介護ヘルパーは資格が必須。仕事内容・働き方・平均年収を知ろう

訪問介護に興味があるなら、介護ヘルパーへの転職を検討してみるのがおすすめです。資格が必要な仕事なため、仕事内容に加えて、資格についても理解を深めておくことが大切です。この記事では、介護ヘルパーになるために知っておきたい基礎知識を紹介します。

介護ヘルパーの仕事と目的

高齢者とヘルパー

(出典) photo-ac.com

介護の仕事は多岐にわたり、業務の目的・内容・範囲は職種ごとに異なります。介護ヘルパーとはどのような仕事なのか、まずは概要や目的を理解しておきましょう。

利用者の生活支援と自立をサポートする仕事

介護ヘルパーは、正式名称を「訪問介護員」といい、ホームヘルパーとも呼ばれます。

介護ヘルパーの仕事は、要介護者や要支援者の自宅で身体介護や生活援助を行う仕事です。さまざまなサポートを行いますが、家事代行とは違います。あくまでも利用者の自立を助けることが目的であり、利用者が自分でできることは手を出さないようにする必要があるのです。

したがって、利用者が自力でできないことを、できるように工夫することも介護ヘルパーの重要な役割です。

介護ヘルパーの仕事内容

料理を運ぶヘルパー

(出典) photo-ac.com

介護ヘルパーの主な仕事内容は、身体介護・生活援助・通院介助の3種類です。介護ヘルパーができないことも確認しておきましょう。

体に直接触れる「身体介護」

身体介護とは、利用者の体に直接触れてサポートすることを指します。主に食事・排せつ・入浴・着替え・移動・歩行などを介助します。

簡単な医療行為サービスを行うことも可能です。簡単な医療行為とは、体温測定・軟こう塗布・爪切りなど、医療行為に準ずる行為が該当します。

身体介護を行うためには、介護職員初任者研修以上の資格を取得していなければなりません。介護福祉士実務者研修を保持していれば、喀痰(かくたん)吸引や経管栄養もできます。

日常生活のサポート「生活援助」

介護ヘルパーは、利用者の生活援助も行います。生活援助とは、調理・掃除・洗濯・買い物など、利用者の体に直接触れずに行う日常生活のサポートです。

ただし、利用者が自分でできることは、介護ヘルパーのサポートには含まれません。あくまでも利用者ができないことを代わりにするのが生活援助です。

また、利用者の家族から介護について相談を受けた際、相談に対応することも生活援助の業務に含まれます。

家族の代わりに「通院介助」

利用者の通院をサポートする業務が通院介助です。利用者が1人で病院に行くのが困難な場合、介護ヘルパーが自分の車を運転したり、電車・バスに一緒に乗ったりして、家族の代わりに利用者を病院へ連れていきます。

院内では、病院のスタッフが付き添うため、原則として介護ヘルパーは付き添えません。ただし、薬の受け取りや、待合中の排せつ・食事介助は、介護ヘルパーの業務範囲内です。

病院や自宅への移動中に、利用者と買い物や公園などには行けません。移動中の立ち寄りは、通院介助の業務範囲外となります。

介護ヘルパーができないことも確認

利用者の不在時に訪問した場合、介護ヘルパーはサービスを提供できません。自宅でのサポートが基本となるため、例えば外出中の利用者の送迎も不可です。

日常生活に支障をきたさないサービスも、やってはいけないことになっています。散髪・大掃除・手間のかかる調理・趣味のための外出サポートなどは、断りましょう。

介護ヘルパーの役割は、利用者が日常生活で困難なことのサポートです。要求を全て受け入れるのは業務範囲外なので、できないことは丁寧に断る必要があります。

介護ヘルパーに関連する資格

勉強する女性

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介護ヘルパーになるためには、資格の取得が必須です。転職前に取得すべき資格の種類を紹介します。

介護職員初任者研修

介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)は、介護職としての基礎知識や、技術を習得する研修です。身体介護を行うために必須の資格であり、介護ヘルパーを目指す上で最低限取得しておく必要があります。

介護職員初任者研修の受講条件は、特に定められていません。介護の経験がない人や介護系の資格を持っていない人でも受講できます。

厚生労働省が定めた一律のカリキュラムを受講し、修了試験に合格すれば、介護職員初任者研修の資格を取得できます。研修を受けられる民間のスクールを利用するのが一般的です。

介護福祉士実務者研修

介護福祉士実務者研修は、かつてのホームヘルパー1級や、介護職員基礎研修に相当する資格です。取得しておけば転職に有利な上に、仕事の幅が広がるため、資格手当による収入増も図れます。

介護職員初任者研修の取得後に介護福祉士実務者研修を受講すれば、免除科目があるため取得までの時間を大幅に短縮できます。介護福祉士実務者研修を持っていなければ、介護福祉士試験を受けられないため、介護福祉士まで取得したい人には必須の資格です。

身体介護で喀痰(かくたん)吸引や、経管栄養を行えるようになることも、介護福祉士実務者研修のポイントです。ただし、実際にサービスを提供するためには、実地研修を受けなければなりません。

介護福祉士

介護系の資格で唯一の国家資格が介護福祉士です。専門的な知識や技術があると認められた資格を取得していると、資格手当により待遇面で大きなメリットを得られるでしょう。管理職も狙えるため、役職手当でさらなる収入アップも目指せます。

