プログラマーを未経験から目指すのはきつい?勉強法と仕事の実態

一般的にプログラマーの仕事はきついと言われており、未経験者がプログラマーに転職したいと考えているのなら、その理由を知っておくことをおすすまします。実際の仕事内容を把握すれば、転職先を決める際の参考になるでしょう。プログラマーの実態や未経験から目指す方法を紹介します。

未経験からプログラマーになるのはきつい?

プログラマーの男性

(出典) photo-ac.com

プログラマーとしての経験がない場合、プログラマーに転職するのは難しいのでしょうか。まずは、転職市場におけるプログラマーの扱われ方を知っておきましょう。

未経験からでも可能

IT業界では慢性的な人材不足が続いています。日常生活においてITやインターネットが不可欠なものとなっている一方で、サービスの提供側では圧倒的に人手が足りていないからです。

業界の人材不足を解消すべく、転職市場ではIT系の人材採用が積極的に行われており、ITに関する経験がない人でも、比較的対象となる求人が見つけやすい状況にあります。

プログラマーについても、未経験者を積極的に採用している企業が少なくありません。未経験からプログラマーになるのは、可能性が十分にあることを覚えておきましょう。

スキル・勉強は必須

プログラマーとしての経験がなくても転職できる可能性はあるとはいえ、プログラミングのスキルや知識がなければ仕事にならないため、採用される可能性はかなり低くなってしまいます。あくまでも経験不問というだけであり、プログラミングの知識やスキルが全くない状態で転職に臨むのは避けた方がよいでしょう。

20代前半までなら、ポテンシャル採用で入社後に鍛えてもらえる可能性もあるため、基本的なITスキルがあれば採用される場合もあります。一方、20代後半以降は、ある程度の即戦力性を求められるため、プログラミングに関する知識やスキルが必須です。

IT分野は新しい技術が次々に生まれる業界でもあるため、転職前だけでなく入社後も勉強を続ける姿勢が求められます。プログラマーとして転職するためには、最新技術への興味関心があることや成長し続けるための向上心があることを、転職活動時に効果的にアピールする必要があります。

プログラマーがきついとされる理由

時計とパソコン

(出典) photo-ac.com

プログラマーは仕事がきついというイメージを持たれがちな職業です。実際にはどのような点がきついと思われるのでしょうか。

労働時間が長くなりがち

プログラマーがきついといわれる理由の1つに、労働時間が長くなりやすい点が挙げられます。場合によっては、残業や休日出勤をする必要に迫られることもあります。

プログラマーが携わるシステム開発のプロジェクトには、納期が設定されるのが一般的です。決められた期限内に完成させなければならないため、業務量や進捗次第で労働時間が長くなることがあります。

複数の作業を同時並行で進める必要があるのもプログラマーという職業の特徴のひとつです。締め切り間際の作業仕事が重なってしまうと、長時間残業や深夜・休出対応をして終わらせる様な場面も珍しくありません。残業や休日出勤が増えると疲れがたまり、次第に仕事のきつさも増していってしまいます。

給与に満足できない

給与で報われていないと感じやすいことが多いのも、プログラマーがきついとされる理由の1つです。残業や業務内容の割に給与が少ないと思ってしまうと、満足感を得にくくなります。

ただし、プログラマーの給与は決して低い水準ではありません。IT業界自体が給与水準が比較的高く、プログラマーも他業種と比べると、むしろ給与水準は高い方だといえます。しかし、他のエンジニア職と比べると給与水準が低くなる傾向にあり、それがプログラマープログラムが給与面で報われていないと感じる一因となっています。

顧客先の都合に合わせる必要がある

業態によりますが、クライアント企業に依頼された仕事を請け負うプログラマーであれば、クライアントの都合に合わせる必要があるため、状況によってはきついと感じるケースもあるでしょう。

例えば、システム開発案件では、クライアントの事情によって短納期の対応であったり、急な仕様変更を求められることも珍しくありません。スケジュール通りに業務を進められなくなることも多く、業務が急に増えたり、作ったプログラムが無駄になったりするケースもあります。

プログラマーはクライアント企業に常駐する場合もあり、プロジェクトごとに労働環境が変わることに慣れていない人は、常駐がストレスになる可能性もあるでしょう。

人手不足のため業務量が多くなりがち

IT業界は人手不足のため、業界に入ること自体のハードルはそれほど高くはありません。一方で人手が足りないため、転職後すぐに多くの仕事を任されることも珍しくなく、きつさを感じやすくなります。

