どんなときでも誰かと比較して自分を卑下する癖が付いていると、つらい思いをする機会が増えてしまいます。なぜ、わざわざ落ち込むような行動を取ってしまうのでしょうか。考えられる原因や、人と比べてしまう癖の直し方を紹介します。
人と比べてしまうのはなぜ?
つい他人と自分を比べてしまう人には、ある程度共通する特徴があります。人と自分を比較して物事を考える人に、ありがちな原因を見ていきましょう。
自分に自信が持てない
自分に対する自信が足りない状態は、つい人と比べて落ち込んでしまう原因の1つです。自信がないと周りの人の評価が気になり、ほかの誰かと比較した自身の位置にこだわってしまいます。
自らの価値観を基に行動するのが難しい状態では、人との比較によって価値を測ろうとするので、自分より上だと感じる人を見て落ち込むことを繰り返しがちです。
自信を持つためには、ほかの人と比較して心配したり安心したりするよりも、自らが納得できるような生き方を目指す意識が必要です。
「認められたい」という気持ちが強い
個人差はありますが、人は誰しも周囲から「気にしてもらいたい」「褒められたい」といった欲求を抱くものです。
人は集団の中で、社会性を育みながら生活しています。周囲と協調しなければならないという感覚を持っているので、どうしても人からの評価を気にして認められたい気持ちを抱くのです。
誰かと自分を比較して考えること自体は自然であり、必ずしも悪い思考ではありません。むしろ努力するために必要な原動力になる場合もあります。
しかし、あまりにも認めてほしい気持ちが強すぎたり、比較によって悩む癖が付いていたりしているなら、適度にコントロールできるようになった方が楽に生きられるでしょう。
負けん気が強いケースも
負けん気が強い性格が人と比べすぎる原因になっている場合もあります。勝負事に負けると悔しくて仕方がないという人は、プライドが高く負けん気が強い性格といえるでしょう。
誰でも負ければ多少は悔しい気持ちがわいてくるはずです。しかし、勝つこと自体に大きな執着心を持っていて、勝たないと幸福感を得られない場合は、何事においても他人と自分を比べて苦しくなる可能性があります。
自分の方が優れていると感じることで、満足感を得ようとするのです。勝っていると思えば優越感を抱けますが、負けていると思うと腹が立ってしまったり、イライラしたりするでしょう。
人と比べてしまう癖を直す方法
つい誰かと比較しまうのは、社会生活を営む上で多くの人が経験することです。ただ、行きすぎた癖を改める方法を知っていると、人と比較するせいで苦しい状態を解消できます。どのように直していけばよいのかを見ていきましょう。
SNSの投稿を真に受けすぎない
SNSは情報を仕入れるための身近なツールなので、頻繁に見ている人は多いでしょう。投稿された内容を見て「人より自分は劣る」と考えてしまう人は、自らつらい状況を招いてしまっている可能性があります。
他人がSNSに投稿した情報と自分の生活と比較して落ち込む人は、投稿されたもの全てが真実だと思いがちです。
しかし、どんなに幸福そうに見える人でも外に表せない苦労や悩みを抱えている可能性があり、本当の姿を見せているとは限りません。
投稿内容の全てを真に受けて「自分よりも優れている」と思い込むのではなく、適度に受け流すようにしましょう。SNSの利用によってネガティブな感情をため込むくらいなら、SNSから距離を置くことをおすすめします。
目に見える結果だけで比較しない
数字で表せるものは人と比較して優劣を付けやすく、成果が劣る自分には価値がないように思い込みがちです。しかし、数字で表せる結果が人の全てではありません。
もし、営業成績が悪くて満足のいく結果を出せなかったとしても、仕事で結果を出すためだけに生きているわけではないと考えれば気が楽です。
仕事をしている時間は長いので、人生の全てだと感じることもあるでしょう。とはいえ、何を重視して生きていくかは人によって違います。
目に見える結果だけで比べるのではなく、どのように生きていきたいのか、理想をかなえるために必要な努力は何かという視点を意識しましょう。1つずつ目標をクリアしていくことが、人と自身を比較する癖から抜け出す第一歩です。
他人ではなく「昨日の自分」と比較する
