営業職は自社のサービスや商品の魅力を伝え、顧客を獲得するための重要な役割を担っています。企業になくてはならない存在であり、その反面プレッシャーやストレスも大きい仕事です。それが故に営業を辞めたくなるときもあるでしょう。そんなときの対処法や、解決法などをチェックしましょうお伝えします。
営業職を辞めたいと感じてしまう理由
仕事を辞めたくなる理由は人それぞれです。営業職を辞めたいと感じる人に多い理由として、どんなものがあるのか見ていきましょう。
ノルマへのプレッシャー
営業職はノルマがあるのが一般的です。目標の数字をクリアするために、大きなプレッシャーを感じるケースも珍しくありません。
適度なプレッシャーやストレスがよい刺激になれば問題ありませんが、明らかに無理のあるノルマだとやる気を失ったり大きな精神的負担を感じたりして、営業を辞めたいと感じます。
ノルマが妥当か判断できない場合は、ほかの人のケースや部署全体の成長率などをチェックしましょう。ノルマがきつくても達成できている人の話を聞くことで、自分のノルマが妥当なものだと納得でき、かつ頑張るモチベーションが湧いてくるかもしれません。
部署全体の成長率が落ち込んでいるのに、あまりにも高いノルマを課せられているのであれば、無理がある設定になっている可能性が高いでしょう。
仕事の進め方に自信が持てない
顧客や取引先とコミュニケーションがとりづらいと感じていたり、思ったような成果を出せなかったりすると、仕事の進め方に自信を持てず営業を辞めたいと感じます。
例えば、顧客からのクレームやトラブルなどが多いと「自分の営業力がないせいだ」と自分を責めて、自信を失う原因になったりします。
自信がない状態だと業務に対して後ろ向きになったり、エネルギーを十分注げないが故に、さらなる失敗を招いて自信をどんどん喪失していく、といった悪循環に陥ります。
そして、失敗を必要以上に恐れて営業行動が鈍化し、たりスランプに陥った結果、営業を辞めたい気持ちが強くなります。立ち直るには仕事のやり方を見直し、自信を回復させることが大事です。
待遇への不満
「給与に満足できない」「残業時間が長い」「休みがないなど」の待遇への不満も、営業職を辞めたくなってしまう理由の1つです。業務量や成果に見合わない給与しかもらっていない場合、大きな不満を感じやすいでしょう。
ふとしたことから他社の営業職の給与を知り、あまりの違いに辞めたくなったという人もいるかもしれません。会社と交渉して給与が上がればよいですが、昇給が絶望的な場合は転職も視野に入れていいでしょう。
十分な営業力があり売り上げに貢献しているなら、転職で待遇面の問題が解決する可能性は高いといえます。スタンバイでは多くの求人情報を扱っているため、ニーズに合ったものがきっと見つかります。
営業を辞めたい気持ちへの対処法
営業を辞めたい状態が続くと、仕事への集中力を欠いたり後ろ向きな気持ちになったりしがちです。何とか乗り越えたいと思っているなら、辞めたくなったときの対処法を押さえておきましょう。
辞めたい理由を全て書き出し特定する
まずは、なぜ営業職を辞めたいのか、思い付く限りの理由を全て書き出してみましょう。小さな理由でも構わないので、自分の本心を残さず吐き出すことがポイントです。
全て書き出したら、最も問題だと感じる理由の順に番号を振ります。上位に入ったものが、営業を辞めたい気持ちにさせている大きな原因です。理由ごとの対処法を試し、解決策がないか探っていきましょう。
もし下記のような理由が上位にある場合、自分の努力では解決が難しいと考えられます。
- 給与が低い
- 異様に厳しいノルマを課せられる
- 通勤時間が長い
人間関係の不満は多くの職場で付きまとう問題です。転職したとしても、人間関係の悩みはゼロにはならないでしょう。したがって、この種の問題に対しては、自分の考え方を変えるなどして何とかできないか対処することをおすすめします。それでもどうにもできないと感じるのであれば、転職も視野に入れましょう。
