給与や待遇の改善が進められているものの、保育士の人手不足は現在でも続いているといわれています。仕事が大変といわれることもありますが、離職率はどのくらいなのでしょうか?保育士の離職率やほかの業種との違い、よい職場を見つけるコツを解説します。
保育士の離職率は高いの?
保育士の離職率は、どのくらいなのでしょうか?離職率を知ることで、ほかの業種との違いや施設の環境がある程度推測できます。まずは保育士の離職率と、ほかの業種との違いを見ていきましょう。
全体の離職率は約8.7%
社会福祉施設等調査によると、2021年の常勤保育士数は32万7,521人です。2020年の退職者数は2万8,542人で、大まかに試算してみる※と離職率は約8.7%となります。
保育施設には公営と私営があり、退職者数の傾向はそれぞれ異なります。公営と私営では保育士数・採用者数・退職者数すべて、公営の方が少ないのが特徴です。
なお、人数だけでなく離職率も公営の方が低い水準です。私営の保育施設が極端に高いとはいえませんが、離職率が気になる場合は公営の保育施設を目指してみるのもよいでしょう。
※離職人数÷従業員数×100で試算
参考:
社会福祉施設等調査 令和3年社会福祉施設等調査(順次掲載予定) 閲覧表 施設票 E68-02 | e-Stat
社会福祉施設等調査 令和2年社会福祉施設等調査 個別表 施設票 H16-01 | e-Stat
ほかの業種と比較すると実は低い傾向
雇用動向調査によると、一般労働者の離職率は11.1%です。保育士の離職率試算は約8.7%のため、全体と比べると低いことが分かります。
なお、パートタイム労働者全体の離職率は21.3%で、一般労働者とパートタイム労働者を合計した離職率は13.9%です。
男女別に見ると、男性12.8%、女性15.3%となっており、保育士全体の離職率はそれほど高くありません。
業種や雇用形態によって差はありますが、保育士の離職率はやや低い範囲と考えられるでしょう。
保育士離職の際に多い理由
保育士の離職理由では、人間関係や仕事の量・内容に関するものが多くなっています。
同僚だけでなく子どもや保護者とのやり取りがあり、多くの人とコミュニケーションを取らなければならない保育士は、人間関係に悩むことも多いでしょう。
仕事の量や責任の重さと、給与が見合わないと感じる人もいるようです。ただし保育士の給与は待遇改善の試みによって徐々に改善しており、極端な低水準ではありません。
保育士の仕事は子どもの世話だけでなく、細かい事務作業が多いのも特徴です。保育士の仕事に対するイメージと仕事内容にギャップがあり、離職につながることも考えられます。
働きやすい職場を見つける方法
保育士として長く働くには、自分に合った職場を見つけるのがポイントです。まずは、自分が重視する待遇や条件を明確にした上で、求人情報をチェックするとよいでしょう。基本的な求人探しのコツと、働く前に確認しておきたいポイントを紹介します。
求人票で確認すること
保育施設に限らず、働きやすい職場を見つけるには職場の雰囲気を見極めるのが大切です。
まずは、過去の求人状況を調べてみましょう。大規模な施設や、求人を出しっぱなしにしているケースを除き、頻繁な求人は離職が多いことを示します。
あまりにも求人の頻度が高い場合、職場の雰囲気や待遇に問題があり、すぐに辞める人が多いとも考えられるでしょう。
給与面では、周辺の施設との違いをチェックします。高すぎる場合は仕事内容が厳しい可能性があり、低すぎる場合は経営に問題があるかもしれません。
有給・育休、その他福利厚生の取得実績を公表している場合は、確認しておくのもよいでしょう。
見学時のチェックポイント
面接や見学で保育施設を訪れるときは、職員の仕事ぶりをチェックしておきましょう。普段の様子がそのまま見られるとは限りませんが、職員や子どもの表情、雰囲気を見るだけでも自分が働くときの状況を想像しやすいはずです。
職員の年齢層からも、働いたときの人間関係を予想できます。開園したばかりでもないのに、極端に経験の浅そうな若い保育士しかいないときは、早期離職の可能性も考えて労働条件や待遇、評判を確認しておくのもよいでしょう。
施設の公式HPがある場合は、行事や年間スケジュールをチェックしておくとイベント時の仕事内容や雰囲気が分かります。
保育士の仕事を楽しむコツ
保育士の仕事を始める前に、楽しむためのコツを覚えておくと長く働けます。仕事に疲れすぎず、ストレスをためないようにするには、前向きな気持ちを忘れないようにしましょう。基本的な心構えを紹介します。
自分と他人を比べない
保育士として働き始めたばかりのときは、子どもや保護者とのコミュニケーションがうまくいかず悩んでしまうこともあります。
特に子どもにはそれぞれ違う特性があり、経験を積むまでは気づけない部分も多いでしょう。
他人と比べてしまうと、気分の落ち込みや自己肯定感の低下にもつながります。悩みを解決するための相談や、ベテランのまねをしてみるなど前向きな比較は問題ありませんが、落ち込んでしまうときはなるべく他人と比較するのをやめましょう。
仕事に打ち込み、自分なりの目標を達成できたときは自分を褒めてあげるのもおすすめです。
オフの時間はしっかり休む
保育士の仕事は子どもとの触れ合いが基本です。子育てとは違うものの、行事や日々の仕事に追われているとプライベートと仕事があいまいになってしまうこともあります。
休むときはしっかり休み、仕事の問題やミスを引きずらないのが長く働くコツです。
プライベートの充実を意識すれば、仕事が大変であっても休みを支えに頑張れることも多いでしょう。スキルアップを目指し、プライベートで勉強を心がけるのもおすすめです。
自分が働きやすい保育の職場を見つけよう
保育士の離職率は、全体と比べるとやや低い水準です。職場によっても変わるため、自分に合った職場を見つけるのが長く働くコツになるでしょう。
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