円満に退職するためには、申し出のタイミングや手順についてあらかじめ知っておくことが重要です。退職の2カ月前からのスケジュールや、円満に辞めるためのタイミングなどを解説します。どうしてもすぐに辞めたい場合の方法もチェックしましょう。
この記事のポイント
- 円満退職を目指すには?
- まずは就業規則を確認し、退職に関するルールを把握することから始めます。
- 退職の意思はできるだけ2カ月前に伝える
- 2カ月前に伝えると、業務の引き継ぎや後任の手配がスムーズに進みます。
- 転職活動は計画的に
- 転職活動は一般的に1~3カ月ほどかかるので、計画的に始めるのがおすすめです。
上手な仕事の辞め方をチェック
今の職場をできる限り円満に辞めるには、職場が定めている退職のルールを確認することから始めます。退職希望日から逆算し、余裕を持った計画を立てましょう。
まずは就業規則を確認
一般的に、会社の就業規則には退職の申し出の期限や手続き方法が明記されています。手順に沿って退職手続きを進めれば、トラブルを避けられるでしょう。
退職の意思は1~2カ月前に伝えるのが理想とされていますが、会社によっては独自のルールがあるため、就業規則を確認し、それに基づいてスケジュールを立てることが大切です。
また、退職の意思を上司に伝える前に、同僚や部下に漏らすことは避けましょう。情報が先に広まると、混乱を招く可能性があります。まずは上司に報告し、その後、適切なタイミングで関係者に伝えるのがマナーです。
2カ月前が理想!計画を立ててスムーズに退職
可能であれば、希望する退職日の2カ月前に意思を伝えるのが理想です。民法第627条では「2週間前に申し出れば退職できる」と定められていますが、実際には業務の引き継ぎや後任者の確保に時間がかかります。
特に、業務量が膨大で忙しい人や、専門的なスキルが必要な職種であれば、引き継ぎが円滑に進まないと支障が出てしまうでしょう。2カ月前から準備することで、会社側も余裕を持って対応できます。
上司や同僚に迷惑をかけないよう計画的に進めることが、円満退職につながります。退職を決めたら早めに上司へ相談し、引き継ぎなどの計画を立てることが大切です。
管理職の場合はゆとりを持って
管理職が退職する際は、一般社員よりも早めに意思を伝えた方がよいでしょう。管理職は業務範囲が広く、担当業務だけでなく部下の指導やプロジェクト管理なども担っているため、後任者の選定や引き継ぎに時間がかかることがほとんどです。
2カ月前でも対応が難しいケースがあるため、できれば3〜6カ月前から準備を始めるとよいでしょう。
管理職の退職は職場全体に影響を及ぼします。事前に上司や人事部と十分に相談し、適切な引き継ぎ体制を整えることが重要です。組織の混乱を避け、スムーズに職務を引き継ぐためにも、余裕を持った退職計画を立てましょう。
辞める2カ月前からのスケジュール
退職の2カ月前からのスケジュールを見ていきましょう。業務内容や状況によっては前後する可能性もありますが、退職の流れは基本的に同じです。
2カ月前:上司に退職の意思を伝える
退職を決意したら、まず直属の上司に意思を伝えましょう。上司へ報告する際には、できるだけ落ち着いた時間と場面を選び、誠意を持って話すことが大切です。
退職理由については、必ずしも正直に話す必要はありません。「一身上の都合」「キャリアアップを考えている」など、角が立たない表現で伝えるとよいでしょう。また、転職先が決まっている場合でも、具体的な企業名や仕事内容を伝える義務はありません。
無理に話すことでトラブルを招く可能性もあるため、プライベートな部分は伏せるのが無難です。上司に報告が済んだら、必要に応じて人事部門へも報告を行い、正式な退職手続きを進めましょう。
2~1カ月前:引き継ぎを進める・退職願を書く
退職の意思を伝えた後は、業務の引き継ぎを計画的に進めましょう。引き継ぎには思った以上に時間がかかるため、内容によっては2カ月前から準備を始めるのがベターです。
特に、複数の業務を担当している場合や、複雑な工程の仕事は早めに整理し、マニュアルを作成しておくと安心です。また、有給休暇を消化する予定がある場合、その分も考慮してスケジュールを組む必要があります。
退職願(退職届)は、会社の指定フォーマットがあればそれを使用し、なければ一般的な形式で問題ありません。提出する際には、上司に直接渡し、これまでの感謝の気持ちを添えます。しっかりと準備を進めておくことで、円満な退職が実現できるでしょう。
2週間~10日前:関係者にお礼を伝える
退職が近づく2週間〜10日前には、これまでお世話になった社内外の関係者へ退職することを知らせ、感謝の気持ちを伝えます。
社内の同僚や上司には、直接会ってこれまでの感謝を述べましょう。社外の取引先や関係者には、メールや電話で退職の報告とともにお礼を述べます。
この時期に引き継ぎが完了している場合は、周囲の業務をサポートすることで良い印象を残せます。
10日前~当日:整理と貸与品の返却
退職の10日前〜当日には、デスクやロッカーなど身の回りを整理し、会社から支給された貸与品を返却する準備を整えましょう。
特に制服は、クリーニングに出すなどの細かいルールを確認し慌てないようにします。返却が遅れたり物品を返さなかったりすると、会社から損害賠償を請求される可能性もあるため、事前にリストを確認し期限内にきちんと返却しましょう。
以下は、退職時に返却する貸与品の一例です。
- 健康保険証
- 社員証
- パソコン
- タブレット
- スマートフォン
- 鍵(オフィスやロッカーなど)
- 制服
- 業務関連のデータ
良い仕事の辞め方をするにはどのタイミングがベスト?