プログラマーの仕事に慣れて生産性が上がることで、ますます替えがきかない存在になるため、業務負担も増していくことが多いです。IT業界は信頼される人に業務が集まりやすい傾向があります。

また、企業によっては、プログラミング業務以外の仕事を頼まれるケースもあります。IT分野におけるさまざまな仕事の経験は、将来的なステップアップに向けて大きな財産にもなりますので、他の関連業務に携わることは、決して悪い経験ではありません。

常に勉強を続ける必要がある

プログラミング分野は、進化のスピードが非常に速い分野です。数年前までは存在すらしていなかった言語が、登場後数年で開発言語の主流になるケースもあります。また、フレームワークやライブラリなど、その言語周辺の技術知識の有無で生産性に大きな差が付くことも珍しくありません。

プログラマーとして長く仕事をしていくためには、技術進化の速さに後れを取らないよう、常に勉強して知識やスキルをアップデートする必要があります。

業務以外の時間でも新しい技術を習得したり、情報をキャッチアップしたりしながら、日々の仕事にも取り組まなければなりません。人によっては、やるべきことの多さにきつさを覚えるケースもあるでしょう。

モチベーションを保ちにくい

プログラマーの仕事がきついとされる理由には、モチベーションを保ちにくいという点もあります。特に未経験からプログラマーになった場合、業務内容が指示された手順のコードを書くという単純作業になりがちで、同じような作業を繰り返していると、どうしても仕事に飽きを感じてしまうことがあります。

特に、手順書の自動化や詳細設計書を元にコードを書く場合は、効率の良さや実行速度の速さよりも、確実に指示通りのコードであることや手順を追いやすいコードであることを求められるため、モチベーションが保ちづらくなるケースが増えるでしょう。

プログラミングに限らず、試験やマニュアル作成などシステム開発における下流工程の業務は単純作業が増えやすいため、やる気の維持に苦労しがちです。プログラマーとして活躍したいのなら、単純作業もいとわない集中力や体力が求められます。

プログラマーになるメリット

プログラミング画面

(出典) photo-ac.com

数あるIT系の仕事の中でも、プログラマーは転職希望者に人気の職種です。プログラマーになるとどのようなメリットがあるのか解説します。

自分のアイデアを形にできる

プログラマーは、プログラミングでアイデアを形にできるクリエイティブな仕事です。自分のアイデアを思い通りに実現できるため、やりがいを感じやすいメリットがあります。

どのように実装すれば良いか分からない複雑な処理ロジックをコードとして書き上げられた際に、大きな達成感を味わえる点も魅力といえるでしょう。単に指示を受けて作業をこなすだけでなく、求められる成果物を完成させるまでのプロセスが一意に決まっているわけではないため、自分の知識やスキルをフル動員させる必要があります。

携わるプロジェクトによっては、自分が開発したシステムが世の中の役に立っていると実感できるケースもあります。システムが実際に稼働しているのを目の当たりにすれば、プログラマーとしてのモチベーションもより高まるでしょう。

仕事に困らない

手に職を付けられるのも、プログラマーになる大きなメリットです。業界が人手不足という事情もあり、しっかりとしたスキルを身に付ければ仕事に困ることはないでしょう。

単に仕事に困らないだけでなく、計画を立てて成長していけば、さらなるステップアップも図れます。プログラミングは多くの上流工程を担う職種の基礎となるため、さまざまな方向でキャリアアップを考えることが可能です。

プログラマー自体にさまざまな種類があるのもメリットです。Web系・アプリ系・ゲーム系・組み込み系など、自分の興味・関心に合わせて飽きにくい分野の仕事を探せます。

プログラマーに向いている人は?

