営業職の年収は、年齢や営業スキルによって大きく異なります。従事する業種や扱う商材による違いも大きく、高額な年収を得る人・そうでない人の差が激しい仕事です。営業職の業種別平均年収や、営業に向いている人の特徴を紹介します。
営業職の業界ごとの平均年収は?
国税庁の「民間給与実態統計調査」によると、民間企業に勤める人の平均収入は、2021年時点で約443万円です。これを踏まえ、営業職の平均年収を業界別に見ていきましょう。
なお記載している各業界の平均年収は、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」(2021年)をベースに「きまって支給する現金給与額(月額)×12ヵ月+年間賞与その他特別給与額」の計算でおおよその金額を算出しています。
参考:
令和3年分 民間給与実態統計調査|国税庁
賃金構造基本統計調査 令和3年賃金構造基本統計調査 | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口
自動車業界
自動車業界で働く営業職の平均年収は約523万円です。民間の平均年収と比較すると、高めといえるでしょう。
自動車業界における営業職の年収が高い理由として、「成果主義」「人気メーカーなら成約率も高い」といった点が挙げられます。
自動車業界では、成約ごとにインセンティブが付与されるのが一般的です。営業スキルが高く多くの自動車を販売できれば、高額年収を得ることも不可能ではありません。
加えて顧客の多くは、ある程度購入の意思を持って来店するため、人気メーカーなら成約率も高くなります。高額な収入を得やすい業界といえるでしょう。
ただしメーカーによっては、「インセンティブありき」で給与が設定されているケースもあります。営業スキルの高い人とそうではない人の差は、比較的大きいといえるかもしれません。
機械器具・システム・通信業界
機械器具・システム・通信業界における営業職の平均年収は、約600万円です。民間の平均年収よりはかなり高く、高額な収入を得ているといえます。
この業界における営業職の特徴は、専門的な知識が必須である点です。商材を希望する顧客の多くは、購入までに時間をかけてじっくり検討します。顧客の疑問や不安を丁寧にカバーできる知識がないと、購入まで導くのは難しいでしょう。
一方で、機械やシステムには安定的な需要があり、営業そのもののハードルはさほど高くありません。高額な機械・システムを販売できればインセンティブにも反映されるため、安定的に高い収入を得ることも可能です。
金融業界
金融業界における営業職の平均収入は、約573万円です。この業界の営業職も、民間の平均年収と比較すると高額な収入を得ています。
金融業界の営業には、「銀行営業」「証券会社営業」「その他金融機関の営業」があります。業務内容や営業先はさまざまで、成約に至る難易度も同じではありません。
ただしいずれの分野で営業を行うにせよ、専門知識は必須といえます。扱う商品の内容についてはもちろん、法律的な相談を受けるケースも少なくありません。一人前の営業になるまでには、努力や時間が必要です。
多くの企業では、営業職にインセンティブが適用されます。特に外資系金融機関はインセンティブが充実している場合が多く、「営業でガッツリ稼ぎたい」という人におすすめです。
保険業界
保険業界における営業職の平均収入は約461万円で、民間の平均収入と大差ありません。多くの女性が活躍している業界ではありますが、女性の方が年収は低い傾向にあります。
保険業界の営業職の特徴は、直接雇用か業務委託かによって収入が大きく異なる点です。直接雇用の場合、基本給に成果報酬(インセンティブ)がプラスされます。そもそもの基本給が高く設定されているケースも多く、安定した収入を確保しやすいでしょう。
特に外資系は高いインセンティブが設定される場合が多く、高収入を得ている営業も少なくありません。一方で業務委託の営業は、完全歩合制のケースがほとんどです。収入は営業スキルに左右され、多い人・少ない人の差が顕著になります。
営業職全体の平均年収は?
