介護職は本当にきつい?メリットや転職で失敗しないポイントを解説

介護職はきついといわれている職種です。しかし、常に求人が豊富で仕事を見つけやすいという特徴もあります。介護職がきついといわれる理由のほか、メリットや職場別の仕事内容を紹介します。転職する際の注意点も解説するので参考にしましょう。

介護職がきついといわれている3つの理由

悩むエプロン女性

(出典) photo-ac.com

介護職がきついと聞いたことがある人は多いでしょう。確かに大変な仕事だとイメージはできますが、具体的にはどのような点がきついのでしょうか。介護職の仕事内容や勤務形態から、きついといわれる理由を見ていきましょう。

体力的・精神的での負担

介護職は体力的・精神的に負担がある仕事です。介護の仕事には、入浴介助やベッドの上で体の位置を変える体位変換など、体力を必要とするものが多々あります。体力に自信がない人にとっては体への負担が大きく、きつい仕事だと感じてしまうことが多いでしょう。

また、歯磨きなどの口腔ケアや排せつ介助などもあるため、慣れるまでに精神的なきつさを感じる人も少なくありません。また、利用者のなかには介護を嫌がる人・認知症の人などもいるので、対応に神経をすり減らすことも多いでしょう。

仕事量の割に給料が安い

仕事量や内容の割に給料が安いのも、介護職がきついといわれる理由の1つです。国税庁の「民間給与実態統計調査」(2021年分)を基に計算(男女計の平均給料・手当より)すると、民間の給与は月額31万3,000円になります。

一方、厚生労働省の「介護従事者処遇状況等調査結果」(2021年度)を見ると、常勤・非常勤を合わせた介護職員の平均給与は25万7,565円になることが分かります。この金額を見ても、介護職員全般の給与は民間の平均より低いといえそうです。

参考:
厚生労働省 令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果 「第79表 介護従事者等の平均給与額等(月給の者),職種別,勤務形態別(処遇改善加算(I)~(V)を取得している事業所)」
国税庁 令和3年分 民間給与実態統計調査「(第10表)平均給料・手当及び平均賞与」

慢性的な人手不足で常に忙しい

介護の現場は慢性的な人手不足が続いており、常に忙しい状況になっていることも、きついといわれる理由でしょう。人手が足りないなか、働いている介護職員は休みが取りにくかったり、1人当たりの業務量が膨大になったりという負担を強いられています。

公益財団法人介護労働安定センターが実施した実態調査(2021年度)によると、介護事業所全体のうち約60%が人材の不足を感じていることが分かりました。厚生労働省の「第8期介護保険事業計画」に基づいて都道府県が試算した結果、2023年度には約233万人の介護職員が必要になると推計されています

さらに、2040年度には約280万人の介護職員が必要になると見込まれており、人材が確保されなければ今後も人手不足は続くことが予想されます。

参考:公益財団法人介護労働安定センター|令和3年度「介護労働実態調査」結果の概要について

介護人材確保に向けた取り組みについて|厚生労働省

介護職はきついけれどメリットもある

笑顔の介護士

(出典) photo-ac.com

介護職はきつい仕事といわれていますが、求職者や働いている人にとってはメリットも多い職種です。3点挙げて説明します。

未経験者でも求人がある

介護職は未経験者の求人も多く、転職しやすい職種です。介護の現場は常に人手が不足しているため、資格がない人や、未経験者を採用している施設も多々あります。身体介助のように資格が必要となる仕事もありますが、施設利用者とのコミュニケーションや、シーツ交換・配膳・下膳などは資格がない人でも可能です。

研修や資格取得支援などの教育制度が整っている職場もあるので、未経験でも仕事をしながら介護のスキルを身に付けられます。

年齢や学歴を問わず働ける

介護の求人のほとんどが学歴や年齢の制限がありません。高卒や中卒などでなかなか仕事が見つからない人でも、介護職なら仕事を始めやすいのはメリットでしょう。

20歳未満から60歳以上と幅広い年齢層の人が働いており、仕事を始めれば長く安定して続けられる職種でもあります。未経験から介護の世界に飛び込み、経験を積んでキャリアアップしている人も少なくありません。

資格取得でキャリアアップも目指せる

仕事をしながら資格を取得し、キャリアアップできるのも介護職のメリットといえるでしょう。介護職は未経験からでも始められますが、資格が必要な仕事もあります。

就職したときは無資格でも、働きながら資格を取得すれば、携われる仕事の幅も広がり、自分自身のキャリアアップにもつながります。介護職に関連した資格には介護福祉士や社会福祉士などの国家資格もあるので、資格を取得して介護や社会福祉のプロとしての道を目指すのも夢ではありません。

介護職の職場と仕事内容は?

