履歴書の職歴欄は「なし」で大丈夫?アルバイト経験でアピールもOK

勤務経験が一切ない場合や、アルバイトしかしたことがない場合は、履歴書の職歴欄に何を書いたらいいか困るものです。職歴がない場合の履歴書の正しい書き方に加えて、上手にアピールする方法について解説します。

職歴がまったくない場合の履歴書の書き方

3枚の履歴書

(出典) photo-ac.com

高校や大学などを卒業後、働いた経験がない場合は職歴欄をどう埋めたらいいのでしょうか。職歴がまったくない場合の履歴書の書き方について解説します。

職歴欄を空欄にするのはマナー違反

働いた経験がなくても、職歴欄に何も記入しないのはマナー違反です。履歴書は空欄があると、書類不備とみなされてしまいます。基本的なマナーが守られていないと受け取られ、印象が悪くなる恐れがあるでしょう。

職歴がまったくない場合でも、左寄せで「なし」と書いた上で、次の行に右寄せで「以上」と書きましょう。職歴がないことを示す形で記入するのが最低限のルールです。

学歴はきちんと書く

職歴は学歴の記入欄とセットになっているケースが一般的です。職歴がない場合でも、学歴は記入するのが必須です。

まずは「学歴」と記した上で、中学校卒業以降の学歴を書きます。学校名や学部名は省略せずに正式名称で書き、「高等学校」も「高校」と短縮するのは控えましょう。学歴の下に1行空けて「職歴」と記し、職歴がない旨を書き込みます。

正社員の経験がなくても職歴に書ける?

履歴書と空白の職歴欄

(出典) photo-ac.com

正社員として働いた経験がないと、履歴書に書ける職歴がないと感じて困ってしまうものです。しかしケースによっては、正社員以外の職歴を書くことも可能です。履歴書に記入する職歴の基準について解説します。

基本は正社員や契約・派遣社員の経験

正社員の求人に応募する際は、正社員や契約社員、派遣社員としての勤務経験のみを記入するのが原則です。

アルバイト経験も含めて職歴を書くと、履歴書の内容が煩雑になり、採用担当者が把握しにくくなってしまいます。特別な事情がない限り、アルバイト経験も交えて書くのは控えた方がいいでしょう。

アルバイトの経験を書く場合

履歴書の職歴欄にはアルバイト経験を書かないのが基本ですが、正社員の経験がない場合やアルバイトへの応募の場合は、アルバイト歴について書いても構いません。履歴書にアルバイト経験を書き込む際は、長期のアルバイトを優先するとアピールに有効です。

短期間のアルバイト経験を書くと、採用してもすぐに退職してしまうのではないかと採用担当者が不安に感じるものです。一方、長期間にわたって長時間労働をしていた経験は、好印象につながる可能性があります。

ただし大きなブランクが生じてしまう場合は、短期のアルバイトでも働いていたと示す方がよいでしょう。

職歴に書くアルバイトの選び方

スーパーのアルバイト

(出典) photo-ac.com

ケースによっては、職歴にアルバイト経験を書くことも可能です。ただし全てのアルバイト経験を同列に扱って書けばいいわけではありません。職歴に書くと好印象につながるアルバイトの選び方について解説します。

応募先の企業で役に立つ経験

応募先の企業にとって、応募者がそれまでにどのような雇用形態で働いていたかは、最重要ポイントではありません。入社後に活躍してもらい、自社に貢献できるか否かが重要だと、採用担当者は考えています。

応募先の企業と同業種でのアルバイト経験は即戦力として期待できるため、有効なアピールになるでしょう。正社員と遜色ない働きをしていたアルバイト経験も、魅力的に映るものです。記入するアルバイトは応募先に合わせて選びましょう。

社会保険に加入していたアルバイト

アルバイト経験のうち、社会保険に加入していたものは、履歴書の職歴欄に記入します。社会保険に加入するには一定の条件があり、長期にわたって安定して勤務していた事実を示せるからです。

また、他社で社会保険に入っていた事実が入社後に発覚すると、雇用保険の手続きで迷惑をかける恐れもあります。

社会保険に加入するには、週の所定労働時間が20時間以上、月額の賃金が8万8000円以上であることが必要です。さらに1年以上の雇用見込みがあり、学生でないことも条件です。

従業員が500人以下の場合は、社会保険の加入について労使の合意を得られている必要もあります。

参考:平成28年10月から厚生年金保険・健康保険の加入対象が広がっています!(社会保険の適用拡大) |厚生労働省

職歴にアルバイト経験を書くポイント

履歴書の職歴欄

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職歴としてアルバイト経験を書くことも可能ですが、アルバイトについて書く場合には注意が必要です。間違った形式で記入すると印象が悪化するだけでなく、トラブルに発展する可能性もあります。

