DTPオペレーターは、デザイナーが作ったデザインを印刷可能な状態に整える仕事です。デザイン系の仕事を目指す人には魅力的ですが、「やめとけ」という声も聞かれます。DTPオペレーターのハードな面や、具体的な仕事内容を確認しましょう。
「DTPオペレーターはやめとけ」といわれる理由
DTPオペレーターの仕事は、業務負担の大きさや将来への不安がネックとなるケースが多いようです。DTPオペレーターについて「やめとけ」という声が上がる理由を確認しましょう。
激務になりがち
DTPオペレーターとして働いていると、体力的・精神的に追い込まれる場合が少なくありません。短納期で大量の仕事を任される可能性があるためです。
DTPオペレーターの仕事が遅れると、印刷がスケジュールに間に合わなくなる恐れがあります。納期まで時間がない場合は、残業を増やして間に合わせるしかありません。
抱えている仕事が多ければ連日の残業も珍しくなく、体力的なつらさを感じる人が多いようです。
また、DTPオペレーターの仕事には、納期に遅れると印刷できなくなる、完璧な状態で納品しなければならないというプレッシャーが付きまといます。精神的なストレスが大きいため、メンタル面がつらくなってしまうケースも少なくありません。
将来性が不安
すぐに需要が消滅することはないものの、将来的に生き残れるDTPオペレーターはわずかと見られています。
印刷物の需要が著しく低下している、紙媒体よりもWebが主戦場になっている、スキルがなくても印刷物のレイアウトができるサービスが登場しているといった状況が原因です。
また、近年はデザイナーが自分でDTP作業まで担当するケースが増えています。DTPオペレーターの需要が維持される可能性は低く、DTP専業の将来はあまり明るいとはいえません。
DTPオペレーターとして生き残りを目指すなら、webデザインに関する知識やグラフィックデザインのスキルなどを身に付けておく必要があります。
向き・不向きが大きい
DTPオペレーターは、デザイナーによって作られたデザインに基づき、印刷できる状態にするのが主な仕事です。
専業の場合は自分のセンスや意見を表に出す余地はなく、他人のデザインをきれいに整えなければなりません。自分で何かを生み出したい人には、物足りなく感じるケースがあるはずです。
また、作業中は黙々とパソコンに向かうため、デスクワークが苦手な人には向きません。コツコツと作業を進めるのが嫌いな人や1つのことに集中できない人は、DTPオペレーターになっても、つらく感じるケースが多いでしょう。
DTPオペレーターの仕事内容
「やめとけ」という声から目指すのを諦める前に、DTPオペレーターがどのような仕事をしているのか詳しくチェックしてみましょう。仕事内容を知れば、自分の適性を判断しやすくなるはずです。DTPオペレーターの仕事内容を紹介します。
フォーマット作成とデータ入力
DTPオペレーターは、デザイナーによるデザインを基にフォーマットを作成します。フォーマットのクオリティにより作業効率や品質が大きく変わるため、慎重に作成しなければなりません。
フォーマットの精度が低い場合は、工程が進んでいても修正が求められるケースもあるでしょう。
フォーマットが完成したら、必要な素材の配置が必要です。ライターやイラストレーター・カメラマンなど、各工程の担当者から文字やビジュアルの素材を受け取り、データ化してフォーマットに埋め込みます。
Adobeの「InDesign(インデザイン)」「Illustrator(イラストレーター)」「Photoshop(フォトショップ)」などのソフトを使うのが一般的です。
入稿できる状態にするための調整
DTPオペレーターは、印刷物としての視認性・可読性を高めるために、データの線幅や文字のサイズ、文字間・行間のスペースといった体裁の調整も担当します。調整や修正には、DTPデザインのルールに則って行う正確性が必要です。
納品するデータには、クライアントやデザイナーの要望・意図がきちんと盛り込まれている必要があります。言葉や写真が適切かどうかを、厳しい目でチェックするのもDTPオペレーターの仕事です。
DTPデザインはWebデザインとは異なり、一度印刷されてしまうと修正が難しくなります。入稿前にミスや漏れがないようチェックを重ね、完全な状態に仕上げる慎重さが大切です。
DTPオペレーターに向いている人の特徴
DTPオペレーターは専門性の高い仕事で、向き不向きがはっきりしています。DTPオペレーターに向いているのはどのような人なのでしょうか?特徴を確認しましょう。
地道な作業が好き
DTPオペレーターには、地道にコツコツと作業できる人が向いています。質の高い印刷データを作るためには、ミリ単位で余白を修正したり細かく色味を調整したりする必要があるためです。
美しい印刷物を作るには、DTP組版のルールに準拠した作業が欠かせません。細部まで手を抜かずに、逐次確認できるマメさが必要です。直感的でアバウトな作業になってしまう人は、DTPオペレーターには向かないでしょう。
また、集中力を保てない飽き性の人は、ミスが多くなったり作業に時間がかかったりしがちです。DTPオペレーターには、1つのことに集中できる人の方が向いています。
オンとオフの切り替えがうまい
仕事とプライベートの切り替えがうまい人も、DTPオペレーター向きといえるでしょう。仕事のストレスをため込みにくく、身体的・精神的なダメージが少なくなるためです。
