介護の仕事は、体力・精神力が必要なことから、「きつい」というイメージを持たれがちです。しかし、未経験から挑戦してキャリアアップできるなど、魅力もたくさんあります。介護がきついといわれる理由や、それでも選ばれる魅力について解説します。
この記事のポイント
- 介護の仕事はなぜきつい?
- 体力的・精神的な負担が多い点をはじめ、人手不足かつ業務量が多いにもかかわらず、給与が見合っていないことが考えられます。
- 未経験からスタートできる
- 未経験でも働きながら資格の取得が目指せ、経験値を上げていくことでさらなるキャリア・収入アップが見込めます。
- 介護の仕事に向いている人とは
- コミュニケーション能力が問われるため、人と接することが好きな人には天職といえます。
介護の仕事がきついといわれるのはなぜ?
介護の仕事に対し、きついというイメージを持つ人は少なくありません。どのような点がきついといわれているのか、詳しく解説します。
収入が低め
介護の仕事がきついといわれることが多い理由の1つに、収入の低さがあります。介護職は社会にとって必要不可欠な仕事です。しかし、他の業種と比べて、給与水準が低いと感じる人が多い傾向にあります。
仕事内容に対し、給与が見合っていないと感じる人も少なくありません。介護職は体力的・精神的負担が大きい仕事です。利用者を安全に介助し日常生活のサポートをすることはもちろん、予測できない状況に対応する柔軟さも求められます。
介護の業務は非常に責任が重く、時には感情的に疲れ果てることもあります。やりがいを感じつつも、収入面での不安を抱える介護職員は多くいるでしょう。
人材不足で仕事量が多い
介護業界では、慢性的な人材不足が続いています。本来であれば複数人で分担するべき業務を、限られた人数でこなさなければならず、結果として1人当たりの仕事量が多くなっているのが現状です。
利用者の介助だけでなく、介護の記録・家族への対応・施設内の雑務など、幅広い業務を担当することになります。
特に人手が足りない施設の場合、夜勤や残業の頻度が高く、体力的・精神的な疲れがたまりやすくなるでしょう。長期的に負担がかかれば自分自身の健康に影響を与え、同じ施設で働き続けることが難しくなる可能性もあります。
身体的な負担が大きい
介護の仕事は、身体的に大きな負担がかかります。利用者の体を支えたり、ベッドから車椅子へ移動させたりと力を使う場面が多く、腰や膝に負担がかかりやすいのが特徴です。
特に人手不足の現場では、少人数で多くの利用者の対応をしなければならず、負担がさらに増すでしょう。
このような負担を軽減するために、最近では介護ロボットやリフトの導入が進められています。しかし、全ての現場に普及しているわけではありません。身体的負担を減らし、長く働くためには、正しい介助技術を身に付けることや、職場環境の改善が重要になります。
メンタル面で不調が現れることも
身体的な負担に加え、メンタル面の不調を感じる人も少なくありません。利用者やその家族との関わりの中では、気持ちに寄り添う対応が必要な場面が多々あります。真剣に向き合うほど、心の疲れも積もりやすくなるでしょう。
また、業務過多や時間的な制約で十分なケアができず、理想と現実のギャップに悩む人もいるようです。
利用者への配慮だけでなく、職員同士の関係で悩む人もいます。介護職員をはじめ、看護師や栄養士などさまざまな職種のスタッフが一緒に働く中では、意見の食い違いやいざこざが生じることもあるためです。
シフト制が多く生活リズムを作りにくい
介護の仕事はシフト制が多く、生活リズムを整えにくいのも課題です。早番・遅番・夜勤がある施設では、勤務時間が日によって異なり、不規則な生活になりがちです。特に夜勤は、長時間勤務や昼夜逆転の影響で、体調を崩しやすくなるでしょう。
また、休日も固定ではなく、連休が取りにくい職場も多いため、家族や友人との予定が合わせにくいという声も少なくありません。疲れが抜けないまま次の勤務に入るケースもあります。
シフト調整がうまくいかない場合、仕事とプライベートのバランスが取れず、精神的な負担が増す可能性もあるでしょう。
介護の仕事のやりがいとメリット
介護の現場は人手が足りないため、未経験でも積極的に採用する傾向があります。未経験からスタートし、研修を重ねつつ資格を取得することで、さまざまなキャリアパスが広がるでしょう。
需要が高く経験ゼロからでも挑戦できる
介護の仕事は、需要が高く、未経験でも挑戦しやすいというメリットがあります。また、年齢制限が比較的厳しくないのも特徴です。
高齢化が進む日本では、介護人材のニーズが年々増しており、業界全体で新しい人材を求めています。働きながら資格を取得できる制度を整えている職場も多いので、無資格・未経験の人でもチャレンジしやすいでしょう。
介護は人の生活を支える仕事であり、直接感謝の言葉を聞ける機会が多いのも魅力です。利用者やその家族から「ありがとう」とねぎらいの声をもらうことで、大きなやりがいを感じる人も多いでしょう。
自由な働き方・キャリアアップも可能
シフト制を柔軟な勤務形態と考えれば、介護は自由な働き方を実現しやすい仕事といえます。シフト制をうまく調整することで、個々のライフスタイルに合わせた働き方を選べるでしょう。
また、資格を取得すれば仕事の幅が広がり、キャリアアップも目指せます。介護職員初任者研修から介護福祉士、さらにはケアマネージャーなど、スキルを磨くことでより専門的な業務に携われます。
施設勤務だけでなく、訪問介護や福祉関連の講師など、新たな道に進むことも可能です。 長く続けるほど、選択肢が広がるでしょう。
介護職はキャリアアップでどれくらい収入が増える?
