自己PRの書き方のポイントは?必要な準備と基本構成、注意点を解説

「この人を面接してみたい」と採用担当官に思ってもらえる自己PRの書き方とは、どのようなものなのでしょうか。履歴書や職務経歴書に記載する過去の実績ではなく、データとして表れにくい部分を最大限にアピールする方法を確認します。

自己PRに書くべき内容は?

履歴書を書く手元

(出典) photo-ac.com

履歴書や職務経歴書における自己PR欄は、最も頭を悩ませる部分といっても過言ではありません。自己PRを作成する上で、意識しておきたい基本的な考え方を確認しましょう。

応募先で生かせる経験や強みなど

自己PRの役割とは、自分が企業の必要としている人材であると伝えることです。そのため、応募先企業で生かせる経験やスキル、自分の強みや特性を明示する必要があります。

しかし、これらの情報をただ書き連ねるだけでは、今ひとつ押しが足りません。採用担当者は、応募してきた人材が自社にふさわしいか、仕事でしっかり成果を出してくれそうかという点を確認しています。

募集職種と能力の親和性が高いことを示すため、応募先企業の業務にリンクさせて自分の強みをアピールすることが大事です。

自己PRは自己紹介とは異なる

履歴書に自己PRを書く際、あるいは面接で自己PRを求められたときに、単に自己紹介だけで終わってしまう人がいます。しかし、自己PRと自己紹介の役割はまったく異なるのです。

自己PRは、自分が応募先企業で活躍できるとアピールするツールです。一方の自己紹介は、自分に間する基本的な情報を伝えるもので、履歴書がその役割を果たします。

自己PRすべき場で単なる自己紹介をしても、採用担当官の関心を引くことはできません。たとえ能力を持っていても、自己PRがしっかりできなければ、採用されるのは難しいでしょう。

自己PRを書く前に準備しよう

手帳に書き込む女性

(出典) photo-ac.com

効果的な自己PRを作成するには、自分と企業について深く掘り下げる作業が欠かせません。この工程を3ステップに分けて、具体的な進め方を解説します。

自分の経験やスキルを洗い出す

まずは、これまで培ってきた自分の経験やスキルを洗い出します。キャリアの棚卸しと呼ばれる作業です。

これまでの仕事内容を振り返り、どういった経験をして、どのようなスキルを獲得してきたのか、箇条書きで書き出してみましょう。最初はきちんとした文章にせず、自分だけ理解できるメモ書きで構いません。

ここで重要なのは、経験してきたことを少しでも多く書き出す点です。印象の強かった仕事はもちろん、ささいなこともすべてメモしていきましょう。すべて洗い出せれば、好きな仕事や得意としている仕事がいくつか見えてきます。それこそが自分の強みです。

応募先企業が必要としている要素を見つける

次は応募先企業への理解を深める段階です。最初に、企業がどのような特性を持った人物を求めているのか、その職種にどのような経験やスキルが役に立つのか調査します。

この工程の目的は、自分の特徴と企業が必要とする人材との共通点を見つけることです。

単に自分の経験や強みをそのまま自己PRとして記載しても、応募先の企業が必要としていなければ採用には至りません。企業が求める人材は、求人情報や企業の採用ページを読むと分かってくる場合があります。その他にも、そこで働いている知人がいれば話を聞いたり、中途採用者向けの会社説明会があれば、積極的に参加しておきましょう。

記載すべきポイントを絞り込む

ここまでの作業で、共通点が複数見つかっているかもしれません。しかしそのすべてを詰め込むのではなく、柱となる大きな注目ポイントと、補助的なポイントを絞り込みましょう。

アルバイトの履歴書に比べれば、企業への就職・転職活動では、自己PRに割ける文字数も多くなります。とはいえ、目安は300文字程度です。

「あれができます。これも得意です」と並べ立てると、最もアピールしたいポイントがぼやけかねません。インパクトのある自己PRを作り上げるため、盛り込む内容を厳選しましょう。

自己PRの基本的な構成

ペンを手にしている男性

(出典) photo-ac.com

分かりやすく伝えるには、説明する順番が重要です。「要するにどういうこと?」と相手が考えなくて済むよう、スムーズな自己PRの展開の仕方を把握しましょう。

自分のこれまでの経験と強み・特性

冒頭で説明するのは、メインとしてアピールすべき強みです。「○○職に従事していたため、△△には自信があります」など端的に表現しましょう。

採用担当官は多くの応募者に対応しているため、隅々まで目を通してもらえるとは限りません。できるだけインパクトのある書き出しで、興味を引きつける工夫が必要です。

担当した業務に絡めて、遂行するために必要なスキルについても記載しておくと、読み手の思考が次の文章へスムーズに流れていきます。

主張を裏付けるエピソード

導入に続いて、関連するエピソードを盛り込みます。ただ強みを述べただけでは、それが本当なのか採用担当官には判断がつきません。真実味を持たせるには、主張の裏付けが必要です。

たとえば、その業務においてどのような改善がなされたか、どれだけの売上を上げたのかといった内容が書けるとよいでしょう。仕事ぶりをイメージしやすくなり、信頼性が高まります。

自己PRが根拠のない自己評価で終わるか、客観的事実にもとづく評価として受け入れられるかは、このエピソードの部分が決め手です。

応募先でどう生かせるのか?

