理学療法士になるにはどうする?必要な資格と養成校の選び方を紹介!

理学療法士になるには、資格取得が必須です。必要となる資格試験の概要や、受験資格を得る方法を解説します。理学療法士を目指すなら、まずは養成校を探しましょう。自分に合った養成校の選び方や、免許取得までの流れを紹介します。

理学療法士になるには?

リハビリの様子

(出典) photo-ac.com

理学療法士になるには、国家資格が必要です。まずは必要な資格の概要と、免許を取得する方法について見ていきましょう。

国家資格が必要

理学療法士として働くには、国家資格の取得が必須です。国家試験に合格すると、理学療法士の資格が得られます。

国家試験を受験するには、受験資格が必要です。国の基準を満たした養成校に通い、一般的な教養科目を勉強しながら、専門的な知識の習得や実習を行います。卒業または卒業見込みとなると、国家試験の受験が可能です。

試験に合格したら申請書類を提出し、免許申請の手続きを終えるとようやく理学療法士として働けるようになります。

受験資格を得るには

勉強する手元

(出典) photo-ac.com

理学療法士の受験資格を得るには、該当の養成校で学ぶことになります。養成校の種類は、4年制大学・短期大学・専門学校です。それぞれの学校で学びながら、理学療法士の受験資格を得る方法を紹介します。

参考:養成校一覧|理学療法士を知る|公益社団法人 日本理学療法士協会

4年制大学

理学療法士の受験資格を得られる4年制大学には、国立・公立・私立があります。国立大学と公立大学は数が少なく、大半が私立大学です。学費は国立・公立大学が安く、私立大学になると少し高くなります。

4年制大学では一般教養と合わせて、理学療法士の専門分野を学んでいきます。理学療法の基礎だけでなく、学内での実習や現場での臨床実習も行われ、深く学べるのが特徴です。

他の養成校と比べると、学習期間が1年長く設定され、大学院への進学も視野に勉強ができます。大学の研究職として働く道もあるでしょう。

理学療法士としてリハビリに携わるだけでなく、研究・教育の分野で専門知識を生かしたい人に向いています。

短期大学

短期大学では、3年間かけ理学療法士の受験資格を取得します。4年制大学よりも短い時間で学びたい人にとっては、短期大学が選択肢になるでしょう。注意点として、理学療法士の資格を取得できる短期大学は、数が多くありません。

公益社団法人日本理学療法士協会が公開する養成校一覧では、日本全国で5校のみ(2022年3月時点)となっています。一部の都道府県に限られるため、短期大学で学ぶ場合は、近隣に学校があるか確認しておきましょう。

4年制大学と比べると、1年短い期間で大学程度の教養や理学療法士として働くための基礎を学べるのがメリットです。

専門学校

専門学校は3年または4年かけて、理学療法士に必要な理論を学び、実習を行うのが特徴です。大学よりも一般教養を学ぶ時間が少なく、その分理学療法士に必要な専門知識を重視してカリキュラムが組まれています。

中には夜間学部を備える学校もあり、昼間は仕事などで忙しい人でも資格取得が可能です。3年間で卒業を目指せるカリキュラムを組んでいる養成校もあり、大変ですが働きながら学校に通うこともできるでしょう。

また、学費も4年制の私立大学よりも安く設定されていることが多く、学校数も短期大学に比べると多いのが魅力です。地域を問わず通いやすく、すでに働いている人でも資格取得を目指しやすい方法です。

理学療法士になるための養成校の選び方

パソコンを見て悩む女性

(出典) photo-ac.com

理学療法士を育成する養成校は、多数あります。どこの養成校を卒業しても受験資格は得られますが、選び方によって学びやすさが変わってくるでしょう。基本的な選び方のポイントを解説します。

学校によって国家試験の合格率が違う

学校によってカリキュラムや指導の方法は異なり、国家試験の合格率も変わってきます。お金をかけて学ぶのであれば、合格率の高い養成校がおすすめです。

多くの学校では、理学療法士の合格実績や合格率を公開しています。まずは気になる養成校のホームページをチェックしてみましょう。生徒募集のページに情報が記載されていることが一般的です。

試験対策に力を入れている養成校では、実習に時間をかけた上で効率よく試験合格が目指せます。

もちろん、いくら合格率が高い養成校を選んでも、本人の努力がなければ卒業や試験合格はかないません。授業への出席や、真剣に学ぶ姿勢が大切です。

教員の専門分野を確認

養成校では、教員が理学療法士の育成を担当しています。教員も理学療法士の資格を取得し、何らかの専門分野を持っているのが特徴です。

理学療法士は働く場所や専門の疾患など、それぞれの得意分野が異なります。教員がどのような業務に携わり、何を専門としているのか知ることで、詳しく教えてもらえる分野が分かります。

理学療法士になった後で働きたい場所がある、特定の疾患を専門的に扱いたいなど、目指す分野が決まっているときは、教員の専門分野をチェックしましょう。自分が目指している分野と同じであれば、役に立つ知識が得やすいと考えられます。

就職実績・サポート体制もチェック

理学療法士の資格を取得するからには、就職につなげたいと考える人は多いでしょう。養成校によって、就職実績や卒業前後のサポートも異なります。特に専門学校は就職率を公開し、アピールしているところが多いため、実績は簡単にチェックできるはずです。