介護の実務経験が3年以上なければ受験資格を得られないため、働きながら介護福祉士実務者研修を取得して、介護福祉士を目指すのが転職者におすすめのルートです。

介護ヘルパーの働き方や魅力

高齢者を補助する女性

(出典) photo-ac.com

介護施設でしか働いたことがない人は、介護ヘルパーが実際にどのような働き方をしているのかなかなか分からないでしょう。勤務形態・労働時間・シフトや、やりがいについて解説します。

勤務形態・労働時間・シフト

介護ヘルパーの大半は非常勤職員です。介護系の他職種は常勤職員の方が多いため、非常勤の割合の大きさが介護ヘルパーの勤務形態における特徴といえます。

介護ヘルパーが働く時間は、平日の日中がメインです。ただし、事業所によっては早朝・夜間・土日に対応しているケースや、緊急時に利用者を訪問しなければならないケースもあります。

日中限定で約1~2時間単位で働く人・夜勤のみ担当する人・シフト制で働く人など、介護ヘルパーの働き方は人によりさまざまです。

介護ヘルパーのやりがい

介護ヘルパーは、マンツーマンの個別ケアとなるため、利用者と濃い関係が築けます。利用者や家族から感謝されることも多く、モチベーションが上がりやすいでしょう。

施設介護が肌に合わない人にも介護ヘルパーがおすすめです。施設で働く場合は、他のスタッフとも常にかかわりを持つことになるため、良好な人間関係を構築するのが苦手な人は、介護ヘルパーが向いているといえます。

自分の好きな時間に勤務しやすい点もメリットです。子育てや親の介護でまとまった時間がとれない人でも、介護ヘルパーなら登録ヘルパーとして時短勤務で働けます。

介護ヘルパーの平均給与

給料袋

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介護ヘルパーの平均給与を、正社員・パート・登録ヘルパーに分けて紹介します。今の自分の給与と比較し、転職するメリットがあるか考える際の参考にしましょう。

正社員

厚生労働省が公表する令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果によると、訪問介護事業所で月給をもらう人の平均給与額は、以下の通りです。

  • 常勤:31万4,950円
  • 非常勤:20万1,120円

※給与=基本給(月額)+手当+一時金

一般的な正社員を月給制の常勤とみなせば、正社員の介護ヘルパーの平均給与は、約31万円であることが分かります。

なお、他の主な介護施設や事業所における常勤の平均給与は次のようになっています。

  • 介護老人福祉施設:34万5,590円
  • 介護老人保健施設:33万8,390円
  • 通所介護事業所:27万8,180円
  • 通所リハビリテーション事業所:29万7,980円
  • 認知症対応型共同生活介護事業所:29万1,460円

参考:令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果 P147 | 厚生労働省

パート・登録ヘルパー

パート・登録ヘルパーの平均給与は、厚生労働省のデータのうち、日給や時給で働く人の数値が参考になります。

<日給>

  • 常勤:26万2,650円(実労働日数21.8日)
  • 非常勤:11万1,820円(実労働日数10.0日)

※給与=基本給(日額)×実労働日数+手当+一時金

<時給>

  • 常勤:23万6,910円(実労働時間数169.9時間)
  • 非常勤:9万3,960円(実労働時間数56.5時間)

※給与=基本給(時給)×実労働時間+手当+一時金

常勤と非常勤では、実労働日数と実労働時間数に差があるため、平均給与にも大きな差が生じています。

参考:令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果 P148~149 | 厚生労働省

介護ヘルパーに転職する際のポイント

履歴書に書く

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介護ヘルパーへの転職を検討する際は、給与の高さだけで選ばないことが重要です。研修・教育制度の充実度にこだわって事業所を探すとよいでしょう。

給与の高さだけで選ばない

給与が魅力的だからといって安易に転職先を決めると、転職後に苦労する恐れがあります。

給与が高い事業所は、人手不足で休みがとりにくかったり、毎日激務に追われたりする可能性があるためです。給与に見合った待遇でなければ、人材が定着しにくい傾向にあるため、事業所としても頻繁に求人を出さざるを得ないでしょう。

転職前はやる気に満ちあふれていても、いざ仕事を始めて実際に忙しすぎると、再び辞めたくなりかねません。介護ヘルパーの給与を見る場合は、周辺の事業所とも比較して相場を知ることが重要です。

研修・教育制度が充実した事業所を選ぶ

転職先探しでは、研修・教育制度が充実しているかもチェックしましょう。先輩や上司のサポートがあれば、安心して働けます。

企業によっては、資格の取得を、金銭面で支援してくれるケースもあります。無資格でも応募できる事業所なら、転職後に実務経験を積みながら勉強できます。

転職先の研修・教育制度が分からない場合は、面接の際に聞いてみましょう。キャリアアップにも興味があることをアピールすれば、採用担当者に好印象を残せます。

介護ヘルパーになるための資格を取得しよう

介護ヘルパーの女性

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介護ヘルパーとして働ける職場に転職したい場合は、資格の取得が必須です。最低でも介護職員初任者研修を取得しておく必要があるでしょう。

ただし、事業所によっては無資格でも求人を受け付けているケースがあります。できるだけ早く転職したい人や、資格取得のコストを抑えたい人は、資格取得支援制度がある介護求人を探すのも1つの方法です。

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