保育士を辞めたいと思っているのであれば、辞める前に考えるべきことを知っておくのがおすすめです。勢いにまかせての退職はデメリットが多い点も、理解しておきましょう。保育士を辞めたいときに考えることや、転職のポイントを解説します。
保育士を辞める前に考えること
保育士を辞めたいと思った場合、即断してしまうと状況が改善しない恐れもあります。まずは以下に挙げるポイントを、辞める前に考えてみましょう。
辞めたい理由を明確にする
なんとなく保育士を辞めたいと感じていても、そのまま勢いで辞めてしまわないように気を付けましょう。自分でも理由がはっきりしない場合は、辞めた後もストレスが解消されない恐れがあります。
保育士を辞めたいと感じたら、まずは辞めたい理由を明らかにすることが大切です。何に対して不満があるのかを明確にし、改善策を試してみれば、保育士を辞めずに済む可能性もあります。
現状や気持ちを整理するためには、今考えていることを紙に書き出すのがおすすめです。辞めたいと感じる理由を探り、辞めること以外に改善策がないかも考えてみましょう。
辞めた後のことを考えてみる
保育士を辞めたい理由が明確になったら、退職するリスクと今の悩みを天秤にかけてみることも重要です。転職するとキャリアがリセットされるほか、転職先がすぐに見つからない場合は生活費に困りかねません。
収入がなくなる期間ができると困るのならば、今の仕事を続けながら転職先を探さなければならないでしょう。
退職した後の生活をどうするのかについても、考えておく必要があります。辞めた後の計画を立てておかなければ、転職先が決まるまで生活に困る可能性があるでしょう。
身近な人に相談する
保育士を辞めたいと感じている場合、1人で考えていても悲観的なことで頭がいっぱいになってしまうものです。
考えが行き詰まったときは、1人で悩まず、家族や友人など身近な人に相談するのがおすすめです。親身になって話を聞いてくれる人に相談すれば、適切なアドバイスをもらえる可能性があります。
信頼できる先輩や同僚にも相談してみましょう。同じ職場で働いている人なら、悩みに共感してもらいやすいため、問題を解決に導ける可能性が高くなります。
1年目や2年目で辞めたいのは甘え?
経験がまだ長くない保育士が職場を離れたくなるのは、一概に甘えとはいえません。自分を過度に責める必要はないことを理解しておきましょう。
一概に甘えとはいえない
1年目や2年目で保育士を辞めたいと思うのは、状況次第では十分にあり得ます。最初に就職した園が、自分にとって働きやすい環境だとは限らないためです。
園児・保護者・同僚職員との関係性や、園の細かい運営方針などは、実際に働いてみなければ分かりません。自分でコントロールできない要素は、ほかにも数多くあります。
保育士を辞めたいと思ったとしても、むやみに自分を責めないようにしましょう。ただし、問題の解決を図るためにも、状況判断はしっかりと行う必要があります。
問題ごとの改善方法
保育士を辞めたい理由が明確になった場合、適切に対処することで問題を解決に導ける可能性があります。主な問題ごとの改善方法を見ていきましょう。
人間関係に疲れてしまった
保育士の人間関係は、園内だけの閉じられたものになりがちです。同僚や上司など職員との関係が悪化すると、人間関係に疲れてしまう可能性もあるでしょう。
保育士は、園児の保護者と接する機会も多い仕事です。保護者からのクレームや保護者とのトラブルが続いた場合、ストレスをためてしまいかねません。
人間関係についての解決策としては、相手を変えようとするのではなく、自分の感じ方を変えたり大人の対応を身につけたりするのがおすすめです。
職員は異動や入退社により入れ替わるケースが多く、保護者とも数年の付き合いで済むため、ある意味割り切ることが大切です。
保育士に向いていないと感じる
自分は保育士に不向きだと感じ、保育士を辞めたいと思うケースもあるでしょう。憧れと違う現実にショックを受けたり、子どもとうまく接せなかったりすると、保育士に向いていないと感じがちになります。
理想とのギャップを明確にし、ギャップを埋められないか考えることで、問題を解決に導ける可能性があります。現状を冷静に見つめ直して、自分の努力で改善できることに頑張って取り組んでみましょう。
自信を失っている場合や、日々の業務で疲れている場合は、休日に好きなことをして心身をリフレッシュするのもおすすめです。
給料と仕事量が見合っていない
多くの保育士が抱える辞めたい理由の1つに、仕事量の多さが挙げられます。事務作業や持ち帰り残業などが多い場合、給料に見合っていないと感じてしまいがちです。
仕事量の多さで悩んでいるなら、IT化で業務改善を図れないか、園に相談してみましょう。自分なりに工夫して業務の効率化を目指してみるのもおすすめです。
周辺の園と比較して自分の勤務先の給料が明らかに低い場合は、すぐに問題を解決するのは難しいでしょう。転職を検討するのも1つの選択肢です。
保育士を退職するときの一般的な手順