営業職は職種・業種や、会社によって年収がまったく異なります。営業職全体の平均年収を確認しましょう。
およそ540万円
厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」(2021年)に掲載されている以下の数値から算出すると、営業職全体の平均年収は、約540万円です。
- 自動車業界の平均年収:523万2,300円
- 機械器具等の業界の平均年収:600万9,500円
- 金融業界の平均年収:573万3,300円
- 保険業界の平均年収:461万8,600円
- その他の営業職従事者の平均年収:551万7,900円
営業職全体の平均年収を見ると、民間の平均年収よりやや高いくらいです。しかし実際には、年収1,000万円以上を達成している人と、平均収入にすら届かない人がいます。
業界・働き方によって年収事情は大きく異なるため、この数字が必ずしも平均値というわけではありません。数字を見るにあたり、あくまでも参考程度と考えるのがおすすめです。
営業職で年収を上げるには
営業職で年収を上げるためには、「商材を売ること」「給与体制が整っていること」が必要です。それぞれについて具体的に見ていきましょう。
自分自身のスキルアップ
営業職は成果主義の傾向が強く、商材を売れば売るほど評価は上がります。営業に必要なスキルを身に付けたりブラッシュアップしたりすれば、収入に反映されるはずです。
スキルアップのための取り組みとして、まず資格の取得を目指してみてはいかがでしょうか。「中小企業診断士」や「販売士」の資格があると、営業としての評価が上がるはずです。
また専門性の高い業種の営業職の場合、資格の所有により手当が付くケースもあります。保険会社なら「ファイナンシャル・プランニング技能検定2級」、不動産業界なら「宅地建物取引士」といった資格に、特別な手当を出す企業は少なくありません。
この他にも、営業トークの精度を高めるため、セミナーなどに参加するのもおすすめです。
年収が高い業界への転職を考える
営業職の年収は、業界や企業の制度によって異なります。今のままでは年収アップが難しいと感じるのであれば、年収が高い業界・企業への転職を検討するのがおすすめです。
転職先を探す際のポイントは、「高収入を得やすい業種である」「インセンティブ制度が充実している」といった点です。
一般に、専門性の高い営業職ほど収入が高額になる傾向があります。まずは自分自身の知識・スキルの充実を図り、高額の年収が期待できる業界・企業を目指しましょう。
「どんな業界・企業がよいか分からない」という人は、日本最大級の仕事・求人探しサイト「スタンバイ」のチェックがおすすめです。「営業」「インセンティブ」などで検索すれば、ニーズにマッチする企業を簡単に探せます。
スマホから簡単に検索できるため、隙間時間でチェックしてみましょう。
営業職がおすすめな人の特徴
営業職は高収入を得やすいといえる職種ですが、合う人・合わない人が顕著です。営業をやってみたいと考える人は、まず自分自身の適性をチェックしましょう。
人と話すことが好き
営業職に就くなら、コミュニケーション能力は必須です。人と話すのが苦にならず、知らない人にもフレンドリーに対応できる人は、営業に向いています。顧客はもちろん社内の人とも連携を取りやすく、営業活動のストレスを感じにくいでしょう。
ただし営業として成績を残すには、商材のよさやメリットを適切にアピールできるスキルが必要です。「物事を論理的に説明できるスキル」「相手の気持ちをくみ取るスキル」なども重要といえます。
フットワークが軽い
周囲から「フットワークが軽いね」などと評されている人は営業向きです。業種にかかわらず、待たされるのをよしとする顧客はいません。顧客対応の素早さは、営業のイメージを大きく左右する要素といえます。
「対応が早い=誠実に対応してくれている」と考える顧客も多いため、フットワークが軽い人ほど顧客と良好な関係を築きやすくなるでしょう
またためらいなく動ける人は、重要なタイミングを逃しません。顧客のニーズを適切に見極め、ここぞというタイミングでアプローチをかけられます。
気持ちの切り替えがうまい
営業職は、仕事の成否がはっきりと数字に表れます。営業目標を達成できない・ノルマが果たせないといった状況が生じると、焦ったり落ち込んだりする可能性もあるでしょう。
気持ちの切り替えのうまい人は、一通り反省をした後は、過ぎたことを振り返りません。「次また頑張ろう」と目標を立て、そこに向かって突き進むことができます。ネガティブな感情に引きずられにくく、気楽に働きやすいはずです。
また営業をしていれば、顧客に冷たい態度を取られたり門前払いされたりする機会もあります。このような際にいちいち落ち込まずに済むのも、気持ちの切り替えがうまい人のメリットです。
営業で自分の可能性を試してみよう
営業職の年収は、業種や企業の規模・制度によって異なります。一概にはいえませんが、平均的な日本人の年収よりは高めになるケースが多いようです。
また専門性の高い営業職や外資系金融業界の営業職は、年収が高額になる傾向があります。営業職でしっかりと稼ぎたい人は、転職を検討してみるのもおすすめです。やりがいの多い営業職で、自分の可能性を試してみましょう。