面接の対策で悩みがちなのが、短所について聞かれた際にどう答えるかという点です。短所の適切な答え方を知っておけば、事前の対策をスムーズに進められるでしょう。面接で短所を聞かれた場合の答え方や、面接官に好印象を与える方法を解説します。
面接で上手に短所を伝える方法
短所は伝え方を工夫すれば好印象につなげることが可能です。上手に短所を伝える方法を、3つのステップに分けて解説します。
最初に短所を簡潔に述べる
面接で自分の短所を伝える場合は、最初に「私の短所は○○です」と短所を簡潔に述べましょう。結論から先に話すことで、伝える内容の要点が明確になります。
短所以外に何かを説明する場合でも、最初に結論から述べることはとても重要です。ビジネスにおけるプレゼンの基本でもあるため、面接官に好印象を与えられます。
他の応募者と差別化を図るためにも、面接中に質問されたことに対しては、結論ファーストで話を進めるようにしましょう。
具体的なエピソードなどを伝える
短所の説明で最初に結論を述べたら、続いて具体的なエピソードを伝えましょう。自分が短所だと思う理由をエピソードも併せて述べることで、説得力が増します。
「上司や同僚からよく指摘される」「短所が原因で過去にこのような失敗をした」といった話をすれば、面接官にも背景を想像してもらいやすくなります。
転職希望者が短所を伝える場合、具体的なエピソードは過去の仕事に関係するものがおすすめです。ただし、思いつかない場合は、学生の頃や幼い頃のエピソードでも構いません。
最後はポジティブな言葉で締める
短所はそのままマイナスポイントとして伝えるのではなく、その短所とどう向き合っているのかを述べることが大切です。
短所を克服するために努力している内容を述べれば、単に短所だけを伝えるよりポジティブな印象になります。最終的に前向きな言葉で締めるような文章を考えましょう。
短所を長所に言い換える方法を使うのもおすすめです。例えば、「積極性に欠ける」が短所の場合、話の流れをうまく考えれば「協調性がある」という長所としてアピールできます。
言うべき短所の選び方は？
短所と思うことが複数ある場合は、1つに絞って説明するのが基本です。思いつく短所をいくつも並べると、話の要点がまとまらなくなってしまいます。面接で伝えるのにふさわしい短所の選び方を確認しましょう。
努力や工夫で克服できる短所を選ぶ
面接で述べる短所は、努力や工夫によって克服できるものを選びましょう。自分ではどうしようもない点を短所にすると、ポジティブな言葉で締められません。
身体的な特徴を短所にするのもNGです。エピソードがあるかどうかより、自分の努力で今後の改善につなげられるかどうかを優先して考える必要があります。
企業は短所そのものというよりも、短所に対する応募者の向き合い方について知りたがっています。短所への向き合い方から、問題解決に役立つ思考力があるかを判断しているのです。
長所と一貫性を持たせる
短所と長所はセットで聞かれるケースが多いため、短所は長所と一貫性を持たせておきましょう。例えば、短所が「飽きっぽい」のに長所が「忍耐強い」では、どのような人物なのか分かりにくく面接官が混乱します。
短所が「心配性」なら長所は「思いやりがある」、短所が「流されやすい」なら長所は「協調性が高い」など、矛盾が生じない関係で短所と長所をアピールする必要があります。
短所と長所に一貫性がない場合、他の項目でも嘘をついているとさえ思われかねません。短所と長所が決まったら、自己PRや特技などの内容とも一貫性を持たせましょう。
業務に関係ない短所は選ばない
面接では、応募者の人柄と一緒に仕事への適性も見られています。業務と関係ない短所を述べると、質問の意図が分かっていないと判断されかねません。
例えば、IT系の業務に関する面接なのに料理や家事が苦手なことを短所にしたり、事務系の仕事の面接で足が遅いことを短所にしたりするのはNGです。
短所を考える際は、業務に関係があるものを選ぶことが重要です。正直に短所を伝えることで適性を判断してもらえるため、自分に合った仕事かどうかも見極めやすくなります。
面接で答える短所の例文「我が強い」
我が強い性格を短所にする場合の例文を紹介します。長所への言い換えについても確認しましょう。
頑固
頑固な性格はチームワークを乱す恐れがある一方で、「こだわりを持って仕事に取り組む」「粘り強い」といった長所に言い換えられます。
私の短所は頑固な性格です。社会人になりたての頃は自分の主張ばかりを押し通そうとしていました。
しかし、前職で上司から「周囲の意見にも耳を傾けなさい」と言われてからは、周囲の考え方も踏まえて自分の意見を述べるようにしています。
一方で、頑固な性格は粘り強さにつながっており、少々のことでは諦めません。協調性を求められる場面では頑固さを抑えつつ、業務では粘り強さも発揮できればと考えています。