アルバイトであることを明記する

アルバイト経験を職歴に記す場合は、アルバイトであることが明確に分かるように示す必要があります。アルバイト経験である事実を明記しないと、経歴詐称になる恐れがあるため要注意です。

アルバイトの職歴については、会社名に続けて「アルバイト入社」と明記しましょう。短期間のアルバイトを複数こなしていた場合は、「A株式会社 ほか5社にてアルバイト勤務」のような記載方法も可能です。

業務内容でアピールする

アルバイトの職歴だけでは不安に感じる場合は、会社名の1行下に配属部署や職種、業務内容について示しアピールするのも可能です。業務内容についてアピールするためには、具体的に記入しましょう。

業務内容は簡潔にまとめる必要もあります。長々と書いてしまうと履歴書が読みづらくなり、採用担当者は困ってしまいます。具体的な業務内容が伝わるように短くまとめるよう努めましょう。

詳しいアピールは職務経歴書にまとめる

具体的な業務内容については、別紙の職務経歴書に詳細をまとめるのも一つの方法です。職務経歴書は、具体的な業務経験や身につけたスキル・能力について確認するための書類です。

転職活動において、職務経歴書は必須の書類です。応募先から履歴書だけを提出するように指定された場合を除き、必ず履歴書と一緒に提出します。職務経歴書の内容は履歴書と同様に、応募先によって内容のカスタマイズが必須です。

職務経歴書に詳細をまとめることで、履歴書が煩雑になる事態を避けられます。職務経歴書を参照してもらいたいポイントで、「詳細は職務経歴書をご参照ください」と断っておくとよいでしょう。

アルバイトの職務経歴書の書き方

履歴書を記入する

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アルバイトの詳細について職務経歴書にまとめる場合、アピールできる内容が思いつかず困る場合もあるでしょう。職務経歴書の基本的な書き方と、アルバイト経験に関してアピールできるポイントを解説します。

基本的な形式

職務経歴書の役割は、スキルと経験をアピールして、採用担当者から魅力的な人材だと感じてもらうことです。職務経歴に限らず、取得済みの資格や、資格の取得に向けて勉強中であるという情報を盛り込むのよいでしょう。

右上に提出日と氏名を書いた上で、職務要約・職務経歴・業務内容・保有資格・自己PRについて記します。経歴詐称にならないように、全ての会社に関する職務経歴を書きましょう。

仕事に取り組む姿勢をアピールする

業務内容や自己PRの欄には、実際に成し遂げた内容を書くと効果的です。しかしアルバイト経験では、大きなアピールにつながる実績はなかなか見つからないものです。成果を示せない場合は、仕事への取り組み方を書くことでアピールにつながります。

採用担当者は、入社後に責任感を持って働いてくれるのかという点をチェックします。困っている人や忙しい人のフォローや、売上アップのための丁寧な対応を心がけていた場合は、アルバイト経験のみの人でも安心して採用できるでしょう。

仕事中の意識や姿勢をアピールして、入社後も主体的に仕事に取り組む意欲を示すのが重要です。

職歴がない場合のアピール方法

履歴書を持っている女性

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正社員や契約社員、派遣社員のような職歴がない場合でも、伝え方次第で十分にアピールできます。採用担当者の興味を引き、採用に近づくためのアピール方法について解説します。

応募先に合わせた志望動機と自己PR

志望動機や自己PRでは、応募先の企業だからこそというポイントがなければ熱意が十分に伝わらないものです。入社への思いや貢献できる内容を正しく伝えるには、応募先に合わせて業務内容や自己PRの中身を変えることが重要です。

アピールの内容を考える際には、採用担当者の気持ちになってみるといいでしょう。自分が採用側だったらどういった能力や経験を知りたいか想像した上で、応募先の求める人物像に近づけられるように伝え方を工夫します。

ただし、自分の実績や魅力を伝えるに当たり、単なる自慢と受け取られないように注意が必要です。

仕事に役立つ資格やスキルを身につける

職歴がなくても、入社後の仕事に使える資格やスキルをアピールできます。具体的な資格のほかに、学生時代の専攻分野やボランティア活動、特定の分野について長期にわたって勉強を続けている内容が高い評価につながる可能性はあるでしょう。

資格の取得に向けて勉強している途中なら、これまでと今後の頑張りについて示すのも有効です。スキルや資格が特にない場合は、入社後に資格の取得に向けて努力することを、説得力のある言葉で説明するといいでしょう。

自分なりの職歴でアピールしよう

履歴書を見ながら面接する女性

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職歴がまったくなくても、職歴欄を空欄にするのはマナー違反です。アルバイト経験がある場合は、アルバイト経験の記入が可能です。応募先の企業での仕事に関連する経験や、長期のアルバイト経験を優先して書くといいでしょう。

転職活動では、履歴書だけでなく職務経歴書も作成してアピールすることが重要です。応募先に合わせて志望動機や自己PRを工夫し、採用担当者にとって魅力的に映るように心がけましょう。