転職先を探している人の中には、上場会社が気になっている人もいるのではないでしょうか。上場会社とは何かを知っておけば、安易に転職して失敗するリスクを回避できるでしょう。上場会社の意味や転職するメリット・デメリットを紹介します。
上場会社とは
上場会社とはどのような会社のことを指すのでしょうか。言葉の意味と上場する主な目的について解説します。
証券取引所で株式を売買できる企業
上場会社とは、株式を証券取引所で売買できる企業のことです。企業が上場すると、その企業の株式は証券取引所で公開され、証券会社に口座を持つ人なら誰でも売買できるようになります。
かつての市場は、一部・二部・マザーズ・JASDAQに区分されていました。しかし、2022年4月に市場が再編され、現在はプライム・スタンダード・グロースの3つに区分されています。
企業が上場するためには、一定の基準を満たしていなければなりません。厳しい基準をクリアした企業のみが、上場会社として認められます。
上場する主な目的
そもそも企業が株式を発行するのは、企業や個人から事業資金を集めるためです。しかし、非上場会社は株式購入者を自力で探さなければなりません。
一方の上場会社に関しては、不特定多数の人たちが証券取引所で株式を買ってくれます。自力で株主を見つける必要がなく、資金調達力が向上します。
上場会社は厳しい審査を通過しているため、企業の知名度や信頼度がアップすることもメリットです。資金をより調達しやすくなる上、優秀な人材も確保しやすくなります。
上場会社に転職するメリット
上場会社で働くことにはメリットとデメリットがあります。まずは主なメリットを見ていきましょう。
収入や福利厚生の面で有利
一定の審査基準をクリアしている上場会社は、相応の利益を上げていると考えられる企業です。収入や福利厚生の面で、成熟企業としての恩恵を受けやすいメリットがあります。
人事制度がきちんと整備されている点も特徴です。評価基準を明確にしている企業が多いため、賃金や昇進についての不公平感が生じにくくなります。
高収入・厚待遇の企業で働きたい人や、成果をしっかりと評価してもらいたい人には、上場会社が向いているでしょう。
社会的信用を高められる
上場会社には有名な企業が多く、上場会社と言うだけで社会的信用の高さを示しやすくなります。実際に厳しい審査をクリアしているため、倒産リスクも低めです。
社会的信用が高い上場会社に勤めれば、個人の信用力も高まるため、各種ローンの審査に通りやすくなるでしょう。車やマイホームもローンで購入しやすくなります。
転職で有利に働くことも、上場会社に勤めるメリットの1つです。上場会社で働いていたという肩書は、次の転職時に大きなアピールポイントになります。
上場会社に転職するデメリット
上場会社への転職を検討するなら、デメリットも知っておく必要があるでしょう。社員にとってどのようなリスクがあるのかを紹介します。
入社のハードルが高い
上場会社には有名企業や人気企業が多く、ネームバリューだけで転職希望者が多く集まります。ライバルが増えるため、入社のハードルが高くなることがデメリットです。
多くの上場会社が採用コストを惜しまないこともポイントです。優秀な人材を確保するために、コストをかけて転職市場への露出を増やしていることから、応募者はより多くなります。
上場会社に絞って転職活動を進めていると、入社のハードルの高さからなかなか採用が決まらず、転職活動が長引いてしまうことにもなりかねません。
社会からの一定程度の責任を求められる
上場会社は上場するために一定の厳しい基準をクリアしている企業です。上場後に基準を満たさなくなれば、上場を廃止される可能性があります。
上場会社であり続けるためには、最低限の業績をキープし続けなければなりません。その意味で、従業員には利益を上げるためのプレッシャーがかかります。
また、業績以外にも事業や従業員個人の不祥事も株価に影響します。最近では「コンプライアンス」という言葉で表現されることが多いですが、勤務時間以外でも上場企業に勤める一人としての最低限の責任ある行動が求められます。
転職活動時に注意すべきポイント
上場会社への転職を考える際に気を付けるべきことを紹介します。以下に挙げるポイントを押さえ、失敗しない転職活動を進めていきましょう。
上場会社にこだわり過ぎるのは危険
「上場会社=良い会社」というイメージだけで上場会社にこだわるのは危険です。非上場会社にも優秀な企業は数多く存在します。
例えば、サントリー・ロッテ・JTB・朝日新聞社は、大手でありながら非上場を選択している企業です。誰もが知っている有名企業が、全て上場しているとは限りません。
あえて非上場を選ぶ理由としては、経営の自由度が高いことや買収されるリスクが低いことなどが挙げられます。
総合的な観点から企業探しを
転職先を選ぶ際は、総合的な観点から企業探しを行いましょう。多角的に企業を研究し、自分に最適な企業を見つけることが大切です。
上場しているかどうかも、企業を判断する1つの材料に過ぎないと考える必要があります。入社後のミスマッチを防ぐためにも、上場会社にこだわり過ぎないことが重要です。
転職活動で企業探しを行う際は、国内トップクラスの求人検索サイト「スタンバイ」を利用しましょう。豊富な求人情報が掲載されているため、自分に合った求人も数多く見つけられます。
自分に合った転職先を見つけよう
上場会社に転職すれば、収入や福利厚生の面で有利になります。社会的信用も高められるでしょう。一方で入社のハードルは高く、プレッシャーがきついデメリットもあります。
非上場会社にも優秀な企業は多数存在するため、イメージだけで上場会社にこだわるのは危険です。総合的な観点から企業研究を行い、自分に合った転職先を探しましょう。
国立大学法人東京海洋大学グローバル教育研究推進機構教授。サイバー大学客員教授を兼務。「できる上司は定時に帰る」「エンジニア55歳からの定年準備」「人材紹介の仕事がよくわかる本」他、キャリアやビジネススキル開発に関する著書がある。元外資系ヘッドハンターであり、企業の採用や人材育成事情に詳しい。
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