自分に合った仕事を見つけるには?自己分析の仕方や転職のポイントも

多くの人にとって、自分に合った仕事を見つけるのは難しいことでしょう。適性のない職種に就いてしまい、転職する人は後を絶ちません。しっかり自己分析を行った上で、業界研究をすることが大事です。自分に合った仕事を見つけるポイントを解説します。

自分に合った仕事とは?

働く男性

(出典) pixta.jp

現在の仕事に満足しておらず思い切って転職を考えていても、自分に向いた仕事が何なのか分からないという人は少なくありません。

本格的に転職活動を始める前に、まずは自分に合った仕事とは何か、しっかり考えることが大事です。自分に合った仕事が何か明らかにするためのポイントはさまざまですが、まずは一例として以下の観点から考えてみましょう。

自分の強みを生かせる仕事

自分に合った仕事とは、自らの適性を生かせる「適職」を指します。まずは自分の強みや得意なことを発揮できる仕事は何なのか、明らかにすることが重要です。

適職は才能や能力を存分に生かせる仕事であり、必ずしも好きな仕事とは限りません。好きな分野と得意な分野が異なる場合が多々あり、好きな仕事を選んでも適性がなく、なかなかパフォーマンスを上げられない人も多いでしょう。

好きなことを基準に仕事を選ぶケースも珍しくありませんがですが、より重要なのは、自らの強みや得意なこととマッチしているかどうかです。

得意分野であれば成果を出しやすく、周りから評価されやすくなります。初めはあまり興味がなかったとしても、徐々に仕事に対するモチベーションも上がっていくでしょう。

ストレスがたまりにくい仕事

ストレスがたまりにくい仕事であることも、自分に合った仕事を判断する基準です。

強みや特性を生かせる仕事なら、うまくいかずに悩む可能性が低く、たとえ悩んでも壁に当たったときも乗り越えられるケースが多いでしょう。日々の仕事を通して成果を上げやすいため、ストレスがたまりにくいともいえます。

個人の性格によっても、ストレスがたまりにくい仕事は異なります。例えば、他者とのコミュニケーションが苦手な人なら営業職より、単純作業でも自分のペースでこなせる職種の方が心理的な負担が少ないでしょう。

一方、細かい作業にストレスを感じやすい場合、営業職や接客スタッフのように、単純作業よりも人とコミュニケーションを取る機会が多い職種が向いています。自分の得意分野で、さらに精神的にも楽に進められる仕事を見つけることが重要です。

天職と適職の違い

自分に合った仕事をしたいと考えるに当たり、人によっては天職を見つけるべきだと考える人も少なくありません。

「天職」と「適職」は一般的に、どちらも自分の適性に合っている職種を意味します。ただ、天職にはまるで天から授かったかのように、自分にぴったりと合う仕事といったニュアンスがあります。

人それぞれイメージは異なりますが、自らの適性と好きな仕事が幸運にも重なり合った、ベストな仕事を天職と考えている人は多いでしょう。その意味では確かに「天職」に就けるのは理想的です。

しかし、まずは自分の持って生まれた素質や才能、肉体的・精神的な能力に合った「適職」を探すのが、現実的な選択といえます。適職が好きな仕事とは限りませんが、適性に合った仕事を続けることで、その仕事を好きになる場合も珍しくありません。

また、多くの人はそもそも自らの適性について深く考えたことがないため、まずは自分の強みや特性、得意分野などを明確にすることが大事です。

今の仕事は自分に合っていない?

パソコンに向かって考える女性

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自分に合った仕事に対するイメージが持てたら、次は現在の仕事が自分に本当にマッチしているか確認しましょう。

現時点で仕事に何らかの不満を抱えていても、それだけで自分に合っていないと判断するのは早計です。以下のポイントを参考にしつつ、今の仕事が適職かどうか考えてみましょう。

同僚の状況と比べてみる

自分と仕事の経験年数が同じ程度の同僚が、どのような仕事を任されているか、さらに働く様子はどうか確認してみましょう。その仕事が本当に自分に合っているかどうか、判断するためのよい目安になります。

