多くの企業には、多忙な上司をサポートする秘書がいます。秘書になるには、どのようなルートがあるのでしょうか?主な目指し方と必要な能力、役立つ資格を紹介します。秘書への転職を考えるなら、必要なスキルや資質を持っているか考えてみましょう。
秘書になるには?
秘書は社長や取締役などの重役をサポートする仕事です。秘書になるために、資格やスキルは必要なのでしょうか?秘書を目指す主な方法も紹介します。
必須資格はない
秘書には必須の資格はありません。特殊な学校に通う必要もなく、基本的には誰でも目指せます。
しかし、社内で重要な役職に就く上司をサポートするため、一定の学力や知識は必要です。ビジネスマナーや社会的な一般常識も求められるでしょう。
事務や秘書業務が未経験で、業界の専門知識もない場合、すぐに採用されることはまれです。ただし、企業の規模や仕事内容によっては事務作業が大半で、未経験OKの求人もあります。
秘書業務は幅広く、求められるスキルも多様です。上司のスケジュール管理や代理での書類整理・来客対応など、さまざまな仕事を任されます。
秘書になるルートは複数
秘書を目指すとき、会社の方針や就職先の規模によってルートが異なります。
企業に就職後も営業職や事務職などを経て、社内の業務を経験してから秘書に登用されるのが一般的なルートです。経験する職種は、会社の方針や業界によって違いがあります。
前任者に秘書業務を学ぶのも、よくあるパターンです。秘書課が設けられている企業では、他の職種を経験するのではなく、秘書業務に特化したスキルを身に付けます。
ある程度規模が大きい企業に入社する場合は、人事部の采配で配属先が決まるケースも見られます。秘書を希望して面接を受けても、秘書になれるとは限りません。
大学・短大・専門学校で秘書のスキルを学び資格を取得するのも、秘書になる道の1つです。
秘書に求められる能力
秘書には具体的に、どのような能力が必要なのでしょうか?一般的に必要とされるスキルや能力を紹介します。足りない要素がある場合は、転職前に独学や通信教育で勉強してみるのもよいでしょう。
一般常識や教養
秘書は上司の代理として、取引先・社員・顧客とコミュニケーションを取ります。上司と同程度の一般常識や教養が求められると考えておきましょう。
特に、上司の取引先や顧客に社会的地位の高い人が多ければ、常識にのっとったマナーが重視されます。目上の人に対する敬語や態度はもちろん、話し方や立ち居振る舞いもチェックされるでしょう。
また、秘書は上司から直接指示を受け、業務にあたる場面が少なくありません。上司の意図や希望をくみ取り、正確に遂行するための理解力が求められます。
情報収集力と基本的なPCスキル
秘書の仕事には、各種の手配業務や情報収集もあります。多忙な上司の代わりにチケットや会食を手配する、書類作成をするといったPC作業が多くなるでしょう。仕事を進める上で、PCスキルは欠かせません。
上司が必要とする情報を探し、まとめるのも秘書の役目です。業界の最新情報やライバル会社の動向など、目を通しておきたいニュースは数多くあります。
すべてに目を通す時間がない上司のために、重要な情報をピックアップするのは秘書の仕事です。単に検索できるだけでなく、大切な情報を見極める力が求められます。
思いやりやコミュニケーション能力
秘書は多くの人と接する仕事です。上司と関係者の間を取り持つために、連絡や日程調整を担当します。
上司と関係する相手は取引先の社長や役員が多く、ほとんどが多忙です。それぞれの事情を理解し、思いやりを持って調整する意識が大切です。
ビジネスにおけるコミュニケーション能力として、相手と仲良くなるスキルよりも、正確な聞き取り能力と理解能力が重視される傾向にあります。
状況を正しく把握した上で相手の事情に配慮するコミュニケーションができれば、外部との連絡調整も来客対応もスムーズです。
秘書を目指すなら取得したい資格
オフィスワーク未経験から秘書になるには、まずは資格を取るのも1つの道です。実務経験がなくても、一定のスキルを備えている証明になります。代表的な資格を知って取得を検討してみましょう。
秘書のスキル全般を証明できる「秘書検定」
