生活相談員の仕事内容は?施設ごとの特徴とやりがいを紹介

生活相談員の仕事内容は、主に介護施設の利用者・家族の相談に乗ったり、介護職員や外部機関との調整です。ただし、施設によって多少異なる点があります。これから生活相談員を目指す人のために、詳しい仕事内容や資格要件を解説します。

生活相談員の仕事内容は?

相談に乗る人の手元

(出典) pexels.com

生活相談員は、介護施設においてマルチプレイヤーといわれるほど、仕事内容はさまざまです。その中心となる、利用者・家族へのサポートについて見ていきましょう。

介護施設の利用者をさまざまな面からサポート

介護施設への入所希望者・新規入所者の相談を受けたり、快適に生活するために必要な手続きをしたりするのが、生活相談員の主な仕事です。利用者が介護施設で最初に接する職員であることから、施設の窓口にあたる存在ともされています。

介護職員やケアマネジャーなど、介護に関わる職員と情報を共有し、スムーズにサービスを提供できるように調整するのも生活指導員の仕事です。

利用者のかかりつけ医・地域の行政機関といった、外部機関と連携が必要なときにも、生活相談員が間に立ちます。

そのほか、介護施設によっては現場で介護職員をサポートしたり、利用者・家族・地域住民からのクレームに対応したりなど、生活相談員の仕事内容は一言では表せないほど多岐にわたります。

支援相談員やケアマネジャーとの違いは?

介護の現場に詳しくない人が生活相談員と混同しがちな職種に、支援相談員やケアマネジャーがあります。仕事内容に共通する部分も多いので、区別が分かりにくいかもしれません。

支援相談員の仕事の場は、介護型老人保健施設です。生活相談員が幅広い施設内で利用者の対応をするのに対し、支援相談員は退所後の生活に向けたサポートを担う点で異なります。

ケアマネジャーは、介護保険制度にもとづいて要介護認定を行ったり、ケアプランを作成したりといった役割を担っています。ケアマネジャーになるには、受験資格を満たした上で「介護支援専門員実務研修受講試験」に合格しなければなりません。

参考:介護支援専門員(ケアマネジャー)|厚生労働省

生活相談員の活躍の場は?

老人の手を握る介護職員

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生活相談員の仕事の場は介護施設です。しかし、一口に介護施設といってもさまざまな種類があり、仕事内容も施設によって変わってきます。主な施設と仕事内容について見ていきましょう。

特別養護老人ホーム

特別養護老人ホームは、「介護老人福祉施設」とも呼ばれます。介護保険が適用される公的施設で、運営するのは主に地方自治体・社会福祉法人です。

入所には一部の例外を除いて「要介護3」以上に認定されている必要があります。特別養護老人ホームの生活相談員は、日常生活における不自由の程度が大きい人やその家族に対応することになると考えましょう。

特別養護老人ホームでの主な仕事は、利用者の相談対応や、介護現場で働く職員との調整です。施設によっては、生活相談員が介護職員のサポートを兼任する場合もあります。

参考:どんなサービスがあるの? - 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)| 介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」|厚生労働省

ショートステイ

自宅での介護が一時的に困難になったときに利用できるのが、ショートステイです。

介護保険が適用されるショートステイには、日常生活における介護を支援する「短期入所生活介護」と、医療ケア・リハビリを提供する「短期入所療養介護」の2種類があります。

民間の介護事業者が提供するショートステイサービスもありますが、介護保険が適用されず公的なものに比べると高額です。

生活相談員は、利用者・介護職員との調整のほか、利用日程調整・ケアプランの作成などを担います。介護職員の人数が限られているショートステイでは、介護職員のサポート・利用者の送迎を担当することも少なくありません。

参考:
どんなサービスがあるの? - 短期入所生活介護(ショートステイ)|介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」|厚生労働省
どんなサービスがあるの? - 短期入所療養介護|介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」|厚生労働省

デイサービス

デイサービスは、要介護1~5の高齢者に対して、日帰りで日常生活上の世話といった介護や機能訓練、レクリエーションなどを提供しています。利用者の心身の機能維持や孤立防止、介護している家族の負担軽減などが目的です。

利用やサービスにかかる費用には、介護保険が適用されます。ただし、食事代・備品代は利用者負担です。

デイサービスで働く生活相談員の仕事には、特別養護老人ホームやショートステイと重なる部分が多くあります。デイサービスの利用日程や関係職員との調整、ケアプランの作成のほか、施設によっては介護職員のサポート・利用者の送迎も担当します。

参考:どんなサービスがあるの? - 通所介護(デイサービス)|介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」|厚生労働省

生活相談員の仕事のやりがい

親指を立てる人

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生活相談員は、さまざまな仕事をこなす必要があり、苦労する面も多いでしょう。しかし同時に、大きなやりがいも感じられます。具体的にどのような部分に価値を感じられるのでしょうか?

