派遣社員に有給休暇はある?取得できる条件や日数をチェック

雇用形態によって有給休暇の取得条件が異なるのか、疑問に思う人もいるでしょう。直接雇用以外は、有休をもらえないと思っている人もいるかもしれません。派遣社員が有休を取得する条件や、休める日数を確認しましょう。

派遣社員にも有給休暇はある?

誰もいないオフィス

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有休を取得できるかどうかは、働く上で重要なポイントです。休みの間も給料が出れば、収入が減らずに済みます。派遣社員は有休をもらえるのか、確認しましょう。

有休は労働者に与えられた権利

有休は労働基準法に定められた、労働者の権利です。派遣社員も派遣元に雇用されている労働者であることに変わりはないので、一定の雇用契約期間があれば有休を取得できます。

労働基準法は、労働者が働く上での最低基準を定めたものです。違反した会社には、罰則が与えられる可能性があります。

2019年に労働基準法が改正されてからは、年10日以上の有休が発生している労働者には、年に5回の有休を取得させる決まりです。取得できる日数は、勤続年数によって異なります。

参考:
労働基準法|e-Gov法令検索
年5日の年次有給休暇の確実な取得

有休を付与するのは雇用主である派遣会社

労働者が有休を使用したいときは雇用主に申し出て、雇用先が有休を与えます。派遣社員が実際に出勤しているのは派遣先ですが、派遣会社と雇用契約を結んでいるので有休を与えるのは派遣元です。

企業は派遣社員が必要なときに、派遣会社に人材派遣料を払って人材の提供を受けます。派遣社員に給料を与えるのは派遣元です。派遣会社によっては、子どもの看護休暇や介護休暇などの福利厚生を設けている場合もあります。

有休を使いたいときは派遣先に有休を取りたい旨を告げ、最終的に派遣元から承認を得る流れです。

有休はいつから使える?日数や条件は?

カレンダーに記入する人

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派遣社員でも有休を使えることが分かりましたが、働き始めてすぐに取得できるわけではありません。使用できるようになる条件や、取得可能な日数を見ていきましょう。

仕事開始から半年以上たてば取得可能

派遣社員として仕事を開始した日から6カ月が経過すると、有休が発生します。労働日の8割以上出勤していることも条件です。

派遣先を途中で変えたとしても、日数がリセットされることはありません。例えば、4カ月間勤務した派遣先Aを辞めて派遣先Bで2カ月間働いた場合、合計で6カ月以上になるので有休が発生します。

ただし、派遣会社によっては1カ月以上の空白期間ができてしまうと雇用契約がなくなったと見なされ、1からのスタートになってしまう場合があることに注意しましょう。

日数は勤続年数に応じて変わる

有休は長く働いている人ほど多くもらえる仕組みです。6カ月後に10日間、1年6カ月後に11日間、2年6カ月後に12日間、2年6カ月後に14日間というように増えていき、6年6カ月以上勤務すると20日間の有休が発生します。

これらの日数は法律で定められ、決まった日数を下回ることは認められていません。ただし、企業が独自に有休の日数を上乗せすることは可能です。

例えば、規定の10日に5日間上乗せして15日与えるというように、日数が増える分には構わないルールになっています。

フルタイム以外の人の有休は何日?

パートタイムであっても、勤務開始から6カ月が経過していて8割以上の出勤率があれば有休が発生します。ただし、日数はフルタイムの人に比べて多くありません。

1週間の労働日数が4日以下で、労働時間が週30時間未満の人が6カ月経過後に取得できる有休日数は以下の通りです。

  • 1週間の労働日数が4日:7日
  • 1週間の労働日数が3日:5日
  • 1週間の労働日数が2日:3日
  • 1週間の労働日数が1日:1日

勤続年数が増えていくに伴って日数が追加されていく点は同じですが、労働日数が少ないほどもらえる日数は少なくなります。

参考:年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています|厚生労働省

派遣社員が有休を使う際のポイント

目覚まし時計とメモ帳

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派遣社員も有休を使えますが、使い方には注意が必要です。使い方を誤ると、もらえるはずだった有休が消滅してしまうケースもあります。注意したいポイントを確認しましょう。

