さまざまな事情で、バイトを辞める場合があります。しかしいざ辞める段階になると、どうやって辞めたら良いのか悩むことも少なくありません。失礼のない対応で円満に辞めるため、退職理由の伝え方や、辞める前にしておくべきことを解説します。
バイトの辞め方にもマナーがある
バイトの辞め方を間違えると、職場に迷惑をかけてしまいます。マナーを守って辞めるために、注意したいポイントをチェックしましょう。
LINE・電話・メールを使わない
バイトを辞めるときは、LINE・電話・メールなどで辞める意思を伝えないようにしましょう。自分が退職することによって、シフトの調整や人員の補充が必要になり、勤務先に負担をかけることにもつながるため、店長や上司に直接会って、辞めることを伝えるのが基本です。
ただし、シフトの都合で責任者と直接会う機会がない場合は、LINE・電話・メールなどでアポイントメントを取って、話す時間を作ってもらいましょう。本来は、直接会って伝えるべきことだと分かっている上で、店側に迷惑をかけないよう早急に伝える方がよいと判断する場合は、マナー違反にはならないでしょう。
上司や責任者に直接話す
バイトを辞めるときは、上司や責任者に直接話すことが基本です。責任者や上司にあたる人が多くいて、どの人にいえばよいのか分からないときは、いつも直接指示をくれる上司に伝えます。
一般的に、責任者以外にはバイトを辞めさせる権限がありません。同僚や先輩などに伝えても、話がうまく伝わらずスムーズに辞められない原因にもなり得ます。
上司からしてみれば、直接話さなければ、うわさなのか本人の意思なのか判断できません。バイトを辞めようと思っていることは、上司や責任者に直接伝えるまでは周囲には知らせないのもマナーです。
退職希望日の1カ月前に伝える
法律(民法第627条1項)では、退職日の2週間前までに退職意思を伝えればよいことになっていますが、職場によっては2週間では引き継ぎの時間が足りない場合もあります。できれば、1カ月前までには伝えるようにしましょう。
就業規則などで、2カ月前までには退職の意思を伝えると決まっているケースも少なくありません。人手が少ない職場では、急に辞められてしまうと調整が難しく、新しい人員を補充するにも時間がかかります。
一緒に働いている人にも大きな負担をかけないよう、辞める意志が固まったら余裕を持って早めに伝えるようにしましょう。
バイトを辞める際におすすめの理由
バイトを辞めるとき、率直に理由を伝えてよいのか悩む人も多いのではないでしょうか。おすすめの退職理由や伝え方のポイントを紹介します。
転職活動に専念したいから
バイトを辞める理由に転職活動を挙げると、バイト先の人は引き止めにくくなります。やりたいことがはっきりと決まっていない状態では、引き止められやすいですが、将来のことを考え、就職活動を始めたいといわれれば、納得せざるを得ません。
就職活動が本格的に始まると、説明会や選考会などの予定が入り、シフトにも入りづらくなるでしょう。急な欠勤などで勤務先に迷惑をかけないためにも、バイトを辞めて就職活動に集中したいという意思を伝えます。
転職活動に専念したいという理由は前向きな印象を与えられるので、バイトを円満に辞められるところもポイントです。
精神的にきついから
精神的に大きな負担を抱えながら働き続けると、病に発展してしまう可能性もあることから、近年では精神的なきつさを理由にするとバイトを辞めやすい傾向にあります。
ただし「同僚の〇〇さんとそりが合わず精神的にきついから」というように、勤務先で改善できるような具体的な理由を挙げるのは避ける方がよいでしょう。「改善するので辞めないでほしい」といわれかねません。
家庭の事情があるから
家庭の事情も、バイトを辞める際によく使われる理由の1つです。家族の介護や手伝いなどの理由は、職場が介入できない問題でもあり、受け入れるしかありません。
介護が理由であれば、家族の誰がどんな状況なのか、どんな手伝いをするのかという点について確認されるでしょう。
上司によっては、心配してあれこれと聞いてくる場合があります。詳細を伝える必要はありませんが、話をまとめておきましょう。
バイトを辞める前にしておくべきこと
バイトを辞める前に、済ませておくべきことがあります。やるべきことをやらずに退職すると、問題になることも少なくありません。仕事の引き継ぎや、有休消化についてなど、注意したいポイントを見ていきましょう。