介護職は、経験や資格を積むことでキャリアアップが可能です。キャリアアップを果たした場合、給与にどのような変化があるのか、具体的に見ていきましょう。
未経験からのキャリアアップ
介護職は、未経験からでも資格を取得し、キャリアアップすることで収入を増やせます。無資格のうちは施設内での介護補助が中心ですが、研修を重ねることで専門的な介護士の仕事や訪問介護の道も開けるでしょう。
一概には言えませんが、無資格・未経験の段階では、1カ月の給与は約20万~28万円が一般的です。経験を積み資格を取得することで、給与は上がるでしょう。
例えば、介護の実務経験が3年に達すると、国家資格である介護福祉士の受験資格を取得できます。資格手当など努力次第で着実に収入を上げられるため、資格の取得や経験を積むことが将来の安定につながるでしょう。
介護福祉士からのキャリアアップ
介護福祉士がキャリアアップして年収を上げるには、いくつもの選択肢があります。厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」を基に、介護に携わる職種の年収を表にまとめました。
施設介護員(介護福祉士含む) | 371万4,000円 |
ケアマネージャー(介護支援専門員) | 421万6,000円 |
介護事務 | 478万3,000円 |
施設管理者(介護施設) | 425万8,000円 |
ケアマネージャー・介護事務・施設管理者の年収を見てみると、介護福祉士を含む施設介護員の年収と比べてかなり差があることが分かります。
ケアマネージャーは、利用者の心身の状態や生活環境に合わせたケアプランを作成し、適切な介護サービスを調整する役割を担います。
介助に直接関わらない介護事務の道もあります。介護事務は、介護施設や事業所で介護保険請求業務(レセプト)や利用者の契約手続き、電話・窓口対応などを担当します。
施設管理者は、施設全体の運営・管理が主な仕事です。スタッフの指導や教育、利用者へのサービス向上を図ります。予算管理や行政機関との連携なども担い、多岐にわたる業務を遂行します。
そのほか、独立開業の選択肢もあります。介護福祉士の経験を生かして、訪問介護事業所を立ち上げるなど、成功すれば大きな収入を得ることも可能です。
出典:施設介護員 - 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))
出典:介護支援専門員/ケアマネジャー - 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))
出典:介護事務 - 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))
出典:施設管理者(介護施設) - 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))
介護の仕事に向いている人は?
介護施設ではさまざまな人と関わります。どのような性格や能力を持った人が、介護の仕事に向いているのでしょうか?
介護職に向いている性格
介護の仕事は、相手を思いやる気持ちが強く、人と接することが好きな人に向いています。利用者とその家族の気持ちに寄り添い、丁寧な対応ができることが大切です。日々の業務では想定外の出来事が起こることも多いため、柔軟に対応できる力も求められます。
また、介護職員だけでなく、看護師や薬剤師なども含めたチームで働くことが多い仕事です。協調性があり、周囲と円滑にコミュニケーションを取れる人が適しています。
ハードな面もありますが、人の役に立つ実感を得られるのが介護職の魅力です。人とのつながりを大切にし、つらい中でも充実感を得られる人は介護職に適任といえるでしょう。
介護職で生かせる能力
介護の仕事では、観察力や気配りの力が大切になります。利用者のちょっとした変化に気付ければ、いつもと違う様子を早期に察知し、適切な対応を取ることができます。
介護は、利用者本人だけでなく、その家族とも関わる仕事です。相手の気持ちをくみ取りながら、分かりやすく説明する力も役立ちます。また、移動や食事の介助など、体を使う業務が多いため、一定の体力・持久力も求められるでしょう。
介護や医療の知識を高める意欲がある人は、利用者に対しより適切なサポートができるようになり、現場での活躍の幅も広がります。
介護職は他者を支え自分のキャリアを築ける
介護の仕事はきつい面もありますが、キャリアアップの選択肢が多いという魅力があります。未経験でも挑戦しやすく、年齢制限も厳しくありません。資格を取得し経験を積むことで、収入アップやキャリアアップが可能です。
これから介護の仕事を目指すなら、仕事・求人情報一括検索サイト「スタンバイ」の活用がおすすめです。資格の取得も視野に入れつつ、就職・転職活動を進めましょう。