入社後にしたいことの答え方は?注意点やOK・NG例文を紹介

「入社後に何をしたいですか」と聞かれときに、答えが何も思い浮かばないという人は少なくないでしょう。面接を成功させるには、質問の意図を理解してしっかり答えられるよう準備しておくことが大切です。答え方のポイントや、OK・NGな例文を紹介します。

入社後にしたいことを面接で聞く理由は?

面接の様子

(出典) photo-ac.com

面接では「弊社に入社後、何をしたいですか?」のように聞かれることがよくあります。企業側がこのような質問をするのは、いくつかの理由があるからです。

理由が分かれば、適切な答え方も導き出せます。まずは、どのような意図があるのか、具体的に見ていきましょう。

事業や業務の内容を理解しているか知るため

入社後にしたいことを聞くのは、応募者が自社の事業内容や募集している業務内容を、理解できているか確かめるためです。

応募者がどの程度自社のことを調べてきているかを、チェックする面接官は少なくありません。「会社のイメージがよいから」という理由だけで応募している場合、採用した後で会社の方針と合わない人材だったというケースもあるからです。

事業や業務内容をしっかり把握した上で応募している人材であれば、勝手な思い込みもないため、ミスマッチも起こりにくくなります。

志望度の高さを確かめるため

自社への志望度の高さを確かめるために、質問してくることもあります。志望度の高さは、採用を決める際の基準の1つにもなっているためです。

応募者が複数の企業の面接を受けていることは、会社側もある程度予想しています。自社への志望度が低い応募者の場合、内定を出しても辞退されるのではないかと考えて、不採用とすることも珍しくありません。

しっかり企業研究していることがうかがえる回答であれば、志望度が高いと判断され、採用を決める際にプラスとなる可能性もあるでしょう。

仕事への意欲や価値観を知るため

仕事に対する向き合い方やビジョンはやる気だけでなく、応募者の人間性や価値観を判断する材料にもなります。

中途採用の場合、入社後に即戦力となる人材を求める企業が多いため、仕事への意欲を知ることは重要なポイントです。

また、人間性や価値観が分かれば、自社の社風と合っているかどうかを見極めることもできるでしょう。スキル・経験があるだけでなく、ほかの従業員と良好な関係性が築ける人材かどうかも、採用基準の大切なポイントです。

具体的な業務についての言及があれば、入社後の配属先まで考える要素にもなるでしょう。

入社後にしたいことを聞かれたときの答え方

面接で受け答えをする女性

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「入社後に何をしたいか」に対する答えは、志望動機にもつながるものです。しっかり答えることが、面接を成功させるためのカギになります。

しかし突然聞かれると、何と答えてよいか分からない人も多いのではないでしょうか?面接の場で慌てないように、適切な答え方を知っておくことが大切です。

業務内容について具体的に触れながら答える

応募先の会社の事業内容や募集職種の業務内容を挙げながら、自分がどう取り組んでいきたいかを具体的に伝えましょう。漠然と「頑張りたい」といった答えでは、曖昧すぎて面接官の印象に残りにくいものです。

【例文】

「子どものころからずっと御社の主力製品であるクレヨンのファンでした。小さい子どもでも扱いやすいよう握りやすさや発色にこだわって作られたクレヨンを、より多くの店舗で販売できるよう営業として貢献したいと思ってます。

店舗への営業に力をいれるのはもちろん、子どもたちがクレヨンを使ってお絵描きを楽しめるような販促イベントも企画していきたいです。」

業務内容について答えるのであれば、その業務によってどのように会社に貢献したいのかを、業務の特性に合わせて具体例を挙げながら答えることがポイントです。

 

自分の強みを生かせることを伝える

自分のスキル・強みを、会社の事業や業務にどう生かせるかを伝えましょう。過去の実績を交えて答えると説得力が増し、自己PRにもつながります。

【例文】

「アプリ開発の経験があるので、新開発のアプリのプロジェクトに参加したいです。」

もし具体的なスキル・実績がなければ、自分の長所を仕事に生かせると伝えるのもよいでしょう。

【例文】

「粘り強い性格なので、地道に新規顧客を開拓していきたいと思います。」

ただし、企業が求めていない強みをアピールしても意味がないため、募集している業務にはどのようなスキルが求められるのか、しっかり確認しておくことが基本です。

実現のために努力していることを伝える

入社後にしたいことのために今から準備をしていることがあれば、積極的にアピールしましょう。ビジョンを持つだけでなく、実現に向けて計画的に準備を進められる人材は、どのような企業にとっても魅力的な存在です。

例えば、以下のように具体的に述べると現実味が増すでしょう。

【例文】

「プレゼン資料をより分かりやすく作るために、PowerPointを使いこなせるように勉強しています。」

「○○をしたいと思っています」と言うのではなく、「○○の資格取得のために勉強中です」のように、実際に行動に移していることをアピールするのがポイントです。

入社後にしたいことを答えるときの注意点

考え事をするスーツの男性

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せっかく回答を用意しても、ポイントがズレていたり答え方を間違えたりしては意味がありません。