就職実績が高い養成校は、魅力的な求人を扱っていることも多く、教員も就職の仲介に積極的です。実際に生徒が就職した求人の内容もチェックしておきましょう。

実績を詳しく見ていくと、卒業生がどういった場所で働いているのか分かります。傾向や求人内容に魅力を感じる場合は、目指す方向と合っていると考えられます。

理学療法士になるための免許取得までの流れ

手帳に記入する女性

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理学療法士として働くには、免許の取得が必要です。試験概要・合格率・免許申請の流れを解説します。試験の基本的な内容や、合格後の申請方法を覚えておくと手続きがスムーズです。

理学療法士試験の概要

理学療法士試験は、筆記試験と口述試験および実技試験に分かれています。筆記試験の内容は、一般問題と専門の問題です。合計200問あり、一般と専門が各100問で構成されています。

一般問題は、理学療法士・作業療法士に共通する問題です。解剖学・生理学・運動学など医学の問題が全般的に出題されます。専門的な実地問題の内容は、運動学・臨床心理学・リハビリテーション医学などです。

受験には手続きが必要で、願書とともに写真や返信用封筒を同封します。受験手数料は1万100円です。

参考:理学療法士国家試験の施行|厚生労働省

合格ラインと合格率

2022年度の理学療法士試験では、272点満点中164点以上が合格ラインとなっています。そのうち専門的な実地問題の合格ラインは、114点中40点以上です。

毎回同じではなく、試験の年度によって変わるため、おおよその目安として考えておきましょう。一般的には、全体の約60%で、実地問題の約35%が合格ラインの目安となっているようです。

2022年の合格率は、全体の79.6%です。そのうち新卒者の合格率は88.1%となっています。受験勉強の時間が取りやすい学生の方が合格率が高いことから、しっかりと受験対策することが大切だとわかります。

参考:第57回理学療法士国家試験及び第57回作業療法士国家試験の合格発表について|厚生労働省

合格後は免許の登録申請

理学療法士の国家試験に合格すると、免許の登録申請が可能になります。できるだけ早めに、申請を済ませておきましょう。

必要書類は、厚生労働省のホームページで公開されています。厚生労働省の定める様式の免許申請書を提出し、免許申請が終了するのを待ちましょう。

免許申請書の他にも、戸籍抄本や健康診断書など、複数の書類を提出します。手続きの際には、必要書類を集めましょう。

なお、万が一理学療法士の免許を登録しないまま対象の業務を行うと、処分の対象になります。免許登録は必ず行いましょう。

参考:資格申請案内 |厚生労働省

理学療法士に求められる人物像

車いすの女性の手を取る女性

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理学療法士になるには、資質も必要です。リハビリに向き合う医療従事者として、どんな人物が求められているのでしょうか?主な人物像を紹介します。

学び続ける姿勢を持っている

理学療法士は、体が不自由な患者のリハビリをサポートするという重要な役割を果たす仕事です。医療に関係する仕事は、患者の命や健康に直結しています。

資格を取得し、働くようになってからも知識のアップデートが必要です。新しい情報を得るには、常に学ぶ姿勢を維持し続けなければなりません。セミナーへの参加・読書・医療ニュースへの関心など、意欲を失わず成長し続ける気持ちが必要です。

正しい知識と情報を学ぶことで、患者に必要な施術が行えます。万が一間違うと、患者の命に関わるリスクがあることを意識しておきましょう。

人の気持ちに寄り添い観察力がある

リハビリを必要とする患者は、思い通りにならない環境に不安を抱えています。患者の気持ちに寄り添い、いら立ちや怒りにも対処できる寛容さが理学療法士には必要です。

また、患者がリハビリのプログラムに対応できているか見極めるためには、観察力が重要になります。患者が求める結果やプログラムを提供するには、状態をしっかり確認しなければなりません。

リハビリを途中で諦めることがないように、気持ちのケアやサポートも必要となるでしょう。

肉体・精神的にタフである

理学療法士は、直接的にリハビリをサポートします。患者の体を起こしたり、立ち上がらせたりといった手助けも必要です。

日常の基本的な動作に不自由がある人の手助けには、体力や力強さが求められます。リハビリ中の患者と一緒に倒れてしまうことがないように、しっかりと支えられる健康な肉体が必要になるでしょう。

精神的な強さも、理学療法士に必要な能力です。患者の状態によっては、リハビリが成功するまでの道のりが遠いこともあります。

どんなときでも明るくポジティブに考えられる前向きさと、つらいときにも立ち上がれるタフな精神が求められるでしょう。

自分の状況に合った学び方で理学療法士になろう

理学療法士の男女

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理学療法士の国家試験を受けるには、養成校で実習を受けなければなりません。独学や通信講座では資格取得ができないため、まずは状況に合った養成校を探しましょう。

国家試験に合格し、免許を申請すると理学療法士として働けます。3年から4年と時間はかかりますが、患者の助けになりたいという強い気持ちがあれば、社会人でも目指せる資格です。

資格取得前に「スタンバイ」で理学療法士の求人を検索して、自分が働く姿をイメージしてみるのもおすすめです。より一層、転職への気力が湧くかもしれません。

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杉浦良介
【監修者】理学療法士杉浦良介

訪問・通所・回復期など幅広い分野を経験した理学療法士。ブログ「リハウルフ」とYouTube「リハウルフ」などで訪問リハビリや訪問看護、介護保険制度などの情報を発信している。著書に「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」がある。

プロフィール:
https://www.ryosuke-sugiura.com/

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著書:
リハコネ式!訪問リハのためのルールブック