転職に際して、適性検査がどんなものか不安な人もいるでしょう。採用の合否は、適性検査だけで決まるとは限りませんが、落ちる人が一定数いるのも実態です。適性検査に落ちた経験のある人や、落ちるのではないかと心配な人向けに、必要な対策を解説します。
適性検査に落ちる原因は?
適性検査の結果が合否に関係しない企業もある一方で、適性検査の結果をもって、足切りを行う企業もあります。できる限り適性検査でよい結果を出すために、まずは検査に落ちてしまう原因を知っておきましょう。
企業が求める基準に達していない
まず考えられるのは、適性検査の点数が企業の求める基準に達していなかった場合です。新卒採用でも転職採用でも、募集人数に対して応募者が多すぎると、面接に進む人数を絞り込むために、企業が「足切り」を行うことがあります。
足きりの基準点は企業によって異なるので、ある企業の採用で適性検査に合格しても、別の企業では通らないケースも出てきます。一般的には応募者が多い大企業ほど基準点が高いので、大企業への転職を希望しているなら、しっかりと適性検査の対策をする必要があります。
時間が足りなくなった
1つ1つの問題や問いに時間をかけすぎた結果、多くの問題に答えない状態で提出する人は少なくありません。しかし、答えられた問題数が少ないと適切な判断ができないため、落とされてしまう可能性は高くなります。
適性検査の設定時間は短めで、テンポよく答えていかなければ、どうしても時間が足りなくなります。十分な量を答えるためにも、特に未経験者は事前対策が必要です。まずは問題集や模擬試験で問題に慣れ、スピーディに答られるように練習しましょう。
回答に整合性がない
適性検査は、能力適性検査と性格適性検査があります。一般的な試験のように受検者の知識量や思考力を測る能力適性検査に対して、性格適性検査はその人の思考傾向や性格特性を問われます。
性格検査の場合、回答に大きな矛盾があり整合性が保たれていないと、うそをついているとみなされ、落とされてしまうケースがあります。実際にうその回答をしているかは関係なく、迷いなどから一貫性のある答えができなかった場合にも、結果的に不合格になる可能性があるのです。
極端で偏りのある回答をしている(性格検査)
性格検査では正直に回答するのが前提ですが、あまりにも極端で偏った回答を続けてしまうと、我が強く融通が利かないといった、ネガティブな印象を与えてしまうおそれがあります。
性格検査の結果によって、応募者の人となりを判断している企業もあるので、極端な選択肢を避けて常識的な回答を選ぶことも大事です。また、極端すぎる回答は、結果的にうそをついていると思われる場合もあり、落とされる原因になり得ます。
適性検査の種類と内容
適性検査には能力適性検査と性格適性検査があり、また中途採用で使われるケースの多い適性検査もあります。それぞれ種類ごとに内容を確認していきましょう。
能力適性検査
能力適性検査(能力検査)は、検査を受ける者の知識量や思考力、判断力などを検査するものです。一般的な試験と似た学力を問う検査であり、企業が基準点を設けて応募者の足切りに使う場合もあります。
選択肢から答えを選ぶ形式(客観式)の問題と、文章を作成して回答する形式(記述式)の2つの検査方法があります。さらに、検査の範囲は言語と非言語の2つに分類されており、前者は一般的な国語の問題に近く、後者は数学の問題に近いものが出題されます。
ただし高校受験や大学受験でよくあるような、知識を問うものとは少し異なり、主に受検者の考え方や思考力を測る問題になっているのが特徴です。
性格適性検査
性格適性検査(性格検査)は、検査を受ける者の性格的な傾向や、特徴を把握するためのものです。さまざまな質問への回答を通じて、自社の社風にマッチするか、意欲・ストレス耐性・コミュニケーション能力の有無を測ります。
特定の思考や行動を示す問題に対し、自分が当てはまるかどうか答えたり、あるいは2つの選択肢から、より自分に使いものを選んだりする形式がメジャーです。
学力や思考力は特に関係ありませんが、職場や仕事への適性がないと判断されると、一気に評価が下がるので気を抜くのは危険です。十分な量の回答をするためには、多くの質問にテンポよく答えるテクニックが必要です。
中途採用で使われる代表的な適性検査
転職希望者向けに実施される適性検査としては、能力検査・適性検査の2つからなる「SPI3」が代表例です。
さらに、受検者の性格やストレス耐性などを測る個人分析特性と、能力検査を実施する「Cubic」、基礎能力テストと事務能力テスト、パーソナリティに関するテストをする「SCOA」が有名です。
いずれも新卒採用・中途採用でよく実施される検査ですが、独自の適性検査を実施している企業もあります。転職希望先の企業がどういった適性検査を実施しているか、事前に確認しておきましょう。
企業が適性検査を実施する目的
企業が適性検査を実施する目的は、以下のように、応募者が自社に合った人材かどうかを判断するためと、入社後の人材配置の参考にするためです。企業側の意図を理解した上で、適性検査の準備をする必要があります。
自社に合った人材か判断するため
適性検査は主に応募者の数が多い企業が実施しており、より自社の適性に合った人材を、次の採用段階に進める目的があります。
もちろん、適性検査の結果だけで合否が決まらない企業も多く見られます。検査の結果が企業にとって評価できないものでも、書類選考や面接を通じて採用される人もいます。
しかし、適性検査の結果をよりよくするのに越したことはありません。応募先に、職場で役に立つ人材だと思われるよう、十分に準備しておくことが大事です。
人材配置の参考にするため
