「私用のため」は、有給休暇を取得する理由として許されるのでしょうか?「私用のため」は「個人的な事情により」という意味になりますが、使える場合と使えない場合があります。「私用のため」の使い方を、例文とともに詳しく解説します。
「私用のため」を使うのはいつ?
「私用」とは、プライベートでの用事や用件のことを表す言葉です。会社では、仕事上の理由以外のことにはすべて「私用のため」を使います。具体的にどのような場面で使うのか見ていきましょう。
個人的な用事で休暇・欠席をする場合
「私用のため」は、会社を休んだり会議を欠席したりするときに使います。
会議を欠席する場合は仕事上の都合によることもあるため、「私用のため」以外の言い方をする場合もありますが、会社を休むときは個人的な理由によることがほとんどなので、「私用のため」として問題ありません。
病気・家庭の事情・冠婚葬祭・レジャーなど、どのような理由であっても、すべて「私用のため」とするのが基本です。もし具体的な理由を求められたときは、自分が差し支えのない範囲で伝えればよいでしょう(ただし、理由を伝えるのは義務ではありません)。
有給休暇の申請や社内連絡
有給休暇の取得を申請する際も、理由はすべて「私用のため」とします。そもそも有給休暇は、会社に勤務する従業員に与えられている権利なので、休みを取る理由を会社に知らせる必要はありません。
しかし、職場の状況によっては「私用のため休みを取りたい」と言いにくい場合もあるでしょう。そのようなときは「通院の予定がある」「家庭内の事情」など、簡単に理由を伝えればOKです。
また、有給休暇を取得することについて社内に連絡する際も、「私用のため有給休暇を取得します」とするだけで問題ありません。
「私用のため」を使わないときもある?
個人的な事情でも、「私用のため」がふさわしくないケースもあります。具体例を2つ挙げて説明します。
当日の遅刻や早退のときは理由を詳しく
事前に決まっていた半日休暇など以外で、遅刻してしまったときや、当日になって早退を申し出る場合は、「私用のため」ではなく理由を具体的に述べるのがマナーです。
そもそも遅刻してしまうこと自体、あまりよい印象を与えません。しかし、事故で交通機関が遅れたというような、不測の事態が起こるケースもあります。そのような場合はなおさら、具体的な理由を述べた方が相手も納得してくれるでしょう。
当日早退しなければならなくなった場合も、「私用のため」ではなく理由をしっかり述べることが必要です。
社外に連絡するときは言い方を変える
社外の人に向けて伝えるときも「私用のため」は避けるのが一般的です。「私用のため」を使っても間違いではありませんが、どちらかというとラフな印象を与えます。
取引先との会話の中で個人的な話題に触れるときや、有給休暇を取得することを知らせるときは、「私用のため」より「私事で恐縮ですが」とする方がかしこまった印象になります。または、「所用により」という表現を使ってもよいでしょう。
「私用のため」の使い方と例文
初めて会社に有給休暇の申請を出す人の中には、「私用のため」を具体的にどう使えばよいのか分からない人もいるかもしれません。「私用のため」を使う場面ごとに、例文を交えながら紹介していきます。
有給休暇の申請
有給休暇の取得には、会社独自の申請フォーマットが用意されていることが多いので、指定された欄に「私用のため」と書きましょう。
会社によっては詳しい理由を書くよう求められることもありますが、そのような場合は差し支えのない範囲で書けばOKです。
ただし、本当の理由を書きにくいからといって、虚偽の理由を書くとトラブルの原因になる可能性もあるので避けましょう。また、有給休暇を取ることを、直属の上司にメールで連絡しておくことも大切です。
【上司にメールで連絡する場合の例文】
お疲れ様です。
〇月〇日、私用のため有給休暇をいただきたいと存じます。
ご迷惑をおかけいたしますが、よろしくお願いいたします。
社内への連絡
有給休暇を取得することを社内に連絡する場合は、休む期間や休み中に業務を引き継いでもらう担当者名なども明記します。
【社内連絡メールの例文】
営業部各位
お疲れ様です。営業部第一課の〇〇です。
このたび下記の期間、私用により有給休暇をいただくことになりましたのでご連絡いたします。
有給休暇取得日 〇月〇日
なお、業務に関して何かご連絡事項がありましたら、〇〇課長にお伝えいただくようお願いいたします。
「私用のため」を使わない場合の例文
遅刻や早退をするとき、また社外に連絡するときなどには、「私用のため」はふさわしくありません。どのように伝えればよいのか、例文とともに紹介します。
当日の遅刻や早退
遅刻してしまうときは、メールではなく電話で伝えることが大切です。遅刻する理由を正直に伝え、遅れてしまうことへの謝罪も忘れずに付け加えましょう。
体調の悪化や急な家庭の事情で早退しなければならないときも、「私用のため」ではなく具体的な理由を述べます。
【当日遅刻する場合の例文】
お疲れ様です。営業部第一課の〇〇です。申し訳ありません。本日30分ほど出社の時間が遅れてしまいます。実は目覚まし時計に気付かず、寝坊してしまいました。今後このようなことがないように気を付けます。
【当日早退する場合の例文】
先ほどから体調が悪く、熱があるようなので午後から早退させていただいてもよろしいでしょうか。
社外への連絡
社外への連絡には「私用のため」ではなく、「私事で恐縮ですが」「誠に勝手ながら」などの表現を使いましょう。不在によって不便をかけないよう、不在時の連絡先も明記しておくことが大切です。
【社外に連絡する場合の例文】
いつもお世話になっております。
株式会社〇〇の〇〇(氏名)です。
私事で恐縮ですが、下記の期間は有給休暇を取らせていただくことになりましたのでご連絡させていただきます。
休暇期間 〇月〇日〜〇月〇日
不在の間にご用件がございましたら、連絡は営業部〇〇までお願いいたします。
会社を休むときは「私用のため」でOK
「私用のため」は、具体的な理由を述べる必要がない有給休暇の取得申請や、社内への連絡などに使います。
当日の朝になって休まなければならなくなったり、遅刻や早退をしたりするときは、できるだけ具体的な理由を伝えることが必要です。また、社外への連絡には「私用のため」の代わりに、「私事で恐縮ですが」のような表現を使います。
その場の状況に応じて正しい表現を使えるように、日頃から意識しておくとよいでしょう。