利用者や利用者の家族の力になれる

介護施設の利用希望者とその家族は、入所にあたって心配事や疑問を抱えています。実際に入所してからも、不安を感じる場面は多くあるでしょう。

生活相談員は、利用者・家族の気持ちに寄り添って話を聞き、改善策を提案したり解決に導いたりする立場です。

利用者・家族の力になれれば、感謝されるだけでなく自分に自信もつきます。利用者からの信頼を得られ、より深いつながりができることで、利用者・家族は気軽に相談ができるようになります。

また、さまざまな相談事の内容をもとに改善を図ることで、介護施設の職員がより細やかなサービスを提供するのに役立つでしょう。

キャリアアップにもつながる

生活相談員の実務経験を積めば、介護に携わる人材としてのキャリアアップも可能です。通算5年以上かつ勤務日数900日以上の経験を積むことで、介護に関してより幅広い仕事ができるケアマネジャーの受験資格を得られます。

受講試験は簡単ではないものの、受験資格を手にできるのはキャリアにおいて大きな一歩となるでしょう。

利用者・家族と接するコミュニケーションスキルや外部機関と連携する調整力が磨かれるのも、大きなやりがいです。将来的には介護施設の管理者になったり、運営を担う施設長になれたりする可能性もあります。

経験を評価されて、ほかの介護施設から声がかかるかもしれません。

給料は介護職員よりやや高め

「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、生活相談員・支援相談員の平均給与額は月額34万4,790円(手当や一時金を含む)です。

さまざまな仕事をこなさなくてはならない分、一般の介護職員の32万3,190円よりやや高めになっています。キャリアも年収も追求したい介護職の人は、生活相談員を目指すのも1つの道です。

全くの未経験から生活相談員になるなら、医療系の国家資格を取得するか、介護施設に勤務して実績を積むところからスタートしましょう。

参考:令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果|厚生労働省

生活相談員になるには資格が必要?

勉強する人

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生活相談員は職種の名称であり、2023年1月現在、「生活相談員」という公的な資格はありません。しかし、生活相談員になるには、厚生労働省や都道府県の定める資格要件を満たす必要があります。

資格要件を満たす必要がある

厚生労働省が定める生活相談員の資格要件は、社会福祉士・精神保健福祉士・社会福祉主事任用資格のいずれかを取得していることです。認定試験もなく、これらの資格を持っていれば生活相談員として働けます。

ただし、社会福祉士・精神保健福祉士は国家資格です。福祉系・保健福祉系の大学・短期大学・専門学校で単位を取得し、必要に応じて相談援助の実績を積んだ上で、国家試験に合格しなければ資格を得られません。

社会福祉主事任用資格は、都道府県の福祉事務所に任用されるために必要です。大学・短期大学などで必修科目を履修・修了する、指定養成機関を修了するなどの条件を満たせば、試験なしで資格を得られます。

また、社会福祉士・精神保健福祉士の資格を持っている人も、社会福祉主事任用資格の対象です。

参考:
社会福祉法 第19条| e-Gov法令検索
社会福祉法施行規則 第1条の2 | e-Gov法令検索
ページ9:社会福祉主事任用資格の取得方法|厚生労働省

都道府県によって資格要件はさまざま

社会福祉士・精神保健福祉士・社会福祉主事任用資格と「同等以上の能力を有する者」も、生活相談員として働けます。しかし、何をもって同等以上の能力とするかという解釈は法律に明記されておらず、各都道府県によってさまざまです。

例えば、愛知県名古屋市では介護福祉士・保育士(保育士登録機関に登録された保育士証が必要)・介護支援専門員(ケアマネジャー)も、生活相談員の資格要件です。北海道札幌市や大阪府吹田市では、介護福祉士・介護支援専門員も対象になっています。

生活相談員を目指すなら、あらかじめ居住地や介護施設がある自治体の情報を確認しておきましょう。

参考:
介護保険事業者指定申請の手引き P.43|愛知県名古屋市
生活相談員の資格要件について|北海道札幌市
通所介護等における生活相談員の資格要件について|大阪府吹田市

利用者と施設をつなぐ生活相談員を目指そう

スーツ姿でファイルを持つ人

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生活相談員の主な仕事内容は、利用者の不安・心配事の相談に乗ることです。ほかにも、介護施設・外部機関などとの調整を行い、利用者が必要なサービスを受けられるようにすることです。

特別養護老人ホームやショートステイなど、施設の種類によって生活相談員の役割は変わります。ただ、どこで働くにしても、人の役に立ちたいという思いがある人に向く仕事です。

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