例えば、入社して2年目ぐらいまでは仕事の量はそれほど多くなく、新入社員と比較される場面もあるでしょう。

しかし、3~4年目以降になると取引先や他部署とのつながりも強くなり、周囲と協力しつつ、自分なりの価値を会社に提供できる人が増えてくるものです。新人の頃よりも、圧倒的に多くの仕事が回ってくる人が多くなります。

同僚は多くの仕事を任されている一方で、自分は入社した頃とあまり変わらない仕事量ならば、戦力としてあまり期待されていないかもしれません。

さらに周りは楽しそうに働いているのに、自分だけは仕事がつらいという状況なら、職種自体が向いていない可能性があります。

やりがい・成果を書き出す

現在の仕事にどのようなやりがいを感じており、さらにどの程度の成果を上げているかを書き出してみましょう。仕事にやりがいをほとんど感じられず、成果も上げられていないなら、自分に合っていない職種かもしれません。

しかし、仕事にやりがいを感じる要素は多くないとしても、仕事自体が楽しいと感じられて日々の業務に対するモチベーションを維持できる要素があれば、その仕事を続ける価値はあるでしょう。

また、仕事が楽しいと思える場面は少なくても、常に一定の成果を上げられているならば、自分に向いている仕事である可能性もあります。

仕事を続けた先の自分を想像してみる

現在の仕事を長く続けたとして、将来の姿を想像できるでしょうか?現在はつらくても、想像した未来で今まで以上に楽しそうに仕事をしていたり望んでいたキャリアを実現できていたりする姿が浮かべば、自分に合った仕事だと判断できます。

当然、将来のことは未知数です。しかし、よいイメージを思い浮かべられるのであれば、そのまま仕事を続けた方がよいでしょう。

逆に、3年後や5年後の姿がまったく想像できなかったり、経験やスキルが磨かれて成長した姿を想起できなかったりするなら、自分には向いていない仕事かもしれません。

将来にネガティブなイメージしか持てない場合は転職を視野に入れ、できるだけ早く行動を起こした方がよい可能性があります。

自分に合わない仕事を続けるデメリット

うなだれる男性

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自分の適性に合った仕事に就けば、日々やりがいを感じられ高い生産性を発揮できるでしょう。逆に合わない仕事を無理に続けていると、身体的・精神的に疲弊してしまうだけでなく、さまざまなデメリットが生じます。

モチベーションが下がる

自分に合わない仕事をしているとモチベーションが上がらず、毎日の業務に前向きに取り組めないため、本来の自分の能力をうまく発揮できません。

高いモチベーションで仕事に臨めれば、多少困難な出来事があっても乗り越えられます。反対にモチベーションが低い状態では、ちょっとした壁でも挫折してしまいがちです。

仕事の生産性が上がらず、目の前の作業に集中できないケースも多くなるでしょう。さらに周りからも評価されづらくなり、待遇が悪化する可能性もあります。

どんどんキャリアチェンジしづらくなる

適性のない仕事に時間を使っても成果を上げられず、キャリアチェンジしづらくなるのも、自分に合わない仕事を続けるデメリットです。周りに比べて出世が遅くなり、同じ立場のまま年齢だけ重ねてしまう場合もあります。

ただでさえ年齢が上がると、同じ職種でも転職が難しくなってくるのが現実です。自分に合わない仕事ならば、早めにキャリアチェンジを決断した方がよいでしょう。

そのまま同じ職種を続けていたとしても、やる気を維持できずビジネスパーソンとして成長できなかったり、必要なスキルを獲得できなかったりする可能性もあります。そうなると、転職する際にも不利になりかねません。

体調を崩す場合も

自分に合わない仕事を無理に続けることで、体を壊してしまう恐れがあります。得意な分野の仕事ならば、多少無理をしても平気な人は多いでしょう。しかし、適性のない仕事はそれ自体がストレスになるため、精神的に疲弊しやすくなります。