異動を願い出る
会社自体に問題がなく待遇にも不満を感じていないなら、安易に会社を辞めると後悔する可能性が高いといえます。異動希望を出し、希望の部署に配属してもらえないか試してみましょう。
もともと営業職がやりたくて、今の会社に入ったわけではない人もいるはずです。会社の判断で配属が決まるので、誰もが希望の部署で活躍できるわけではありません。
会社側からすると、やる気が出ない仕事を無理に続けさせるよりは、可能なら本人の希望をかなえたいと思うしょう。
ただし、希望を出したからといって必ずしもすぐに実現するわけではなく、気長に待つ姿勢が求められます。
ほかの職種に転職する
営業職そのものが向いていないと感じたり、自分がやりたいこととずれていたりする場合もあります。努力で解決できない問題がある場合は、営業職以外への転職も視野に入れましょう。
やりたい仕事がはっきりしているなら、我慢して営業職を続けるのはもったいないですし、ほかの職種で力を発揮できる可能性も残されています。
異動願いを出してもかなわない状態が長く続いており、よい条件の求人情報と出会えたのであれば、タイミングを逃さないように転職を決意してもよいでしょう。
理由ごとの解決方法
営業を辞めたい理由がはっきりしたら、解決方法を探っていきましょう。理由に応じた解決方法を紹介します。
人への接し方や仕事のやり方を変える
仕事の進め方や人間関係に問題を感じている場合、人への接し方や仕事のやり方を変えると状況が好転する場合が少なくありません。
営業は社外のみならず、社内においてもコミュニケーションが多い仕事なので、営業職は人間関係に悩まされやすいといえます。人間関係がうまくいくようになれば、仕事がスムーズに進むようになる確率が高まります。
自分から接し方を変えると、相手の行動も変わります。こちらからの思いや要望を伝えるだけでなく、相手が何を求めているのかを知るためのヒアリングを怠らないことも大事です。
人間関係に問題はないのに仕事がうまくいかないと感じる場合、上司や同僚などからアドバイスを受ける方法もあります。よい成績を上げている同僚のやり方を研究し、取り入れてもよいでしょう。
自分に合った商材・手法に変える
営業を辞めたい理由を追求した結果、営業職を続けたいのにうまくいっていないと感じるのであれば、商材や手法が自分に合っていない可能性も考えてみましょう。
他社の商材との差別化が難しかったり、今の営業スタイルが自分に向いていなかったりすることが原因でうまくいかない場合もあります。例えば、新規営業が合っていない場合、ルート営業を選ぶとうまくいくようになるかもしれません。
無形商材より有形商材の方が向いている可能性もあるでしょう。商材や顧客層が合わないと感じる場合は、どんな商材や顧客なら満足なのか突き詰めて考えてみることが重要です。
キャリアプランを明確にする
営業職を続けていても将来が見ず不安に感じたり、何のために続けているのか分からなくなっている場合、キャリアプランを明確にしましょう。
入社当時の目標が現在の状況と大きくずれてしまっている場合もあるので、目標やなりたい姿を定期的に見直して修正する必要があります。
同じ営業職であっても、キャリアプランは1つではありません。マネジメント職を目指すのか、企画や商品開発職を目指すのかによっても、現在の自分に足りないスキルが見えてきます。
目標が明らかになると仕事への取り組み方が分かり、意識を変えるきっかけになるでしょう。他業種や他業界へ転職するにしても、キャリアプランが曖昧だとこれまでの経験を生かせない選択をしてしまう可能性があるので、注意が必要です。
営業職を辞める判断のポイント
悩んでいる状態で営業職を辞めると、後悔する原因になりかねません。ここでは、辞める・辞めないを判断するポイントを見ていきましょう。
努力し尽くしたと感じているか
営業職を続けるために、やれる努力は全てしたという気持ちが大きいなら、辞める判断をしても後悔しないでしょう。辞めた後に後悔する人や未練が残ってしまう人は、努力が足りていないケースが少なくありません。
