未経験でもCADオペレーターになれる?向いている人の特徴も解説

CADオペレーターとは、設計支援ソフトのCADを操作して、図面や仕様書を作る技術者です。未経験からの転職も可能ですが、CADの知識やスキル・図面を正しく読み取るスキルが求められます。未経験からCADオペレーターになる方法を確認しましょう。

未経験でもCADオペレーターになれる?

設計作業を行うデスク

(出典) photo-ac.com

CADオペレーターはスキルが重視される仕事で、違う職種から転向するのはハードルが高いと感じる人もいるでしょう。まずは未経験からでも転職できるのか、採用されやすくするには何をすればよいかを解説します。

未経験からの転職は可能

CADオペレーターとして働くために免許は不要で、資格も必ずしも必要ではありません。CADの基本操作スキル・基本的な図面を読む知識・業界の専門用語を備えていれば、誰でもCADオペレーターとして働けます。

厚生労働省の職業情報提供サイトでは、入職前の実務経験について「特に必要ない」と答えたCADオペレーターが全体の22.1%と最多でした。CADオペレーターとして働いている人も、最初は実務がなくてもよいと考えているということです。

CADオペレーターは土木・建築・製造・機械の分野だけでなく、アパレルやジュエリー・介護業界など幅広い業界からのニーズがあります。求人の幅が比較的広く、キャリアチェンジの選択肢に入れる価値は十分にあるといえるでしょう。

参考:CADオペレーター - 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))

下準備をして採用確率を上げる

CADオペレーターとしての採用確率を上げたいのであれば、CADを不足なく扱えるスキルを身に付けておきましょう。中途採用は即戦力を期待されるケースが多く、CADの基礎知識さえ持たない人は、不利になる傾向があるためです。

厚生労働省の職業情報提供サイトでは、CADオペレーターになる前に必要な訓練期間として「1カ月超~6カ月以下」と答えた人が20.6%と最多でした。CADオペレーターを目指すなら、仕事に就く前にある程度のスキルを備えていた方が安心だと分かります。

目指すべきレベルが分からない人は、CAD系の資格取得にチャレンジするのがおすすめです。資格があれば、実務は未経験でも知識やスキルを証明できます。書類審査で落とされる可能性が低くなるでしょう。

CADオペレーターの仕事内容

マウスでパソコンを操作する

(出典) photo-ac.com

CADオペレーターには、CADの操作以外にもさまざまな仕事があります。キャリチェンジを考えている人は、具体的な業務内用を把握して、イメージをつかみやすくしておきましょう。

CADソフトを使った図面作成

CADオペレーターの仕事は、CADソフトを用いて図面データを作成することです。ベースとなる図面は設計士やデザイナーが作成するため、CADオペレーターが設計も担当することはありません。

設計者の意図を反映させつつ、現場で使える正確な図面を作るのがCADオペレーターの仕事です。

仕様変更のような事情で図面の書き換えが必要になった場合は、CADオペレーターが図面を修正します。すでに手を離れた図面の修正を求められる場合もあり、一度図面を作成したら終わりという仕事ではありません。

職場によっては、図面の管理・共有もCADオペレーターに任されるケースがあります。

設計者・現場とのすり合わせ

CADオペレーターとして働く上で、設計士や現場とのやり取りが必要です。正確な図面を作成するためには、設計士の意図を正しくくみ取る必要があります。

設計のコンセプトや意図を確認したり、不明な数字・指示について根拠を求めたりしなければ、求められる図面が作れません。

図面が現場に渡った後に、現場から問い合わせを受けるケースもあります。場合によってはCADオペレーターが現場に出向いて、現地での確認が必要になるでしょう。

CADだけを触っていればよいわけではなく、ほかの業務に追われる可能性は、頭に入れておきたいポイントです。

CADを勉強する方法は?

スクール

(出典) photo-ac.com

CADオペレーターになるには、最低限のCADに関する知識やスキルが必要です。自分に合った学び方を見つけて、スキルを磨きましょう。未経験からCADを勉強する方法を3つ紹介します。

独学で勉強する

テキストや参考書・問題集を購入すれば、1人でもCADを勉強できます。まったくの未経験なら、まずは専門用語や各コマンドを覚えましょう。

分かりにくいと感じる場合は、ネットにアップされている動画を活用するのもおすすめです。特にCADの操作方法や作図方法は、動画を見た方が分かりやすいでしょう。

独学のメリットは、コストを抑えやすい点・自分の好きな時間に勉強できる点です。一方で、壁に当たったときに挫折しやすいため、モチベーションの維持が大きな課題となるでしょう。

スクール・通信講座で学ぶ

CADを学ぶ方法としては、スクールや通信講座もあります。時間の融通が利く人にはスクール、仕事があるに人はオフの時間を使える通信講座がおすすめです。

スクールや通信講座には、CADをマスターするためのサポートがそろっています。分からない項目は講師に直接質問できるため、独学よりも効率的です。特に資格取得を目指す場合は、スクールや通信講座のノウハウが有効でしょう。

学習時間やコストは、スクールや通信講座によって大きく異なります。コマ数や受けられるサポートとのバランスを見ながら、スクールや通信講座を選ぶことが大切です。

職業訓練を活用する

国が実施している職業訓練を利用すれば、テキスト代のみでCADの知識やスキルの習得が可能です。ただし受けられるコースは、雇用保険を受給しているかどうかにより異なります。

雇用保険を受給している人を対象としているのが、公共職業訓練(離職者訓練)です。一方、在職者や諸事情で雇用保険を受給していない・受給期間が終わったという人は、求職者支援訓練(求職者支援制度に基づく認定職業訓練)を利用します。