また、身体的にも負荷がかかる仕事の場合、人によってはけがをしてしまい仕事を続けられなくなる可能性もあるでしょう。

体を壊してからではキャリアチェンジも難しくなります。心身に不調が出るような仕事ならば、早急に転職を考えるのがおすすめです。

自分に合った仕事が分からない原因

考え事をする男性

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自分に合わない仕事を続けるのはデメリットが多いため、より適性に合った職種を探すのがおすすめです。しかし、どの職種に適性があるのか分からない人は少なくありません。自分に合った仕事を判断できない状態には、以下のような理由が挙げられます。

やりたいことが決まっていない

自分のやりたいことが分からない、特にやりたいことが決まっていないため、何を基準に仕事を選ぶべきか分からない状態の人は多くいます。

就職活動中の学生に顕著な特徴といわれていますが、やりたいことを決められないままなんとなく就職し、その仕事に不満を持った結果、転職を考え始めるケースも珍しくありません。

しかし、転職を検討しようにも何をやりたいのかがそもそも分からないため、自分に向かない仕事を惰性で続けている人も多いのが実態です。

把握している仕事の情報が少ない

職種に関する情報が不足しており、選択肢が少ない状態にあると、どうしても自分の適性に合った仕事を見つけづらくなります。

世の中にどのような仕事があるのかあまり知らない、これまで自分に関係があった分野からのみ、興味を持てる仕事を探そうとしているというケースは少なくありません。

友人や知人が志望しているから、家族からすすめられたからといった理由だけで仕事を選ぶと、どうしても視野が狭まります。より広く業種・職種に関する情報を収集し、自分の強みを発揮できそうな仕事を探す姿勢が大事です。

一見興味を持てないような職種でも、社会的なニーズが高く多くの人が適性を生かせる仕事は豊富にあります。

適職が分からないと取りがちな行動

サラリーマン

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自分の適職を把握するのは簡単ではありません。しかし、明確には分からなくても、強みや適性がどこにあるのか考えてみることが重要です。

適職がまったく分からないまま仕事を探そうとすると、以下のような行動になりがちで、転職後に後悔してしまう可能性があるので注意しましょう。

「好き」だけで選んでしまう

自分の強みや適性を理解していないと、好きか嫌いかだけで仕事を判断しがちです。好きだと思える職種が自分に合っている可能性もありますが、向いていないケースも多々あります。単純な好き嫌いで仕事を選ぶと、失敗しやすくなるでしょう。

好きな仕事だと思って始めても、強みを発揮できないために早々に転職を選ぶ人は決して少なくないのが実態です。思うように仕事を進められず、それまで好きだった仕事が嫌いになってしまう場合もあります。

好きな分野だからこそ、仕事にするのが向いていない可能性も考えましょう。自分の適性をしっかり考慮することが大切です。

業界・職種へのイメージで選ぶ

業界や職種のイメージから来る憧れだけで、仕事を選んでしまう人は少なくありません。しかし、自分の適性を考えずにイメージだけで選択すると、後悔する可能性が高まります。

転職後に憧れと実態の違いに直面する場合も多く、モチベーションを失うケースは珍しくないでしょう。

同じようにイメージ先行で初めから業界を絞り込んで転職活動を進めたために、結果的に自分に合わない仕事を選んでしまう場合もあります。

職種を絞りすぎて転職先が見つからない可能性もあるので、自分の適性を考えた上で、広く業界や職種を調査・研究しましょう。

下調べをしないまま決める

適職をある程度は明らかにしておかなければ、業界研究や企業研究がおろそかになり、まともに下調べをしないまま転職してしまう可能性もあります。強み・適性という評価軸がないため、業界や企業を研究しても自分に合っているのか判断できません。

そのため、深く調査できず好き嫌いや表面的なイメージで選んでしまったり、直感で転職先を決めてしまったりする人もいます。

下調べに時間をかけず、転職先を焦って探す場合も同様です。職種自体に不満を抱く可能性がある上、入社後に労働環境や雇用条件が希望に合わないと感じて、再び転職を考える事態に陥りかねません。

自分に合った仕事を見つける方法

考え事をする女性

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合わない仕事を続けたり、適職を知らないまま目指す仕事を決めたりするのは、さまざまなデメリットがあります。自分の適性をしっかり理解し、マッチする仕事を見つける努力が必要です。自己分析を行った上で、業界・業種の研究を徹底しましょう。

