有給休暇は、心身をリフレッシュさせるために重要です。有給休暇の発生条件や付与日数、前倒しや買取はできるのかなどを紹介します。いつから、何日間もらえるのかを知り、モチベーションのアップや休日の計画に役立てましょう。
この記事のポイント
- 有給休暇はいつからもらえる?
- 雇用形態に関係なく、入社から6カ月を超えると有給休暇が発生します。
- 有給休暇は何日間もらえる?
- 所定労働時間や勤続年数によって異なり、フルタイム労働者の場合は入社から6カ月を超えると10日間が付与されます。
- 有給休暇を取得させるのは雇用主の義務
- 企業は、有給休暇が10日以上付与される従業員に対し、付与した日から1年以内に5日間の有給休暇を取らせなければなりません。
有給休暇はいつからもらえる?
有給休暇を取得すれば休み中も給料をもらえるので、付与されるのが待ち遠しい人も多いのではないでしょうか。入社後、いつから有給休暇が発生するのか見ていきましょう。
原則として入社した日から6カ月後
労働基準法により、入社してから6カ月以上継続して勤めた場合に、10日間の有給休暇をもらえると決まっています。勤続期間が長くなるほど、付与日数が長くなります。
有給休暇は、労働者の権利の1つです。正社員・パート・アルバイトなど、雇用形態に関係なく決まった日数の有給休暇を取得できます。
また、有給休暇は必ずしも1日単位で取らなければならないと決まっているわけではありません。中には、半日や時間単位の休み方が可能な企業もあります。
出勤率8割以上が条件
有給休暇の発生条件には、出勤状況も関係しています。勤務期間が6カ月を過ぎても、出勤率が全労働日の8割以上でない場合は有給休暇が発生しません。
出勤率は、「出勤日数÷全労働日数×100」の計算式で求められます。勤務期間が長くなったとしても、欠勤日数によっては予定していた有給休暇を取得できなくなるのです。
ただし、産前・産後休業や育児休業、介護休業、仕事中のケガ・病気などで働けなかった期間は、欠勤に含まれない点に注意しましょう。
有給休暇の付与日数は何日?
有給休暇を何日もらえるかは、勤務年数だけでなく、所定労働時間の長さによっても変わってきます。所定労働時間とは、労働契約で定められた労働時間のことです。
フルタイムとパートタイム、それぞれの労働者の有給休暇の付与日数を見ていきましょう。
フルタイム労働者の場合
フルタイム労働者とは、所定労働時間が30時間以上かつ週5日以上の人を指します。条件を満たしていれば、雇用形態に関係なく下記の日数が付与されます。
継続勤務年数 | 6カ月 | 1年6カ月 | 2年6カ月 | 3年6カ月 | 4年6カ月 | 5年6カ月 | 6年6カ月以上 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
付与日数 | 10日 | 11日 | 12日 | 14日 | 16日 | 18日 | 20日 |
入社した日から6年半が経過すると、最大で年間20日の有給休暇を取得できるようになります。一度に多くの休みを取るのが難しい職場では、意識して少しずつ使用する機会を見つけることが大切です。
パートタイムや所定日数が少ない場合
パート勤務や、週によって働く曜日が異なる場合でも有給休暇をもらえますが、付与日数が異なります。以下の条件に当てはまる場合、所定労働日数と勤務年数に応じた日数が付与される仕組みです。
- 所定労働時間が週30時間未満、週所定労働日数が4日以下
- 年間の所定労働日数が216日以下
週所定労働日数 | 1年間の所定労働日数 | 継続勤務年数別の付与日数 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
6カ月 | 1年6カ月 | 2年6カ月 | 3年6カ月 | 4年6カ月 | 5年6カ月 | 6年6カ月以上 | ||
4日 | 169~216日 | 7日 | 8日 | 9日 | 10日 | 12日 | 13日 | 15日 |
3日 | 121~168日 | 5日 | 6日 | 6日 | 8日 | 9日 | 10日 | 11日 |
2日 | 73~120日 | 3日 | 4日 | 4日 | 5日 | 6日 | 6日 | 7日 |
1日 | 48~72日 | 1日 | 2日 | 2日 | 2日 | 3日 | 3日 | 3日 |
働いている日数や勤務年数が長いほど、多くの有給休暇をもらえます。
有給休暇に関する雇用主の義務
有給休暇は労働者の権利なので、雇用主側が休みを与えないのは違法です。年間で、必ず取得させなければならない日数が設けられています。ここでは、雇用主側の義務に関する情報を見ていきましょう。
年5日の有給休暇の取得が義務付けられている