どちらのケースでも、ハローワークでの申し込みと面接・筆記試験の合格が必要です。訓練期間は基本的に2~6カ月とされており、各自治体の施設で実施されます。

どのような科目があるかは自治体によるため、自分が住んでいるエリアの情報をチェックしましょう。例えば東京都なら、「3DCAD・CAM」「三次元CAD」「建築CAD」といった科目で2023年4月の入校生を募集しています。

参考:

ハロートレーニング(離職者訓練・求職者支援訓練)|厚生労働省
募集案内「募集リーフレット」 | 都立職業能力開発センター | TOKYOはたらくネット

持っておくと便利な資格

タイピングする手元

(出典) photo-ac.com

未経験からCADオペレーターを目指すなら、スキルを証明できる資格の取得が有利です。CADオペレーターとしての評価が高まる、おすすめの資格を紹介します。

CAD利用技術者試験

コンピュータ教育振興協会(ACSP)が主催する、一定レベル以上のCADの知識・技術を証明する試験です。CAD系の資格の中では認知度が高く、CADオペレーターを目指すなら、まず合格しておきたい試験といえます。

CAD利用技術者試験の種類は、以下の通りです。

  • 2次元CAD利用技術者試験基礎
  • 2次元CAD利用技術者試験:1級(建築)・1級(機械)・1級(トレース)・2級
  • 3次元CAD利用技術者試験:1級・準1級・2級

未経験からチャレンジするなら、まずは2次元CADの基礎を目指しましょう。実務レベルのスキルを証明するなら、2次元CADの2級以上を取得しておくのがおすすめです。

CAD利用技術者試験 - ACSP 一般社団法人コンピュータ教育振興協会

CADデザインマスター認定試験

日本デザインプランナー協会が主催しているCAD試験です。Auto CAD・JW CADなどを使い、適切な図面を作成できる実践的なスキルが求められます。

出題されるのは、建築図・杭伏せ図・見上げ図・階段躯体図・平面図などです。試験に合格すると、CADの操作や知識について幅広い知識を備えていることをアピールできます。

試験は在宅受験で、開催は約2カ月に1回です。受験のタイミングを合わせやすく、忙しい人もチャレンジしやすいでしょう。

CAD資格のCADデザインマスター認定試験 | 日本デザインプランナー協会

オートデスク認定プログラム AutoCAD ユーザー

AutoCADのベンダーであるオートデスク社は、オートデスク認定プログラムという認定試験制度を設けています。その中でAutoCADの初学者におすすめなのが、「AutoCAD ユーザー」です。

AutoCAD限定の認証試験ではあるものの、AutoCADはユーザー数が多く、世界的にも高い知名度を誇ります。認定試験にチャレンジすれば、より高いCADスキルの獲得につながるでしょう。

AutoCADの基礎知識や基本的なオペレーション技術が求められます。選択式の設問と実技で30題の試験形式です。試験時間は50分・合格には正解率70%以上が必要なので、しっかり勉強して臨みましょう。

AutoCAD ユーザー|オートデスク認定資格プログラム

CADオペレーターに向いている人

パソコンを見ながら打ち合わせする2人

(出典) photo-ac.com

CADオペレーターは技術職であり、向き・不向きが影響しやすいです。未経験からCADオペレーターを目指す前に、自分の適性について考えてみましょう。

モノづくりが得意・好き

モノづくりが得意だったり好きだったりする人は、CADオペレーターに向いているでしょう。

建築や製造の現場では、CADオペレーターの図面が建築物や製品のベースとなります。自分が作成した図面に基づき建物や製品が生み出されていく様子は、モノづくりの楽しさを知る人には大きな喜びとなるでしょう。

大勢で何かを作ることに魅力を感じる人もいます。チームでモノづくりに関わりたい人にとっても、CADオペレーターの仕事は魅力的です。

集中力が高く細かい作業が好き

黙々と作業するのが苦にならない人、細部までこだわって几帳面な仕事ができる人も、CADオペレーターの適性があるといえます。CADオペレーターの仕事はほとんどがパソコンを使う作業であり、高い精度が求められるためです。

集中力が続かない人は、長時間黙ってパソコンと向き合うのに耐えられません。1つの図面に時間がかかりすぎ、後の工程に影響する恐れもあります。

また、大雑把な性格の人は、作図ミスが頻発するかもしれません。わずか数ミリの違いがあっても、現場では大きなトラブルにつながります。

CADオペレーターには、指示内容を忠実に図面に落とし込める、慎重さと丁寧さが必要です。

コミュニケーションが得意

コミュニケーションスキルが高いと、CADオペレーターとしての仕事がスムーズに進みます。

図面を作成するにあたっては、設計士や現場とのやり取りが必要です。設計士から回ってきた図面は、常に完璧とは限りません。数字や仕様に不明な点があったり、設計士の意図が分からなかったりする場合もあるでしょう。

コミュニケーションスキルが高い人なら、分からない部分を上手に聞き出せます。指示への理解が深まり、設計者の意図が正確に反映された高精度の図面を作成できるはずです。

現場に図面を渡した後、問い合わせや修正指示が届くケースもあります。このとき丁寧な対応ができる人は、現場からの評価が上がるでしょう。連携を取る必要がある場面でも、作業が円滑に進みます。

しっかりした事前準備でCADを仕事に

オフィスで設計をする男女

(出典) photo-ac.com

未経験からCADオペレーターを目指すなら、一定以上の知識やスキルがあると有利です。スキルの証明としてCAD系の資格を取得しておくと、採用確率がより高まります。

未経験からどう仕事を探せばよいか迷っている人は、豊富な求人を掲載しているスタンバイを活用でしましょう。条件を絞って検索すれば、未経験でも希望の勤務地・条件の求人が見つかります。

スタンバイ|国内最大級の仕事・求人探しサイトなら