まずは自己分析をする

すでに転職を決意している人も、自分の適職が分からず悩んでいる人も、まずは自己分析を行うことが大事です。

学生時代に就職活動のために自己分析をした場合も、これまでを振り返り、自分自身の特性や得意なこと・苦手なことなどをもう一度整理してみましょう。自分に合った仕事を見つけるには、まずは自らを知る必要があります。

具体的な分析方法は後述しますが、自分の性格や過去の経験、これまでのキャリアなどを振り返ってみましょう。

自分の強みや弱いが分からなければ、親しい友人や知人・家族などに聞いてみるのも効果的です。自己認識と周囲からの評価が異なる場合も多いので、新たな発見を得られるでしょう。

業界や職種を研究する

自己分析を通じて自分の強みや弱み・得意分野などを明らかにするとともに、業界研究や職種研究により、世の中にどのような仕事があるのか確認することも大切です。

社会人としてある程度は経験を積んでいても、意外に知らない業種や職種はあるものです。たとえ同じ職種であっても、業界が違えば異なる職種といえるほど、内実が異なる場合も珍しくありません。

自分が把握している仕事の幅を広げることで、新たに興味を持てる仕事が出てくる可能性もあります。

将来どんな自分になりたいかを考える

自己分析によって現在の自分を確認し、業界研究や職種研究で知っている仕事の幅を広げたら、次に将来どうなりたいかを考えましょう。

仕事を通じてどのような価値を提供したいのか、誰に喜んでもらいたいのか、組織で果たしたい役割など、具体的に考えてみるのがポイントです。将来的になりたい姿をイメージし、そこから逆算するようにキャリアプランを考えてみましょう。

強みや特性と照らしながら、何を目指すべきか明確にすれば、自分に合った仕事を絞り込めるようになります。そこから自分の好きな仕事や、興味を持てそうな仕事を選んでみるとよいでしょう。

自己分析はどうやってする?

手帳に書き込む

(出典) pixta.jp

自分に合った仕事を見つけるための自己分析の方法を、詳しく解説します。紹介する順番に従って情報を書き出し、内容を整理してみましょう。

1.好き嫌いの両方を書き出す

まずは、自分の好きなものや嫌いなものを洗い出します。どのような活動が好きなのか、可能ならやりたくないことなどを、紙に書き出してみましょう。好きや嫌い以外に、得意なことや苦手なことでも問題ありません。

自分の心の中にある情報をとにかく書き出すことで、思考が整理され、客観的に自分を見られるようになります。

書き出した情報は後からまとめればよいので、まずは情報を出すことが大事です。文字として情報を残しておけば、後で忘れてしまっても確認できます。

2.理由を深掘りして志向の傾向をつかむ

好きなものや嫌いなものを書き出したら、それぞれの理由を深掘りします。具体的なエピソードを思い出しつつ、なぜ好き(嫌い)なのか、自分なりに理由を考えてみましょう。

理由を書き出したら、それぞれに共通する事柄や言葉がないか探します。好きと嫌いの共通点を探して言語化することで、大切にしている行動や考え方が分かるようになるでしょう。

重視する価値観が明らかになれば、好きだと思える仕事や嫌いな仕事・苦手な仕事の特徴が浮き彫りになります。

3.「好き」の傾向と適性に当てはまる職を探す

好き嫌いの理由から整理した自分の価値観を確認したら、その傾向を見ることで、自分が何を望んでいるのか分かるようになるでしょう。傾向に当てはまる業界や職種を探すことで、自分に合った仕事を見つけられる可能性が高まります。

ただし、好きな仕事に必ずしも適性があるとは限りません。好き嫌いの感情だけでなく、強みや弱み・得意分野や不得意な分野も書き出して整理することで、適性を理解することも重要です。

自分の価値観に合っていて、かつ適性のある職種を探すよう意識しましょう。

持っているスキルも整理しておこう

好き嫌いだけでなく、自分に適性のある仕事は何かを分析するために、経験やスキルの棚卸しもしておくのがおすすめです。現時点で持つスキルをすべて書き出し、好き嫌いの分析と同じように、強みや弱みの方向性を確認します。

