塾講師の平均年収は?年齢・性別ごとの年収や収入アップの方法を解説

塾講師の年収は、平均してどの程度なのでしょうか?厚生労働省の調査をもとに、塾講師の年収について紹介します。全体の平均年収以外に、年齢・経験年数・性別・雇用形態による違いも見ていきましょう。年収アップを目指すポイントも解説します。

塾講師の平均年収はいくら?

塾

(出典) photo-ac.com

学習塾で働く塾講師の年収は、どのくらいなのでしょうか?厚生労働省の「令和3年賃金構造基本統計調査」では、個人教師の年収が公開されています。

調査結果をもとに、塾講師の一般的な年収を見ていきましょう。なお、個人教師には塾講師以外のインストラクター・英語教師といった仕事も含まれます。

※「賃金構造基本統計調査」の各データは企業規模10人以上・一般労働者(フルタイム)・役職者以外のものを使用し、平均年収は「きまって支給する現金給与額」×12+「年間賞与その他特別給与額」で算出

平均年収は420万円ほど

厚生労働省の「賃金構造基本統計調査(2021年)」によると、塾講師を含む個人教師の平均年収は約418万円です。国税庁の民間給与実態統計調査(2021年分)によると日本人全体の平均年収は約443万円なので、やや低めか同程度の水準だと分かります。

では、塾講師と同じように生徒を指導する教員とは、平均年収に差があるのでしょうか?

同調査の小中学校教員を見ると、平均年収は約698万円となっています。高校教員は約692万円です。いずれも個人教師全体と比べて、250万円以上も平均年収が高くなっています。

参考:
賃金構造基本統計調査 令和3年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 1 職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計) | 政府統計の総合窓口
令和3年分 民間給与実態統計調査|国税庁

塾の規模や個人の能力で変動する

塾講師の年収は、塾の規模や本人の実力で大きく変動します。多くの場合、塾講師の収入には授業数や実績が影響するためです。

難関中学・高校に生徒を合格させてきた実績があれば、進学塾では自然と人気が高まるでしょう。補習タイプの個人指導であっても、教え方がうまく人気のある講師は授業数が増えて収入も上がっていきます。

高年収を狙うなら、難関大学の入試をサポートする予備校講師がおすすめです。予備校は学歴・学力に加えて指導力もあれば、大きく収入アップを目指せる業界といえます。

塾講師の属性別平均年収を解説

お金と通帳

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塾講師の平均年収は、年齢・経験年数・性別・雇用形態などの属性によっても変わります。それぞれの属性における平均年収について見ていきましょう。

年齢・経験年数別の平均年収

塾講師の年収は年齢・経験年数を重ねると増えていきます。2021年の賃金構造基本統計調査を見ると、実際に塾講師を含む個人教師の平均年収は年代が上がるにつれて増えていることが分かるでしょう。

  • 20〜24歳:約280万円
  • 25〜29歳:約360万円
  • 30〜34歳:約383万円
  • 35〜39歳:約387万円
  • 40〜44歳:約478万円
  • 45〜49歳:約508万円

経験年数別の統計には毎月の手当を除いた基本給とボーナスその他の特別給与しか示されていませんが、「所定内給与額」の12カ月分と「年間賞与その他特別給与額」のみを足した平均年収は、経験年数によって次のように推移しています。

  • 1〜4年目:約327万円
  • 5〜9年目:約401万円
  • 10〜14年目:約458万円
  • 15年以上:約491万円

20代前半や転職して経験が浅いうちは、収入も低くなります。経験が長く熟練した講師ほど、高い収入を得られると分かるでしょう。

参考:
賃金構造基本統計調査 令和3年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 5 職種(小分類)、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計) | 政府統計の総合窓口
賃金構造基本統計調査 令和3年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 14 職種(小分類)、性、経験年数階級別所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計) | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口

男女別の平均年収

男女別に見ると、塾講師を含むの個人教師の年収は男性の方が高い傾向です。男性は平均年収約442万円となっており、日本人全体(給与所得者)の平均年収443万円とはほぼ変わりません。

しかし、日本人男性(給与所得者)全体の平均年収は545万円なので、100万円ほど低くなります。

一方、女性の個人教師の平均年収は約369万円です。日本人全体の平均年収と比べると低めです。ただし、日本人女性(給与所得者)全体の平均年収は302万円なので、比較対象を女性に絞れば高めの年収を得られる仕事といえるでしょう。

年齢が上がるにつれて平均年収が上がる傾向は、男女ともに変わりません。

雇用形態によって年収は変わる?

塾講師の雇用形態はさまざまで、フリーランスやアルバイトなどの非常勤講師として働く人も目立ちます。

正社員は月給制や歩合給がメインですが、非常勤講師は1つの授業ごとに収入が計算されるのが一般的です。

時給換算すると、1,000〜4,000円程度が目安となるでしょう。人気の高い講師は収入が増えますが、多くの場合は時給1,000〜2,000円の範囲に収まると考えられます。

時給1,500円で1日8時間・月20日働くとすると、月収は24万円です。ボーナスゼロと考えると、年収は288万円となります。正社員と比べると、平均年収は低くなるでしょう。

塾講師の仕事は大変?

