不動産営業は大きく3つの分野に分かれ、業務内容の違いや収入の差があります。不動産業界を目指す場合、関連資格を取得すると転職やその後のキャリアアップで優位に立てるでしょう。不動産営業の仕事内容や、取得していると有利な資格を解説します。
この記事のポイント
- 不動産営業の種類
- 不動産販売・賃貸仲介・売買仲介の3つの分野に分けられ、業務内容は大きく異なります。
- 不動産営業に向いている人の特徴
- コミュニケーション力やストレス耐性、行動力がある人が向いています。
- 不動産営業の魅力
- 普段の生活では出会えないような人と出会えます。また、歩合制を採用する企業が多く、年齢や経歴に関係なく稼げる仕事です。
不動産営業|分野別の仕事内容
不動産営業は、主に3つの分野に分かれ、それぞれ仕事内容や求められるスキルが異なります。まずは各分野の業務内容を理解し、不動産営業の全体像をつかみましょう。
不動産販売
不動産販売とは、自社やグループ会社が所有する不動産を個人に販売する仕事です。集客には自社のブランド力が大きく影響するため、自社の強みを的確にアピールする必要があります。
営業手法は多岐にわたり、広告出稿・チラシ配布に加え、SNSマーケティングなども重要な手段です。また、店頭や展示場での接客・案内も、不動産販売の重要な業務の1つです。
基本的に営業担当にはノルマが課される一方で、給与形態は歩合制の傾向にあります。成果が直接給与へ反映されるため、高いモチベーションを維持しやすい仕事といえます。
賃貸仲介
賃貸仲介とは、店舗・住宅を借りたい人に対して、物件の提案から契約締結までをサポートする仕事です。自社所有の物件に加え、他社が所有する物件を代理店として取り扱うこともあります。
他社物件を扱う場合は競争が激しくなるため、企業のブランド力・提案力が大切です。賃貸仲介の基本業務としては、見込み客へのヒアリング・物件の提案・内覧同行などがあります。不動産売買や売買仲介に比べ、比較的短期間で契約に至るのが特徴です。
売買仲介
売買仲介とは、不動産を売りたい人・買いたい人の間に入り、売買契約の成立をサポートする仕事です。売買仲介には、売主から依頼を受ける「売り仲介」と、買主から依頼を受ける「買い仲介」の2種類があります。
仲介手数料が主な収益源となり、不動産販売と同様に、売り上げのノルマが設定される場合がほとんどです。また、広告作成やテレアポといった営業手法が中心となり、物件の仕入れから契約締結まで一貫して対応する必要があります。
売買仲介は、取引額が高額で買い手・売り手を見つけるのに時間がかかったり、不動産の権利移転やローン手続きなど専門的な業務が多く発生したりします。そのため、不動産営業の中でも特に難易度が高い分野といえます。
不動産営業の平均年収
スタンバイには、2025年2月1日~2月28日まで掲載された不動産営業の統計情報があります。正社員の平均年収は425万円、年収中央値は409万円です。
アルバイトやパートでは平均時給が1,291円、時給中央値は1,282円となっています。求人件数の推移を見ると、正社員が24万件を上回り、アルバイト・パートと派遣社員は6万件を下回る数値です。
不動産営業の年収が高い理由の1つとして、歩合制を導入している企業が多い点が挙げられます。成果に応じて収入が増えるため、努力次第で平均以上の年収を目指せる職種といえるでしょう。
不動産営業を目指す上で有利な資格
不動産営業を行う上で、必須の資格はありません。しかし取得すると、評価・収入が上がる可能性がある資格は存在します。以下でその資格を3つ紹介します。
宅地建物取引士
宅地建物取引士(宅建士)は、国土交通省が認定する国家資格で、不動産業界において重要な役割を担っています。
不動産会社には、各店舗ごとに一定数以上の宅建士を配置する義務があるため、資格取得者の需要は常に安定しています。資格を取得すれば転職市場での評価が上がり、キャリアの選択肢が広がるのが大きな魅力です。
2024年度の宅地建物取引士資格試験は、合格率18.6%という結果でした。決して簡単な試験ではありませんが、受験資格に学歴・実務経験が不要なため、誰でも挑戦できるのが特徴です。しっかりと対策をすれば、未経験からでも取得を目指せるでしょう。
出典:令和 6 年度宅地建物取引士資格試験結果の概要 | 一般財団法人 不動産適正取引推進機構
不動産鑑定士
不動産鑑定士は、不動産の適正な地価を判断し、適正な土地利用を判定できる国家資格です。不動産業界において専門性の高い資格の1つであり、不動産の鑑定評価に関する独占業務を担います。
試験は「短答式試験」と「論文式試験」の2つに分かれており、どちらにも合格する必要があります。日本不動産鑑定士協会連合会によると、短答式試験の平均合格率は約33%、論文式試は約15%となっており、最終合格率は約5%と非常に難易度の高い試験です。
しかし、その分資格保有者は希少で、全国の登録者数は8,695人(2024年1月)と限られています。不動産の専門家としての価値が高く、独立・開業やキャリアアップにつながりやすいのが魅力です。
学習のハードルは高いものの、高いモチベーションを持って挑戦できる方には大きなリターンが期待できる資格といえるでしょう。
出典:漫画で見る不動産鑑定士のお仕事|日本不動産鑑定士協会連合会
出典:不動産の鑑定評価に係る登録状況|国土交通省
管理業務主任者