辞めてから「もう少し努力すべきだった」と思っても後の祭りです。悔いを残さないように、在籍中にやれることは全てやるようにしましょう。
目標や人生のプランがはっきりしているか
キャリアプランを見直して今後の目標がはっきりとした結果、ほかの会社や職種への転職が必要だと感じたなら、転職の機会が訪れたということです。
無理に今のポジションのまま営業を続けていても、実りが少ないと感じるのであれば、思い切って新しい道に踏み出しましょう。
在職中に、転職に必要なスキルや資格などを取得してから転職する方法もあります。スムーズに転職できるとは限らないので、計画を立てて準備を進めていきましょう。
営業経験を生かせる職種
検討した結果、転職を決意した場合は、営業経験を生かせる職種を選ぶとスムーズです。ここからは営業職での経験を役立てられる職種を見ていきましょう。
営業事務
営業事務は営業職をサポートする仕事です。営業職を経験している人であれば、どんなサポートが必要とされているのか理解しているので、仕事を進めやすいでしょう。
営業職を経験しているだけに、チームの一員という意識を持ちやすいところもポイントです。自分が活躍するよりも、誰かを手助けすることに充実感や満足感を得られる人におすすめです。
外回りよりも書類作成や電話対応などの事務作業が好きなのであれば、楽しんで続けられるでしょう。
販売職
販売職は「人にものを売る職業」という点では、営業職と同じといえます。商品を求めて来店する顧客に、直に接客する特徴があります。店舗に勤務し接客販売をするので、自分で顧客を探す必要がない点が営業職との違いです。
うまくこなすには接客力が求められます。営業職で培ったコミュニケーション能力やビジネスマナーを生かせる仕事であり、親しみやすさや話しやすさなども重要な要素です。
人と接するのが好きで営業職を選んだ人であれば、向いている可能性が高いでしょう。また、扱っている商品への知識や思い入れなども必要となります。心から好きなブランドや、商品がある人にとってうってつけな仕事です。
マーケティング
マーケティングはサービスや商品を売る仕組みを作るために、顧客や市場の分析をします。立案能力や視野の広さが必要とされる仕事です。
営業のように直接売り込みをするわけではありませんが、どうすればサービスや商品が売れるのかを考えたり、社内外を問わず様々な人と話す機会があります。そういう点で観察眼やコミュニケーション能力など、営業職での経験を生かせる部分があります。
自由裁量の余地が大きい反面、少数のチームで仕事に取り組むケースが多く、自分の頑張り次第で事業がうまくいくかが左右されます。プレッシャーは決して小さくはありませんが、やりがいは大きいといえるでしょう。
転職に踏み出す前にじっくり考えるのが大事
営業を辞めたい気持ちになったとき、自分の努力でどうにもならない理由で辞めたいのか、自力でなんとかできる部分があるのか、しっかりと見極める必要があります。
努力した上でどうにもならないのであれば、環境を変えることで成功する可能性がありますが、努力が嫌で辞めてしまうとほかの仕事に就いてもうまくいかない可能性が高いでしょう。
ほかにやりたいことがあり、キャリアプランに合わなくなってきたという理由であれば、転職した方がうまくいきやすいともいえます。会社自体を気に入っている場合は、ほかの部署に異動を申し出る方法もあるので、じっくりと考えてから行動しましょう。
大阪大学大学院修了。リクルート在籍時は部門初のMVPに2度輝くなどトップ営業として活躍。2003年にマーキュリッチを創業し一部上場企業の経営者から新人まで対象層は幅広く、顧客数は300社超。著書は「5分で売れる! 営業ノウハウ」「営業力がUPするプレゼン術」等12冊、計21万部のベストセラー作家。
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