別にアピールしたい実績・スキルを追記するのが一般的です。

職務要約が魅力的に書けていれば、採用担当者の目に留まりやすくなります。これまでの経歴の中でも、特にアピールしたい内容を書き出しましょう。

職務要約を書く理由

職務要約は、採用担当者にとって重要な情報です。書類審査の段階では応募者が多く、担当者が全ての書類に目を通す時間があるとは限りません。職務要約を読んで、経歴を詳細に読むかどうか考えるケースもあるのです。

職務経歴書には、基本的に応募者の経歴を全て記載します。これまでの転職回数にかかわらず、内容は多くなるでしょう。

採用担当者からすると、個々の応募者が記載した職務経歴を全て覚えておくのは困難です。面接の前に要約を見て、担当者が質問を考えることもあります。

職務要約は、採用担当者が審査や面接を円滑に進め、短時間で書類の内容を整理できるよう、重要な役割を果たしているのです。

読まれやすい職務要約の書き方

ボールペンを持っている女性

(出典) pexels.com

職務要約は、最初に目に留まる部分です。担当者に読んでもらえるよう、工夫しましょう。読まれやすい職務要約とはどんなものなのか、具体的なポイントを紹介します。

200~300文字程度にまとめる

職務要約は、200~300文字程度でまとめると読みやすくなります。要約は、「全体の要点をまとめたもの」という意味です。職務経歴に書いていることが多くても、重要な部分を抜き出して短くまとめましょう。

職務要約を書く目的は、採用担当者が職務経歴書の内容を簡単にチェックするためです。内容が多すぎると、本来の役割を果たせなくなってしまいます。逆に短すぎても、自分の魅力が伝わりにくくなるでしょう。

また、職務経歴書の要点が伝わる要約を作成するだけで、能力のアピールにもつながります。短い言葉で経歴書の内容が伝えられるということは、会社での書類作成や商品のプレゼンをする際にも役立つためです。

興味を持たれる内容を盛り込む

職務要約は、採用担当者が最初に見る部分です。要約には、応募先企業に関連する仕事内容や興味を引く実績を盛り込みましょう。

担当者は要約を見て、採用できそうな人物かを見極めようとしています。これまでの職務経歴の中から、募集している人材に一致している実績・スキルを抜き出しましょう。

店舗で接客をする担当者を募集しているのであれば、これまでの接客や顧客対応業務の経験を記載します。

しかし、未経験分野に応募することもあるでしょう。関連する実績があれば積極的に取り入れることを意識し、ない場合には誠実にありのままを記載します。関連性がない場合、入社意欲や熱意をアピールするのもよいでしょう。

読みやすい構成を意識する

職務要約は短い文章で経歴をまとめるため、読みやすい構成がはっきりしています。書く順序や内容を意識していれば、迷うことは少ないでしょう。

例として、最初に働き始めた時期と勤務先名称や業種を記載します。その後に詳しい業務内容を書き、実績・スキルにつなげる構成が分かりやすいでしょう。

「いつ、どこで何をしたのか」が分かると、経歴を詳しく読む前に内容が伝わります。実績・スキルを伝えるときは、売上の数値や所有している資格など、客観的に伝わるものを盛り込みましょう。

職務要約の職種別例文

手帳に記入している手元

(出典) photo-ac.com

職務要約を記載する場合、まずは自分の経歴から必要なものをピックアップする作業が必要です。転職経験や、現在の状況によっても書く内容は変わってくるでしょう。

「何を書けばいいのか分からない」と悩んだときのために、職種別の例文を紹介します。

営業職

営業職の職務要約では、過去の営業経験や接客経験を積極的にアピールしましょう。営業目標達成の実績を数値で入れ込むのも効果的です。

【例文1】

○○大学を卒業後、営業職として○○株式会社に入社。法人営業が主な業務で、○年○月〜○月まで営業成績1位を獲得していました。飛び込みでの営業が多かったため、新規開拓の実績もあります。

