転職を繰り返していると、職歴が多くて履歴書に書ききれなくなるものです。職歴欄に収まらない場合はさまざまな工夫を行うことで、十分なスペースを確保できます。ただし、誤った方法で省略しないように注意が必要です。
履歴書に職歴を書ききれないときの対処法
履歴書に職歴を書ききれそうになくて困った場合は、ちょっとした工夫を施すことで職歴を上手に収めることができます。職歴を書くスペースを確保するための方法について解説します。
学歴を高校入学から書く
履歴書は、学歴・職歴を同じ欄に書く形式になっていることがほとんどです。学歴に充てる行数を減らせば、たくさんの行を使って職歴を記入できるようになります。
通常、履歴書には中学校卒業から書き始めます。しかし、職歴をたくさん記入する必要があるときは、義務教育である中学校卒業を省略して、高校入学から学歴を書き始めてOKです。高校入学から書くことで、中学校卒業分のスペースを職歴に回せます。
1社あたりの職歴を1行に収める
職歴を書くとき、入社・退職を2行に分けて書くのが一般的です。さらに、会社内での配属先や従事した業務内容について、3行目で触れることもあります。
職歴が入りきらないときは、入社・退職を1行にまとめて書いてもOKです。その場合は、以下のように書きます。
【例】
- ○年○月○日 △△株式会社入社(○年○月○日退職)
また、配属先と業務内容についても省略可能です。応募先にアピールしたい内容がある場合を除き、配属先と業務内容の記載は必須ではありません。
結果として1社分の職歴を1行にまとめられるので、1社につき2行分のスペースを節約できます。
「現在に至る」と「以上」を同じ行に書く
学歴・職歴の記入欄の最後には、左詰めで「現在に至る」と書いた上で、次の行に右詰めで「以上」と書いて締めるのが基本的なルールです。
しかし、職歴を全部書いた結果、1行分しか余らなかった場合には、「現在に至る」と「以上」を同じ行に書き込んでも問題はありません。その際も、「現在に至る」は左詰めで、「以上」は右詰めで書きましょう。
どうしてもギリギリで職歴が収まりきらないときは、締めの言葉を1行にまとめる方法が有効です。
履歴書に職歴を書くときの注意点
履歴書に職歴を書くときは、上手に工夫することでたくさんの職歴を書き込めます。しかし、不適切な省略を行うと、採用担当者からマイナスの評価を受けるため注意が必要です。
会社名・部署名は正式名称で書く
スペースを確保するために、会社名・部署名を短縮して書くのはNGです。会社名・部署名は、必ず正式名称で書きましょう。「株式会社」を省くのはもちろん、「(株)」と省略して記入するのも不適切です。
勤めていた会社の社名が変更された場合は、変更前後の社名を両方記しておくと丁寧です。「○○株式会社(現△△株式会社)」のように書くとよいでしょう。
在籍していた会社は全て書き込む
正社員または契約社員として在籍していた会社は、職歴として漏れなく記入する必要があります。万が一、一部の職歴が抜けてしまっていた場合、経歴詐称としてトラブルに発展する可能性もあります。
正社員や契約社員の求人に応募する際は、アルバイト・パート経験は記載しないのが基本です。しかし、これまでフリーターなどでアルバイト経験しかない場合は、アルバイト経験を書いてもOKです。
アルバイト経験を記入するときは、採用担当者の誤解を生まないためにも、アルバイト勤務であることを明記しましょう。
退職の時期と理由も忘れずに
職歴には、入社した時期と会社について記入することに加えて、退職の時期と理由についても明記することが求められます。
複雑な退職理由があると、「1行に収まらないかも」と不安になるかもしれません。しかし、退職理由は詳細に書き込む必要はなく、定型文でOKです。
契約社員など期間の定めがある契約の下で働いていた場合は、「契約期間満了につき退職」で構いません。
引っ越しや転職など自己都合による退職の場合は「一身上の都合により退職」、会社の倒産や解雇の場合は「会社都合により退職」が適切です。
ただし、通常は定型文でも問題はありませんが、同じ理由での退職が続く場合は採用担当者が不安を感じてしまうものです。
同じ定型文を多用しないように、明確な理由がある場合は「キャリアアップを目指して退職」「配偶者の転勤に伴い退職」「出産に伴い退職」など、具体的に書くとよいでしょう。
職歴が書ききれず二度手間にならないために
書くべき職歴がたくさんあることが事前に分かっている場合は、最初から職歴を書ききるための準備をしておくのもおすすめです。
履歴書を書いている途中で枠内に収まるようにすると、見栄えが悪くなってしまうものです。二度手間になるのを避けるためにできる準備について解説します。
学歴・職歴欄の大きな履歴書を用意する
履歴書の大まかな形式は決まっていますが、細かいレイアウトはそれぞれ異なるものです。中には、学歴・職歴欄が大きい仕様のものもあります。職歴がたくさんある場合は、あらかじめ学歴・職歴欄の大きな履歴書を用意するとよいでしょう。
また、インターネット上にある無料のテンプレートをもとにして、学歴・職歴をたくさん書き込めるような履歴書を自作するのも1つの手です。
ただし自作する場合は、レイアウトが大きく崩れて見づらくならないように気を付けましょう。
詳細な職歴は職務経歴書にまとめる
履歴書の職歴欄に職歴を書ききれないことが明らかな場合は、直近の職歴だけを履歴書に書き込み、それ以前の職歴は職務経歴書にまとめるのもおすすめです。職務経歴書に別途まとめることで、すっきりと見やすい履歴書になります。
職歴の一部を職務経歴書にまとめる場合は、履歴書の職歴欄で以下のように断りを入れておくことが重要です。
【例】
- 大学卒業後、○年○月○日までに○社経験 詳細は職務経歴書のご参照をお願いいたします
職務経歴書では、抜け漏れなく全ての職歴をまとめることが必須です。応募先に合わせて、自己PRも書いておくとよいでしょう。
履歴書の書ききれない職歴はコンパクトに
履歴書に職歴を書ききれない場合は、学歴を高校入学から書いたり、1社あたりの職歴を1行にまとめたりすることで、職歴を書くスペースを増やせます。
ただし、会社名・部署名を省略して書くことや職歴の一部だけを記入すること、退職理由に触れないことはマナー違反です。
最初から職歴をたくさん書き込める履歴書を用意したり、職務経歴書を活用したりするのもよいでしょう。職歴がたくさんあるときは、履歴書に職歴をコンパクトにまとめる工夫が欠かせません。
若者の就職支援を専門とするキャリアカウンセラー。アメリカの大学を卒業後、アクセンチュアを経てリクルートに入社し100社以上の新卒・中途採用のコンサルティングを経験。独立後は採用と就職活動の双方を知る「若者就職支援のプロ」として官公庁や人材企業の若年就労支援プロジェクトに携わる。全国の大学で教員やキャリアカウンセラー向けの研修を行うなど、若者支援者の養成にも力を入れている。
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著書:
美文字履歴書の書き方&マナー