負けず嫌い
負けず嫌いな性格は、捉え方によってはそのまま長所にもなります。競争意識が高い点をアピールするとよいでしょう。
私の短所は負けず嫌いなところです。先輩や上司もライバル視してしまい、有益なアドバイスをなかなか受け入れられない時期がありました。
しかし、前職では負けず嫌いな性格が競争心を駆り立て、昨年は営業部内でトップの成績を収められました。
貴社でも競争意識を高くキープしながら、周囲の意見もきちんと受け入れて仕事に生かす意識を持ち、取り組んでいきたいと考えています。
協調性が低い
チームワークを重視する企業にとって、協調性が低いことは大きなマイナスになります。改善に向けた努力を伝えつつ、主体性があることを長所にしましょう。
私の短所は協調性が低いことです。何でも独断で動く傾向があるため、今まで働いてきた職場でも、たびたび協調性の低さを指摘されていました。
ただし、独断とはいえ、すべて自分なりに意味を持って選んでいる行動です。発言や行動の意図を伝えると、主体性の高さを評価されたこともあります。
今後はできるだけ協調性のある行動を意識し、同時に自分の長所である主体性も効果的に発揮したいと思っています。
完璧主義
完璧主義の欠点は、周りが見えなくなることや仕事に時間がかかりやすいことです。一方、丁寧かつ正確に業務を行える点は長所としてアピールできます。
私の短所は完璧主義なところです。業務に関する細かいミスも気になってしまうため、作業に時間がかかる傾向があります。
一方、仕事の丁寧さや正確さには自信があります。現在は長所である仕事の丁寧さや正確さを生かしつつ、ゴールから時間を逆算して納期を守ることも意識できるようになりました。
面接で答える短所の例文「我が弱い」
我が弱いことを短所にする場合、テーマにできるキーワードは「心配性」「優柔不断」「緊張しやすい」が挙げられます。それぞれの例文や言い換え方法を確認しましょう。
心配性
心配性な性格は慎重さにつながるため、無駄に時間がかかりやすいことが欠点です。長所に言い換える場合は、仕事の正確さや責任感などが挙げられるでしょう。
私の短所は心配性な性格です。ミスや出来栄えが気になって何度も確認してしまうため、すべての作業に時間がかかってしまいます。
しかし、以前勤めていた職場では業務の正確さを評価されたこともあり、悪いことばかりではないとも思いました。
貴社で働く際は確認作業に時間をかけすぎないことを意識しながら、慎重さも業務に生かせればと思っています。
優柔不断
優柔不断とは、物事を即断即決できない性格のことです。協調性やコミュニケーション能力などの長所につなげられます。
私の短所は優柔不断なところです。何事も1人では決めきれないため、自分に決定権がある場面ではなかなか自信を持てません。
一方で、周囲の意見を参考にして決めたことに関しては、おおむね評価されてきました。協調性やコミュニケーション力を発揮できる点は、自分の長所だと捉えています。
緊張しやすい
我が弱い人は自分を前面に出すのが苦手であるため、緊張しやすい傾向があります。長所に結び付けるなら、一心不乱に打ち込める性格が挙げられるでしょう。
私の短所は緊張しやすいことです。人見知りも激しいため、社会人になってからはできるだけ人前で話す機会を増やし、緊張しやすい性格の改善に努めてきました。
しかし、人がいない状況では目の前の業務に集中して打ち込める長所もあります。今後は緊張しそうな場面で事前準備をより丁寧に行い、自信を持って発言・行動できるようにしたいと思っています。
面接で答える短所の例文「行動面」
「飽きっぽい」「せっかち」「マイペース」など、行動面を短所にする場合の例文を紹介します。ポジティブな結論を目指して、構成を考えることが大切です。
飽きっぽい
飽きっぽい性格を短所にする場合は、新しいことを積極的に取り入れようとする姿勢を長所にするのがおすすめです。
私の短所は飽きっぽい性格です。単調な業務はすぐに飽きてしまうため、前職は商社の営業を選びました。
商社ならさまざまな商材を扱える上、お客様の悩みも多岐にわたるため、今のところ飽きずにやりがいを持って働けています。
貴社で採用していただけたら、新しいことを積極的に取り入れる長所も生かしながら、前職の経験をもとに商社の営業として頑張りたいと考えています。
せっかち
せっかちな人は決断や行動を急ぐあまり、失敗しやすい傾向があります。長所としては行動力の高さをアピールしましょう。
私の短所はせっかちなところです。以前はよく考えずに行動していたため、会社やお客様に迷惑をかけたこともありました。現在は行動する前に考える意識を持って仕事をしています。
一方、せっかちな性格が幸いし、行動力の高さが評価につながったこともありました。持ち前のスピード感を発揮しながら、要所で立ち止まることも忘れないようにしていきたいと思っています。