意図せずにこぼれた言葉が、面接官の印象を悪くしてしまうケースもあります。面接で避けるべき注意点をしっかり把握しておきましょう。

うっかりネガティブな表現をする

うっかり使った表現が、面接官にネガティブな印象を与えてしまうこともあります。普段何気なく使っている表現であったとしても、マイナスポイントになる場合もあるので注意しましょう。

特に、謙虚さを出すつもりで言ったことが、ネガティブに取られてしまうケースは少なくありません。

例えば、「知識不足ですが」「人と話すのはあまり上手ではありませんが」などと言ってしまうと、面接官は「仕事を任せても大丈夫なのか?」と不安になってしまうでしょう。特に面接などのシーンでは、謙遜しすぎることは自信のなさにもつながってしまうので、注意しましょう。

業種に合っていない内容を話す

入社後にしたいことは、応募先の会社の業種や募集している職種と、関連のある内容であることが基本です。

業種や職種とつながりのない内容をどれほど意欲的に話しても、「本当に募集内容を理解しているのか?」と面接官から不信感を抱かれ、逆効果になってしまうでしょう。

また、個人的な目標や夢を話すのも適切とはいえません。あくまでも、会社に対してどのように貢献したいかを話す場だと理解しておきましょう。

仕事への熱意が感じられない

仕事に対して消極的だと受け取られるような答えは、控えましょう。「一人前の営業マンになりたい」のようにある意味当然だと思われる答えや、「頼まれた仕事は何でもやりたい」といった受け身な姿勢の答えでは、仕事への熱意は伝わりません。

面接官は、志望度の高さや仕事への熱意を量るためにも、質問していることをきちんと理解したうえで、入社後にあなたがしたいことを知りたがっています。

仕事に積極的に向き合う姿勢や、募集している業務に携わることへの意欲が伝わるように答えましょう。

【例文付き】入社後にしたいことのOKな回答例

事務作業をする男性

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応募した職種によって、好印象を与える答え方のコツも異なります。ここでは、職種別の答え方のポイントと、面接官から評価される回答例を紹介します。

事務職

事務職の場合は、周りへのサポート・業務の改善化・顧客とのパイプ役など、社内における縁の下の力持ちとして頑張りたい気持ちを伝えることがポイントです。

【OKな例文】

「私は事務職として、営業のサポートをしていきたいと考えています。これまでにも商品の受発注や見積作成などの経験があるため、御社に入社後も顧客対応や営業事務の効率化に貢献できればと思います。

WordやExcelの基本的なPCスキルは身に付いておりますが、PowerPointを活用した資料作りもできるよう現在勉強中です。」

 

営業職

営業職に応募する際は、新規顧客獲得・既存顧客への対応・新規プロジェクトへの参加など具体的な意欲を述べつつ、会社の業績に貢献したい旨を伝えましょう。

【OKな例文】

「私は御社の教育事業での、新規顧客開拓に貢献したいと考えています。私は過去にも、営業職として新規顧客獲得数で社内表彰された経験があります。

御社に入社後は先輩社員の方々のご指導を受けながら、自分の強みである「積極性」を発揮していくよう努力したいです。

既存の顧客に対しても、新たな課題への解決策を提案できるような、きめ細やかな対応もしていきたいと思います。」

 

エンジニア

エンジニアの場合は、得意分野が決まっていることが多いため、スキルを生かしたアピールをしやすいともいえます。

新しいWebアプリを開発したい・店舗のインフラ整備に関わりたいなど、自分が持っている技術とひも付けるような回答がよいでしょう。

【OKな例文】

「御社は、オフショア開発の活用に積極的だとうかがいました。私は社内システムを設計した経験もあるため、ブリッジSEとして海外とのパイプ役になれればと考えております。

過去にTOEICのスコアは800点獲得しておりますが、海外とのやりとりに必要な英語力を保つため、オンラインの英会話レッスンを受けています。」

 

マーケティング職

マーケティング職では、会社の事業拡大に貢献したいといった意欲を伝えるのが効果的です。

そのため、自分の実績を盛り込みつつ、ユーザーニーズを発掘したい・事業戦略や商品戦略の策定をしたいなど、具体的な目標を提示するとよいでしょう。

【OKな例文】

「私はこれまでBtoCのマーケティングの分野で、プロモーション企画やネット広告の制作などを担当していました。

入社後はこれらのスキル・経験を生かして、ユーザーニーズを的確に把握し、商品の市場規模拡大や顧客獲得に貢献していきたいと考えております。」

 

【例文付き】入社後にしたいことのNGな回答例

タブレットを前に考え事をする男性

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面接で失敗しないためには、避けるべき回答例を知っておくことも大切です。NGな回答例と、なぜふさわしくないかを具体的に解説します。

