面接における正しい言葉遣いとは?間違って覚えている言葉をチェック

1分間面接では正しい言葉遣いを心掛けなければなりません。間違った敬語を使うと、面接官の評価が下がってしまうことがあります。面接で好印象を与えるために、基本的な言葉の使い方や間違って覚えやすい言葉などをチェックしましょう。

面接で言葉遣いが重要な理由

面接を受ける女性

(出典) photo-ac.com

面接でチェックされるのは経歴やスキルだけではなく、対面で話をしたときの言葉遣いも評価の対象となります。なぜ言葉遣いが重要なのか、面接での言葉遣いのポイントとあわせて見ていきましょう。

言葉遣いは基本のマナー

面接では応募者の言葉遣いが、社会人として通用するものかをチェックされています。人と接するときは、相手に合わせた適切な言葉遣いをしなければなりません。目上の人に失礼な言葉遣いをしたり、場の雰囲気にそぐわない話し方をしたりすると、スムーズなコミュニケーションが困難だと判断されてしまうでしょう。

日本語の使い方を厳格に守らなければ合格できないわけではありませんが、あまりカジュアルな言葉遣いをするとマナーを守れない印象を与えてしまいます。面接はビジネスシーンであることを意識し、丁寧な言葉遣いをするのが基本です。

尊敬語と謙譲語の使い分けがポイント

面接では尊敬語や謙譲語を交えた、丁寧な言葉で話しましょう。尊敬語と謙譲語の使い分けは慣れていないと難しいもので、注意しないと間違えてしまいがちです。

尊敬語は、目上の人を主語にして話すときに使うと覚えておきましょう。相手やその行動を敬うときに使うのが尊敬語で、「おっしゃる」「おいでになる」などが該当します。

自分や身内を主語にして話すときに使用するのが謙譲語です。自分がへりくだるときに使い、「拝見する」「伺う」や、自分の要望を伝える「させていただく」などが、これに当たります。

面接における言葉遣いの基礎知識

面接を受ける男女

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あらたまった場面にふさわしい話し方を身につけるには、正しい知識を身につけなければなりません。面接で正しい言葉遣いをするために、知っておきたい基礎知識を紹介します。

自分を指す言葉は「わたし」「わたくし」

面接での一人称は男女に関係なく、「わたし」か「わたくし」を使うのが正解です。「わたくし」は、「わたし」よりもよりフォーマルな印象を与えるので、より丁寧な印象を与えたいときに使います。

一人称の使い方は、ビジネスマナーの基本でもあるので、しっかり身につけましょう。

あたし・僕・俺などは、カジュアルなシーンで使う分には問題ありませんが、あらたまった場面で使うと常識がないと思われます。とっさに日常で使用している一人称が出てこないように、「わたし」「わたくし」を正しく使えるよう練習しておきましょう。

会社を指す言葉は「御社」

面接で応募先の会社を表現したいときは「御社(おんしゃ)」を使用します。間違えて「こちらの会社は」「そちらは」などを使わないようにしましょう。

応募先が会社以外の組織の場合、「御社」は使えません。例えば、銀行の場合は「御行(おんこう)」、学校の場合は「御校(おんこう)」、病院の場合は「御院(おんいん)」となるので、対象によって使い分けましょう。

また、「御社」は話し言葉で使用する表現です。履歴書などの文書で応募先の会社を表現したいときは「貴社」を使います。

基本の言葉遣いは「です・ます」

面接で話をする際の基本形は「○○です」「○○します」といった、です・ます調です。面接官にくだけた言葉遣いをすると、たとえ本人に悪気がなかったとしても、ビジネスシーンにふさわしくない言葉遣いをする人だと思われます。

面接官の中には、応募者をリラックスさせようと、あえてフレンドリーな話し方をする人もいます。そういった場合も、思わず普段の口調が出てしまわないように気を引き締めましょう。

間違いやすい言葉遣い

指摘のイメージ

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意識して丁寧に話しているつもりでも、間違った表現をしてしまうことがあります。あらたまった話し方に慣れている人であっても、間違いやすい言葉があるので注意しましょう。面接で間違って使いやすい言葉を紹介します。

「ご質問させてください」などの「二重敬語」に注意

二重敬語は、言葉の中に敬語が重複している状態を指します。間違えて使っている人も多く、正しい表現だと誤解しやすいので注意しましょう。

例えば「伺わせていただきます」と言うと、「伺う」と「いただく」がどちらも敬語なので、「伺います」を使います。そのほかにも、「拝見させていただきました」や「ご覧になられる」なども、ありがちな二重敬語で、それぞれ「拝見しました」「ご覧になる」が正解です。

また、「お承ります」のように、接頭語の「お」を不必要につけてしまうパターンもあります。「承る(うけたまわる)」が謙譲語なので、丁寧な表現に使う「お」は不要です。例外として「お伺いします」は、慣習として誤った表現ではないとされています。

「えーと」「あ~」などの「有声休止」

面接で質問をされ、とっさに答えが出てこなかったときに「えーと」「あ~」「あのー」といった言葉を発してしまうことがあります。

こうした、意味のない発話を「有声休止」といい、癖になっている人は珍しくありません。本人としては単なる癖であっても、あまり多いと利発でない印象を与えてしまいます。

重要な質問に答える際に「あのー、自己PRは、えーと、○○です」と言うと、自分の主張に自信がないように思われるので、使わないにこしたことはありません。

一度ぐらいなら気にする面接官はいないかもしれませんが、1つの回答の中に頻繁に出てくるようでは、話が聞き取りづらくなってしまいます。

有声休止は癖になりやすく、面接のときだけ直そうと思っても難しいので、できるだけ普段から使わないようにしましょう。

よく聞く「了解」「ご苦労さまです」

面接で何かを指示されたとき、つい「了解しました」と返事してしまうことがあります。しかし「了解」に丁寧な意味はないので、「かしこまりました」や「承知しました」を使いましょう。