保育士を退職する際は、園やほかの職員に迷惑をかけないよう、スムーズな手続きを意識することが大切です。退職手続きの一般的な手順について解説します。
退職の意思を早めに伝える
退職の意思を固めたら、まずは直属の上司に退職の意思を伝えましょう。業務の引き継ぎに時間がかかるため、気持ちが固まっているのなら早めに伝えることが大切です。
退職理由がネガティブなものであったとしても、正直に話すとスムーズに退職できなくなる恐れがあります。園から引き止められないような、うその理由を伝えるのもNGです。
「保育士としてキャリアアップするための勉強時間が欲しい」「前から興味があった別の仕事にチャレンジしたい」など、退職理由は個人的かつポジティブな内容にしましょう。
業務の引き継ぎ
園に退職の意思を伝えて職場に公表された後は、業務の引き継ぎを行う必要があります。クラスを担当している場合は、主に以下の内容を引き継いでおきましょう。
- 子どもの発達状況・健康状態・家庭環境
- 1日の保育の流れや子どもたちが好きなこと
- 保育に必要な備品の種類や管理場所
- 自分が退職した後にやってほしい業務の内容
業務の引き継ぎには最低でも1カ月程度かかるため、余裕を持って行動する必要があります。後任の保育士には、口頭ではなく書類ベースで引き継ぎましょう。
園に貸与品を返却・書類の受け取り
園から借りている物があれば、退職するまでに返却しなければなりません。代表的なのは、健康保険証・社員証・業務資料・制服・備品などです。
雇用保険被保険者証・離職票・年金手帳・源泉徴収票など、退職にあたり園から交付してもらう書類についてもチェックしておきましょう。
失業手当の受給に必要な離職票は、会社に発行義務がないため、場合によってはもらえない可能性もあります。失業手当の支給を受けたいと考えているなら、あらかじめ発行の申請をしておくのが無難です。
保育士を辞める上での注意点
保育士を辞めるときは、子どもたちへの接し方や退職時期に注意しましょう。具体的に気を付けるべき内容を紹介します。
子どもたちにはいつも通り接する
退職の意思を園に伝えてから退職するまでの間は、自分の気持ちにも大きな変化が生じやすいため、辞めることを無意識のうちに言葉や態度に出してしまう可能性があります。
しかし、退職することが子どもたちに伝わると、不安を与えてしまいかねません。素っ気なくしたり過度に優しくしたりせず、あくまでもいつも通りに接することが大切です。
退職することを子どもたちや保護者に伝えるかどうかは、園の意向にも従いましょう。自己判断で伝えてしまうと、保護者からのクレームで園に迷惑をかける恐れがあります。
年度途中の退職はできるだけ控える
保育士を辞めるタイミングは、年度末がベストです。年度末の退職なら子どもたちの気持ちに配慮できる上、保護者からのクレームも抑えられます。転職時に退職理由を必要以上に追及されることもないでしょう。
ただし、すぐに辞めなければならない理由がある場合は、無理をしすぎないのも重要です。ストレスで体調に影響が出ている場合も、状況が悪化する前に退職するのがおすすめです。
頑張れるなら年度末まで退職を待ち、やむを得ない理由がある場合は無理せずに年度途中でも退職しましょう。
保育士の転職で知っておきたいポイント
保育士からの転職には、再び保育士として働くパターンと、異業種に転職するパターンがあります。転職を成功させるためにも、それぞれの注意点を押さえておきましょう。
保育士として転職する場合
保育士の仕事が好きな人は、今の園を辞めて再び保育士として働きたいと考えるでしょう。このケースでは、転職先をきちんとリサーチしておかなければ、同じことを繰り返してしまう恐れがあります。
転職先を調べる際には、平均勤続年数・離職率・求人数・求人頻度をチェックしましょう。職員の定着率が低い園は、人間関係の悪さや給料の低さなど、何らかの理由があると考えられます。
園を見学して職場の雰囲気を確認しておくのもおすすめです。面接の際に園内を見せてもらうついでに、働きやすそうな環境かどうかも確かめましょう。
異業種への転職に挑戦する場合
保育士以外の業種へ転職する場合は、転職の目的や転職によって実現したいことを明確にしておきましょう。なんとなく仕事を変えようという意識では、転職後も再び辞めたくなる可能性が高くなります。
転職で譲れない条件と妥協できる条件を選別することも大切です。条件に優先順位を付けることで企業を絞り込みやすくなるほか、理想に近い企業を探しやすくなります。
異業種への転職に挑戦するなら、国内最大級の転職サイト「スタンバイ」を活用するのがおすすめです。全国の求人が豊富に掲載されているため、目的に合った仕事がすぐに見つかるでしょう。
保育士を辞めた後のこともしっかり考えよう
保育士を辞めたいと思う場合は、辞めたい理由を明確にすることが重要です。何に悩んでいるのかが明らかになれば、努力次第で改善できる可能性があります。
どうしても保育士を辞めたいのなら、退職後のこともしっかりと考えておかなければなりません。勢いまかせに辞めるのではなく、きちんと準備をして退職するようにしましょう。