勤務先にもよりますが、納期前は残業続きとなるケースは珍しくありません。オンとオフの切り替えがうまくできないと、家でも仕事モードを引きずる結果になります。肉体的・精神的にダメージが蓄積されやすく、仕事が苦痛になるかもしれません。
すぐにプライベートモードに入れる人は、自分の時間を楽しむのが上手です。仕事のストレスを感じにくく、仕事の気分を長く引きずりません。
プライベートでリフレッシュしている分、集中力・体力の回復も早く、常に高いパフォーマンスを維持できるでしょう。
デザイン職に興味がある
デザイン系の仕事に興味を持っている人も、DTPオペレーター向きといえます。プロのデザイナーの作品に触れるチャンスが多く、作品の完成に貢献できるためです。
DTPオペレーターの中には、自身がデザイナーになりたい人も少なくありません。将来デザイナーを目指そうと考えているなら、DTPスキルを身に付けておいて損はないでしょう。
基本的にDTPオペレーターにデザインの仕事は回ってきません。しかし着実にキャリアを積み重ねていけば、デザイナーへのキャリアパスも開けてくるはずです。
DTPオペレーターのやりがい
DTPオペレーターのやりがいは、スキルが身に付くことやクリエイティブな仕事に携われることです。それぞれについて詳しく紹介します。
手に職を付けられる
ほかの仕事では得られない知識やスキルが身に付く点は、DTPオペレーターのやりがいです。DTPオペレーターはDTPソフトを使って作業するため、Illustrator やPhotoshop、InDesignなどを扱うスキルが身に付きます。
これらのデザインソフトは他の職種でも使われているため、ソフトを自在に扱えるようになるのは大きな魅力でしょう。DTPオペレーターとして働く中で、デザインや組版に関する知識の習得も可能です。
多くの人の目に留まる作品に関われる
自分の携わった仕事が印刷物として世に出るのも、DTPオペレーターのやりがいです。印刷物を目にした人から好意的な反応があれば、DTPオペレーターをやっていてよかったと思えるでしょう。
自分でデザインを生み出すことはないものの、レイアウトや色の調整といった細かい作業は、DTPオペレーターがいなければ成り立ちません。自身のスキルが役に立っていると実感しやすく、常に高いモチベーションで働けます。
DTPオペレーターのキャリアアップ例は?
DTPオペレーターからキャリアアップしたい場合は、Webデザイナーやグラフィックデザイナー、あるいはマネージャーという選択肢があります。それぞれの職業や役割について確認しましょう。
webデザイナー
webデザイナーは、webサイトをデザインする仕事です。webサイト全体のバランスを見ながら、レイアウトや色を決めていきます。
DTPオペレーターとは媒体の違いがあるものの、webデザイナーの仕事でもPhotoshopやIllustratorを使います。使用ソフトになじみがあるDTPオペレーターは、チャレンジしやすい職種でしょう。
ただし、webデザインは紙媒体とはソフトの使い方が異なる上、ある程度のコーディングスキルが不可欠です。サイトデザインの基本ルールも求められるため、webデザインに特化した学習に取り組む必要があります。
グラフィックデザイナー
DTPオペレーターとしてキャリアを積んだ後、グラフィックデザイナーに転身する人も少なくありません。グラフィックデザイナーは、紙媒体のデザインを担う仕事です。
自分のセンスをそのまま仕事に生かせるため、DTPオペレーターよりもクリエイティビティは高い仕事といえます。
DTPオペレーターとして働いていれば、グラフィックデザイナーの仕事は身近なはずです。使用するソフトもほぼ同じなので、スキルさえあれば、DTPオペレーターからの転身はさほど難しくないでしょう。
注意したいのが、紙媒体のデザイン市場が縮小している点です。長くデザイナーとして活躍したいなら、Webデザインまでカバーできる対応範囲の広さが求められます。
マネージャーという働き方も
印刷物の業界でキャリアを積んでいきたい人には、ディレクション側に回るキャリアパスもあります。
例えばDTP部門のマネージャーになれば、チームのトップとして活躍することが可能です。担当するDTPオペレーターをアサインしたり指示書を確認したりなど、工程や進捗の管理が主な仕事となります。給料アップが期待でき、やりがいも高まるでしょう。
ただし、マネージャーには高いスキルや豊富な経験が必要です。具体的な条件として、「10年以上のDTP経験」「チームマネジメント経験」「ディレクション経験」などを挙げているケースもあります。
管理する側を目指すなら、相応の経験やスキルを積んでいきましょう。
仕事の実態を知って後悔しない選択を
DTPオペレーターについて「やめとけ」という声があるのは、業務のハードさや将来性の危うさ、向き不向きの大きさなどが主な原因です。DTPオペレーターを目指す人は、業務内容を適切に理解し、チャレンジする価値があるかどうかを判断しましょう。
DTPオペレーターをやってみたいと決心したなら、さっそく職探しに取り組んでみてはいかがでしょうか?
効率的に仕事を探せるサイト・スタンバイには、未経験から働けるDTPオペレーターの求人が多数掲載されています。雇用形態や勤務地など詳細条件を指定した検索も可能なため、条件にマッチした求人が見つかるはずです。
「DTPオペレーターはやめとけ」という声だけに惑わされず、自分自身で納得できる選択をしましょう。