締めの部分では、準備段階で絞り込んだ自分と企業との共通点を述べましょう。これまでの経験を応募先企業でどう生かせるのか、どういった価値を提供できるのかを説明する最も重要なポイントといえます。

気を付けたいのは、全体として筋道の通った論理的な文章であるかという点です。導入・具体例・結論は、何がどうしてこうなったという一貫したつながりがなければ、説得力に欠けます。

これまで掲げてきた強みとエピソードの流れに乗って、「○○だから自分はこのように貢献できる」と強く主張しましょう。

自己PRを書く際の注意点

手帳に記入する手元

(出典) photo-ac.com

自己PRは自分を売り込むために提出するものですが、場合によってはかえってマイナスイメージを植え付けてしまう可能性があります。失敗しがちなポイントについて、1つずつ確認しましょう。

読みやすい文章量を意識する

自己PRは、内容以前に見た目で印象が左右されます。まるで学術論文のようにびっしり文字が詰め込まれていると、人によっては読むのを面倒だと感じるでしょう。

自己PRの目安は約300文字と考え、設けられたスペースの約7~8割に収めるのがベストです。しっかり内容を読んでもらいたいのであれば、読み手にとって負担のない文章量を意識しなければいけません。

無駄な部分をそぎ落として文章をすっきりさせると、限られた文字数で熱意を伝えられます。どうしても長くなってしまう場合は、絞り込み作業をやり直してみましょう。

数字や根拠を入れて説得力を高める

「私は○○が強みです」と書いたとしても、採用担当官からしてみれば事実かどうか分かりません。ありがちな自己PRは、その他大勢の書類に埋もれてしまいます。

説得力をアップさせる秘訣は、具体的な数値や成果を明記することです。「うちの会社でもそれくらいの成果を上げてもらえるのでは?」と、興味を持ってもらえます。

事務職のように成果が表立って見えにくい仕事の場合は、1日にどれだけの書類仕事を処理していたのか、何人規模のプロジェクトをサポートしていたのかといった、客観的事実を盛り込みましょう。

箇条書きをうまく使う

自己PRは文章で記載するのが一般的ですが、箇条書きを使っても問題ありません。むしろ有効に活用できれば、ライバルと差別化した自己PRができるでしょう。

箇条書きを使った方がよいのは、アピールする要素が複数ある場合です。応募者は自己PR文を書きやすくなり、採用担当官にとっても要点を理解しやすくなります。

ただし内容をすべて箇条書きで示すのではなく、要点を3つ程度挙げるくらいにとどめましょう。文章にメリハリを付け、アピール力を高めるために、必要に応じて使用します。

誤字脱字がないか必ずチェックする

自己PRを書き終えたら、必ず全体を通して読み返し、誤字脱字がないか徹底的にチェックします。よい内容が書かれた文章も、誤字が1つあるだけで信頼感を大きく損ねるものです。

自己PRを含めた応募書類を、応募者のビジネスマナーや国語力の判断材料にしているケースもあります。もし誤字脱字があれば、それだけで仕事を任せられる人ではないと判断されてしまうかもしれません。

しかし書いてすぐに読み返すと、不思議と間違いに気付かない可能性があります。自己PRは時間に余裕を持って書き上げ、翌日に読み返すか、誰かにチェックしてもらった方が確実です。

【未経験者】自己PRの例文と書き方のポイント

履歴書とペン

(出典) photo-ac.com

業界経験者と未経験者とでは、自己PRの書き方や意識すべき点が異なります。まずは未経験の業界に転職する場合の自己PRの例と、書き方のポイントを確認しましょう。

自己PRのサンプル1

未経験から営業職にチャレンジする場合の、自己PRの例文を紹介します。

私は現職で白物家電の販売に携わっています。仕事を通じて最も磨かれたのはヒアリング力と提案力です。

配属後しばらくは思うようなご案内ができなかったため、先輩社員を手本にして、お客様の話をよく聞くことを意識するようにしました。

すると希望に合った商品を提案できるようになり、今では入社後3カ月の時点と比較して約5倍の売上を上げています。

営業職でもこのスキルを生かせると考え、貴社を志望させていただきました。

自己PRのサンプル2

未経験からエンジニア職に転職する場合の、自己PRの例文を確認しましょう。

私の強みはコミュニケーション能力と向上心です。前職は居酒屋のフロアリーダーとして、接客からクレーム対応、20人以上いるスタッフのシフト作成などを行っていました。

しだいに扱う商品の知識を深めたいと思うようになり、日本酒のもてなし方を学ぶ「利酒師」を取得。資格を取得したことにより接客に自信がつき、任せてもらえる仕事も増えました。

