生活相談員に必要なスキルとは?3つのポイントと目指し方

生活相談員は、介護サービスの利用者・家族と、介護施設の間に立って相談・調整を行います。生活相談員を目指す人の中には、どのようなステップを踏めばよいのか分からない人もいるでしょう。生活相談員に必要とされるスキルや、目指し方を紹介します。

生活相談員に必要なスキル3つ

話し合う人たち

(出典) pexels.com

生活相談員は、介護施設で利用者の相談に乗ったり、入所・退所に関わる手続きをしたりする仕事です。生活相談員には、どのようなスキルが求められるのでしょうか?特に大切な要素を3つ紹介します。

相手に寄り添って話を聞ける

生活相談員には、利用者・家族の気持ちに寄り添える傾聴力が求められます。

これから施設を利用したいと考えている人や、利用し始めて日の浅い人は、生活相談員との間にまだ深い信頼関係が構築されていません。そのため、聞きたいこと・心配なことがあっても、率直に口に出せず飲み込んでしまうことがあります。

生活相談員には、利用者・家族の表情や態度、話し方などに気を配りながら、本当に話したいことを引き出し、うまく言語化できない悩みごとをまとめるスキルが必要です。

幅広い属性の人とコミュニケーションを取れる

生活相談員が接するのは、介護施設の利用者・家族だけではありません。介護施設の職員・外部医療機関・行政機関など、立場の異なるさまざまな人と接し、協力して仕事にあたるのが基本です。

利用者・家族はもちろん、どんな相手にも合わせられる柔軟なコミュニケーション能力は、生活相談員に必須のスキルといえるでしょう。

ただし、友達とおしゃべりするときのような気軽な話し方をしたり、相手の事情に踏み込みすぎたりするのは避けたい接し方です。相手の話をよく聞き、意見や情報を誠実に伝えられるコミュニケーションが求められます。

周囲の人と協力して仕事を進められる

介護サービスは1つの職種だけでは成り立ちません。生活相談員も介護サービスに携わるスタッフとして、介護施設の職員・外部機関の担当者などと協力し合って進める必要があります。

利用者に適切な介護サービスを提供するには、情報の共有が不可欠です。小さなことでも、報連相を怠らないようにしましょう。

報連相を徹底することで、トラブルを防ぐだけでなく、情報の行き違いで利用者に迷惑をかけてしまうリスクの防止にもなります。改善点を見つけたり、ミスを防ぐためのヒントにつながったりもするでしょう。

介護サービスの現場がスムーズに回るようになれば、利用者もストレス・不自由を感じることなく、安心して利用できます。

生活相談員の仕事内容

老人の手

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生活相談員の仕事として挙げられるのが、調整・連携です。必要としている利用者に、適切な介護サービスを届けるための調整役と考えると分かりやすいでしょう。

主な仕事は調整・連携

生活相談員は、特別養護老人ホーム・ショートステイ・デイサービスなどで、利用者・家族の相談に乗ったり、介護施設・外部機関との連携を行ったりするのが主な仕事です。

介護施設によっては受付を担当したり、介護の現場で職員のサポートをしたりすることもあります。

また、介護サービスの提供には、さまざまな人・機関が関わっています。それらの間を取り持ち情報を共有するために、生活相談員は不可欠な存在といえるでしょう。

ケアマネジャーとの違いは?

生活相談員とよく混同されるのが、ケアマネジャー(介護支援専門員)です。

利用者と介護施設・関係者との連携・調整を担うという共通点もありますが、ケアマネジャーの場合、介護認定のための調査・報告、要介護認定後のケアプランの作成が主な仕事になります。

ケアマネジャーになるには、居住地または勤務先の都道府県で、年1回実施される試験に合格しなければなりません。試験は合格率23.3%(2021年度)と簡単ではなく、受験資格も厳格に定められています。

参考:第24回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について|厚生労働省

生活相談員になるには

勉強をする人

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生活相談員に興味があっても、特別な資格がいるのではないかと二の足を踏んでしまう人もいるでしょう。

介護職員からステップアップしたい人や、介護業界未経験から目指そうと思っている人に向け、生活相談員になるために必要な要件を解説します。

「生活相談員」という資格はある?

