仕事を頑張れない状態が続くと、職場に行くのが嫌になり心身の調子が悪くなる恐れもあります。よくある原因を理解して対策を練る必要があるでしょう。仕事を頑張れない理由と、原因別の適切な対処法について解説します。
仕事を頑張れない主な理由
仕事を頑張れないことで悩んでいるなら、理由が何なのかを知った上で対策を講じることが大切です。頑張れなくなる代表的な原因を紹介します。
仕事量が多い
仕事量が自分のキャパをオーバーすると、好きな仕事でも頑張れなくなってしまいます。任された業務を自分1人でこなそうとする場合に、仕事量が増えてしまいがちです。
仕事の要領が悪い場合も、作業が非効率になり時間内に終わらなくなります。急いで仕事を済ませようと焦ってしまうとミスが発生しやすくなり、ますます仕事がたまっていくでしょう。
仕事量が多くなると、残業時間も長くなってしまいます。残業が増えてワーク・ライフ・バランスの悪化もやる気の低下につながるので、注意が必要です。
人間関係が悪い
仕事を頑張れなくなる理由の1つに、職場の人間関係が悪いことが挙げられます。同僚や上司とうまくいっていなければ、業務内容が自分に合っていても頑張れなくなるものです。
組織の一員として働いている以上、成果を上げるためには周囲とのコミュニケーションが欠かせません。他者と良好な関係を構築できていない場合、成果を出しにくくなりモチベーションも下がってしまうでしょう。
職場でハラスメントを受けているケースでも、仕事を頑張れなくなります。セクハラやパワハラで深刻な被害に遭っている場合は、仕事どころではなくなる恐れもあります。
収入が少ない
成果に見合った収入を得ることは、仕事を頑張れる理由の1つとなります。努力して出した成果に適正な評価を受けてこそ、自分の仕事に対してさらなるやる気が生まれます。
収入が少ないと感じれば、頑張っても意味がないと思ってしまいがちです。たとえば、努力が給与の査定にまったく反映されない場合、努力が報われないと感じる社員は多くなるでしょう。
どれだけ仕事を頑張っても評価されない職場にいると、評価をしてくれない上司や自分より成果を出していない同僚に対しても、不信感を抱きやすくなってしまいます。
仕事にやりがいを持てない
仕事を頑張れない理由としては、担当業務自体にやりがいを感じられなくなっていることも挙げられます。仕事への興味・関心が低い場合、気分が乗らなくなりがちです。
好きになれない仕事、苦手な作業に従事している人も、やりがいを見いだせないことが多くなるでしょう。業務への興味がなくなっていき、モチベーションも低下してしまいます。
希望の業務や部署に配属されなかったケースでも、自分が仕事をする意味が分からなくなり、次第に頑張れなくなることが多くなります。
心も体も疲れている
心や体が疲れている場合、頑張りたくても頑張る気力が起きない恐れがあります。残業が多いことや通勤が大変なことなど、心身が疲れてしまう原因はさまざまです。
頑張り過ぎていることが疲労につながるケースもあります。仕事のプレッシャーにさらされながら頑張り続けていると、ある日突然緊張の糸が切れてしまうこともあるでしょう。
十分な睡眠時間を確保できない場合も、仕事を頑張れない状況に陥りがちです。寝不足が続くと集中力や判断力が低下しやすくなり、ミスが増えてやる気も下がってしまいます。
目標がない
目標を持たず単に目の前の仕事をこなしていくだけでは、モチベーションを維持しにくくなり、頑張る気持ちがわきにくい状態になるものです。
仕事を頑張れている人の多くは、収入増を目指したりキャリアアップを図ったりするなど、何らかの目標を持っています。日々の業務で目標を設定している人もいるでしょう。
将来に対して漠然とした不安を抱えている場合も、頑張る気力が起こらなくなりがちです。人生の目標がない状況では、何を目指して仕事をすればよいのか分からなくなってしまいます。
【対処法1】仕事量が多い場合
仕事を頑張れない理由が仕事量の多さにあると思うのなら、以下に挙げる2つの対処法を試してみましょう。仕事量が多い状況の改善につながる方法を紹介します。
業務効率を改善する
仕事量が多くなってしまう理由としては、業務効率が悪いことが考えられます。業務量自体は適切であっても、作業の進め方に問題がある場合は時間がかかりやすくなるでしょう。
要領が悪いせいで仕事量が多いと感じている場合は、改善の余地が大いにあります。仕事の優先順位を決め、優先度の高い仕事から済ませていけば、業務の大幅な効率化を図ることが可能です。
仕事の中で何度も同じ作業を繰り返すシーンがあるなら、効率化できないか考えるのもおすすめです。ツールを導入して作業を自動化・簡略化できれば、時短につながりやすくなります。
会社に相談してみる
効率よく作業を進めているつもりでも、仕事量が多過ぎると感じている場合は、会社に相談してみるのも1つの方法です。まずは上司に悩みを打ち明け、仕事を減らせないか相談しましょう。
従業員ごとの適切な仕事量は、他者からは判断しにくいものです。業務量が自分のキャパを超えていることを伝えれば、理解ある上司なら業務の割り振りを見直してくれるでしょう。