エンジニアとしては未経験ですが、持ち前の向上心を生かして業務の知識習得に努め、いずれはチームにとって欠かせないエンジニアとして貢献したいと考えています。

自己PRのポイント

まったくの異業種の場合、どこにフォーカスしたらよいか迷うかもしれません。しかし向上心やコミュニケーション能力のように、どこかに必ず前職と希望職種の共通点があるはずです。

共通点を見つけたら、冒頭で強みを述べ、成長を感じられるエピソードで肉付けします。例文のように、売上の伸び率や、まとめていた人数などを具体的に記載すると効果的です。

意欲や向上心を強くアピールできると、さらに印象がよくなるでしょう。特に20~30代の若い世代では、将来性を買われて採用が決まるケースも珍しくありません。

【経験者】自己PRの例文とポイント

履歴書と封筒

(出典) photo-ac.com

経験者が同じ職種に転職する場合の、自己PRの例文と書き方を解説します。文章構成のポイントさえ押さえれば、異なる職種でも同じような自己PRが作成できるはずです。

自己PRのサンプル1

経験者が営業職に転職する場合の、自己PRの例文を紹介します。

新卒から3年間、ルートセールスに従事してきました。魅力的な提案を行い成約につなげるため、常に自社の商品知識と顧客の業界動向を徹底してたたき込むようにしています。

十分な情報収集のおかげで顧客の信頼を勝ち取れるようになり、1年目の第4四半期で成約率30%を達成、所属支部の同期入社の中でトップの成績を残せました。

今後の目標は、新規開拓営業にチャレンジし、キャリアアップを図ることです。培った課題分析力と提案力で、貴社の売上アップに貢献できると思っております。

自己PRのサンプル2

経験者がエンジニア職に転職する場合の、自己PRの例文を確認しましょう。

私は決して投げ出さないことを信条にしています。Webエンジニア職は未経験から始めたため、仕事後に少なくとも1時間は勉強時間を設け、スキルの向上に努めました。

最初は1つの案件をこなすのに時間がかかりましたが、どんなに追い詰められても持ち前の粘り強さで乗り越え、これまで一度も期日を過ぎたことはありません。

現在では速く分かりやすいコードを書けるようになり、十分に仕事への自信がつきました。現在はアルバイトですが、今後は正社員として、より責任のある立場で仕事をしていきたいと考えています。

自己PRのポイント

経験者の場合は、即戦力だとアピールすることが重要です。あえて強みを言葉にしなくても、「○○をした結果、△△ができた」のような成功・成長エピソードで、能力や人間性を伝えられます。

さらに企業にとって有益な人材だとイメージしてもらうため、応募先企業にどのように貢献していくのか、現在どのようなスキルを持っているのかについての明示は欠かせません。

また、採用担当者は「うちも辞めてしまうのでは?」という不安も抱えています。詳細な部分は志望動機に記載しますが、自己PRでも転職理由に軽く触れておくとよいでしょう。

PRすべきポイントが見つからない場合は?

カフェ考え事をする女性

(出典) photo-ac.com

自分なりに強みや経験からPRポイントを導き出そうにも、なかなか決め手となりそうなものが見つからないかもしれません。そのような場合には、以下の方法を試してみましょう。

同僚や友人・家族などに確認してみる

1つ目の方法は、現在の職場の同僚・友人・家族など、親しく付き合っている人に自分の長所を聞いてみることです。自分で気が付かなかった点が、他人には案外見えているものです。

その際、「いつ」「なぜ」そう思ったのか聞いておくことが肝心です。語り手を自分に置き換えれば、エピソードをそのまま自己PRとして活用できるかもしれません。

自分の長所を聞くのは気恥ずかしいという場合は、「私のことでよく覚えていることって何かある?」と、エピソードから聞き出す手もあります。

ツールや診断サービスを活用する

2つ目の方法は、自己診断をしてくれるツールやサービスを利用することです。強みが見つからない場合も、エピソードをうまく文章化できない場合にも役立ちます。

診断方法はそれぞれのツールによって異なりますが、多くは5個程度の質問に答えていくだけで、ポイントを押さえた自己PR文を作成してくれます。

「自分で作成してみたものの、納得感が小さい」というケースでも、自己診断ツールの文章を取り入れることで、よりよい自己PR に仕上がるかもしれません。

自己PRの書き方の基本を押さえよう

手帳を手にしているスーツの男性

(出典) photo-ac.com

自己PRは、単なる自己紹介とは異なります。学歴や職歴からだけでは見えない、自分自身の強みをアピールできる絶好の機会なのです。

効果的な自己PRをするには、自己分析と応募先企業の調査をしっかりした上で、アピールすべき点を明確にしなければいけません。

また、転職活動は同時に複数の企業を比較した方が効率的です。1,000万件以上の求人が掲載されているスタンバイなら、「ここで働きたい!」と思える求人がきっと見つかるでしょう。

スタンバイ|国内最大級の仕事・求人探しサイトなら