マイペース
マイペースを短所にする場合は、仕事に時間がかかることを欠点としつつ、主体性の高さを長所にするとよいでしょう。
私の短所はマイペースな性格です。周囲の状況を考慮せずに仕事を進めることが多く、チームに迷惑をかけてしまう傾向があります。
ただし、時間を気にせず1人で取り組める業務に関しては、これまでも一定の評価を得てきました。今後チームで仕事を進める際は、時間配分や状況確認を強く意識するようにしていきたいと思っています。
面接で答える短所の例文「対人関係」
対人関係の短所でよくあるのが「流されやすい」「おせっかいが過ぎる」です。例文や長所への言い換えを紹介します。
流されやすい
周囲に流されやすい人は、自分の意見を主張するのが苦手です。一方、協調性や人付き合いの良さを長所としてアピールできます。
私の短所は流されやすいことです。常に周囲の意見を尊重してしまう傾向があったため、現在は客観的な視点から自分の意見も取り入れられないか考えるようにしています。
一方で、協調性の高さが私の長所です。周囲の考えや行動を常に気にする性格であり、チームワークを求められる状況なら協調性の高さを存分に生かせると考えています。
おせっかいが過ぎる
おせっかいな性格は気配りできることが長所になる反面、おせっかいが過ぎるとさまざまなトラブルにつながる恐れがあります。
私の短所はおせっかいが過ぎるところです。人の面倒を見るのが好きなので訪問介護の仕事をしていますが、以前は利用者が自分でやるべきことにもサポートをしてしまい、上司からよく怒られていました。
しかし、訪問介護の仕事自体にはやりがいを感じているため、現在はサポートのバランスを意識して働いています。おせっかいな性格の良い部分を生かしつつ、おせっかいが過ぎないように心掛けて貴社でも仕事をしたいと考えています。
面接で短所を聞く企業の狙いは？
企業が面接で短所を聞く意図が分かれば、質問への対策を講じやすくなります。どのような狙いで短所を聞かれるのかを理解し、効果的な回答を考えましょう。
自分を客観視できているか確認したい
自分の短所が分かっていない人は、仕事ができない場面で「なぜできないのか」を分析するのが難しくなります。できないまま放置してしまう結果にもなりかねません。
一方、自分の短所をしっかりと理解できている人は、苦手な業務も把握しています。自ら克服に努めたり、周囲に応援を求めたりすることが可能です。
このように、客観的な自己分析ができていれば、仕事にも良い影響を与えます。企業は面接で短所を聞くことで、応募者が自分を客観視できているかを確認しているのです。
弱みや苦手への向き合い方を知りたい
企業が面接で短所を聞く目的の1つに、短所への向き合い方を知りたいという点も挙げられます。弱みや苦手への向き合い方を通して、問題解決能力があるかを確かめているのです。
ビジネスにおいては、たとえ得意な分野であっても、業務上のさまざまな困難にぶつかります。自分自身で問題の解決を図らなければならないシーンも多々あるでしょう。
問題解決能力が高い人材なら、企業としても安心して採用できます。短所を述べる際は改善方法をきちんと説明し、問題解決能力のアピールにもつなげましょう。
自社のニーズと合っているかを確認
応募者の短所が業種的に不利となるものなら、仕事ができずに辞めてしまうリスクがあります。企業が短所を聞く目的には、自社のニーズと合っているかを確認するという意味もあるのです。
企業はできるだけ長く働いてくれる人材を探しています。応募者から聞いた短所が自社にとって致命的なものなら、他の項目が魅力的でも採用される可能性は低いでしょう。
ただし、企業が短所を聞くことで自社の業種とのマッチ度を見極めることは、応募者にとってもメリットがあります。自分に向いた仕事かどうか、採用結果で判断できるためです。
面接でNGな短所もある？
希望職種に向かない短所や社会的にNGとされる短所は、面接で述べるものとしては適していません。短所を1つに絞って説明することも重要なポイントです。
職種に向かないと判断される短所
面接で述べる自分の短所には、職種に向かないとされるものを挙げないようにしましょう。改善策を説明しても効果がない場合があります。
例えば、自分の短所を人見知りな性格だと考える人が接客業を希望しても、企業側は採用するリスクが高いと判断するでしょう。細かい作業が必要な仕事を希望する人が、飽きっぽい性格を短所にするのもNGです。
自分が希望する業務の向き不向きを調べた上で、職種に向かないと判断されそうな短所は選ばないことが重要です。
社会的にNGな短所
社会人としてNGと判断される短所も、面接で挙げるものとしては向きません。人間性を疑われるような短所は避けましょう。
