履歴書に書く志望動機がない!考え方のコツと書き方のポイントも紹介

履歴書に書く志望動機がない人は、転職前にやるべきステップを踏んでいない可能性があります。見本などを見て適当に書いてしまうと、採用担当者によい印象を与えません。志望動機を考えるコツや、書き方のポイントを紹介します。

履歴書の志望動機が書けない理由

履歴書とペン

(出典) photo-ac.com

履歴書の志望動機は採用担当者が重視する部分なので、力を入れて書くべきだといえます。志望動機が書けないと、書類選考で落とされてしまいスムーズに転職できません。どのように解決すればよいのか、見ていきましょう。

自己分析が足りない

志望動機がうまく書けない場合は、自己分析が足りていない可能性があります。自己分析はこれまでの経験や思考をもとに、自分の能力や価値観などを明確にし、今後どのように生きていきたいのかといった点をまとめる作業のことです。

自己分析が足りない状態だと、そもそも何が理想でどんなことがしたくて転職しようとしているのかが分かりません。

「この企業で働いて、○○を実現したい」「○○の能力を生かしたい」などの希望が何もないと、なぜその企業で働きたいのかについてうまく書けないでしょう。

企業研究が不足している

自己分析を行うだけでは、採用担当者にとって物足りない志望動機になってしまいます。企業研究が不足している場合も、具体性のある志望動機を書けません。

どの企業にもあてはまるような内容になってしまうと、採用担当者を納得させるのは難しいでしょう。説得力のある志望動機を書くには、入社を希望する企業についてとことん掘り下げてみましょう。

「その企業が業界でどんな立ち位置にあるか」「その企業ならではの特徴はなんなのか」「自分の希望をかなえてくれる要素はあるか」など、確認すべき点はたくさんあります。

転職で現職の不満を解消しようとしている

現職に対する不満が原因で、転職を考える人は多いでしょう。環境や待遇などに悩みがあると、「とにかく転職をして現状を変えたい」と考えがちです。

現職に不満があるという理由だけで転職しようとすると、理想がはっきりとしないままなので志望動機が書けない状態になります。

目先のことにとらわれず、転職先の企業で生かせるスキルや、キャリアビジョンなどを明確にしましょう。単に「職場の人間関係が嫌だから」「待遇が悪いから」というだけでは、また同じ環境になったときに行き詰まってしまいます。

志望動機が求められる理由

面接官の女性

(出典) photo-ac.com

そもそも、なぜ志望動機が求められているのかを理解していないと、どのように書いたらよいのか分からなくなってしまいます。履歴書に志望動機を書く理由をチェックしましょう。

なぜ自社に応募したのか知りたい

企業側は、志望動機を通じて「多くの企業がある中で、なぜ自社を選んだのか」を知りたがっています。その企業でなければならない確固とした理由がある人なら、入社意欲が高く熱意を持って働いてくれるはずです。

応募者の入社意欲がどれだけあるかを測るのは、採用面接において重要な意味があります。入社の意思が弱ければ、内定を出してもほかの企業に決めてしまうかもしれません。

「ほかの企業でもいい」と考えている人は、ほかに条件がよい就職先が見つかったら、そちらを優先する可能性が高いので、自社でなければならない理由を知りたがっているのです。

採用ニーズに合致しているか見たい

志望動機を通じて、「応募者がどんな形で自社に貢献してくれるのか」という点も知りたがっています。熱意が感じられない人を採用しても、企業に対してメリットがありません。

採用面接には手間やコストがかかるので、やる気を持って長く続けてくれる人を採用したいのです。待遇がよい・収入アップが見込めそうなどの志望動機だけでは、企業の採用ニーズに合致しているとはいえません。

素晴らしい能力や経歴を持つ人でも、自社で活躍する様子がイメージできないと採用されにくくなります。

志望動機を考えるときのコツ

パソコンを前に資料をまとめる男性

(出典) photo-ac.com

志望動機を考えるとき、何もないところからいきなり書こうとしてもうまくいきません。ポイントを押さえて考えていけば、うまくまとめられます。志望動機を導き出すためのコツを見ていきましょう。