適性検査の内容を人材配置の参考にしている企業もあります。人材を評価する際には、大なり小なり評価する人間の主観が入り込んでしまいます。そこで、できる限り客観的な評価をする目的で適性検査を実施し、その結果を人材配置の参考にしているわけです。
適材適所の人材配置のためには、社員の職務遂行能力はもちろん、1人1人の性格や特性などを正しく評価しなければいけません。能力検査によって職務に必要な知識を測るだけでなく、性格検査によってどの部署に適した性格特性かを測っているのです。
性格検査で無理に自分を作らず、正直に回答することで、自らの強みを発揮できる環境で働ける可能性につながります。
適性検査に合格するための対策
ここからは、適性検索で落とされないための対策を解説します。何の準備もせずに適性検査を受ける人も少なくありませんが、確実に次のステップに行くためにも、しっかりと対策しておくことが大事です。
出題される内容と傾向を押さえておく
まずは最低限、適性検査でどういった出題がされるのか、内容と傾向をきちんと押さえておかなければなりません。
能力検査・性格検査はともに、適性検査の内容がさまざまな参考書として販売されており、インターネット上にも情報が多くあるので、事前に自分の受ける検査を確認できます。実際に問題に答えて、慣れておくことが重要です。
なお企業によっては、どの適性検査を採用しているか分からないケースもあります。ただ多くの企業はメジャーな適性検査を実施しているので、不明な場合は、有名な適性検査の内容を把握しておきましょう。
問題に慣れておく
参考書や問題集を活用しながら、実際の適性検査の答えに慣れておきましょう。特に能力検査は、問題集を繰り返し解いておけば、時間内に十分な量がこなせるようになります。何度か問題集を解いてみて、苦手な分野を重点的に学習しておくことが大事です。
大まかな目安として、参考書の問題全体の8割程度を解けるようになれば、本番でもつまずかずに済むでしょう。さまざまな参考書を買い集める人もいますが、同じ問題集を何度も解いた方が効率的で、苦手な分野も分かるようになります。
時間配分を工夫する
どうしても時間が足りず、8割以上の問題に答えられない人もいるでしょう。全体の時間配分を決めるのは能力検査・性格検査共通ですが、能力検査の場合は必ず答える問題と、場合によっては切り捨てる問題を決めておくのがおすすめです。
また、何度か問題集にチャレンジしてみて、得意分野と苦手分野が分かってきたら、分野で時間配分を変えてみましょう。得意分野の問題ならば、苦手分野の半分程度の時間で答えられるものもあるはずです。1問にどれぐらいの時間をかけるか、事前に決めておきましょう。
性格検査で気を付けること
能力検査で十分な回答をするには問題集のやりこみが必要ですが、性格検査は1人1人答えるべき内容が異なるので、別の対策が求められます。スムーズに回答できるように、しっかりと自己分析した上で、できるだけ企業の採用ニーズも調べておきましょう。
しっかりと自己分析しておく
性格試験でも、基本的な対策は過去問を使って回答に慣れ、時間配分を考えておくことです。スムーズに答えるために、事前に自己分析しておきましょう。
能力試験とは異なり、何も対策せずに受検する人は多くいますが、検査中に自分の性格について考え込んでしまうと、時間をロスしてしまいます。
事前にある程度、自分の性格や行動傾向を明らかにしておけば、迷わずに答えられるので、十分な量を回答できます。自己分析を通じて、自分の性格を言語化(キーワード化)し、整理しておくとよいでしょう。
企業の採用ニーズを調査しておく
性格検査では、応募先の企業がどういった人材を欲しているかを調査し、回答の参考にするのも有効です。当然、回答でうそをついてはいけませんが、選択肢のどちらにも該当して回答に迷った場合は、できるだけ応募先が求める人物像を把握しておき、迷ったらそれに近い方を答える方法もあります。
どうしても合格できないときは?
ライバルの多い大企業への転職を考えている場合、他社では十分な結果でも、大企業では基準点に届かない可能性もあります。もし適性検査に何度か落ちてしまったら、以下の対応を検討しましょう。
原因を分析する
適性検査に落ちてしまったら、なぜ合格できなかったのか、自分なりに原因を分析してみることが大事です。問題にはスムーズに答えられたのに落ちてしまった場合、企業の求める人物像に合わなかった可能性があるので、応募先を再考する必要があるかもしれません。
一方、十分に回答できなかった場合は、しっかりと対策して再度チャレンジするとよいでしょう。また、適性検査だけが不合格の理由とは限らないので、履歴書や職務経歴書の内容を見直すことも大切です。
適性検査のない企業に転職を考える
どうしても適性検査に合格できないならば、適性検査を実施していない企業に転職を考えるのものも1つの方法です。中小企業には、中途採用で適性検査を実施していない企業が多くあります。
特定のスキル・技術を持つ人材を採用したい企業も、適性検査を実施しないケースがほとんどです。適性検査のない企業を受ける場合は、企業のニーズに応えられる人材であることを、しっかりアピールする力を磨くのが効果的です。
十分な対策をして適性検査を受けよう
適性検査に落ちてしまう原因は、能力検査で企業が求める基準に達していなかったり、性格検査の回答が矛盾していたりなど、さまざまです。
適性検査に合格するには、時間配分も考えながら、問題集や参考書で問題に慣れる必要があります。能力検査では8割程度の回答率を目指し、性格検査では自己分析と、企業のニーズを調査しましょう。
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