派遣先が変わっても取得できる

派遣会社が変わらない限り雇用関係が継続するので、派遣先が変わったとしても有休は消滅しません。

ただし、次の派遣先で働き始めるまでに1カ月以上の期間が空くと、有休が消滅すると決められている可能性があります。この空白期間に法律上の決まりはなく、派遣会社側で独自のルールが設けられている場合があるのです。

雇用契約を結んでいる派遣会社に確認し、有休が消滅しないように次の派遣先を決める必要があります。もうすぐ6カ月が過ぎるというタイミングで派遣契約が終わったときは、次に働き始めるまで間が空かないように注意しましょう。

労働者の請求に合わせて付与される

会社の都合に合わせて有休を取るわけではなく、原則として労働者が好きなタイミングで取得できます。有休の申請があれば、会社側の都合で断ることは基本的にはできません。

しかし、繁忙期や人手不足で正常な運営ができなくなってしまうと判断できる場合は、ほかの時期に与えてよい決まりです。

例えば、同日に有休を取得する従業員が多く、操業が困難といった理由が該当します。スムーズに有休を取るためには、会社側の事情も考慮して申請した方がよいでしょう。また、労働義務がない日の有休取得はできません。

有休には使用期限がある

有休を使うタイミングを逃し、時間がたってしまうケースがあります。しかし、有休は発生した日から2年間で使い切りましょう。後でまとめて使おうと思っていて2年が過ぎると、使い切れずに消滅してしまうことに注意が必要です。

次の有休が発生するタイミングで、先に発生した有休が残っているときは繰り越されます。6カ月が経過した時点で10日、1年6カ月で11日が加算されるので、この間に1日も有休を取っていなければ、1年6カ月が過ぎた時点で残っている有休は21日間です。

しかし、最初に付与された有休はこの半年後に取得期限を過ぎ、消えてしまいます。せっかくの有休が消えてしまうのはもったいないので、少しずつ使うのがおすすめです。

派遣社員が有休を申請する方法

スケジュール帳とペン

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派遣社員が有休を申請するとき、派遣先と派遣元のどちらに申し出ればよいのか悩む場合があります。有休を取るための手順や注意点を確認しましょう。

派遣先と調整後に派遣元に申請

派遣社員が有休を取る際は、派遣先に有休を取りたい旨を伝え、問題がなければ派遣元に伝えて承認してもらう流れが一般的です。

原則として労働者が請求した通りに有休を取れるという決まりはありますが、繁忙期や人手不足が著しいときなどは、別の日に変えなればなりません。

同じ職場で働く人たちに迷惑がかからないような取り方を心掛けましょう。また、連休の前後と組み合わせて有休を取りたいと思う人は多いので、できるだけ早く申し出た方が有休を取りやすくなります。

計画的に有休を取るのがポイント

派遣社員は、当然ながら派遣期間中にしか有休を取れません。正社員は退職日の直前に有休をまとめて使えますが、派遣社員は難しい場合が多いでしょう。

派遣期間があらかじめ定められている都合上、派遣期間が終わる直前にまとめて有休を取るのはどうしても難しくなります。少しずつ休んだ方が有休を無駄にする心配がありません。

退職前は引き継ぎに時間がかかる可能性もあり、有休を使いたくても使い切れないケースは少なくありません。退職日から逆算してすべての有休を消化できるように、余裕を持って計画的に申請していくのがおすすめです。

有休を取得してリフレッシュしよう

海にバスのミニチュアが置いてある

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有休は労働者に与えられた権利です。派遣社員であっても6カ月以上働き続ければ、10日間の有休をもらえます。パートタイムの場合は日数が少なくなるものの、1週間の労働日数に応じた有休をもらえる決まりです。

有休を付与するのは派遣元なので、派遣先で調整をした後は派遣会社に申請して有休を取得します。基本的には労働者が希望する日に休めますが、派遣先の状況も考慮して迷惑がかからないように休みましょう。

有休には使用期限があり、発生日から2年が過ぎると消滅してしまいます。休暇を取って心身をリフレッシュさせることは、健康的に働き続けるために重要です。よい仕事をするためにも、計画的に有休を使っていきましょう。