【例文2】

大学卒業後は○○株式会社で営業職を担当。ルート営業担当として勤務し、複数の取引先とのコミュニケーションに気を配っていました。○年○月の退職後は、転職活動を続けながら飲食店のアルバイトとして働いています。法人営業の経験に加えて、接客業務で個人のお客様への対応力も身に付いたと考えています。

事務職

事務職では、パソコンスキルやこれまでの事務経験が重視されます。資格や実務経験を要約に入れ込むと、魅力を伝えられるはずです。

【例文1】

○○高校を卒業後、○年○月〜○年○月まで営業事務を担当。○年○月に現職の○○株式会社に転職し、○年○月まで総務課に勤務していました。従業員の契約管理や、来客・電話対応などが主な業務内容です。社内行事の運営にも携わり、プレゼンテーションソフトでの資料作成経験もあります。

【例文2】

○○大学卒業後は、○年○月まで飲食店で接客業務を担当していました。退職後、現在は事務職への転職を目指しながら、アルバイトとして飲食店で働いています。アルバイトをしながら資格の勉強に励み、ITパスポートとMOSを取得しました。事務職は未経験ですが、アルバイト先で事務処理を兼務しており、ビジネスソフトの使用経験もあります。

販売職

販売職では、接客の経験が生かせます。募集されている立場に合わせて、リーダーや店長経験など部下をまとめ上げる力をアピールするのもよいでしょう。

【例文1】

新卒入社後、4年間○○百貨店のアパレルブランドで勤務しました。1人1人のお客様に合った接客を心掛け、入社2年目からは売上目標の達成を継続しています。現在は店舗のリーダーとしてメンバーをまとめており、業務管理も担当しています。

【例文2】

新卒で○○株式会社に入社後、○年○月まで営業として勤務しました。退職後はカフェでのアルバイトと並行して、転職活動を続けています。営業職やアルバイトでの接客経験は、販売職でお客様の対応をするときにも生かせるものだと考えています。

職務要約に関するよくある疑問

ノートに記入する女性

(出典) photo-ac.com

職務要約は、経歴をまとめたものです。転職回数や雇用形態によっては、書き方に悩むことも多いでしょう。

転職が多い人の書き方や、アルバイト経験の記載は可能なのかなど、気になる疑問について解説します。

転職が多い場合はどう書く?

職務経歴書には、基本的にこれまでの経歴を全て記載します。転職が多い場合、要約も難しく感じるでしょう。

要約の部分では、必ずしも全ての職歴について触れる必要はありません。短い文章で多くの職歴に触れると内容が浅くなり、持続性がない印象を与えてしまう可能性もあります。

そのため、アピールしたい職歴を抜き出して、強調するとよいでしょう。同じ業種で転職をしている場合は、転職によるキャリアアップや得た実績を盛り込むのもおすすめです。

アルバイト経験は書いていい?

職務経歴書に記載する内容は、一般的に「社会人」として働いた経験です。正社員・契約社員・派遣社員・業務委託など形式は問いませんが、アルバイト・パートは含まれないと考えておきましょう。

ただし、状況によっては、アルバイト経験を記載することもあります。アルバイト経験しかない場合は、職務経歴書にもアルバイトについて記載しましょう。

これまでアルバイトで働いてきた理由がある場合は追記し、これから正社員として働きたい意欲を伝えることが大切です。

就職・転職までの間アルバイトを長期間継続していた場合も、簡単に経歴を書いておいた方がよいでしょう。何も書いていない場合、その間は無職と捉えられる可能性があります。

また、応募先の業務内容と深く関わりのあるアルバイト経験は、実績のアピールにつながるでしょう。

自分の職歴を上手にまとめよう

書類を手にしているスーツの男性

(出典) photo-ac.com

職務要約を書くときは、これまで働いてきた経歴を短くまとめます。全てを記載するのではなく、特にアピールしたいことや概要をまとめるのが大切です。

複数の職務経歴があるときは、応募先企業が求める人材やイメージを意識して、内容をピックアップしましょう。

職歴をうまく要約できると、採用担当者に興味を持ってもらえる可能性が高くなります。企業研究を行い、自分の職務経験の中で何がアピールにつながるか考えてみましょう。