主に就職活動の採用面接で、面接官から特技を尋ねられることがあります。答えられるようにしておくことで、面接でより良い印象が与えられることもあります。特技がない場合の見つけ方や、答え方のポイントを紹介します。
転職活動で特技がないと困る理由
職務経歴を中心に面接をする転職活動に比べて、新卒としての就職活動は履歴書だけでの面接も多いため、項目の中にある「特技」も面接で注目されることがあります。
面接官は、特技を聞くことで何を判断したいと思っているのでしょうか。
人柄やその人の強みを知りたい
面接官は応募者がどんな人物であるかを掘り下げ、自社でうまくやっていけるかを知りたがっています。特技は、学生時代にがんばってきたことなどの経験以外から、その人の人柄や強みを知るきっかけになる情報です。
多くの企業では特技の内容から、応募者の仕事への適性や個性を探ろうとしています。「特技がない」と答えてしまうと、アピールする機会が減り、もったいないです。
面接で会話を弾ませるきっかけとして
面接官は特技や趣味について尋ねることで、応募者の好きなことを話してもらいリラックスさせようとすることもあります。
会話が弾んで素の部分を見せた結果、自社との相性がよいと判断されれば有利です。特技は採用の可否を左右するほどの重要な項目ではなく、志望動機や自己PRに比べれば簡単に答えやすい質問といえます。
あまりにも緊張しすぎていると、面接がうまく進みません。緊張をほぐす目的もあると考え、気負わずに答えるようにしましょう。
特技がない場合の対処法
面接で答えられるような特技がない場合、何を伝えるべきか悩んでしまいますが、対処法はあります。どうすればよいのか、チェックしましょう。
特技欄のない履歴書を利用する
履歴書の書式はさまざまなので、必ずしも特技を書く欄があるとは限りません。特技がない人は、特技を書く欄がない履歴書を利用する方法があります。
どうしても特技を書きたくない人は、特技欄がないものを選びましょう。ただし、書類選考の際は問題なくても、面接のときに特技について質問される場合もあるので、答えを用意しておかなければなりません。
特技と聞くと特別な能力のように思ってしまいますが、あまり難しく考えずに何が得意かを考えてみましょう。
「特になし」は避けて特技を探す
履歴書には空欄はNGです。特技がないからといって「特になし」と書いてしまうと、やる気がない印象を与えます。面接で特技を尋ねられたときも、答えに詰まってしまうとよい印象を与えられません。
面接でよい印象を与えたいのであれば、何かしらの特技を答えられるように準備すべきです。特技と聞くと華々しいものを想像しがちですが、日常の中で何気なく続けていることも特技になり得ます。
趣味としてずっと続けていることが、特技である場合も少なくありません。自分では気付いていないだけで、既に特技を持っている場合は多いので探してみましょう。
特技の見つけ方
特技がないと思い込んでいる人であっても、コツをつかめば何が得意なのかを見つけるのはそれほど難しいことではありません。特技の見つけ方をチェックしましょう。
日常で苦にならないことは何か探す
特技と聞いて、ほかの人にはない特別な能力を思い浮かべる人が多いですが、誰よりも優れているものを探す必要はありません。自分の中で、得意だと感じるものを探せばよいのです。
早寝早起き・整理整頓・料理など、日常生活の中で苦にならずに続けられることは、特技だと答えてよいでしょう。
規則正しい生活ができる人は、自己管理が得意だと言い換えられます。整理整頓が特技の人はきちょうめんに仕事を進められるので、どんな企業でも重宝される傾向です。
自炊しているのであれば、料理が得意だと言い換えられます。日々の掃除であっても、素早く終えるためにしている工夫を掘り下げて考えることが大事です。日常で得意なものを思い浮かべて、どんなやり方をしているか書き出してみましょう。
人に比べて簡単にこなせるもの
特技を探すときは、人と比べて簡単にこなせるものを探すのも1つの方法です。自分の中では大したことがないと思っていたとしても、他人から見ると、十分に魅力的な特技である場合が少なくありません。
「人の名前を覚えるのが得意」「長距離を歩いても疲れない」など、自分にとっては当然のことでも、できない人から見れば十分に特技なのです。
ほかの人が苦労している場面で、簡単にできているものがあれば、それが特技です。自分では何の役に立つか分からないと思っているものでも、特技になり得る可能性があるので、よく考えてみましょう。