自分のやりたいことを深掘りする

まずは自己分析を十分に行い、転職後に実現したいことや転職先でどんな強みを生かせそうかを考え、自分のやりたいことを深掘りしましょう。

これまでの社会経験で身に付けたスキルを挙げ、特に自信があるものを絞り込むと自分の強みが分かります。

仕事に対する価値観を明らかにすることも重要です。どんな仕事に対して「やりがい」を感じるのかや、モチベーションがアップするのはどんなときなのかなどを、これまでの経験を探って明らかにすると、実現したいものが見えてきます。

最終的には「将来こうなっていたい」という未来のビジョンまで明確にしましょう。目標とする人物の姿や尊敬する人の生き方など、共感できる理想像を参考にしてみる方法もおすすめです。

なぜその企業がよいのか考える

自分の強みや価値観が明らかになったら、応募先の企業を選んだ理由を掘り下げていきます。企業研究を深め、なぜその企業でなければならないのかを明確にしましょう。

「事業内容」「経営理念」「社会にどんな影響をもたらしているか」などを、徹底的に調べます。企業のホームページ以外にも、経営者のブログや各種メディアの記事などをチェックするとよいでしょう。

なんとなく気になったという以外にも、そこで働きたいと思った理由が必ずあるはずです。その企業の魅力を思いつく限り書き出してみて、その企業にしかないと思える魅力を見つけましょう。

転職したい理由を考える

転職したいと思ったきっかけはなんだったのかを明らかにすると、自分の理想とする働き方や企業の姿などが見えてきます。待遇面への不満と、仕事に対する価値観の違いでは志望動機の内容が変わってくるのです。

「もっと評価されたい」「挑戦できることが少ない」「充実感が欲しい」など、転職したい理由を書き出し、志望する企業に理想をかなえられそうな部分がないか、チェックしてみましょう。

事業内容や社風などと照らし合わせてみて、理想と一致する部分があるなら志望動機に生かせます。自分のスキルを生かせるかどうかも、考えなければなりません。

マイナス印象になるNGな志望動機

バインダーを手にしている女性

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志望動機の書き方を間違えると、採用担当者にマイナスな印象を与えます。NGな志望動機の特徴を見ていきましょう。

そもそも志望動機を書いていない

履歴書に書く志望動機がないからといって、何も書かなかったり「特になし」などと書いたりすれば、常識を疑われてしまいます。

志望動機が抜けていると、採用担当者は最も重視する部分を確認できません。書類選考を通過し、面接をしてもらえる可能性は限りなくゼロになります。

書類選考がなく、いきなり面接という場合でも、持参した履歴書に志望動機が書いていなければ、採用担当者は不信感を抱くでしょう。

志望動機だけでなく、履歴書には空欄を作らないことが求められます。資格や賞罰などにあてはまるものがないとき以外は、基本的に「特になし」は使用しません。

志望動機を書かなかったとしても面接で必ず質問されることになるので、はっきりとした答えを用意しておかなければなりません。

志望動機の内容がぼんやりしている

「貴社の社風が自分に合っていると感じたので、志望しました」「入社したら、評価されるように頑張りたい」などの具体性に欠ける志望動機では、応募者がどのように貢献したいのかイメージできません。

社風が合っていると感じたら、どんな部分が合っているのかを説明しましょう。仕事ぶりを評価されるために自分のどんな能力を生かすのか、はっきりしないようでは熱意を伝えられません。

自己分析や企業研究が不足していると、ぼんやりとした内容になってしまうので、念入りに掘り下げるようにしましょう。

前職までの経験と紐づいていない

これまでの社会経験でどのようなスキルを獲得してきたのかが志望動機の中でまったく触れられていないと、どのような活躍ができるのか分かりません。転職活動では、ある程度の即戦力を期待される点を意識しましょう。