仕事の一部を手伝ってもらえないか、周囲に協力を仰ぐのもおすすめです。逆に同僚の仕事量が多いときに手伝ってあげれば、周囲との良好な関係も構築しやすくなります。
【対処法2】人間関係が悪い場合
人間関係の悪さが原因で仕事を頑張れない場合は、周囲との接し方を変える方法がおすすめです。モチベーションの向上にもつながる具体的な対策を紹介します。
あいさつや笑顔を意識する
職場の雰囲気が悪くて仕事に集中できないのなら、雰囲気が良くなるように自分から働きかけてみましょう。率先してあいさつをしたり、笑顔で過ごすことを意識したりすれば、雰囲気の改善につながる可能性があります。
あいさつや笑顔がない職場は暗い雰囲気になりがちです。誰かが先頭に立って明るい雰囲気づくりを意識することで、周囲も引っ張られて職場が明るくなっていくでしょう。
自分が職場の雰囲気を悪くしている可能性も考慮しなければなりません。あいさつや笑顔を心掛けて明るく振る舞うことで、周囲の緊張が解けて職場の雰囲気が一気に良くなる可能性もあります。
コミュニケーションの機会を増やす
接点のない人が多い職場環境は、雰囲気が悪くなるものです。お互いの性格や考え方がはっきりと分からないため、相手に対する苦手意識も強くなってしまいます。
職場の人間関係を改善するためには、コミュニケーションの機会を増やすことも大切です。業務で分からないことやプライベートに関することなど、ちょっとした話題から会話につなげてみるとよいでしょう。
今まで苦手だと感じていた人でも、話してみると意外に気が合うケースも少なくありません。仲の良い人同士で集まるだけでなく、周囲とまんべんなくコミュニケーションを図るのがおすすめです。
【対処法3】収入が少ない場合
給料が低いことを理由に仕事を頑張れないときの対処法を見ていきましょう。今の会社で収入を上げる方法と副業で収入を増やす方法を紹介します。
キャリアアップを狙う
今の職場でキャリアアップを狙えるのなら、収入を上げられる可能性があります。年功序列制の会社で働いている場合は、長く会社に残るほど給料アップが期待できるでしょう。
資格を取得すれば収入が増える仕組みがあるなら、勉強に励むのもおすすめです。資格を取るという目標を立てられるため、仕事に対するやる気も出やすくなります。
ただし、キャリアアップによる収入増は時間がかかりやすく、会社によっては数年かかることもあるでしょう。すぐに給料を増やしたい人には向かない方法です。
副業に取り組む
収入が少ないことを理由に仕事を頑張れない場合は、副業に取り組むのもおすすめです。副業ならすぐに収入を増やせる上、仕事内容によっては大幅な収入増も期待できます。
今の仕事では生かせないスキルを持っている人にも、副業が向くでしょう。スキルを生かして新たな収入を生み出せるようになるため、モチベーションもアップしやすくなります。
副業で収入増を目指す場合は、職場で副業が許されているのか確かめなければなりません。副業に力を入れ過ぎて本業がおそろかにならないように注意する必要もあります。
【対処法4】仕事にやりがいがない場合
業務にやりがいを見いだせず、頑張れなくなっていることもあります。やりがいを感じられないケースでは、当事者意識を持つことやプライベートを楽しむことで、状況の改善を図りましょう。
当事者意識を持つ
仕事にやりがいを感じない場合は、当事者意識を持って仕事に取り組んでみましょう。当事者として仕事に関わる意識を持てば、責任感が生まれてやりがいを感じやすくなります。
自分なりに仕事の課題を立てて業務の効率化を目指したり、後輩に業務を教えられるようになるまでスキルを極めたりすれば、当事者意識が強くなるでしょう。
仕事の当事者として責任感を持って行動できるようになれば、周囲からの評価が高まります。期待に応えたい気持ちが強くなるため、仕事へのやりがいを実感しやすくなるでしょう。
仕事以外の時間を楽しむ
仕事を頑張れない原因がやりがいのなさにある場合、無理にやりがいを持つ必要はないと考えるのもおすすめです。仕事は仕事だと割り切り、仕事以外の時間を楽しむようにすれば、やりがいがなくても仕事を頑張れるようになるでしょう。
プライベートを満喫するために仕事をしてお金を稼いでいると考えれば、それもまた1つのやりがいです。他人に自慢できるやりがいを持たなければならない理由はありません。
没頭できる趣味があるなら、多少なりともお金がかかるでしょう。趣味を充実させるのが目的で仕事を頑張ることを自分で納得できれば、仕事に対するやりがいがないことに悩む必要もなくなります。
【対処法5】心身が疲れている場合
仕事で心身が疲れて頑張れなくなっているのなら、疲労回復に努めるのがおすすめです。疲れを取るためにできることを紹介します。
食事や睡眠を改善する
睡眠の質が悪かったり食生活が偏ったりしていると、心身の不調に陥りやすくなります。仕事が忙しくても食事や睡眠の改善を意識することが大切です。
夜遅い時間にまとまった食事をとることも、睡眠の質を低下させてしまいます。どうしても遅い時間にしか食事ができない場合は、時間を分けて食べるのも1つの方法です。