立場が上の人が部下に向かって了解を使うなら、間違いではありません。同じく「ご苦労さまです」も、立場が上の人が使う言葉です。目上の人を労う言葉をかけたいときは「お疲れさまです」を使用します。

最近増えている「させていただきます」

「○○させていただく」は、対象に許可を得て何かをする必要がある場面や、何かをすることで自分が恩恵を受けられる場面で使用します。

例えば「努力させていただきます」と言うと、相手に努力する許可を得ようとしていることになります。誰かの許可がなくても、努力は自分で決めてするのが普通です。相手に許可を得ないと失礼になる場面以外では、使用しないようにしましょう。

また、「パンフレットを読まさせていただきました」のように、敬語に「させていただきました」を重ねてしまうのも間違いです。「読ませていただきました」「拝見しました」で、十分に丁寧な表現になります。

面接で上手に話すポイントは?

面接をする女性

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面接で上手に話すポイントを知っていると、好印象を与えられます。ちょっとしたポイントを押さえるだけで、相手に与える印象を変えられるのです。どのように話せばよいのか見ていきましょう。

クッション言葉をうまく使う

クッション言葉は、話の最初に入れて内容を柔らかい印象にする言葉のことです。「よろしければ」「差し支えなければ」「ご面倒をおかけしますが」などを添えることで、伝えづらい話にワンクッションを置くことができます。

聞きづらいことを尋ねる際や言いづらいことを伝える際は、「失礼ですが」「申し上げにくいのですが」などを使いましょう。クッション言葉をうまく使いこなせれば、話し上手な印象を与えられます。

クッション言葉を挟むことで聞く側は心の準備ができるので、相手に配慮したいときに使うとよいでしょう。

相手の言葉を最後まで聞く

面接官の質問に答えるときは、言葉を最後まで聞いてから答えましょう。面接では質問される内容がある程度決まっているので、質問の途中で面接官が何を聞こうとしているのか、先読みできてしまう場合があります。

しかし、話を途中で遮るのは失礼に当たり、人の話を聞けない印象も与えてしまいます。早く回答したいと思っていると、語尾が消えないうちに焦って話し出そうとしてしまうので、質問が終わって一呼吸置いてから答えるのがちょうどいいでしょう。

もし、こちらの話に対して相手が間違った解釈をしていると思っても、話を最後まで聞いてから切り返しましょう。

面接で使ってはいけない言葉遣い

手を差し出すスーツの男性

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面接で使用すると、大きなマイナスになる言葉もあります。知らずに使用すると、恥ずかしい思いをするでしょう。面接で使うべきではない言葉遣いを紹介します。

若者言葉は使わない

面接官に対し、若者言葉を使うのは不適切です。面接官は応募者がビジネスマナーを守れる人かチェックしていると、しっかり意識しておきましょう。

ヤバイ・めっちゃ・私的には・ガチで・ぶっちゃけなど、友人同士で話しているときのような言葉はNGです。ビジネスシーンであることを意識した言葉遣いをしないと、悪い印象を与えます。

緊張しているときは正しい言葉遣いができても、だんだんと面接の雰囲気に慣れてくると普段話しているときの言葉が出やすいので注意しましょう。

語尾を伸ばさない

「私の長所は○○で~」「そのとき、○○したのですが~」というように語尾を伸ばすと、だらしない印象を与えます。なれなれしい印象にもなるので、語尾は伸ばさず、はっきりと言い切りましょう。

語尾をはっきり言い切ると、自信を持って発言している印象を与えられます。ハキハキとした話し方ができる人に対し、好感を抱く面接官は少なくありません。

何を言えばよいか分かっていなかったり、気持ちに迷いがあったりすると語尾が伸びやすいものです。語尾を伸ばさず、内容をはっきり伝えられるよう普段から意識しておきましょう。

抽象的な表現もNG

面接では具体的な回答を心掛けましょう。「あちらで」「あれが」など、何を指しているのか分からない抽象的な表現をしてしまうと、話が伝わらないので丁寧に話すことが大切です。

志望動機や自己PRなどを伝えるとき内容に具体性がないと、面接官は自社に必要な人かどうか判断できません。

焦っていると、名詞が浮かばず「あれ」「それ」などで代用してしまいがちです。友人や家族などに協力してもらい、模擬面接をすると問題点に気付きやすいでしょう。自分の話し方を録音し、客観的に判断する方法もおすすめです。

面接以外でも言葉遣いを意識してみて

面接を受ける女性

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面接では、正しい言葉遣いをしないと、社会人としての基本的なマナーが身についていないと思われます。何も対策せずに面接で正しい言葉遣いをしようとしても、うまくいきません。

できれば、面接以外でも正しい言葉遣いを意識した話し方をしましょう。あらたまった話し方に慣れていないと、面接で普段の口調や言葉遣いが出てしまうので、丁寧な話し方に慣れる練習が必要です。

二重敬語やカジュアルな言葉を使っても、ビジネスマナーが身についていないと思われてしまいます。面接にふさわしい言葉の使い方を理解し、丁寧に話すように心掛けましょう。

小松俊明
【監修者】All About 転職のノウハウ・外資転職ガイド小松俊明

国立大学法人東京海洋大学グローバル教育研究推進機構教授。サイバー大学客員教授を兼務。「できる上司は定時に帰る」「エンジニア55歳からの定年準備」「人材紹介の仕事がよくわかる本」他、キャリアやビジネススキル開発に関する著書がある。元外資系ヘッドハンターであり、企業の採用や人材育成事情に詳しい。
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