食事の介助

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介護職員は、どのような場所で活躍しているのでしょうか。介護職員が働く場所や仕事内容を紹介します。

病院

介護職は入院病棟がある病院などでも働いています。病院では入院患者を介護するのが仕事です。看護師の補助として、患者の移動・体位変換・食事や入浴の介助・排せつ介助などを行います。

資格がなくても介護職として働ける病院はありますが、患者の身体に触れる介助には「介護職員初任者研修」以上の資格が必要となることもあるでしょう。シーツ交換やパジャマの洗濯など、直接患者の身体に触れない仕事を任されることもあります。

訪問介護事業所

訪問介護は、利用者の自宅に行き、ケアマネージャーが作ったケアプランに基づいて、生活のサポートや身体介護を行う仕事です。食事の支度・買い出し・掃除・洗濯などの生活援助のほか、入浴介助や排せつ介助などの身体介護を行います。

訪問介護員として働くには「介護福祉士」「介護職員初任者研修」「介護福祉士実務者研修」「生活援助従事者研修」の、いずれかの資格を保有している必要があります。また、医療行為や利用者以外の家族のための食事作り、日常生活のサポートを超えた家事代行などは行いません。

高齢者施設

高齢者施設などで働く介護職員もいます。高齢者施設には、老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅・グループホームなどの入居型の介護施設や、デイサービスなどの通所型の介護施設が含まれます。

それぞれの施設によって仕事内容は異なりますが、基本的に利用者の生活支援などが主な仕事です。サービス付き高齢者向け住宅のように、生活相談と安否確認のみで介護業務を提供しないケースや、2交代制の勤務で夜勤がある老人ホームなどもあります。

介護資格がなくても就労できる場所が多いですが、身体介護が多い職場では「介護職員初任者研修」以上の資格を持っている方が有利でしょう。

介護職に転職する際の注意点は?

悩む介護士の男性

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介護職への転職で失敗しないために、職場選びの注意点についても知っておきましょう。2つのポイントを解説します。

仕事の内容をよく理解しておく

介護職の仕事内容について、事前によく理解しておくことが必要です。介護には大きく分けて「身体介護」と「生活援助」の仕事があります。身体介護は、自分で動けない利用者の移動や、入浴・排せつなどを介助する仕事です。

身体介護には、かなりの体力や精神力が必要となります。生活援助はいわゆる家事代行とは異なり、利用者が日常生活を送るために必要な範囲を超えたサポートはできません。事前に仕事内容を理解せずに転職してしまうと、理想と現実の違いに苦しむこともあるでしょう。

勤務形態やシフトを確認する

勤務形態やシフトについても応募前に確認しておきましょう。勤務時間やシフトの振り分け方は、施設によって異なります。通所型施設は日勤だけで働けますが、入居型施設では2交代制・3交代制・4交代制などで、夜勤もあるのが一般的です。

どのようなシフトで働くかによって、ワークライフバランスも変わってくるため、自分のライフスタイルに適した働き方が可能な職場を選ぶことが大切です。あまりに人手が不足している職場では、夜勤シフト後も出勤しなければならないなど、過酷な勤務状況になるので注意しましょう。

介護職はきついけれど未経験者でも転職できる職種

介護士の女性

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介護職は体力的・精神的に負担が多く、きついといわれる職種です。排せつ介助などもあるため、慣れるまでは仕事がつらいと感じる人も少なくありません。しかし、未経験者でも受け入れている職場も多いため、資格や学歴などに自信がない人にとっては、仕事が見つかりやすいというメリットもあります。

また、仕事をしながら介護福祉士や社会福祉士などの国家資格を取得している人も多く、将来的なキャリアアップを目指せるのも魅力です。高齢化が進む社会において、今後も介護職の需要はますます高まるでしょう。

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