秘書検定は、秘書が対応する業務に必要な能力や基礎的なマナーを測る検定です。1〜3級すべてに特別な受験資格は必要なく、制限は設けられていないため、誰でも挑戦が可能です。
基本的な一般常識から場面に応じた対応の仕方まで、級の難易度に応じて秘書に必要な知識・スキルが問われます。準1級からは筆記試験に面接試験も加わり、知識を確認した上で実際の振る舞いや技能をテストする流れです。
これまで秘書としての経験がない人でも、秘書検定に合格していれば、秘書に必要なビジネスマナーを備えている証明になるでしょう。
経験をアピールできない場合は、積極的に目指したい資格です。ビジネスで求められる能力は2級以上といわれています。
社会人としての基本を測る「ビジネス実務マナー検定」
ビジネス実務マナー検定は、社会人に必要なマナーを学べる検定です。1級から3級まであり、1級には筆記のほかに指定された課題に基づくスピーキングの面接試験も設けられています。
ビジネスパーソンとして基本的なマナーを身に付けたいなら、2級の合格を目指しましょう。2級は2時間の筆記試験のみです。
秘書だけでなくフリーターから正社員を目指す人、オフィス業務が初めての人にもおすすめです。資格取得を通じてビジネスマナーを身に付ければ、コミュニケーションが円滑になり、業務全般がスムーズに進むでしょう。
PCスキルの証明に「日商PC検定」
秘書にはPCスキルも求められます。日商PC検定は、企業や部門責任者を補佐できる程度のPCスキルが学べる検定です。
文書作成・データ活用・プレゼン資料の作成の3つに検定が分かれています。レベルは1〜3級・ベーシックの4種類です。スキルを高めたい分野と求められるレベルに応じて、受けたい検定と級は変わります。
2級は部門責任者の補佐を想定しています。秘書の中でも、役員や部門全体をサポートする人におすすめです。1級は企業責任者を補佐する想定のレベルです。社長秘書を目指すのであれば、1級の合格を目指しましょう。
秘書に関する疑問もチェック
秘書を目指すなら、よくある疑問点も解消しておきましょう。働く上で苦労する可能性が高いポイントや、気になる年収について解説します。秘書の仕事を具体的にイメージしてから、転職を検討しましょう。
働く上で大変なポイントは?
秘書は事務作業が多い仕事ですが、事務職とは対応する業務が異なります。基本的に上司の依頼を受けて仕事をするため、突発的な業務や急ぎの仕事が入りやすいのが特徴です。
上司にとって重要な作業から進める臨機応変さが求められ、自分のペースで仕事ができないと感じる場面が多くなるでしょう。
また、秘書は会社の役員と接する分だけ、機密事項にも多く触れる仕事です。外部に話してはいけない内容も、多々出てきます。重要な話をうっかり外部に漏らさないように気を遣うことが、ストレスになるかもしれません。
年収はどのくらい?
厚生労働省の「令和3年賃金構造基本統計調査」によると、秘書の平均年収は約533万円です。一方、国税庁の「令和3年分 民間給与実態統計調査」によると、日本の給与所得者全体の平均年収は443万円となっています。
全職種の平均年収と比べると、秘書の年収は高い結果です。企業のトップや役員のサポートをする、重要な役割であることが評価されていると考えられます。年収が高い分、責任の重い仕事内容が多くなることは頭に入れておきましょう。
ただ、紹介した金額はあくまで平均であり、会社やポジション・スキルによっても実際の年収は変わります。どの程度の年収が得られるのか、自分が応募できる求人を探してチェックするのが確実です。
※秘書の平均年収は、賃金構造基本統計調査の「きまって支給する現金給与額」の12カ月分と「年間賞与その他特別給与額」を合計した金額です。
※賃金構造基本統計調査のデータは、一般労働者・企業規模10人以上のものを使用しています。
できることから始めて憧れの秘書に
秘書は企業の重要ポストに就く上司を支える、大切な仕事です。未経験でも応募できる求人はありますが、すぐに希望するポジションに就けるとは限りません。
まずは資格取得や基本的なスキルの習得に向けてできることから行動し、求人への応募を検討しましょう。
スタンバイでは豊富な求人から、役員秘書や社長秘書の仕事を探せます。納得のいく転職をかなえるためにも、自分のスキルと募集条件を見比べて応募先を選びましょう。