年間休日105日は少ない?年間休日の実態や求人票の見方も紹介

1年間における休日数は企業ごとに異なります。年間休日105日は、平均と比べて少ないのでしょうか?年間休日の平均や業界ごとの違い、求人票を見る際のチェックポイントを解説します。年間休日のルールをよく理解した上で、理想の仕事を見つけましょう。

企業における年間休日の考え方

年間スケジュール

(出典) photo-ac.com

働き方やライフスタイルを大きく左右するのが、年間休日です。文字通り年間を通して得られる休日のことですが、日数や休日パターンは企業ごとに異なります。

有給休暇との違いやカウント方法など、「企業における年間休日の考え方」について理解を深めましょう。

年間休日は企業ごとに異なる

年間休日とは、会社が定める1年間の休日の合計を指します。厳密には、法定休日と法定外休日の2種類があり、以下のように定義されています。

  • 法定休日:事業者が労働者に必ず与えなければならない休日で、労働基準法で規定されている
  • 法定外休日:法定休日以外の休日で、会社が独自に規定できる

法定休日と法定外休日を合わせたものが年間休日で、日数やパターンは会社ごとに異なります。「この日は必ず休みにしなければならない」という法律上の決まりはありません。

法定休日に出勤が要請されると休日労働とみなされ、事業者は労働者に対して割増料金を支払う必要があります。

有給休暇は年間休日には含まれない

「有給休暇は年間休日に含まれるの?」と疑問を持つ人も多いでしょう。結論からいうと、有給休暇は年間休日には含まれません。取得できる日数が人によって違うため、年間休日にカウントすることが難しいのです。

休日と休暇は似ているようで異なります。休日は「労働の義務がない日」を指すのに対し、休暇は「労働の義務がある日に、会社がその義務を免除する日」です。

参考までに、会社が就業規則で休日と定めていれば、夏季休暇やゴールデンウィーク休暇なども年間休日に含まれます。

年間休日105日は労働基準法で定める下限

年間休日105日は、労働基準法で定められた最低日数です。労働基準法の32条では、労働時間の上限を1日8時間・週40時間と定めています。

この場合、1年間における労働日数は260日となり、365日から260日を引くと、年間休日数は105日になる計算です。所定労働日数が1日8時間の場合、年間休日が105日を下回ると労働基準法に抵触してしまいます。

また、労働基準法第35条では「法定休日」を以下のように定めています。

(休日)
第三十五条 使用者は、労働者に対して、毎週少くとも一回の休日を与えなければならない。
②前項の規定は、四週間を通じ四日以上の休日を与える使用者については適用しない。

出典:労働基準法 | e-Gov法令検索

年間休日105日の仕事が向いていない人は?

ネクタイを整える男性

(出典) photo-ac.com

年間休日105日は労働基準法で定める年間休日の下限です。人によっては「休みが少なくてつらい」と感じるかもしれません。

転職をする際は仕事内容や給与だけでなく、年間休日数もしっかりと確認する必要があります。年間休日105日の仕事や職場が向いていないのは、どのような人でしょうか?

土日祝日・年末年始は必ず休みたい人

「年末年始やお盆は実家に帰省したい」「土日祝日は必ず休みたい」という人にとって、年間休日105日の仕事は不向きです。

1年間の週数は約52週なので、週に2日休むとすると年間休日は104日です。年間休日105日では、年末年始やゴールデンウィーク、お盆などの長期休暇が全く取れない計算になります。

逆に、長期休暇が確保されている会社の場合は、土曜日が隔週出勤となるのが一般的です。週1回の休みではリフレッシュが存分にできず、人によっては精神的・体力的につらくなる可能性があるでしょう。

仕事とプライベートのバランスを重視したい人

年間休日105日の場合、生活は仕事中心になります。友人や家族と休みのスケジュールが一致しなかったり、旅行に行く機会がなくなったりして、プライベートの楽しみが減ってしまうのは明らかです。

週1回の休みはもっぱら休息のために費やされ、貴重な休日を寝て過ごすことも多くなるでしょう。仕事とプライベートのバランスを重視したい人や、趣味を思いっきり楽しみたい人は、できるだけ休日が多い仕事を選ぶのが賢明です。

年間休日の実態は?

手帳を見ている男性

(出典) photo-ac.com

年間休日の日数は企業ごとに異なります。厚生労働省がまとめたデータを基に、企業の年間休日の平均と業種・業界による違いを紹介します。

年間休日の平均日数

「令和4年就労条件総合調査」によると、2021年における年間休日総数の平均は、1企業当たりで107.0日、労働者1人当たりで115.3日です。

年間休日総数階級で見ると、120~129日が30.2%と最も多く、次いで100~109日が29.6%です。

企業規模別の、労働者1人当たりの平均年間休日総数を比較してみましょう。

  • 1,000人以上:119.1日
  • 300~999人:116.8日
  • 100~299人:113.0日
  • 30~99人:110.0日

以上の数字から、企業規模と年間休日数は比例することが分かります。1,000人以上の企業では120~129日が51.0%を占めるのに対し、30~99人の企業では26.9%にとどまっているのが実情です。

参考:令和4年就労条件総合調査|厚生労働省

業種・業界による年間休日の違い

年間休日数は業種・業界によっても大きく異なります。「平成30年就労条件総合調査の概況」の労働者1人平均年間休日総数によると、年間休日数の多い業界は以下の通りです。