全ての企業は、10日以上の有給休暇が付与される従業員に対し、付与した日から1年以内に5日間の有給休暇を取らせる決まりです。
これを守らないと、企業が法律違反をすることになってしまうため、労働者が「何となく有給休暇を取りづらい」と感じていたとしても、休まなければなりません。
パートタイムで所定労働日数が少ない場合も、1年間の有給休暇が10日以上付与されるのであれば、年5日の有給休暇を必ず取得させる義務が生じます。具体的には、以下の範囲が対象です。
週所定労働日数 | 1年間の所定労働日数 | 継続勤務年数 |
---|---|---|
4日 | 169~216日 | 3年6カ月以上 |
3日 | 121~168日 | 5年6カ月以上 |
いつ取得するかは話し合って決める
有給休暇の取得タイミングは、企業側の都合だけで決められるものではありません。労働者は、有給休暇をいつ取得するかを決める「時季指定権」を持ち、基本的には休みたいタイミングで取得できます。
雇用主には有給休暇の「時季指定義務」があり、労働者の意見を聞いた上で時季を指定して、休みを取らせなければなりません。しかし、同時に複数人に休まれてしまうと、通常の業務が行えなくなる企業もあるでしょう。
従業員が希望する日程で休ませると事業を継続できないなど、何らかの理由がある場合に認められる企業側の権利として「時季変更権」があります。休みをずらすように頼まれたときは、調整しましょう。
有給休暇に関するQ&A
人手不足の業界などでは、有給休暇を全て使い切るのは難しい場合があります。一緒に働いている人に、遠慮する気持ちが湧いてしまうこともあるでしょう。最後に、有給休暇の期限や前倒しでもらえるのかなど、よくある疑問の回答を紹介します。
有給休暇の期限はいつまで?
心身を整えるため、「できるだけ長く休みを取りたい」「繁忙期以外にまとめて休みたい」と思う人もいるでしょう。
その年に使い切れなかった有給休暇は、翌年に繰り越して新しく付与された分と合算できますが、有効期限は2年です。使い切れなかった分は、翌年も使用できます。
10日間以上の有給休暇が付与された場合、雇用主の義務として5日間は1年以内に取得しなければならないため、最大で15日分が翌年に移動します。せっかくの休みが消滅しないように、計画的に取得しましょう。
有給休暇は前倒しでもらえる?
企業が認めているなら、有給休暇を前倒しで取得することもできます。労働基準法で前倒しに関するルールが定められているわけではないため、企業によっては入社時に一括で付与する場合があります。
また、前倒しで特別有給休暇を取得できると定めているケースもあるでしょう。特別有給休暇とは、結婚休暇・バースデー休暇・ボランティア休暇など、企業が従業員に付与する休みのことです。
こちらは法律で定められている年次有給休暇とは違い、企業によって種類や条件が異なります。また、単に特別休暇として、給料が発生しないケースもあります。詳細は、就業規則で確認しましょう。
取得理由を言う必要はある?
有給休暇は労働者の権利であり、雇用する側が取得理由次第で拒否することはできません。基本的には、詳しい取得理由を伝える必要はないでしょう。
もし、有給休暇を申請する書式に理由を書く欄があった場合は、「私用のため」と簡単に書きます。ただ、会社によって申請方法や書式が異なり、できるだけ詳しく内容を書くように求められる場合もあるでしょう。
基本的には従業員が休みたいときに取得できますが、企業側には時季変更権があるので、繁忙期にまとめて長期休暇を取らないなどの配慮は必要です。
使い切れなかったら買い取ってもらえる?
原則として、有給休暇の買い取りは認められていません。有給休暇の目的は、心身の疲労回復を助けて、パフォーマンスの維持・向上に役立てるためです。
買い取りを許すと本来の目的を果たせなくなり、取得しづらい状況を生んでしまう可能性があるでしょう。
「退職によって未消化分が発生する」「使用期限が迫っている」などのケースでは、例外的に認められる場合もあります。しかし、企業の義務ではないので、必ず買い取ってもらえるとは限りません。
「使わないうちに期限が切れてしまった」ということがないように、できるだけ計画的に使い切るようにしましょう。
有給休暇を取得してリフレッシュしよう
毎日仕事をしていると、疲れがたまってしまいます。働きながら生き生きと暮らすには、有給休暇をうまく使ってリフレッシュすることが大切です。
企業側が従業員に対し、不当に休みを取らせないなどの問題がある場合、違法行為に当たる可能性があります。労働者側の権利である点を意識し、タイミングを見て休みを取るようにしましょう。
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