パソコン

(出典) photo-ac.com

プログラマーとして活躍している人に共通する、主な特徴を紹介します。自分にあてはまるものがあるかチェックし、プログラマーとしての適性を見極めましょう。

集中力・忍耐力・体力がある

プログラマーの仕事は、パソコンに向かって黙々とプログラムを組んでいく時間が多くなります。ひとつでもミスがあればプログラムは正常に動作をせず、ほんの些細なミスがシステム全体に影響を及ぼす恐れもあるため、集中力は必須です。

とはいえ、どんなプログラマーでも全くミスやバグなくコードを書き上げることは困難であるため、書き上げたコードが正常に動作するかを試し、正常に動くようになるまで問題を見つけては修正する地道な作業に耐える忍耐力が必要です。

加えて、労働時間が長めになるケースも多いため、体力や根気がある人の方が向くでしょう。納期が近くなったときに焦ることなく、落ち着いて作業を続けられる能力も重要です。

プログラマーの仕事については、毎日同じ時間に業務を区切れるケースはほとんどなく、締め切り間際に作業を追い込む場面も珍しくありません。定時に帰れなければストレスがたまるという人には適さないでしょう。

論理的思考力があり創作が得意

プログラマーに求められる能力の1つが、論理的思考力です。どのようにプログラムを組んだらきちんと動くのか、コードの入力によって考えられる動きをイメージできる能力が求められます。

論理的思考力は、プログラムにエラーがあった場合に、間違えた場所を見つける際にも重要なスキルです。プログラマーは基本的に1人でプログラムを組むため、エラーの原因となっている箇所は自分で発見し対処しなければなりません。

プログラマーは何もない状態からコードを書いてシステムを構築するのが主な業務です。創作することが好きな人もプログラマーに向いているでしょう。

学ぶこと・質問することをためらわない

プログラミングの分野は、急速なスピードで進化を続けています。仕事をしながらプライベートでも勉強も続けられる人でなければ、技術革新のスピードに追い付けなくなるでしょう。

分からないことが発生した際、周囲に質問できるかどうかも大切です。自分で問題を解決する姿勢も大事ですが、納期までに業務を終わらせるためには周囲に頼ることも必要です。

興味・関心があることを自分で調べたり、分からないことを理解できるまで質問したりできる人は、プログラマーに向いているといえるでしょう。

協調性が高い

プログラマーが携わるシステム開発のプロジェクトは、チームを組んで作業を進めていくのが基本です。自分が担当する箇所のプログラミング作業自体は1人で黙々と進めることが多いものの、システムをきちんと完成させるためには、周囲と連携する必要があります。

周囲と一緒に仕事を進めていくのが苦手な人は、プログラマーの業務で苦労するかもしれません。さまざまなシーンで協調性を発揮できるかどうかが、プログラマーにとって重要な資質の1つなのです。

また、どんなプログラムを組む必要があるのか、クライアントから要望を聞き出すためのコミュニケーション能力も必要とされるケースもあります。

プログラミングの勉強法は?

パソコンとノート

(出典) photo-ac.com

未経験者がプログラマーへの転職を目指す場合、どのように知識やスキルを習得すればよいのでしょうか。代表的な勉強法を紹介します。

独学で学ぶ方法

プログラミングは独学での勉強が可能です。動画学習サイトや書籍やWebサイトを活用すれば、基礎的な知識やスキルについては独学でも十分に習得できます。

自分のパソコンやVPS(略称:Virtual Private Server)などにプログラムを実行できる簡易的な環境を構築した上で、書籍やWebサイトのコードを実際に自分で書いてみましょう。トライ&エラーを繰り返すことで、実践で使える力が身に付いていきます。

また、学習の過程で作成したプログラムなどをGithubに公開することで、面接時に自分のプログラミングスキルをアピール出来ることも多いので、是非挑戦してみてください。

スクールに通う方法もある

何から勉強を始めればよいのか分からない場合や、独学でしっかり学べるのか不安な場合は、プログラミングスクールに通って学ぶこともできます。

独学よりも費用がかかりますが、スクールで勉強すれば、短時間で効率よくプログラミングを系統立てて学べます。分からないことがある場合に講師へ質問できる点も、独学にはないメリットです。

仕事をしながらスクールを利用したい人は、オンラインスクールを受講しましょう。好きなタイミングで動画を視聴できるスクールなら、空いた時間を活用してプログラミングを学べます。

プログラマー志望者におすすめの資格

プログラミング画面

(出典) photo-ac.com

転職活動前にプログラマーとしてのスキルを習得しておきたいのなら、資格取得に向けて勉強するのがおすすめです。資格を持っておくと転職の際にも有利になるでしょう。プログラマー志望者におすすめの資格を紹介します。