仕事の引き継ぎ
長く働いていると、その人でなければ詳しく分からない業務が発生するケースもあります。業務の引き継ぎが行われないと、他の従業員や顧客に迷惑をかけてしまうことにもつながるので、しっかりと引き継ぎを行いましょう。
退職の意思を伝えるときに、引き継ぎの方法について上司と話し合っておくとスムーズです。退職を決めたら、自分が担当している業務を書き出し、仕事の進め方や作業にかかる時間などを残しておきましょう。
業務の一覧を作ると、引き継ぎを完了するまでにどれくらい時間がかかりそうかが分かります。上司が決定した後任に、段取りよく引き継ぎましょう。
有給休暇の消化
退職日までに、有給休暇は使い切ってしまいましょう。シフトや引き継ぎの関係によっては、最後にまとめて消化するのが難しくなる場合があるので、計画的に使っておくことが大切です。
バイトであっても6カ月以上勤務し続けており、雇用契約書で定められた全労働日の80%以上出勤しているのであれば、有給休暇が発生します。
何日間取得できるかは、勤続年数や週の労働時間によって変化するのが一般的です。例えば、フルタイムで働いていて、勤続年数が1年未満の場合、10日間の有給休暇が取得できます。
週に1回の勤務でも、条件さえ満たしていれば、特定の日数の有給休暇が発生する仕組みです。有給の有無や残り日数が分からなければ、上司や人事部に確認しましょう。
参考:年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています|厚生労働省
貸与物の返却
バイト先から制服や備品などを借りている場合、全てを返却してから退職します。個人で制服の管理を行い、洗濯やメンテナンスなどを自分で行う決まりになっている場合は、返却前にクリーニングに出しておきましょう。
職場に直接持って行き、世話になった関係者に退職のあいさつをして返却するのが好ましいですが、やむを得ない事情がある場合は、事前に許可を得て、宅配便などで届けても構いません。
その際は、送り状を付け、あいさつの文章とともに、これまで世話になったことへの感謝の気持ちを記載するのが望ましいでしょう。
返却しないままにしていると、後日電話や手紙などで返却依頼があるでしょう。貸与物を返却しない状態が続けば、刑法第253条により業務上横領罪に問われることもあります。
バイトの辞め方でよくある疑問
バイトを始めたときは、辞めるときのことを深く意識していないものです。しかし、いざ辞めるとなると、さまざまな疑問が湧いてきます。バイトの辞め方で、よくある疑問を解消しましょう。
即日退職は可能?
バイトを辞めるときは、2週間前までには会社側に退職の意思を伝えるという決まりがあります。しかし、民法第628条では、やむを得ない事情がある場合には、即日退職できると定められています。
やむを得ない事情とは、病気や体調不良で業務を続けられない場合などです。いじめやパワハラのような、会社側に非があると認められる場合も該当します。
その他にも、会社側が適当と判断し、合意を得られれば即日退職できる決まりです。即日退職に値する理由がある場合は、上司にその旨を伝え、理解を得る必要があります。
無断で辞めるとどうなる?
バイトを無断で辞めると、勤務先に迷惑がかかります。無断でいなくなれば、一緒に働いている人の負担が大きくなり、売上に影響を与えることもあり得ます。
従業員が足りなくなったせいで、業務に支障が出てしまい、顧客からクレームを受けたり、店の評判が落ちたりすれば、損害賠償を請求される可能性もゼロではありません。
また、就業規則で無断欠勤や無断退職に関する扱いが決まっているところもあります。反則金や罰則金が設けられている企業もあるため、無断で辞めたときのリスクを考えれば、正しい手順で辞める方がよいといえます。
マナーを意識して円満にバイトを辞めよう
バイトを辞めるときに「バイトがいなくなっても大丈夫」と軽く考えていると、マナー違反をしてしまい、お互いに不快感を抱いてしまうことにもつながります。世話になった人に迷惑をかけないよう、丁寧な辞め方を意識しましょう。
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