何のスキルを持っているのか、そのスキルの獲得にどの程度の時間や手間が必要だったかなど、1つずつ確認することで得意な分野が明らかになるでしょう。

特に習得の難易度が高いもので、ほかの人よりも簡単に習得できたスキルは、適性がある可能性が高いといえます。自己分析を通じて明らかにした価値観とともに、実際に仕事を選ぶ際の参考になるはずです。

幅広い職種や業界を知るには

調べ物をしているデスク

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自己分析によって選ぶべき仕事の方向性を確認するとともに、職種や業界に関しても研究を進めましょう。研究の方法はさまざまですが、代表的なやり方をそれぞれ簡単に解説します。

職種研究の方法

求人サイトや転職サイトは、職種がカテゴリーで整理されているので、どのような職種があるか調べるのに便利です。興味のある職種について、具体的な仕事内容や求められる経験・スキル・キャリアパスなどを確認しつつ、自分の特性に合っているか考えましょう。

さまざまな求人サイトがある中で、特に「スタンバイ」は職種の分類が分かりやすく、求人数が豊富なのでおすすめです。

求人内容を見てもよく分からない職種ごとの平均年収や、目指し方などの基本情報を知りたい場合は、厚生労働省の職業情報提供サイトもチェックしてみましょう。

スタンバイ|国内最大級の仕事・求人探しサイトなら

職業情報提供サイト|厚生労働省

業界研究の方法

業界研究に当たっては、さまざまな媒体から広く情報を収集し、分析する必要があります。まずは調査・研究したい業界をピックアップし、次のような観点で特徴をまとめましょう。具体的な数字が分からない場合は、概算で問題ありません。

  • 業界全体の市場規模(売上)
  • 事業の概要
  • その業界にある職種
  • 将来性
  • 業界を代表する企業
  • 業界のトレンドや最新ニュース

業界の情報は、業界紙や業界のニュースを専門に扱うネット記事などで確認できます。また「建設業 団体」「製造業 業界団体」などというキーワードで検索すれば、その業界に関連する団体のWebサイトが確認できるので、最新の情報を調べてみましょう。

広く情報を集めたら、その業界の魅力や懸念すべきポイントなどをまとめます。同じように興味のある業界をいくつか調査し、自分が働きたいと思える業界を絞り込んでいきましょう。

業界を絞り込んだら、求人サイトや転職サイトで具体的な職種や仕事内容をチェックすれば、自分に合った仕事があるか確認できます。

転職する前に知っておきたい前提

考える眼鏡の女性

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自分に合った職種が見つかったら、実際の転職について考える工程です。ここからは職種選びではなく、自分に合った職場やポジションなど、個別の求人を選ぶ際のポイントを解説します。まずは、企業選びの基本的な考え方を押さえておきましょう。

すべての希望をかなえられる企業は少ない

転職先の企業を選ぶ際の大前提として、すべての希望をかなえてくれる理想の企業に出会えるケースはほとんどないことを理解する必要があります。

もし理想的な企業に出会えた場合は、全力で転職活動をすればよいでしょう。しかし、そのような企業が見つかるまで探し続けても、なかなか転職先は見つかりません。

ある程度の妥協は必要となります。希望する条件に優先順位を付けておき、どの程度の条件を満たせば応募するか決めておくことが重要です。

将来を見据えた行動が成功につながる

企業選びは転職時点での給料や仕事内容だけでなく、将来まで見据えて自分に合っているか判断することが大切です。例えば、転職時の年収には期待が持てなくても、昇給の可能性が高い企業ならば、長く働くことで高収入を得られる可能性があります。

また、入社時点ではあまり興味のない仕事を任せられるとしても、将来的に自分に合った仕事に就ける可能性が高い場合、転職先の選択肢に入るでしょう。

さらに企業自体が中長期的な目線を持ち、事業を運営しているかも重要です。将来性のある企業なら長く安定して働けるだけでなく、その業界で重要なスキルを十分に学べます。長期的な視点に立って、転職先の企業を選びましょう。