例文を見て、自分がつい言ってしまいそうなことがあれば、面接では控えるように気を付けましょう。

具体性がない

【NGな例文】

「私は御社に入社後、営業としてのこれまでの経験を生かして、お客様に喜んでもらえるようなサービスを提供したいと考えています。必ず実現できるように努力したいと思います。」

この回答例では、営業としてどのような経験を積んできたか、また喜んでもらえるサービスとはどのようなものかが曖昧です。

これまでの営業実績や、顧客に提供したいサービスについて、数値や事例を挙げて伝えるとよいでしょう。

また、実現させるために努力をしているのであれば、具体的に何をしているのか説明することも必要です。

個人的な内容になっている

【NGな例文】

「私は御社に入社後、自分のキャリアアップのために頑張りたいと思います。仕事とプライべートの両立を図り、バランスの取れた生活を送ることが目標です。」

このように、個人的なことばかりを伝えるのは、質問の答えとしてふさわしくありません。キャリアアップを目指すのは悪いことではありませんが、その前に会社にどう貢献できるかを伝える必要があります。

プライベートを重視した回答が、直接面接の合否に影響する可能性は低いとはいえ、面接官が知りたい答えにはなっていないため、控える方が望ましいでしょう。

ネガティブなことを言う

【NGな例文】

「私はもともと人とコミュニケーションを取るのが苦手ですが、努力して新規顧客を少しでも多く獲得したいと思います。なるべく皆さんの足を引っ張らないように頑張ります。」

こちらの回答は、なぜそもそもコミュニケーションを取るのが苦手なのに営業職に応募したのか、と思われかねない内容です。

また、「足を引っ張らないように」という表現は、謙遜の意味で言ったとしても逆効果になります。

ネガティブな印象を与えてしまうので、わざわざ短所を述べたり必要以上に謙虚になったりするのは避けましょう。

非現実的すぎる内容

【NGな例文】

「入社後は、プロジェクトのリーダーとしてメンバーを引っ張っていきたいです。そして、会社のトップになれるよう頑張りたいと思います。」

このように、あまりに非現実的すぎる内容も避けましょう。目標を高く持つことは大切ですが、入社前からリーダーや会社のトップになりたいといった話は現実的ではありません。

目標があれば、そのためにどのような努力をするかといった説明も必要です。なお、「将来は自分の会社を持ちたい」という内容も、会社への貢献とは無関係なので避けましょう。

入社後にしたいことが分からないときの対策

ノートに記入する女性

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入社後に何をしたいのか、具体的に答えられない人も多いかもしれません。しかし、「特にありません」のように答えるのは、面接官への印象が悪くなるので控えたいところです。

入社後にしたいことが、どうしても思いつかないときの対処法を3つ紹介します。

なぜその会社に応募したか考える

そもそもなぜその企業に入りたいと思ったのか、理由を考えてみましょう。会社の事業内容に共感したり、募集していた職種に魅力を感じたりなど、何かしらの理由があるはずです。

そこが分かれば、自分がその企業でどう活躍したいかをイメージしやすくなるでしょう。

しかし、応募理由が給与面や福利厚生の内容だという場合は、そこからやりたいことを導き出すのは困難です。

事業方針・経営理念などをよく読みながら企業研究を進めていくと、共感できるポイントに気付いて、やりたいことが見えてくるかもしれません。

自分のスキルがどう生かせるか分析する

「頑張りたい気持ちはあるけれど、具体的に伝えるのが難しい」というときは、まず自分を知ることから始めましょう。自分のスキルを応募先の会社でどう生かせるのか、冷静に考えてみるのがおすすめです。

自分のスキル・強みを客観的に把握したいときは、メモに書き出してみると整理しやすくなります。

専門的なスキル・実績がない人も、PCの操作・電話応対などの基本的なビジネススキルの中で、できることをイメージしてみましょう。

目標とする理想像を見つける

どうしても入社後にしたいことが見つからないときは、身近にいる人物の中から、自分がなりたい理想像を探してみるのもよいでしょう。

応募した職種で、バリバリ働いている人はいないでしょうか?前の職場で活躍していた人を、思い浮かべてみてもよいかもしれません。

もしそういった人物がいないときは、5年後・10年後の自分がどうなっていたいか、イメージしてみましょう。将来のビジョンから逆算して考えてみると、やるべきことが見つかりやすくなります。

ただし、あまりに非現実的な目標を掲げるのは逆効果なので注意が必要です。

入社後にしたいことは具体的に答えよう

面接を受ける3人の女性

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面接で「入社後に何をしたいか」を聞くのには、応募者が会社の事業内容をどれだけ理解しているかだけでなく、志望度の高さを知る目的もあります。

「頑張りたい」といった漠然とした回答は、どの企業に対しても当てはまるため、面接官に「なぜ自社を選んだのか」が伝わりません。そのため、応募先の会社でしかできない内容を、できるだけ具体的に回答することが重要です。

入社後にしたいことを考える作業は、自分と企業とのマッチングを改めて確認することにもつながります。入社後のミスマッチを防ぐためにも、面接前にしっかり考えておきましょう。