キャリアチェンジをしようとしている場合でも、前職との関連性に触れることは大事です。例えば、接客業で培ったコミュニケーション能力は、営業職に就く場合にも生かせます。

直接的な関係がなかったとしても、応用できそうなスキルや経験があれば触れましょう。専門的なスキル以外にも、忍耐や根性といった性格面など、何かしらアピールできるものがあるはずです。

経験を伝える際に前職の悪口を書くと、印象が悪くなります。「前職では、会社が○○してくれなかった」というネガティブな表現ではなく「○○したいので、志望した」というように言い換えましょう。

履歴書に志望動機を書く際の基本ルール

ペンと履歴書の空欄

(出典) photo-ac.com

履歴書に志望動機を書く際の基本的なルールを守ると、採用担当者が読んだときに分かりやすくなります。基本的なルールや、書き方のポイントを見ていきましょう。

結論から書く

志望動機は結論から書き始めると、メッセージが伝わりやすくなります。「貴社を志望した理由は、○○だからです」と言い切った後で、その結論を導き出した背景や具体的なエピソードなどを説明する流れです。

新聞の記事や小説などを読む際も、書き出しに興味を引かれないと、最後まで読む気が起こらないでしょう。履歴書にも同じことがいえるのです。

最初に目にする部分が印象に残らない文章だと、期待度が下がってしまい、不利になります。冒頭で簡潔に理由を説明することで、その後に続く具体的な説明を読みやすくしましょう。

具体的な志望動機・裏付けを書く

結論を述べたら、その結論に至った理由を説明するための具体的なエピソードを書きます。

例えば、「貴社を志望した理由は、これまで培ってきたスキルを生かし、キャリアアップができそうだと感じたからです」と冒頭に書くとしましょう。

「貴社では、経験が浅い社員でも能力がある者には多くのチャンスを与えるとお聞きしました。私は○○の資格を有しており○○の仕事に挑戦したいと考えています」というように、結論に対する根拠になる部分を続けます。

「経験が浅い社員にもチャンスを与える社風」は、その企業ならではの特徴です。なぜその企業を選んだのかという理由も、伝わるように書いておきましょう。

入社後にどう働いていきたいかを書く

志望動機には、どのような働き方をしたいのかという要素も盛り込みます。採用担当者が知りたがっている「入社後にどんな活躍をしてくれるのか」という部分です。

これまで培ってきたスキルの生かし方や、将来への展望を交えて「意気込み」を伝えましょう。将来のビジョンを伝えることで、長く働いていく意思があることもアピールできます。

「まずは仕事を覚えることに集中し、前職で培った営業力を生かして新規顧客の開拓に貢献したいです。ゆくゆくはチームを引っ張っていく存在になりたいと思っています」というように、目標や将来のビジョンにつなげましょう。

志望動機を書く際の知っておきたいポイント

資料を前にミーティングする二人の社員

(出典) photo-ac.com

採用担当者に評価してもらうには、書き方の基本以外にも、押さえておくべきポイントがあります。志望動機を書く際に、知っておくべきポイントを見ていきましょう。

転職理由と一貫性を持たせる

転職活動では、志望動機だけでなく転職理由も必ずチェックされます。転職理由は、なぜ転職するのかについて説明する部分です。志望動機と矛盾がないように、一貫性を持たせましょう。

例えば、転職理由に「残業時間を改善するための提案をしたが、受け入れてもらえないから」と書いてあるのに、志望動機が「自分の能力を生かすため」では一貫性がありません。

能力を生かすことが目的ではなく、残業したくないから転職したと受け取られてしまいます。

転職理由に「能力を正当に評価し、新しい仕事にどんどんチャレンジさせてくれる企業に就職したかったから、転職を決意した」と書かれていれば、矛盾はありません。

企業で働く目線を持つ

以前から憧れていた企業やその企業のファンである場合、志望動機が消費者目線になってしまいがちです。企業で働く目線を持ち、応募者が活躍する姿を採用担当者が具体的にイメージできる内容にしましょう。