さらに栄養バランスの良い食事をとることも心掛けましょう。不足しがちな野菜は意識して食べるようにして、難しい場合はサプリメントでの栄養補給も有効です。
湯船につかってリラックスする
仕事が忙しい場合は、入浴せずにシャワーで済ませてしまいがちになります。しかし、シャワーだけではなかなか疲労が取れません。
体が疲れてきていると感じる場合は、湯船につかって体を温めるのがおすすめです。入浴にはリラックス効果があり、ゆっくりとお風呂に入れば心身の疲れが回復しやすくなります。
緊張をほぐす効果を期待できることもポイントです。仕事が終わったらできるだけ湯船につかり、心と体のリセットを意識しましょう。休日に温泉でのんびりと過ごすのもおすすめです。
【対処法6】目標がない場合
仕事や人生に目標がない人は、仕事を頑張る意味を見いだせなくなりがちです。目標がない場合に試すべき対処法を覚えておきましょう。
得意なことや嫌いなことを書き出す
目標がないことが原因で仕事を頑張れないのなら、まずは目標を立てられないか考えてみましょう。自分の得意なことを書き出して強みを自覚すれば、目標を立てやすくなります。
好きなことはすぐに思いつかなくても、嫌いなことはたくさんあるという人も多いでしょう。嫌いなことを消去法で外していくことで、やりたいことを見出すという方法もおすすめです。
絶対にやりたくないことを避けるためにどうすればよいかを考えれば、仕事や人生の目標を決めるヒントを見つけられる可能性があります。どうしてもやりたいことが分からない人は、嫌いなことについてじっくり考えることから、自分が目指すべき目標を考えてみましょう。
小さな目標を立ててみる
仕事や人生における長期的な目標を立てられない場合は、小さな目標を設定するのも効果的です。ちょっとした目標なら達成しやすいため、成功体験を積み重ねていけます。
うまくいったことが増えていけば自信につながり、仕事を頑張れるようにもなるでしょう。小さな目標を常に設定し続けることで、将来への不安を感じる暇もなくなります。
小さな目標を立てる際、仕事にこだわる必要はありません。日常生活の中で目標にできることがあれば、目標に向かって頑張ることで気持ちも前向きになっていきます。
どうしても仕事を頑張れないなら
さまざまな方法を試しても仕事を頑張れないときには、思い切って仕事を休んでみましょう。転職を検討するのも1つの方法です。
無理に頑張る必要はないことを理解する
どうしても仕事を頑張れないのなら、考え方を変えてみましょう。これ以上頑張れないと思うなら、心身を酷使してまで無理に頑張る必要はありません。
企業が従業員に求めているのは仕事の成果です。とはいえ、いくら頑張っても改善への工夫をしても、成果に結びつかないこともあるでしょう。そうした場合には、頑張る意欲を持ち続けられないと感じてしまうのも無理はありません。
ただし、頑張らない姿勢を露骨に出してしまうと、周囲に悪影響を及ぼす恐れがあります。成果を出すという目標に向かって、心身が疲弊しない程度にできる範囲で努力していこう、と大らかに考えてみましょう。
思い切って仕事を休む
仕事を頑張る気力がわかない場合は、思い切ってしばらく仕事を休んでみるのもおすすめです。有休を使ってまとまった休暇を取ってみましょう。
しばらく仕事を休むことで、心身の疲れが回復したり考え方に変化が生じたりして、再び仕事を頑張れるようになる可能性があります。
有休を取得しにくい雰囲気の職場で働いている場合も、思い切って有休を申請してみましょう。十分に休むことによって自分の気力が回復することは、自分のためだけでなく会社のためにもなるのです。
転職して環境を変える
仕事を頑張れない原因をどうしても解消できないのなら、転職して環境を変えるのも1つの方法です。転職すれば大半の原因は解決できるでしょう。
ただし、転職はあくまでも最終手段であり、さまざまなリスクがあることも意識しなければなりません。人間関係や労働環境など、自分ではどうしようもない理由で頑張れない場合に、転職で環境を変えるのがおすすめです。
転職で環境を変えたい場合は、求人検索エンジン「スタンバイ」を利用してみましょう。豊富な求人情報を取り扱っており、理想の転職先を見つけやすいことが魅力です。
「仕事が頑張れない」は改善できる！
仕事を頑張れないことに悩んでいるなら、理由を突き止めることが大切です。原因に合った対処法を試せば、再び頑張る気力が出てくる可能性があります。
どうしても頑張れない場合は、無理に頑張る必要がないという考え方にシフトするのもおすすめです。自分ではどうしようもない理由で頑張れない状況なら、転職も視野に入れてみましょう。
メンタルケア・コンサルタント。公認心理師、精神保健福祉士、産業カウンセラーの資格を持ち、カウンセラー、作家、セミナー講師として活動する。現代人を悩ませるストレスに関する基礎知識と対処法を解説。ストレスマネジメントやメンタルケアに関する著書・監修多数。
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