履歴書の退社理由はどう書く?在職中や退社予定の書き方もチェック

転職活動中、履歴書の職歴欄の書き方や退社理由の書き方に迷うことがあります。採用担当者から重視される部分なので、正しく書けないと印象がよくありません。書き方のポイントや、退社理由を詳しく記載するケースなどを見ていきましょう。

履歴書では「退社」か「退職」か?

履歴書と手帳とペン

(出典) photo-ac.com

職歴には、入社や退社の事実を簡潔に記します。退社と退職には同じ意味があり、どちらを使えばよいか悩むでしょう。職歴を書く際、どちらを使うべきなのか紹介します。

「退職」と書くのが基本

履歴書の職歴欄には、会社を辞めたことを「退職」と書いて表すのが基本です。退社にも同じ意味がありますが、その日の仕事を終えて会社を出る際にも退社を使うので、誤解が生じないように退職と書きましょう。

また、退職という言葉は、会社ではない職場を辞める際にも使用できます。学校や病院などに勤務していた場合も、退職を使う決まりです。会社以外での勤務経験がある人は、入社ではなく「入職」と書く点にも注意しましょう。

退社理由は詳しく書かなくてOK

職歴には詳しい理由を書かず、「一身上の都合により退職」「契約期間満了のため退職」「会社都合により退職」というように、簡潔に記載しましょう。

職歴は職業能力を判断してもらうために記載するので、基本的には詳しい内容を知らせる必要はありません。一身上の都合は「待遇に不満があり退職した」「家族の介護のため」など、自分都合のことです。

派遣社員や契約社員が契約更新せずに辞める場合は、契約満了のため退職と表現します。会社都合を使用するのは、リストラや倒産などで辞めざるを得ないときです。

本当の退社理由を知られたくないからといって履歴書に虚偽の情報を記載すると、経歴詐称に問われるので必ず正しい情報を書きましょう。

まだ仕事を辞めていない場合は?

複数枚の履歴書

(出典) photo-ac.com

退社することを決意し、仕事を辞める前に転職活動を始める人もいるでしょう。まだ仕事を辞めていない場合の、職歴欄の書き方を紹介します。

在職中の書き方

職歴欄は履歴書を提出する時点での状況によって、書き方を変えます。仕事を辞める前に転職活動を開始する場合、職歴欄には「在職中」もしくは「現在に至る」と書きましょう。

【例】

2020年4月 株式会社○○ 入社
営業部営業課に所属 新規開拓の提案営業
在職中(or 現在に至る)
                 以上

退職は、過去に勤めていた会社に対して使用します。書き方を間違えると、採用担当者が「この人を採用すれば、すぐにでも働ける」と誤解されるでしょう。

退社日が決まっている場合の書き方

会社に退社の意思を伝えていて、退社日が決定している状態で転職活動をすることもあります。職歴欄には、以下のように書きましょう。

【例】

2020年4月 株式会社○○ 入社
営業部営業課に所属 新規開拓の提案営業
在職中(退職予定日:○年○月○日)
                 以上

採用担当者は応募者がいつから働き始めることができるのか、関心を持っています。退社予定日が、分かっているなら知らせた方が親切です。

人手不足で素早く人員を確保したい企業は、「少しでも早く働ける人」を採用したいと思っています。状況次第では、有利な立場になれるところがメリットです。

退社理由を記入した方がよいケースと例文

履歴書とペンと手

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職歴欄の退社理由は簡潔に記入しますが、より具体的に書いた方が印象がよくなる場合があります。退社理由を書いた方がよいケースを見ていきましょう。

転職の回数が多い

頻繁に転職していると「採用してもまたすぐに辞めてしまいそう」と思われるので、理由を補足しましょう。納得できる理由があって転職していると分かれば、安心してもらえるはずです。

【例】

2016年4月 株式会社○○ 入社
2019年6月 株式会社○○ 病気療養のため退職
2020年7月 株式会社○× 入社
2022年6月 株式会社○× キャリアアップのため退職

退社理由に関する質問をされたときに備え、より具体的に返せるように準備しておきましょう。キャリアアップが目標なら、どのようなキャリアを思い描いているのか、的確に答えられた方がアピールになります。

在職期間が短い場合も、トラブルメーカーや飽き性といったイメージを持たれないように、退社理由を書いておいた方がよいでしょう。

仕事から離れている期間が長い

仕事から離れている期間が長くなったときも、退社理由を書きましょう。退社を決意してから再就職するまでは、2~3カ月程度の時間がかかる場合が多く、半年以上の空白期間があったときは理由を尋ねられるのが一般的です。

空白期間が長すぎると、「何をして過ごしていたのか?」「社会復帰できるのか?」といった不安が付きまといます。

職歴欄に「資格取得に向けた勉強をするため」「病気療養に集中するため。現在は完治し勤務に差し障りなし」などの補足を加えた方が丁寧です。読む側の立場になって、分かりやすく書きましょう。

業種・職種を頻繁に変えている

前職と関連性がない業種・職種に転職する頻度が高いと、キャリアビジョンを持たずに働いていると思われます。

職歴を通じて、どのようにキャリアを重ねようとしているのかが見えてこないと、長期的な目標を設定しクリアするための努力をしていないと判断されるでしょう。経験してきた職種のスキルが、中途半端なのではないかと疑われる原因にもなります。

明確な理由があって転職しているなら「プログラミングのスキルを身に付けるため」「エンジニアに転身するため」というように、理由を簡潔に記載しましょう。

適切な履歴書で自信を持って応募しよう

履歴書と封筒

(出典) photo-ac.com

履歴書では退社ではなく、退職を使うのが一般的です。退社理由を明らかにしないまま履歴書を書くと、採用担当者の疑問が大きくなります。

退社から再就職までの期間が長かったり頻繁に転職したりしているなら、納得してもらえるような説明ができないと、印象が悪くなってしまうでしょう。

転職活動では必ず退社理由をチェックされるので、自信を持って分かりやすく伝えられるように準備することが大事です。

小寺良二
【監修者】All About キャリアカウンセラー/起業・経営ガイド小寺良二

若者の就職支援を専門とするキャリアカウンセラー。アメリカの大学を卒業後、アクセンチュアを経てリクルートに入社し100社以上の新卒・中途採用のコンサルティングを経験。独立後は採用と就職活動の双方を知る「若者就職支援のプロ」として官公庁や人材企業の若年就労支援プロジェクトに携わる。全国の大学で教員やキャリアカウンセラー向けの研修を行うなど、若者支援者の養成にも力を入れている。
All Aboutプロフィールページ

著書:
美文字履歴書の書き方&マナー