管理業務主任者は、管理委託契約を結ぶ際に必要な国家資格です。区分所有者に対する重要事項の説明や、重要事項説明書への記名・押印が主な仕事となります。
マンション管理業者は、事務所ごとに管理業務主任者の設置義務が法律上定められています。取得すれば、必要とされる資格なので安定した需要が見込めます。受験資格は特になく、誰でも受験できます。
また合格率も21.3%と、これまで紹介した資格よりも挑戦しやすい資格となっています。
出典:令和6年度 管理業務主任者試験 結果報告|一般財団法人 マンション管理業協会
未経験から不動産営業を目指すポイント
不動産営業は、未経験からでも挑戦しやすい職業です。不動産業界は人手不足が続いているため、学歴・業界経験を問わず採用されるケースが多いのが特徴です。実際に異業種から転職した人も多く、未経験の領域にチャレンジしたい人に向いている職種といえます。
採用面接では、不動産営業に適した資質があるかが重視されます。また、入社時に資格を必須とする企業は少ないですが、関連資格を取得をすれば、転職やキャリアアップの可能性が広がるでしょう。
不動産営業に向いている人の特徴
不動産営業は、キャリアアップや高収入を目指せる魅力的な職業ですが、向き不向きが大きく分かれる仕事でもあります。
どのような人が不動産営業に向いているかをしっかり把握し、無理なく働けるかどうか、自分に適性があるかを判断しましょう。
コミュニケーション力がある人
不動産営業では、顧客へのヒアリングや提案が主な業務となるため、コミュニケーション力が非常に重要です。物件の売買や賃貸契約を成功させるには、顧客との信頼関係の構築が欠かせません。
人と話すのが好きな方や初対面の人ともすぐに打ち解けられる方、会話が自然に続けられる方などは、不動産営業に向いているといえます。
一方で、人とのコミュニケーションが苦手な方は、不動産営業に向いていない可能性があります。もちろん、経験を積むことで克服できることもありますが、もともと対話が得意な人に比べると苦労する場面が多くなるかもしれません。
ストレス耐性がある人
不動産営業は、上司だけでなく、顧客から厳しい言葉をかけられることも多い仕事です。顧客から手厳しく断られたり、厳しい意見を受けたりしても「次に生かす」という気持ちで仕事に臨める方は、不動産営業に向いています。
反対にストレスに弱いという自覚がある人は、避けた方が良い職業ともいえます。しかし前述した通り、不動産営業にもさまざまなジャンルがあります。まずは関心ある不動産営業の分野を決めて、自分に務まるのかを考えてみましょう。
行動力がある人
不動産営業は、自ら積極的にアクションを起こす機会が多いため、行動力のある人に適した職業です。顧客のニーズに素早く対応することで信頼を得やすくなり、契約につながる可能性が高まります。考えるよりも先に行動できるタイプの人は、成果を上げやすいでしょう。
また、行動力は人脈の拡大にもつながります。たとえば投資用物件を扱う営業の場合、積極的に外に出向くことで、投資を検討している顧客と出会うことができ、新たな成約に至るかもしれません。
上記のように、自らチャンスをつかみにいく姿勢を持つ人は、不動産営業に向いているといえるでしょう。
不動産営業の魅力
不動産営業の魅力・やりがいを理解すれば、目指す分野を決める際に役立ちます。今回は、特に注目すべき3つのポイントに絞って紹介していきます。
人の生活を豊かにできる
不動産営業の魅力は、顧客の人生を良い意味で変えられる点にあります。不動産は、どの分野においても顧客の生活基盤を支える重要な商材です。たとえば、居住用住宅を扱う場合、顧客の生活に直接的な影響を与えることになります。
この責任の重さに、プレッシャーを感じることもあるかもしれません。しかし、その重圧を乗り越え、顧客の幸せを実現できた際には、大きな達成感や満足感を得られるでしょう。
幅広い人と出会える
さまざまな人との出会いがあることも、不動産営業の魅力の1つです。不動産は年齢・性別・職業を問わず、多くの人が必要とする商品です。そのため日常生活でなかなか出会うことのない人と接する機会が豊富にあります。
たとえば、投資用不動産を扱う営業の場合、投資家・富裕層といった、投資で生計を立てている人々と直接話す機会もあるでしょう。普段の生活では接する機会が少ない人たちから、貴重なお話を聞けるチャンスがある点も、不動産営業の魅力です。
実力主義で収入を上げられる可能性がある
結果次第で高収入を得られる点も、不動産営業の魅力です。ほかの業界に比べて、高額な商品を取り扱うことが多く、利益率が高い傾向にあります。その関係で、多くの不動産営業では歩合制が採用されています。頑張り次第では、年齢が若くても高年収を目指すことが可能なため、夢のある仕事といえるでしょう。
不動産営業に挑戦してみよう
不動産営業は「やりがいを持って働きたい」「成果を自分の収入に直結させたい」と考える人にとって非常に魅力的な職業です。
不動産営業を目指すのであれば、まず各分野の仕事内容をしっかりと理解し、自分にどの分野が適しているかを考える必要があります。その上で、必要なスキルや有利になる資格を身につけましょう。
不動産営業の求人を探すなら、ぜひ国内最大級の仕事・求人情報一括検索サイト「スタンバイ」をご利用ください。豊富な数の求人から、勤務地・給与・働き方まで、細やかな条件設定で応募先を絞り込めます。