不満だけが理由だと早期離職の原因に

現状に対する不満だけが理由だと、転職先でも早期離職に至る可能性に注意しましょう。今の仕事や職場から逃れるためだけの転職や、キャリアチェンジはおすすめできません。

現状への不満が転職のきっかけになる人は多いでしょう。しかし、不満を解消することのみにフォーカスすると、自己分析もいい加減になり、目指すべき仕事や転職先をしっかり吟味できなくなります。

そうなると転職先でも自分に合った仕事ができない可能性が高いため、再び転職を検討する結果になるでしょう。

転職後に目指したい行動やキャリアではなく、転職すること自体が目的になっている場合は、キャリアチェンジも含めて考え直してみましょう。

希望条件に優先順位を付けておこう

手帳を手にした女性

(出典) pixta.jp

すべての希望をかなえられる転職先は、現実的になかなか見つかりません。希望する条件には、優先順位を付けておく必要があります。条件をピックアップして、必須の条件とある程度は妥協できる条件を明確にしておきましょう。

望む条件をすべてピックアップする

まずは、転職先に望む条件をすべて書き出してみましょう。収入面や仕事の内容・雇用形態・勤務場所・労働時間や休日・福利厚生など、カテゴリーごとに書き出して整理します。待遇だけでなく、昇給・昇進の可能性や職場の雰囲気なども重要な条件です。

この時点では優先順位を決める必要はありません。希望する条件をすべて出し切っておくことが重要と考えましょう。

ピックアップした条件を精査する

条件を書き出して整理したら、その中で絶対に譲れない必須条件と、できればかなえたい希望条件を振り分けていきます。

ピックアップした項目に、「◎(必須条件)」や「○(希望条件)」といったように印を付けたり色分けしたマーカーで線を引いたりすれば、分かりやすいでしょう。

必須の条件が多くなりすぎると、転職先の候補がなくなる可能性があるので注意が必要です。必須・希望の精査が難しい場合は求人情報をチェックして、現実的かつ納得のいくラインを見極めましょう。

具体化して必須・希望条件ごとに順位を付ける

印やマーカーをもとに必須条件と希望条件を整理したら、最後に優先順位を付けていきます。絶対に譲れない条件とある程度は妥協できる条件を確認し、それぞれ具体化してみましょう。

例えば、給料は月収○○円以上で仕事は△△に関するものといったように、内容まで加味して条件を明確にすることで、合致する企業を絞り込めるようになります。

必須条件に関しては、優先順位付けが不要なケースもあるでしょう。ただ、合致する企業が見つからない、条件が多すぎるという場合は調整が必要です。

必須条件と希望条件の優先順位付けができたら、必須条件を満たしつつ、より多くの希望条件をかなえられる企業を求人サイトや転職サイトで探しましょう。

自分に合う求人はどう探す?

パソコンで調べる手元

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自分に合った仕事の求人案件を探すには、求人サイトを活用したり、ハローワークや知り合いの紹介を頼ったりする方法があります。それぞれのメリットを確認しましょう。

求人サイトを活用する

転職の求人案件を探すために、まずは求人サイトに登録しましょう。求人サイトや転職サイトと呼ばれるサービスは、好きなタイミングで自由に案件を検索でき、条件を細かく設定して探せるのがメリットです。自分に合った求人案件があるか、簡単に調べられます。

さまざまな求人サイトがある中で、特に「スタンバイ」は掲載されている求人案件数が業界トップクラスです。職種や勤務地はもちろん、「未経験OK」「昇給あり」といったこだわりで検索できる強みもあります。

さらに、仕事探しに役立つさまざまな情報も得られるので、この機会に登録してみましょう。

スタンバイ|国内最大級の仕事・求人探しサイトなら

ハローワークを使う

求人サイトに加えて、全国各地にあるハローワーク(公共職業安定所)を利用して、転職先の企業を探す方法もあります。個人情報を登録すると当該地域の求人情報を閲覧でき、気に入ったものがあればすぐに応募が可能です。

地域密着型ともいえるので、ほかの場所では見つからない求人も珍しくありません。1人では案件をなかなか探せない人におすすめです。さらにハローワークのインターネットサービスを利用すれば、自宅からでも求人を検索できます。