趣味の中から見つける
趣味と特技の違いは得手不得手に関係なく、好きでやっているかどうかです。趣味は得意なことです。単純に好きでやっているものは趣味に該当しますが、長く続けている趣味は特技である可能性が高いでしょう。
中でも、生産的な趣味は特技に発展しやすいでしょう。例えば、「読書が趣味で、書評を書くのが得意」「手芸が趣味で、手先が器用」というように、趣味と特技に関連性があるケースは珍しくありません。
ただ趣味を楽しむだけでなく趣味として何かをした結果、得をしていることや他人に影響を与えていることはないか探してみましょう。
例えば、趣味で撮影した写真をSNSなどにアップロードしほかのユーザーに楽しんでもらっているという程度のことでも、人を喜ばせることが好きな人柄が伝わってきます。写真が特技だといっても問題はないでしょう。
履歴書の特技欄の書き方
ここからは、見つかった特技を、履歴書にどのように書けばよいのか見ていきましょう。
結論から書き具体例で補強する
キーワード以外も書くことができるスペースがある場合は、履歴書のほかの項目を書く際と同様に、結論から始めて具体例を書きます。普段の自分の姿をイメージしてもらえるような具体例や、客観的に程度がわかる表現をできる限り入れてみましょう。
【例】
- 料理が得意です。冷蔵庫の中にあるものや安売りの食材を組み合わせて、お金をかけずにおいしいものを作れます
- 特技は人の名前をすぐに覚えることです。アルバイト先に30名ほどメンバーがいますが、勤務をはじめて1週間で関わる人の名前は全て覚えました。
- バレーボールが特技です。小学校のころから地元のジュニアチームに所属し、現在は社会人のバレーボールサークルに所属して地域のリーグで準優勝しました。
簡潔に書くことを意識する
特技でアピールしようと思うとつい長々と書きたくなりますが、要点を押さえて簡潔に書いた方がより印象に残る内容にできます。
特技をあれこれと書いてしまうと、どれが一番の特技なのか分かりません。最も自信のあるものや、仕事への関連性が深いものを1つに絞って伝えるようにしましょう。
絞り切れない場合は、営業職ならコミュニケーション能力や体力などをアピールするというように、希望の職種をうまくこなす上で役立ちそうなものを書きます。
特技を過剰に盛らない
特技でもアピールしようとしすぎて、間違ったがんばり方をしてしまう場合があります。やってしまいがちなNG例を見ていきましょう。
うそは書かない
印象をよくしようとして、ありもしない特技を書くのはやめましょう。少しくらいのうそはバレないと考えがちですが、面接官は多くの応募者を選別してきた経験があるので、うそは簡単に見抜けます。
偽りの特技では掘り下げた質問をされたときに答えられず、うそを上塗りすることになり面接で自分が焦ることになります。
履歴書全体との一貫性を大切にする
あまり神経質になりすぎる必要はありませんが、自己PRや長所などと矛盾する特技を書くと、あなたのキャラクターがよくわからなくなります。例えば、自己PRで協調性があることをアピールしたのに、特技で単独行動が得意だと書けば矛盾してしまいます。
各項目の内容を充実させようと考え過ぎてしまうと、全体を通して一貫性がなくなっている可能性があるので、注意しましょう。
特技を伝えられるように準備しておこう
特技も、面接で良い印象を残す項目の一つです。特別に優れたものでなくても構わないので、何が得意なのか自信を持って伝えられるように準備しておきましょう。
特技がない人は、日常的に行っていることや趣味の中などから特技が見つかるので、探してみることをおすすめします。
選考の際に特技の内容そのものが重要視されることは少ないですが、できるだけ仕事への関連性があるものを選んだり、簡潔に要点を押さえて書いたりすることが大事です。
特技に関する質問への受け答えも練習しておきましょう。
採用コンサルタントおよび現役人事。慶応大学卒業後、東証一部上場企業2社で人事を担当。20代で独立し企業の採用コンサルティングを行う傍ら、個人の面接指導やキャリアコンサルティングに従事。書籍、雑誌、テレビなどメディアに出演。現在はキャリアコンサルタントおよび企業の人事責任者として、個人側・企業側双方の立場から、心も経済的にも豊かなキャリアを描くための支援を行う。
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