その企業に愛情を持っていることを、志望する動機として伝えるのは間違いではありません。しかし、ただ好きだからというだけではなく、どのように仕事をしていくのかをアピールしないと、ただのファンレターを書いただけで終わってしまいます。

その企業の業界での立ち位置や、現状で抱えている問題を解決するために何が必要かなど、「ビジネスの観点」からその企業について語れる知識がないと、志望動機に説得力を持たせられません。

消費者として好きだという気持ちを、どうやって仕事に生かしていくのか記載するようにすれば、採用担当者に強く印象づけられるはずです。

応募先に合わせることも重要

転職活動では、複数の企業に同時に応募書類を提出するケースは珍しくありませんが、志望動機はそれぞれの応募先に合わせたものを作成しましょう。

ほかの企業にも使い回せるような内容では、具体性に欠けたり「ほかの企業でもよいのではないか」と採用担当者に感じさせたりしやすくなります。

「なぜその企業でなければならないか」という部分が不足していると、熱意を伝えられません。また、受け身すぎる内容にしてしまうと、その企業で働く意欲や自主性を疑われます。

「○○を勉強したい」「研修制度があるから」などの理由だけでなく、前職で身に付けたスキルをどう仕事に生かすのかという部分を、必ず加えるようにしましょう。

記入欄の7割から8割を目安に

志望動機があまりにも短いと熱意を伝えられないので、記入欄の7~8割は埋めるようにします。書くことがないと感じるなら、書くべき要素を満たしているか確認が必要です。

細かい文字でびっしりと埋め尽くすと読みにくく、相手の気持ちを考えない人だと思われてしまいます。改行や余白がまったくない状態では読みづらくなってしまい、何を伝えたいのか分かりません。

文字の量が多ければよいというわけではないので、簡潔な文章を心がけ無駄な要素を入れないようにしましょう。

志望動機のクオリティを確認する方法

資料を添削する女性

(出典) photo-ac.com

志望動機を書き上げたら、クオリティを高めるために必ず二重三重のチェックをしましょう。志望動機をチェックする方法を紹介します。

自分で添削する

まずは志望動機を読み返して、自分なりに添削してみましょう。文章の基本的なチェックは、自分でも簡単にできます。

主語と述語が遠いと意味が分かりづらいので、近い位置に配置しましょう。一文で伝える要点は1つにすることがポイントです。一文が長すぎると伝えたい内容が分かりにくくなるので、50文字程度を意識します。

長くなってしまいそうなときは句点を使用し、文章を2つに分けられないか検討しましょう。誤字脱字や文法の誤りなども、自分でチェックできます。履歴書に志望動機を記載するときは、御社ではなく「貴社」を使う決まりです。

友人や家族に見てもらう

志望動機を書き上げたら、できれば友人や家族などの第三者に読んでもらい「客観的な意見」をもらいましょう。自分では分かりやすいと思っても、ほかの人から見ると意味が分かりづらい部分が出てくる場合があります。

身近な人であれば遠慮なく本音を伝えてくれるので、修正した方がよい部分が見つかるでしょう。客観的に見て「自分の魅力が伝わる内容になっているか」など、自分では判断しづらい部分も指摘してもらいます。

自分でチェックした誤字や脱字などを二重にチェックできる点も、第三者に見てもらうメリットです。

面接官の目に留まる志望動機にしよう

2人の面接官と女性

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履歴書の志望動機は、応募者のやる気をダイレクトに伝えられる部分です。書くことがないと焦ってしまいますが、時間をかけて自己分析や企業研究を行い、説得力のある内容に仕上げましょう。

結論から分かりやすく書き出し、面接官の目に留まる内容に仕上げることが大事です。

志望動機の内容がぼんやりとしていたり、どの企業にも使い回せるような内容だったりすると評価が下がります。その企業でなければならない理由や、どのように貢献していくかといった点をはっきりとさせて、説得力を持たせましょう。