休職はデメリットだけじゃない?メリットや転職活動のコツを解説

病気やケガの治療で休職すると、キャリアに影響するのではないかと不安になる人もいるでしょう。しかし無理に働いてもよい結果にはなりません。休職についての注意点や、休職経験者が転職活動する際のポイントを紹介します。

休職するデメリット

パソコンを前に考え事をしている女性

(出典) photo-ac.com

病気やケガをしてしまっても、休職でキャリアに傷がつかないだろうかと決断できずにいる人も多いかもしれません。休職にはどのようなデメリットがあるのか、詳しく見ていきましょう。

収入が減ってしまう

休職するとまず心配されるのが、収入が減ってしまうことです。休職期間中の給与の支払いに関しては企業側に法律上の義務がないため、休職中の社員には給与が出ないという企業も多いようです。

ただし、給与は支払われなくても、健康保険や厚生年金などの社会保険料は引き続き毎月発生します。通常は給与から天引きされますが、給与がストップしている間は天引きしてもらうことができません。

そのため、自己負担分の社会保険料を自分で会社に支払う必要があります。収入がなくなり社会保険料の支払いは続くとなれば、金銭的に苦しくなる可能性があるでしょう。

キャリアや昇進に影響する可能性がある

休職中は仕事の成果を出せないため、昇進が遅れたり休職をネガティブに捉えられて人事評価が下がったりなど、キャリアに影響することもあります。

ただ、休まなければならない状態で無理に仕事を続けてしまうと、長期的に見てキャリアを築きにくくなるケースもあります。一度休職して、体調を回復させることがキャリアのためにもよい可能性は頭に入れておきましょう。

企業によっては体調不良による休職を理解して、復職後に公正に評価してくれるところもあるので、キャリアプランを立て直すことは十分可能です。もし復職後に評価が下がってしまったら、転職して新たなキャリアを築くという道もあります。

病気で休職制度を利用する際の注意点

休職届

(出典) photo-ac.com

体調に問題があって休職する際は、いくつかの注意したいポイントがあります。休職期間中のトラブルを防いでスムーズに復職するためにも、休職前の注意点を解説します。

休職中も会社と連絡を取れるように

休職中であっても、職場と連絡を取れる状態は維持しておきましょう。定期的に連絡することを義務付けられていなくても、病気やケガであれば状態についてできるだけ小まめに伝えておくことが大切です。

会社とコミュニケーションを取っていれば、復職したいときもスムーズに進めやすくなります。月に1~2回のペースで連絡できるのが理想です。ただ、対応が難しい状態ならば様子を見つつ連絡を取りましょう。

会社へ連絡をする際は、複数の人とやり取りをすると話が食い違う可能性もあります。双方の負担を軽くするためにも、連絡先の窓口は可能であれば1つに決めてもらった方がよいでしょう。

復職の際は医師の診断書が必要

体調が回復して復職できるようになったら、会社に復職を申請します。申請に当たっては、復職できるまで回復したことを証明する医師の診断書が必要です。

診断書から企業が復帰の可否を検討し、可能と判断されれば復職への手続きを進めていきます。

産業医が常駐している場合は産業医とも連携し、復職後の業務内容の見直しや就業上の配慮を含めたさまざまな支援プランを作り、最終的な職場復帰を決定するのが基本的な流れです。

産業医は、従業員の健康状態について相談を受けることはあるものの、診察や診断を行う診療所や病院の医師とは役割が異なります。復職申請における診断書は、原則として主治医に書いてもらいましょう。

参考:心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き|厚労省

休職にはメリットもある

ベッドで休んでいる男性

(出典) photo-ac.com

休職にはデメリットばかりではなく、よい点もあります。メリットとデメリットを比較して、どちらが自分にとってベストな選択なのかを考えましょう。

仕事を気にせず療養できる

仕事を忘れて治療に専念できるのが、休職の大きなメリットといえるでしょう。ケガや病気・メンタル面での不調など、どのような症状であっても無理して働き続ければ、病状の悪化や長期化につながる可能性があります。

仕事を続けながら改善に努めるとなれば、体力的にも精神的にも負担が大きくなってしまうでしょう。通院がある場合はそのたびに欠勤しなければならず、個人はもちろん組織全体の業務に支障を来してしまうかもしれません。

一度仕事から離れて療養に集中することが、自分にとっても職場にとってもベストな選択肢になるケースは少なくありません。

心理的・時間的な余裕を持てる

気持ちや時間に余裕を持てるようになることも、休職するメリットの1つです。忙しすぎると何を改善すべきか考える時間がないため、ただ毎日の業務をこなすだけで解決につながらない可能性もあります。

仕事の負担を減らしてもらえるように頼んでも実現しない場合は、思い切って休職するした方が余裕を持てるでしょう。

また、休職期間は回復後の働き方を考え直してみる機会にもなります。状況にもよりますが、キャリアアップのために資格を取る勉強をしてみるのもおすすめです。

条件を満たせば傷病手当金が給付される

ケガや病気が理由で休職すると、加入している健康保険から傷病手当金が給付されます。傷病手当金とは、病気療養で会社を休み給与の支払いを受けられなくなった被保険者やその家族の生活を保障する手当です。

傷病手当金は、以下の項目4つを全て満たしている場合に給付されます。

  • 業務以外の理由による病気やケガの療養に当たるために休職している
  • 仕事に就けない状態である
  • 連続する3日間を含む4日以上仕事に就けなかった
  • 休職中に給与の支払いがない

これらの条件を満たしていれば、会社を休んで4日目から支給されます(3日間は待機期間)。支給期間は支給開始日から通算して最長1年6カ月までです(支給開始日が2020年7月2日以降の場合)。

参考:病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)|全国健康保険協会 協会けんぽ

休職は転職活動に不利?