ITパスポート試験

ITパスポート試験は、IT分野全般の基礎知識が備わっていることを証明できる国家資格です。IPA(情報処理推進機構)が主催する情報処理技術者試験のひとつで、IT系国家資格の中でも難易度が低いため、最初に目指す資格としておすすめです。

ITパスポート試験の取得を目指して勉強すれば、ITや経営全般についての総合的な知識を習得できます。プログラマーとして最低限必要なITの基礎力を固められます。

AI・IoT・ビッグデータなどの新技術や、経営戦略・マーケティングといった経営に関する基礎知識を得られる点も特徴です。セキュリティやネットワークの分野の基礎知識を身につけることもできます。

ただし、ITパスポート試験の出題範囲はプログラミングのごく初歩的な基礎知識に留まるため、プログラマーとしての知識やスキルを証明するためには、同じ情報処理技術者試験の基本情報技術者や応用情報技術者を取得する方が良いでしょう。

【ITパスポート試験】情報処理推進機構

基本情報技術者/応用情報技術者

情報処理技術者試験は情報処理関連で唯一の国家資格で、プログラマーを目指す人であれば基本情報処理技術者と応用情報処理技術者の2つの資格を目指すことをおすすめします。

基本情報処理技術者試験にむけて学習することで、プログラミング・アルゴリズム・ネットワーク・セキュリティ・マネジメントなど、IT系の知識を幅広く習得することが可能です。応用情報処理技術者試験の学習では、各分野についてより高度な知識、或いはより業務に即した実践的な知識を学べます。

基本情報処理技術者試験や応用情報処理技術者試験は、ITパスポートより難易度が高く、コンピューターの基礎となる数学的知識やアルゴリズムの知識が求められ、プログラミング言語に関する理解も求められます。応用情報処理技術者試験を取得すれば、システム開発における上流工程のスキルがあることを示せます。

IPA 独立行政法人 情報処理推進機構:情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験

C言語プログラミング能力認定試験

C言語のスキルを定量的に証明できる民間資格が、C言語プログラミング能力認定試験です。C言語に特化した技術や知識が備わっていることを証明できます。

レベルは1~3級があり、1級を持っていれば企業から実力を認められやすくなります。プログラマーとしての経験がなくても、2級までなら十分に合格を目指せるでしょう。

C言語はプログラミング言語の中でも需要が高く、さまざまなソフトウェアや産業機器に応用されています。資格取得の勉強をしながら、プログラムの勉強も並行して進めるとよいでしょう。

C言語プログラミング能力認定試験 | ビジネス能力検定サーティファイ

Oracle認定Javaプログラマ(Oracle Certified Java Programmer)

日本オラクル社が主催する、Javaプログラマー向けの民間資格です。プログラミング言語Javaの知識と技能が一定水準以上であることを証明できます。

試験区分はゴールド・シルバー・ブロンズの3種類です。ゴールドとシルバーの認定を受ければ、国内だけでなく海外でも通用する国際資格として示せます。

初心者が試験を受けられるのはブロンズとシルバーのみであり、ゴールドの受験のためにはシルバーをすでに取得している必要があります。Javaプログラマーとして実質的に評価されるのは、ゴールドとシルバーの2ランクです。

Java SE 11 認定資格 | オラクル認定資格制度 | Oracle University

効率的な勉強と資格取得で憧れの職業に

プログラマーのイメージ

(出典) photo-ac.com

未経験者でもプログラマーになることは可能です。ただし、人によっては仕事がきついと感じる可能性もあるため、実態を把握した上で自分に合った職種であるかを確認しておくほうが良いでしょう。

未経験でプログラマーを目指す場合、プログラミングの知識やスキルの習得は必須です。資格取得の勉強を含めて効率よく学習を進め、最低限の力を身に付けてから転職活動に臨みましょう。

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北真也
【監修者】All About デジタルガイド北真也

モバイル業界のシステムエンジニアとして18年以上勤務し、サーバやネットワークのインフラ構築から大規模システムのプロジェクト管理、設計、開発まで幅広く携わる。自身が主宰するブログ「Hacks for Creative Life!」と「アシタノレシピ」、勉強会「東京ライフハック研究会」にて実践的な仕事術を研究・発信中。
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著書:
新時代のワークスタイル クラウド「超」活用術
シゴタノ!手帳術―クラウド&スマホ×アナログ手帳で人生を楽しく自由にする方法