セミナーテーブル

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塾講師は苦労が多い仕事ともいわれます。実際はどうなのでしょうか?塾講師の仕事をする上で、知っておきたいポイントを見ていきましょう。

昼から夜にかけての業務が多い

塾講師の仕事は、学校が終わって生徒が塾の授業を受けるころに始まります。準備時間を考えても業務開始は昼以降となり、勤務終了は夜です。

塾に通う年齢層にもよりますが、小学校高学年から中学生になると学校からの帰宅は夕方を過ぎるので、塾講師は夕方から夜間が忙しくなると考えられます。

そのため、早く帰宅したい人や、朝型の人にとっては大変な業務です。ただし、授業が終了すると生徒は帰るので、極端に残業が長引くことは少ないでしょう。

授業以外にも業務がある

塾講師の仕事は授業だけではありません。授業をするためには、テストの準備や授業の内容を考えることも必要です。

授業前後には生徒からの質問対応や、保護者とのやりとりが発生することもあります。正社員として働く場合は、塾の広告作成やチラシ配りなど幅広い業務に対応するケースも多いでしょう。

指導以外の時間が長いため、授業数を増やそうとすると、その分仕事が増えていきます。人とのコミュニケーションが多く、予想より時間が長引くパターンも少なくありません。

高収入を目指すほど忙しくなる

塾講師の年収は、授業数や人気で変わります。安定して高収入を目指すには授業数を増やす必要があり、その分だけ忙しくなるでしょう。

正社員の塾講師は授業をするほか、非常勤講師の指導や資料作りなど幅広い業務を求められます。自分の仕事を終わらせた上で評価を上げようとすると、いくらでも仕事は出てくるでしょう。

人気講師として各方面で依頼を受けると、さらに忙しくなります。ただ、指導力が認められると1つの授業に対する単価が高くなり、年収に反映されるのは大きな魅力です。

塾講師が年収を上げるには?

お札と電卓

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塾講師は、十分な経験を積むまで年収が低くなりがちです。年収を上げるには、何をすればよいのでしょうか?昇給を目指すためのポイントを解説します。

大手学習塾に就職する

大手学習塾はネームバリューがあり、豊富な実績を持っていることから、年収も高くなります。賃金構造基本統計調査のデータでも、企業規模1,000人以上の個人講師は、平均年収が高い傾向です。

大手進学塾には、500万円以上の年収を目指せるところもあります。塾講師として経験を積んでから大手を目指すか、人材育成や他業界の経験を生かして最初から大手への就職を考えるのもよいでしょう。

ただ、条件のよい大手学習塾の求人は、すぐに埋まってしまう可能性があります。定期的に情報をチェックしておきましょう。スタンバイにも豊富な塾講師の求人が掲載されています。

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人気講師を目指す

塾講師として年収アップを目指すには、生徒からの人気を集めることが大切です。多くの生徒が「この講師の授業を受けたい」と感じれば、授業数が増えます。集客力の高い講師は評価が上がり、1コマの単価や給与に反映されるのもうれしい効果です。

進学塾では、難関中学・高校への合格実績がポイントとなるでしょう。進学塾に通う生徒は、目的の進路を目指して勉強をしています。実績が高い講師の指導を受けたいと考えるのは自然です。

また人気講師は、マンツーマンの補習で生徒のやる気を引き出し、成績アップを狙えることも特徴です。講師の学力だけでなく、生徒が飽きずに勉強でき、塾に通いたいと思ってもらえるかが重要となります。

1つの塾で昇進を狙う

塾講師として昇進すれば、塾の運営やマネジメントに携わる仕事ができます。求人情報では、「教室長候補」「教室長」「エリアマネージャー」といった役職で募集されることが多いでしょう。

教室長の仕事は、全般的なカリキュラムの作成や生徒・保護者の対応、広告作成など多岐にわたります。

エリアマネージャーは、複数の塾の運営に携わる仕事です。まずは1つの学習塾を運営する教室長として働き、昇進すればエリア内の塾を統括する役職へとステップアップしていきます。

塾講師の年収は実力や環境で変わる

笑顔の講師

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塾講師を含む個人教師の平均年収は、日本人全体の給与所得者の平均年収と大きく変わりません。ただ、授業数や人気によって収入が変動するため、実力が求められる業界と考えておきましょう。

人気講師になれば、年収の大幅アップも狙えます。室長やエリアマネージャーになり、収入を上げるのも高年収を狙う方法の1つです。

長く働ける塾で昇進に向けて働く、大手進学塾に絞って最初から高年収を狙うなど、塾講師が年収を上げる道は複数あります。自分に合ったやり方で、満足できるキャリアを目指しましょう。