履歴書

(出典) photo-ac.com

休職を検討している人の中には、元の職場には復帰せず転職することを考えている人もいるかもしれません。休職経験があると転職に不利なのでしょうか?休職経験者にとっての転職活動について、詳しく解説します。

休職の理由によっては不利になる

休職が転職に不利かどうかは、休んだ理由によって変わります。不利になりにくいのは、留学や勉強のためなどポジティブな理由だったり、事故によるケガや急病のようにやむを得ない事情があったりする場合です。

メンタルの不調が理由の場合、転職先によっては不利になるケースもあるかもしれません。特にまだ回復しきっていない状態で転職に臨むと、継続できるか不安に思われるリスクが高いでしょう。

他にも家族の介護・育児などで入社後も実務に影響が出る可能性が高い、モラルを疑われる内容の訴訟があったという場合も不利になりやすいケースです。

仕事に支障がないことを伝えよう

休職が不利になる可能性を恐れて、転職時に休職していたことを隠したりごまかしたりするのは避けましょう。隠すのではなく、ネガティブな印象を与えないために伝え方を工夫することが大切です。

病気療養の休職で病状が回復しているのであれば、理由と現在は問題がないことを正直に答えましょう。すでに完治・寛解していて業務に支障がないと伝えれば、採用担当者の不安も取り除けます。

事実をきちんと伝えた上で採用してくれる企業の方が、入社後も安心して働きやすい職場といえるでしょう。

休職中に転職活動するリスク

ネクタイを締める男性

(出典) photo-ac.com

休職しているときは、今後の不安から早めに転職活動を始めたくなるかもしれません。しかし、基本的に休職中の転職活動は避けた方が無難です。その理由を見ていきましょう。

在籍中の職場でトラブルになる可能性あり

休職中に転職活動をしていたことが、現職の職場に知られる可能性は大いにあります。病気療養で休んでいるはずなのに職探しをしていたという事実が分かってしまうと、不信感を持たれることにもなるでしょう。

もし転職活動がうまくいかず現在の職場に復帰したいと思っても、隠れて転職していたことで復職が難しくなったり復職後の人間関係に影響が出たりするかもしれません。就業規則の内容によっては、何らかの処分を受けることも予想されます。

転職先に休職中だと分かってしまうケースも

休職を隠していても、入社時の手続きで転職先に分かってしまうことがあります。転職する際は前職の源泉徴収票を提出することになっているためです。

給与額が極端に少なかったり、そもそも給与が支払われていなかったりすると、休職していたのではないかと疑われることになるでしょう。

住民税が引かれるタイミングで、休職が発覚するケースもあります。住民税は前年度の所得に課税されるため、休職中で給与が支払われていないと納税額が少なくなります。そこから申告していなかった休職を疑われるかもしれません。

虚偽の申告をしていたことが内定後や入社後に判明すると、内定取り消しや解雇のリスクもあることに注意が必要です。休職中の転職活動は避け、休んでいた期間があることは応募書類や面接でしっかり伝えましょう。

休職経験者が転職を成功させるポイント

スーツの女性

(出典) photo-ac.com

休職経験者でも転職はできます。転職を成功させるため重要なのは、適切なタイミングで転職活動を始めることと、自分に合った方法で転職先を探すことです。

2つのポイントについて具体的に説明していきましょう。

休職期間が終わってから転職活動を始める

病気が理由の休職なら、治療が終わり健康な状態に戻ってから転職活動を始めましょう。勝手に回復したと判断せず、主治医の診断をもらい休職期間が終わってから始めることが必要です。

焦って転職しても、新しい職場環境や仕事内容へのストレスや忙しさよって状態が悪くなってしまう可能性もあります。まずは治療・療養に専念し、完治させることが大切です。

また、治療や療養が必要ない状態でも、休職中の転職活動が現職・転職先に分かってしまったときのリスクを考えれば、休職期間が過ぎてから転職活動を始めるのが賢明でしょう。

求人サイトを使って積極的に活動する

転職先を見つけるには、転職に強い求人サイトで探してみましょう。求人サイトのメリットは、自分のペースで自由に転職活動できることです。

転職エージェントを利用するという方法もありますが、理由によっては休職経験がある人の登録を断られるケースもゼロではありません。求人サイトを中心に、自分で探すのがおすすめです。

時間を気にせず求人検索できたり、1つの業界や業種に限らず幅広い分野の企業をチェックしたりと、誰にも気兼ねせず自分に合った転職先をじっくり探せます。

スタンバイ|国内最大級の仕事・求人探しサイトなら

休職中は療養に専念して次のステップに備えよう

リラックスのイメージ

(出典) photo-ac.com

病気やケガなどの不調で仕事をするのが難しくなってしまったときは、無理に仕事を続けるより思い切って休職した方がよいケースもあります。

金銭面の不安やキャリアへの影響などのデメリットと、自分の状況にとってのメリットを比較してベストな選択をしましょう。

休職期間が終わった後に復職せず転職を考えているなら、活動は完全に回復してからでも遅くありません。しっかり仕事に取り組める状態になり、現在の職場と円満に離れられる状態になったことを確認してから動きましょう。