社会的にNGとされる代表的な短所には、「時間にルーズ」「約束を守れない」「嘘をつく」などが挙げられます。いずれも働く上で致命的な短所ばかりです。
社会的にNGな短所かどうか判断に迷う場合は、長所に置き換えられるか考えてみましょう。長所にもなる短所なら、面接で挙げる短所として適切です。
複数の短所を挙げないのもポイント
短所は長所より見つけやすいと思っている人も多いでしょう。しかし、複数の短所を面接で並べるのはNGです。
2つ以上の短所を述べようとすると、伝えたいことのピントがずれてしまう恐れがあります。短所が複数ある場合も1つに絞り、その短所を掘り下げて話すのがベストです。
企業は面接を通して、応募者の伝える力もチェックしています。要点が定まらない話をすると評価が下がりやすくなるため、短所は1つに絞って話をまとめましょう。
自分の短所の見つけ方
自分の短所がなかなか見つけられない人のために、効果的な短所の探し方を紹介します。自分に合った方法で短所を見つけてみましょう。
自己分析をする
自分の短所が分からない場合は、自分が苦手としていることや嫌なことを思い出すのがおすすめです。苦手なことや嫌いなことの大半は、自分の短所につながっています。
例えば、仕事のミーティングが嫌いな人なら、「心配性」や「緊張しやすい」といったものが短所になるでしょう。チームで力を合わせることが苦手な場合は、「協調性が低い」や「頑固」などが短所の候補になります。
自分の長所や得意なことから短所を導く方法も有効です。面倒見の良さを長所と感じているなら、「流されやすい」や「おせっかいが過ぎる」を短所にできます。
自己分析は短所を見つけやすくなるだけでなく、面接で聞かれるさまざまな項目の把握にも役立ちます。面接の前にじっくりと自己分析を行い、自分の現状を見つめ直してみましょう。
過去の失敗から考える
自分の短所を探る方法としては、過去の失敗から考えてみることも挙げられます。同じミスを頻繁に繰り返しているような経験があれば、短所が原因になっている可能性があるのです。
例えば、納期に間に合わない失敗が過去に何度もある場合は、「マイペース」や「楽観的」などが短所として考えられます。仕事をきちんとこなしているつもりでも納期に遅れるケースが多いのであれば、「完璧主義」の短所を持っているのかもしれません。
過去の失敗から短所を考えれば、面接で説明する際のエピソードも作りやすくなります。自分が苦手としていることや嫌なことが思いつかない場合は、過去の失敗から短所を探してみましょう。
身近な人に聞いてみる
どうしても自分では短所を見つけられない場合、家族や友人など身近な人に聞いてみるのも効果的です。自分のことをよく知っている人に、自分の短所は何だと思うか聞いてみましょう。
身近な人に自分の短所を聞くことで、自分に対する新たな発見ができる可能性もあります。自分では気づかないことを短所だと言われた場合は、その理由までしっかり確認しましょう。
自己分析や過去の失敗からなんとか短所を見つけた場合も、念のため家族や友人に聞いてみるのがおすすめです。自分以外の人からどのように見られているのかという情報は、重要な意見として覚えておきましょう。
「短所はないです」という答えは可能？
面接で短所を聞かれた場合に、「短所はないです」と答えるのはNGです。短所がないと答えるのがなぜいけないのか解説します。
基本的に「短所がない」はNG
面接で「短所はありません」と言い切ってしまうと、客観的に自分を分析できていないと判断されます。「向上心がない」「採用への意欲が低い」とみなされる恐れがあるのです。
本当に自分には短所がないと思っている場合も、面接で短所がないと答えるのはNGです。誰にでも短所はあるものだという認識が一般的であり、自分に短所がないと言い切れる人は自信過剰な人にも見られてしまいます。
逆に、短所が原因で採用されないのではないかという心配も無用です。企業は単に短所が何かを知りたいだけでなく、短所を通して応募者のさまざまな側面を知ろうとしています。
自分の短所にしっかりと向き合い、納得感のある改善策を説明できれば、致命的な短所でない限り基本的には問題ありません。短所の質問に対して、きちんと対策を練っておくことが重要です。
短所も上手にアピールすれば有効
面接で聞かれる短所には、努力や工夫で改善できるものを選びましょう。長所と一貫性を持たせることや、業務に関係のある短所を選ぶことも重要です。
企業は短所に関する質問を通して、自分を客観視できているか確認しようとしています。短所への向き合い方や自社とマッチしているかの確認も、企業が短所を聞く目的です。
自分の短所が見つからない場合は、自己分析や過去の失敗から考えれば探しやすくなります。最終的にはポジティブになるような構成を作成し、面接で短所を上手にアピールしましょう。