他人を軸に生き方を決定するのではなく、過去の姿と比較して「現在の自分はどうなのだろうか」と考えるのは、意味のある行為です。
過去にはできなかったことが実現していくように、年を重ねる中でよい面が見つかることは少なくありません。その結果、さらにできることを増やしたいとポジティブな感情がわいてきて、積極的に行動できるようになります。
ほかの誰かの姿を見て一喜一憂するよりも、建設的な生き方とも考えられるでしょう。もしできることが増えていなかったとしても、現状維持できていると捉えればよく、ネガティブに考える必要はありません。
人と比べて落ち込んだときの対処法
人と比べる癖を直そうと思っていても、落ち込みが激しいと行動する気力がなかなかわきません。落ち込んでしまったときの対処法を見ていきましょう。
自分の好きなことで気分転換する
気持ちが深く落ち込んでしまうと、現状を何とかしようと考えることさえもつらい状況に陥る場合があります。気分が上がらない状態なら、夢中になれる趣味や娯楽に取り組んでリフレッシュしましょう。
壁にぶつかったときに気持ちをリセットする方法を知っていれば、落ち込んでしまったときの回復を早められます。
気持ちを立て直せない状態が続くと、さらに失敗する悪循環に陥るので、早めに気持ちをリセットするに越したことはありません。
好きな音楽を聴く・体操をする・好きなものを食べるなど、何でも構わないので気分転換の時間を持ちましょう。
良質な睡眠を取る
しっかりと睡眠を取ると心身の疲労が取れ、気分が晴れやかになります。反対に、睡眠不足になると心や体に不調が起きやすくなるでしょう。
寝付きが悪く深い眠りに入りづらくなったと感じるときは、快眠のために生活習慣を見直すことをおすすめします。
就寝する3時間ほど前に軽い運動やぬるめのお湯での入浴をして、体温を一時的に上昇させると快眠に効果的です。人は脳の温度が低下するタイミングで、眠気を感じやすくなるとされています。ただ、就寝の直前だと逆効果になるので注意しましょう。
また、アルコールを飲むとよく眠れると感じる人もいますが、明け方に覚醒しやすくなるので、かえって睡眠不足に陥る心配があります。
コーヒーや紅茶のようなカフェインが含まれる飲料も覚醒作用があり、スムーズな眠りを妨げるので、飲みたい場合は就寝時間の5~6時間前までにしておきましょう。
人と比べる癖を仕事に役立てるには?
人と比べること自体は悪い考えではなく、仕事をする上でのメリットにもなり得るものです。人と比べる癖を役立てる方法を見ていきましょう。
「うらやましい」で終わらない
仕事で憧れている人がいるなら「うらやましい」と感じて終わるのではなく、その人のように仕事ができるようになるには何が必要かという視点を持ちましょう。手本にして取り入れられそうな行動を考えるのがおすすめです。
誰かに憧れる気持ちは、努力するための原動力になります。周囲から尊敬されている人物は、人知れず努力していたりお手本になったりする部分を持っている場合が多いでしょう。
比較癖にはマイナスの面しかないように思うかもしれませんが、考え方によっては理想を追求し高みを目指すために利用できるのです。
ポジティブな比較にシフトしよう
言動や振る舞いを見てうらやましいと感じられる人は、理想とする姿の1つです。人と比べる行為は、どのような姿を目指したいのかを考えるヒントにできます。
人をうらやむ気持ちがわいてきたら、うらやましいと思う理由やまねしたい部分は何か、好奇心を持って見つめてみましょう。
ほかの誰かを見て自分には価値がないと思い込むのではなく、前向きな気持ちになる考え方にシフトしていくのが有益です。
自分を見つめ直して自信を持とう
人と比べてしまう癖が原因で自信が持てなくなってしまうときは、自分を見つめ直して「理想を目指すために何ができるか」という方向に意識を持っていきましょう。
うらやましいと感じる人物は理想像の1つに過ぎないので、その人のようにならなければ価値がないわけではありません。
好奇心を持ってよく観察してみたら、ただうらやましいと思い込んでいただけで本当の理想とは違ったというケースも十分にあり得ます。
目で見える結果だけが全てだと思わず、できることは何かを考える材料や努力するための原動力にすれば、落ち込む時間を増やさずに済むでしょう。