生活相談員は職種の名称であり、資格ではありません。要件を満たせば、生活相談員として働くことができます。

ただ、生活相談員の要件を満たすためには、国家資格や実務経験が必要です。介護業界が全く初めてという人は、まず実務経験を積むところからスタートしましょう。

要件は都道府県によって異なるので、生活相談員を目指すなら、まず自分の居住地・勤務先のある自治体に確認が必要です。

生活相談員になるための資格要件

生活相談員の資格要件の基本は、「社会福祉主事任用資格」「社会福祉士」「精神保健福祉士」のいずれかの資格を持っていることです(社会福祉法第19条)。これらの資格を持っていれば、相談員の実務経験がなくても目指せます。

社会福祉主事任用資格は、福祉事務所で働くために必要な資格です。国家資格ではなく、大学・短期大学などで3つ以上の指定科目を履修して卒業するか、指定養成機関を修了すると取得できます。

社会福祉士は国家資格で、社会福祉士国家試験に合格すると取得できる資格です。心身の障害・環境上の理由で、日常生活を送るのが困難な人の相談に応じるのが仕事です。

精神保健福祉士も国家資格で、精神保健福祉士国家試験に合格する必要があります。精神的な疾患・障害を持つ人が日常生活をスムーズに送れるよう、さまざまな面から支援します。

参考:
社会福祉法 第19条 | e-Gov法令検索
社会福祉法施行規則 第1条の2 | e-Gov法令検索
ページ9:社会福祉主事任用資格の取得方法|厚生労働省
[社会福祉士国家試験]:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター
[精神保健福祉士国家試験]:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター

資格要件は都道府県によって異なる場合も

生活相談員の資格要件には、社会福祉主事任用資格・社会福祉士・精神保健福祉士の資格を持っていることと「同等以上の能力を有する者」もあります。

しかしこの要件に関して厚生労働省は明確に定義してはいないため、都道府県・市町村に委ねられる部分が大きいのが実情です。

例えば、東京都国分寺市では、ケアマネジャー(介護支援専門員)や実務経験が通算1年以上・勤務日数180日以上ある介護福祉士なども認められています。

また、秋田県秋田市では、資格取得後に1年以上ケアマネジャーとしての実務経験があるも対象です。それぞれに詳しい要件は異なるため、居住地や働きたい施設のある自治体の情報を確認しましょう。

参考:
国分寺市における生活相談員の資格要件について|東京都国分寺市
生活相談員の資格要件の緩和|秋田県秋田市

生活相談員に向いているのはどんな人?

手を握る人

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生活相談員を目指したいと思っていても、自分に適性があるか不安に思うかもしれません。生活相談員に向いている人の特徴には、何があるのでしょうか?特に重視される適性を見てみましょう。

困っている人の力になりたい気持ちがある

生活相談員の仕事をするには、人の役に立ちたいという気持ちが不可欠です。

介護施設の利用者をサポートするために、相手の気持ちに寄り添い、親身になって話を聞くことが求められます。利用者に喜んでもらえれば、やりがいも感じられるでしょう。

ただし、力になりたい気持ちが強いあまりに、自分が何とかしてあげようと感情的になることは避ける必要があります。一歩引いた立場から物事の全体像を見て判断したり、適切に仕事を進めたりする冷静さも必要です。

仕事がマメで責任感がある

生活相談員は、書類作業も多い仕事です。特に外部機関に提出するものは、期日があることがほとんどでしょう。滞りなく作成・提出できるマメさと、最後までやり遂げる責任感の強さが必要になります。

また、介護サービスを提供する施設の職員や、利用者のかかりつけの病院などと情報を共有することも大切です。高齢者の場合、伝達事項が現場に届いていないことで、思わぬリスクにつながる可能性もあります。

「これぐらいは大丈夫だろう」と軽く考えず小まめに報連相ができる人は、生活相談員に向いているでしょう。

必要なスキルを磨いて生活相談員を目指そう

外で車いすを押す人

(出典) unsplash.com

生活相談員は相談に乗るほか、介護施設の利用者が適切な介護サービスを受けられるよう、相談・調整を担う仕事です。

必要なスキルとしては主に、傾聴力やコミュニケーション能力・協調性が挙げられます。これらのスキルに加えて、人の役に立ちたい思いやマメさ・責任感があれば、利用者に信頼される生活相談員を目指せるでしょう。

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