身元保証書とは、会社に入社する際などに求められる重要な書類です。頻繁に目にする書類ではないため、初めて就職する人や転職する人は、書き方に迷ってしまうこともあるでしょう。身元保証書の書き方や記入する人のほか、注意点についても解説します。
身元保証書について
まずは、身元保証書とは何なのかや、どんなときに必要で誰が書くのかなど、身元保証書の基本について解説します。仕事をする上で必要になる重要な書類なので、しっかり理解しておきましょう。
身元保証書とは?
身元保証書とは、身元保証人が対象者の身元保証を行うための契約書です。
主に、対象者が社会人として問題のない人物であるという「人物保証」と、対象者の不法行為などによって、提出先に損害をもたらした場合に補償することを約束する「損害賠償」の役割があります。
これから入社する社員など、どんな人であるかをまだ会社側が把握できていない人物に対して、身近な人が保証する内容の書類です。
身元保証書はどんなときに必要?
身元保証書は、新卒や転職に関係なく、新しい会社に入社するときに求められることがほとんどです。
会社と雇用契約を結ぶと、通常は入社した会社で継続して働くことになるでしょう。長期的な契約となるため、企業側もリスクマネジメントのために提出を求めるという背景があります。
また、例えば入社後に体調を崩して出社ができなくなったなど、対象者の心身に問題が発生した場合の「緊急連絡先」としての意味を持つ場合もあります。
身元保証書は誰に書いてもらう?
身元保証人について、法律上の規定はありません。そのため、身元保証人に誰を選ぶかは基本的に対象者の自由ですが、親や配偶者がなるのが一般的です。
ただし、無職・未成年の人は、保証人にはなれません。万が一の場合に、補償できる能力がないと判断されるためです。
会社によっては身元保証人の条件を定めていることもあるので、規定がある場合は従うのが無難です。身元保証人になる人がいない場合は、提出先に相談して指示を仰ぎましょう。
身元保証書の正しい書き方は?
続いて、身元保証書の書き方について説明します。必ず書くべき項目をチェックして、漏れのない状態で提出しましょう。
身元保証書の書式は企業によって異なる
身元保証書は、提出先の企業によって項目や書式が異なります。企業からもらう既定のフォーマットに記入するのが一般的ですが、中には自分で作成することを求められる場合もあります。
自分で作成する際には、提出先に必須項目を確認し、インターネットのテンプレートなどを参考にして作成するとよいでしょう。
身元保証書に最低限必要となる項目は、以下の通りです。
- 対象者の住所・氏名・生年月日・印鑑
- 身元保証人の住所・氏名・続柄・印鑑
また、本文には「対象者が信用できる人物であること」と、「損害が生じた場合には補償すること」を明記します。
身元保証書の書き方を項目別に解説
実際のテンプレートをもとに、項目ごとの書き方や注意事項について解説します。
【例】
身元保証書
株式会社〇〇
代表取締役 △殿現住所 〇〇〇〇
氏名 〇〇〇〇 捺印
生年月日 〇年〇月〇日
私は、上記のものが貴社に入社するにあたり、以下のとおり身元を保証します。
1.上記の者が、貴社の就業規則並びにその他規定を遵守して、誠実に勤務することを保証します。
2.万が一、本人が故意や過失により貴社に重大な損失を与えた場合は、本人と連帯して〇〇万円までその損失を賠償いたします。
3.本保証書による保証期間は、契約締結日から3年間といたします。令和〇年〇月〇日
身元保証人住所 〇〇〇〇
身元保証人氏名 〇〇〇〇 捺印
続柄 〇
連絡先 〇〇-〇〇-〇〇
以上
日付は、入社日もしくは提出日を記入するのが基本です。入社日より前・後の日付だと再提出となることもあるため注意が必要です。生年月日を含む日付の箇所は、西暦・和暦を統一しましょう。
また、住所は本籍地ではなく、「現住所」を記載します。会社に提出する住民票と現住所が異なる場合は、一度提出先に確認しましょう。
本文には、保証する内容・金額・期間を明記します。自分で作成する場合、金額については提出先と相談しましょう。期間は通常3年、最長でも5年です。
身元保証書を書く際の注意点は?
最後に、身元保証書を書く際に注意すべき点について解説します。次の2点を守れていないと書き直しとなるケースが多いため、気を付けましょう。
必ず直筆で記入する
身元保証書は、本人・身元保証人ともに必ず直筆で記入します。身元保証人と離れて住んでいる場合は、書類を郵送して記入後に返送してもらう必要があるため、郵送の期間も考慮して早めに依頼すると安心です。
万が一、提出日に間に合わないことが判明したら、すぐに提出先に相談しましょう。
また、本人欄と身元保証人欄にはどちらも捺印する箇所がありますが、シャチハタは使用不可です。本人と保証人が同じ印鑑を使うこともNGなので、保証人と同居している場合でも印鑑は異なるものを2つ用意しましょう。
記入を間違えたら書き直す
身元保証書は契約書なので、基本的には記入を間違えたら書き直すのが正解です。しかし、用紙が1枚しかない場合や、書き直すと提出日に間に合わない場合などは、訂正が可能かどうかを提出先の企業に確認してみましょう。
会社によっては訂正をOKとしているところもあるため、その場合は二重線と訂正印で修正を行います。
しかし、契約書のような大事な書類に訂正があるとあまり印象はよくありません。間違いのないよう慎重に記入しましょう。
身元保証書を正しく記入しよう!
身元保証書は、入社する会社に対して、働くにふさわしい人物であることを保証するための重要な書類です。
これから働く会社との信頼関係を築いていくためにも、まずは身元保証書をミスなく作成し、きちんと提出することが大切です。
記入や作成においてミスをすると、自分自身だけでなく、書いてもらう身元保証人にも迷惑がかかってしまう可能性があります。
書き方や注意点などのポイントをしっかりと理解して、身元保証書を正しく作成しましょう。