面接で「最後に一言お願いします」と言われたら、好印象を与える絶好のチャンスです。あらかじめ準備をしておけば、効果的な言葉で面接をスムーズに締められるでしょう。最後の一言を求められる意図や、おすすめの答え方について解説します。
面接で「最後に一言」を求められる理由
面接で「最後に一言」と促された場合、単に締めの言葉を求められているとは限りません。面接官は何を見ようとしているのでしょうか。
応募者の人柄を知るため
面接で聞かれる「最後に一言」には、応募者の人柄をより深く知りたいという意図が込められている可能性があります。面接中のやりとりだけでは分からなかった人柄を、あらためて落ち着いた状況で確認するために行われるのです。
面接中に聞かれる質問は、パターン化されているものがどうしても多くなる傾向があります。大半の応募者は事前に回答を用意しており、面接官が何を聞いても似たようなコメントになりがちです。
面接の終わりに「このような性格で合っているだろうか」「もう少し人柄を確認したい」と面接官が感じた場合に、求められやすくなると考えましょう。
最後にアピールのチャンスを与えるため
最後に応募者にアピールするチャンスを与えたいと面接官が思っている場合も、「最後に一言」を求められるでしょう。最も緊張がほぐれる終盤に時間を設けて、言い足りないことを落ち着いて話してほしいという意図が込められています。
面接で話す内容を準備する際は、「これだけは伝えておきたい」という事項も思いつくでしょう。しかし緊張したり質問されなかったりして伝えられなかった場合、悔いの残る結果になってしまいます。
面接官は応募者に対し、「最後まで存分に自分をアピールしてもらいたい」と考えているものです。面接中に強調できなかった話題があっても、最後までチャンスを待ちましょう。
とっさの対応力を確認するため
面接で「最後に一言」を求められる理由としては、対応力の確認という側面も挙げられます。事前の対策が難しいことに対し、とっさの対応力を発揮できるか試されているのです。
ビジネスでは、マニュアル通りに業務をこなせる能力だけでなく、さまざまなシーンでとっさの対応力も求められます。イレギュラーな出来事に臨機応変に対応できる能力は、どの業種でも重宝されるでしょう。
「最後に一言があるかも」と構えておくだけでも、とっさの対応力を発揮しやすくなります。コメントを事前に準備できれば理想的です。
「最後に一言」の回答例
面接の「最後に一言」に対する回答として適した内容を紹介します。それぞれの回答例もチェックし、事前対策の際に役立てましょう。
熱意や入社意思をアピールする
面接の「最後に一言」で、あらためて熱意や入社への意思をアピールすれば、面接官に好印象を与えられます。面接を通して感じたことを一緒に伝えるのも効果的です。
できれば自分の強みもアピールしておきましょう。面接中にすでに伝えたという場合でも、最後にもう一度話すことで、より強い印象を残せます。
<回答例>
本日の面接で地域活性化について詳しくお話をうかがったことで、御社で働きたいという気持ちがより一層強くなりました。面接中にもお話をさせていただきましたが、私のスキルや経験を存分に生かして貢献できると強く感じています。
面接官に質問する
「最後に一言」では、面接官に質問するのもおすすめです。暗に入社意欲をアピールできる質問や、面接中に疑問を感じた点に対して質問してみましょう。
<回答例>
- 入社までに習得しておくべきスキルはありますか?
- 新入社員のキャリアプランの例を教えていただけますか?
- 御社に貢献できる人材像をどのようにお考えですか?
- 面接中にお話があった感動エピソードについて詳しくうかがえますか?
事前に調べておけば分かる企業情報や業界情報などの質問、面接官が答えられないかもしれないと予想できる質問はNGです。給与・休日・残業時間についての質問も、「結局待遇にしか興味がないのか」という印象を与えかねないため避けましょう。
面接のお礼を伝える
「最後に一言」として特に話すことや質問がない場合は、面接のお礼を伝えましょう。面接の感想を一言添えるのが理想です。
<回答例>
- 本日の面接では新規事業のお話を聞けて、大変刺激を受けております。本日はこのような面接の機会を設けていただき、心より感謝いたします。
- 本日は貴重な面接の時間を割いていただきありがとうございました。入社できましたら新システムの開発に貢献したいと考えております。
「最後に一言」のNG回答
「最後に一言」を述べる際に気を付けたいポイントを紹介します。代表的なNG回答を把握し、面接時に生かしましょう。
「特にありません」は避ける
面接で「最後に一言」と言われて、「特にありません」と答えたり何も言わない状態になったりするのは、最も避けたいパターンです。「本当は入社する気がないのではないか」と思われかねません。
最後の一言は、自分をアピールできる最終チャンスです。今までの頑張りが無駄にならないよう、お礼の言葉だけでも伝えるようにしましょう。
とっさの対応力があるかどうか試されていることを考えると、答えるまでに時間が空いてしまうのもNGです。いくつかの回答を準備しておけば、状況に合わせてすぐに答えられるでしょう。
すでに話した内容を伝える
面接の「最後に一言」では、すでに話した内容をくどくど繰り返すのもNGです。ビジネスで不可欠なコミュニケーション能力がないと判断されかねません。
ただし、話したことを簡潔にまとめて再度伝えるのはOKです。首尾一貫した印象を与えられるため、どうしても最後に話すことがない場合は、面接中に話した内容をコンパクトにまとめてみましょう。
自分の強みをもう一押しするのもおすすめです。面接中に聞いた話と自分の強みを結び付け、入社後に強みを生かして貢献したいことをアピールすれば、より強い印象を残せます。
「最後に一言」に関する疑問
「最後に一言」を聞かれなかった場合は、どのように捉えればよいのでしょうか。回答内容が合否に与える影響についても解説します。
聞かれなかったら落ちる?
面接では時間の都合により「最後に一言」を聞かれないケースもあります。「聞きたいことは十分に聞けた」と面接官が判断した場合も省略されやすいでしょう。そのため、「最後に一言」がなかったからといって面接に落ちるわけではありません。
ですが、話す予定だった内容を伝えられなくなる恐れはあります。最後の一言を求められないケースも想定し、伝えたいことは面接中にできるだけアピールしましょう。なお、伝え忘れたことがあった場合も、自分から切り出すのはNGです。
回答内容が合否に影響する可能性は?
面接中の発言内容はすべてが評価の対象になります。たとえ企業側が形式的に「最後に一言」の時間を設けているとしても、回答が合否にまったく影響しないとは限りません。
例えば面接中は100点満点の受け答えができていたとしても、「最後に一言」で「特にありません」と即答すると、面接官によっては自社への興味がない・志望度が低い(必死ではない)という印象を持つ可能性もあるので、そうならないよう注意が必要です。
最後の一言で前向きに自己アピールしよう
面接の「最後に一言」は、応募者の人柄を知るために聞かれます。アピールの最後のチャンスを与えたり、とっさの対応力を確かめたりする目的もあります。
最後の一言では、やる気をアピールしたり面接官に質問したりするのがおすすめです。回答内容が合否を左右するケースもあるため、前向きに自分をアピールしましょう。