これまでの業務経験から、繁忙期・閑散期があることはある程度理解しているでしょう。できるだけ周囲に負担をかけない、円満に退社できるタイミングを選ぶことが大切です。
状況によって変わるベストタイミング
仕事を辞めるタイミングは、個人と会社の状況によって異なります。転職先が決まっている場合、次の職場の開始日を新年度などに合わせることが一般的です。退職が多いパターンとしては、3月末や12月末が挙げられます。
転職先が決まっていない場合は、月末に退職日を設定するケースが多いでしょう。月初から新しい仕事を始めるのに向け、余裕を持って準備ができます。
また、ボーナスをもらってから退職する場合は、ボーナス支給日の月末を選ぶのが理想的です。退職後の予定や状況に応じて、最適なタイミングを見極めましょう。
引き留められたらどうする?
引き留められた場合、辞める決意が固いならば、揺らがないことが大切です。自分の意思をしっかり伝え、冷静に対応しましょう。
引き留められにくい理由を考えておくと、スムーズに退職が進む可能性が高くなります。退職日を明確に設定したり、「やりたいことがあり、この会社では実現できない」といった理由を伝えると、相手も納得できるでしょう。
すぐに仕事を辞めたいとき
体調不良や人間関係のトラブルなどが重なり、すぐに仕事を辞めたい場合はどうすればよいのでしょうか?退職の意向を伝えるタイミングや手続きについて理解し、スムーズに辞めるための方法を考えましょう。
正社員は2週間前ならば退職できる
いろいろな事情が重なり、どうしてもすぐに仕事を辞めたい場合もあるでしょう。正社員の場合、退職の申し出が2週間前に行われれば、法的には問題なく退職できます(民法第627条)。
アルバイトやパートの場合も、雇用契約に期間が定められていなければ、2週間前の申し出で退職が可能です。
ただし、即日退職は通常は難しく、会社側には引き継ぎのための時間を確保する配慮が必要です。円満退職をかなえるためにも、退職を決めたら早めに上司に伝えることが重要です。
精神的につらければ電話連絡でもOK
精神的につらく、対面で退職を伝えるのが難しい場合は、電話で辞める意思を伝えることも可能です。
しかし、辞めることは口頭で伝えられても、退職届は書面で正式に提出しなければなりません。手渡しするのが一般的ですが、やむを得ないときは退職届を郵送する手段もあります。
精神的な負担を感じているならば、自分を大切にし、無理をせずに退職の意思を伝える方法を選びましょう。
無断退職のリスクとは
無断で退職した場合、会社側から懲戒解雇を受ける可能性があります。転職活動に悪影響を与え、履歴書や面接でその理由を説明する必要が生じるかもしれません。その結果、次の職場での信頼を損なう恐れがあります。
また、事務手続きがスムーズに進まない可能性もあるでしょう。無断退職をすると、源泉徴収票や離職票を受け取れなくなることがあり、転職先で必要な手続きが滞ってしまいます。さらに、退職金が減額されるリスクも考えられます。
トラブルを避けるためにも、事前に上司に伝え、書面で退職届を提出し、円満退職を目指しましょう。
転職活動はどうする?
希望の職場を見つけるためには、転職活動を早めに始めましょう。転職先を見つけるまでには時間がかかることが多いため、計画的に進めます。
転職活動は1~3カ月かかる
転職活動は一般的に1〜3カ月かかりますが、職種や市場状況によってはそれ以上かかる場合もあります。
在職中に転職活動を行う場合、安定した収入が確保できますが、面接の調整や選考に集中できないというデメリットがあります。
一方、辞めてから転職活動を始めると、時間的な余裕が持て選考に集中できますが、収入が途絶えることや、転職先が決まるまでの不安定な期間が続く点がデメリットです。
それぞれのメリット・デメリットを考慮して、自分にとって最適な方法を選ぶことが重要です。
退職を決めたら並行して転職活動をする
退職を決めたら、転職活動を並行して進めるのがおすすめです。同時並行で活動することで、退職後の不安定な期間を避け、スムーズに新しい職場へ移行できます。
まずは情報収集を始めて、業界の動向や現在の求人情報を把握しておきましょう。転職活動は、通常1〜3カ月程度かかるため、余裕を持って準備を進めることが大切です。
現職を続けながら活動すれば、収入が途絶えることなく、安心して転職先を探すことができます。
仕事を辞めるのは新たな道を踏み出す第一歩
仕事を辞めることは、新たな人生のスタートでもあります。自分の未来に向けて新しい挑戦をするために、しっかりと準備をして計画的に行動することが大切です。
退職を考える際には、並行して転職活動を進めることがおすすめです。仕事・求人情報一括検索サイト「スタンバイ」で転職のチャンスを見つけ、新しい一歩を踏み出しましょう。