  • 電気・ガス・熱供給・水道業(120.9日)
  • 情報通信業(119.8日)
  • 複合サービス事業(119.7日)
  • 学術研究・専門・技術サービス業(119.6日)
  • 金融業・保険業(119.1日)

逆に、年間休日数の少ない業界は次のような結果となりました。

  • 宿泊業・飲食サービス業(102.9日)
  • 生活関連サービス業・娯楽業(105.6日)
  • 運輸業・郵便業(106.6日)
  • 鉱業・採石業・砂利採取業(109.9日)
  • 卸売業・小売業(111.0日)

一般消費者を顧客とする接客業・サービス業は、年間休日が少ない傾向があります。有給休暇を活用しても、カレンダー通りの休みを取るのは難しいかもしれません。

参考:平成30年就労条件総合調査の概況|厚生労働省

年間休日のパターンと内訳

時計とスケジュール帳

(出典) photo-ac.com

年間休日が110日・120日・125日・150日の場合、休日の内訳はどのように変わるのでしょうか?自分が望むライフスタイルが実現できるかどうかをイメージしてみましょう。

110日の場合

110日の場合、「完全週休2日制のパターン」と「土曜日※を一部出勤とするパターン」があります。

完全週休2日制の企業では、年間104日(52週×2日)の休日が取れる計算です。残りの6日間を年末年始休暇や夏季休暇に充てる場合、国民の祝日は出勤が原則となるでしょう。国民の祝日は、1年で計16日あります。

土曜日を隔週出勤(日曜日は休日)とする場合は、祝日は休日となり、長期休暇も確保できます。企業によっては「土曜日出勤を月1回」とするところも少なくないようです。

※企業によって、休日の曜日は異なる。

参考:国民の祝日について - 内閣府

120日・125日の場合

120日では、完全週休2日(104日)に加え、国民の休日(16日)が休みになるため、ほぼカレンダー通りです。ただし、年末年始休暇や夏季休暇がある場合は、祝日の一部が出勤日となるでしょう。

125日では、完全週休2日と国民の祝日に加えて、5日分の長期休暇が確保できる計算です。有給休暇を使えば、海外旅行ができるくらいの十分な休みを取れるでしょう。

ワーク・ライフ・バランスを重視する人にとって、125日は理想的な休日数といえそうです。

150日の場合

完全週休3日制を導入している企業では、150日以上の年間休日が確保されます(52週×3日=156日)。

注意したいのが、「1日の労働時間が8時間以上」または「給与減」の方針を取っている企業が多いことです。完全週休3日制を導入する一部の企業では、1日8時間の労働時間を4日に分け、1日の労働時間を10時間としています。

休みの増加で給与が減るパターンもあり、人によっては「収入が減るくらいなら休みは少なくてもいい」と思うかもしれません。

求人票を見るときのポイント

求人情報

(出典) photo-ac.com

求人票には、年間休日数のほかにもチェックすべきポイントがたくさんあります。トラブルを未然に防ぐためにも、休日に関する最低限の知識は身に付けておきましょう。

休日に有給休暇が含まれていないか

有給休暇の日数は人によって異なるため、年間休日数に含めないのが一般的です。しかし、企業によっては有給休暇を含めた数を記載しているため、補足表記がないかをよく確認する必要があります。

年間休日110日に5日の有給休暇が含まれていれば、実際の休日数は105日です。最低限の休みしか確保できず、「こんなはずじゃなかった…」と後悔してしまうでしょう。求人票に詳細がないときは、面接の際に直接聞いても構いません。

週休2日と完全週休2日の違いに注意

年間休日を算出するに当たり、週休2日と完全週休2日の違いを区別しておきましょう。「完全」の有無によって、休日のパターンが大きく変わります。

  • 週休2日:1カ月間に2日休みの週が1週以上あること
  • 完全週休2日:毎週必ず2日間の休みがあること

求人票に「完全週休2日」と記載があれば、1年を通じて毎週2日間の休日が確保できます。土日を休みとするケースが一般的ですが、「〇曜日と〇曜日が休み」「休みの曜日が毎回変わる」という企業もあるようです。

105日未満でも労基法に抵触しないケース

年間休日数が105日未満でも、労働基準法に違反しているとは限りません。以下のようなケースでは、105日未満でも問題がないとされています。

  • 労働時間が短い
  • 36協定を締結した上で、休日出勤に割増賃金を支払っている
  • 勤務形態が特殊である

年間休日105日は、1日の労働時間が8時間の場合の最低ラインです。労働時間が7時間であれば、年間休日の最低ラインは68日となります。

「法定休日は毎週1日以上、または4週で4日以上」「労働時間の上限は週40時間」というルールがしっかり守られていれば、労働基準法には抵触しない点に留意しましょう。

また、フレックスタイム制・裁量労働制・変則労働制などの特殊な勤務形態を採用している場合も、最低年間休日が必ず105日以上になるとは限りません。

転職成功の秘訣は年間休日を正しく把握すること

働く女性

(出典) photo-ac.com

転職活動では、企業の仕事内容や待遇に目がいきがちですが、年間休日の多寡は私生活に大きな影響を及ぼします。年間休日のパターンや表記のルールをきちんと理解できていれば、理想の働き方ができる職場が見つかりやすくなる上、企業側とのトラブルが未然に防げます。

まずは、自分が望むライフスタイルを明確にした上で、必要な年間休日数を割り出してみましょう。国内最大級の仕事・求人探しサイト「スタンバイ」では、休みや曜日などの条件から、求人情報の絞り込みが行えます。

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