ハローワークインターネットサービス

企業で働く知人に紹介してもらう

転職を希望している企業ですでに働いている知人がいる場合、紹介してもらえればそのまま採用される可能性が高いでしょう。

近年は、社員から人材を紹介してもらう「リファラル採用」を導入する企業が増えてきました。友人や知人・学生時代の先輩などが転職希望先の企業で働いていれば、紹介してもらえるケースもあります。

その企業の内情を知っている人からの紹介なので、事前に労働環境や働き方、仕事内容をしっかりと確認できるのがメリットです。未経験の業界でも安心して転職できるでしょう。

転職の基本ポイントをシーンごとに紹介

履歴書の用意をする

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目指す職種と応募先を決めたら、書類を作成して面接を受ける必要があります。さらに転職が決まれば現在の会社への退職申告と、業務の引き継ぎも必要です。転職における基本のポイントを押さえて、自分に合った仕事をスタートさせましょう。

応募書類の作成

応募書類を作成する際には、記入する情報に間違いがないか確認する必要があります。さらに読みやすいよう、文字の量や大きさを調整することが大事です。

空欄を作ると記入漏れと見なされたり転職意欲が低いと思われてしまったりする可能性があるので、基本的にすべての欄を埋めましょう。

これまでの実績や仕事に対する考え方など、評価で重視される項目は、特に力を入れて記載したいポイントです。応募書類を郵送する場合は、正しい折り方で封筒に入れるのはもちろん、挨拶状を添えるといった工夫をすると印象がよくなります。

面接

面接では上手に話をすることよりも、内容に一貫性があり論理的であるかどうかが重要です。自分の強みや特性に加え、応募先の企業でどのように活躍できるか、筋の通った説明が求められます。

自分の強みやその企業が求めている人材について理解した上で、何を話すかしっかり考え、話す練習をしておきましょう。実際に声を出して練習したり何度も模擬面接をしたりして、話すことに慣れておくのが重要です。

退職の申告

転職先が決まったら、現在の職場への退職申告が必要です。退職予定日の1カ月前には、職場に辞意を伝えた方がよいでしょう。

法的には2週間前でよいとされてはいますが、退職にまつわる手続きや仕事の引き継ぎ、役職の移管などの都合を考えれば1カ月ほどの期間は必要です。

就業規則に1カ月前と定められている場合も多くあります。円満退職を目指すなら、就業規則をチェックした上で、十分な余裕を持って申告しましょう。できるだけ迷惑をかけないように、繁忙期を避けるといった工夫も求められます。

職場から引き留められる場合を想定して、上司を含めて周囲に納得してもらえる説明を用意しておくと安心です。辞意の固さに加えて、現在の職場では実現が難しい仕事内容や、新たにチャレンジしたい内容を伝えると効果的です。

参考:民法 第627条 第1項 | e-Gov法令検索

引き継ぎ

退職に当たっては、後任者への仕事の引き継ぎが必要です。上司と相談しながら、引き継ぎ資料を作成します。単に資料を渡すだけでなく、実際に作業を確認してもらいながら引き継ぎをすると、後任者がスムーズに業務をスタートできるでしょう。

さらに、できるだけ余裕のあるスケジュールを設定し、引き継ぎのフォロー期間も設けることで、引き継ぎ後に問題やトラブルが起こりにくくなります。退職する企業の事情をよく考慮し、業務に支障が出ないように取り計らいましょう。

モチベーション高く働ける適職を見つけよう

笑顔で仕事をする女性

(出典) pixta.jp

自分に合った仕事とは、才能や能力を存分に生かせる職種であり、必ずしも好きな仕事とは限りません。好きな分野で得意な仕事を見つける方法もありますが、まずは自分の強みや特性を理解した上で、しっかり成果を出せる仕事を選びましょう。

今の仕事が自分に合っていないと感じている人は、同僚と比較したり将来の姿をイメージしたりして、転職・キャリアチェンジが必要か慎重に判断する必要があります。

自己分析と業界・職種研究をしっかりした上で、応募する企業を選択しましょう。しっかり準備をした上で、計画的に行動することが重要です。