左遷とはどういうこと?左遷の理由や対処法を具体的に解説

納得できない異動に対して「これは左遷ではないか?」と感じ、受け入れられない人もいるでしょう。しかし、左遷されたらどうすればよいのでしょうか?左遷の意味や左遷になる理由、適切な対処法についても解説します。

左遷とはどのような意味?

辞令

(出典) photo-ac.com

「左遷」という言葉を耳にしたことはあっても、具体的にどのような状態を指すのかよく分からない人もいるのではないでしょうか?

また、明らかに左遷ではないかと思われる部署へ、異動になった人もいるかもしれません。左遷されたと悲観する前に、まずは左遷について詳しく知り、適切に対応していきましょう。

低い地位・役職への異動のこと

左遷とは、今より低い地位・役職への異動や、仕事が少ない部門・部署への配置換えを意味する言葉です。もともと中国で右側を尊び、左側を下に見たことが由来だといわれています。

企業が人事異動を行う理由はさまざまですが、大きな目的は組織の強化・成長です。部署ごとの従業員数の過不足を補うためや、従業員のキャリアアップを考慮した人事異動もあります。

会社が異動の辞令を出す際に「左遷する」と表現することはありませんが、客観的に降格とみなされる異動や、本人が望まない部署への配置換えを左遷と呼ぶのが一般的です。

左遷とは逆に、本人のキャリアにとってプラスになる「栄転」と呼ばれる異動もあります。

左遷かどうかは捉え方で変わる

客観的に見てマイナスと思えるような異動でも、当事者の捉え方や会社の意図によっては、一概に左遷とはいえないケースもあります。

例えば、閑職への異動でも本人がやりやすい仕事の場合は、左遷にならないでしょう。子会社への異動でも、いったん別会社で経験を積んで本社に戻ることが前提とされていれば、左遷ではなく栄転ともいえます。

ほかにも、スキルのある人材が少なく課題を抱えている部署へ、テコ入れのために配属されたというケースもあるでしょう。

表面的には左遷と思われる異動でも、会社側の意図によっては落ち込む必要はないので、冷静に受け止めることが大切です。

状況によっては違法の場合も

降格を伴う異動だとしても、正当な理由があれば従業員側は従わざるを得ません。しかし、中には不当と判断される異動もあります。

例えば、上司の個人的な感情による異動や、退職勧奨に応じないときの仕事のない部署への配置換えなどは、パワハラに当たる可能性もあるでしょう。

また、労働基準法の第15条および労働基準法施行規則の第5条によると、企業は従業員に対して労働条件を明示することとされています。

そのため、雇用契約書に「引っ越しを伴う異動はない」と書かれているにもかかわらず、遠隔地への転勤を命じられた場合は、雇用契約に反するため違法となる可能性もあるでしょう。

労働基準法では、左遷について明らかに規定されてはいませんが、過去にも降格を伴う人事異動が違法と認められた判例はあります。

参考:労働基準法 | 第15条

参考:労働基準法施行規則|第5条

左遷になる理由は?

頭を抱える男性

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左遷される理由には、どのようなことが考えられるのでしょうか?よくある理由を2つ挙げて説明するので、思い当たることがないか考えてみましょう。

仕事でのミスや能力不足

左遷になる理由で多いのが、仕事上のミスや能力不足です。もちろん、ミスを犯さない人はいないので、たった一度の失敗ですぐに左遷となることはありません。

しかし、何度注意されても同じミスを繰り返したり、大きな失敗をして会社に不利益をもたらしたりすると、左遷される可能性は高くなるでしょう。

また、業務に最低限必要とされるスキルが不足している場合も、能力不足と判断されてほとんど仕事がないような部署に左遷されることがあります。

人間関係のトラブル

協調性に欠けたり、いつも周りと対立したりなどのトラブルが絶えない場合も、左遷の対象になりがちです。

たとえ仕事で個人的に成果を上げていたとしても、常に上司や同僚と衝突しているような状態では、部署全体にとってよい結果にならないと判断されてしまうでしょう。

仕事で結果を出すことは必要ですが、社内でのコミュニケーションをうまく取ることも重要です。異動先の部署で同じことを繰り返さないためにも、良好な人間関係を構築する方法を考えてみましょう。

左遷されたと感じた場合の対処法

考え事をする男性

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明らかに「左遷された」と感じたときは、慌てたり悲観的になったりせず、冷静に対応することが大切です。左遷されたときの主な対処法を3つ紹介します。

人事に異動の理由を確認する

左遷に心当たりがないときは、人事に異動の理由を確認しましょう。理由が分かれば、今後評価を挽回する方法が見つかるかもしれません。

ただし、会社側は「左遷」という言葉を使わないでしょう。会社にとっては人事異動の一環で、その結果をどう受け止めるかは本人次第だからです。

「結婚や出産をしたら異動になった」「雇用契約を結んだときにはないと言われていたのに転勤になった」など、不当だと思われる場合は左遷を拒否することが可能です。

左遷先でキャリアを積む

左遷をポジティブに受け入れて、異動先で新たなスキルを身に付けるのも1つの方法です。これまでとは違う業務を行うことで、今まで知らなかった自分の能力・適性に気付けるかもしれません。

また、自分では左遷だと思っていても、会社の意図は違う場合もあります。異動先の部署の強化に貢献したり、個人的な成果を上げたりすることによって会社に評価され、新しいキャリアへの道が開ける可能性もあるでしょう。

転職を考える

どうしても左遷を受け入れられないときは、転職して新たなキャリアを積む方法もあります。左遷になってこれまでとは違う職種に就くと、今まで築き上げたスキルを生かせなくなってしまうでしょう。

「今の職種でもっと活躍したい」「さらにスキルを磨いていきたい」と思うときは、別の会社の同じ職種に転職してみるのもおすすめです。

転職する際は、退職前に転職先を決めておくことが大切です。転職先探しには、豊富な求人が掲載されている転職サイトを活用するとよいでしょう。

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左遷されたら転職も視野に入れた対応策を

働きながら考え事をする男性

(出典) photo-ac.com

これまでの職務内容とまったく関係ない部門への配置や、仕事が激減するような部署への異動は、左遷の可能性があります。

しかし、客観的に降格と思われる異動でも、本人の捉え方や会社側の意図次第では、左遷にはならないこともあるでしょう。

もし、明らかに不当な異動だと思ったときは、冷静に対応することが大切です。左遷を拒否できない場合や異動先で勤務するのが苦痛なときは、転職も視野に入れた対策を考えてみるとよいでしょう。