転職理由の説明は採用に大きく影響するので、しっかりと準備をしておき、説得力のある回答をしなければいけません。転職理由を伝える際のポイントや注意点に加えて、ケース別に例文を紹介するので、これから転職活動をする人は参考にしてみましょう。
転職理由を伝える際のポイント
転職理由の説明は、応募先に自分の魅力を伝えるための重要な要素です。以下のポイントを押さえつつ、説得力のある説明ができるようにしておきましょう。しっかりと準備をしておけば、面接での回答はもちろん、応募書類の作成時にも役立ちます。
志望動機と一貫性を持たせる
転職理由を考える際には、志望動機につながる内容にすることが重要です。採用担当者は数多くの応募者と接しているので、思いつきの転職理由ではすぐに見抜かれてしまい、採用にはつながりません。
転職先で何をしたいのか、どういった活躍を目指しているのかといった、応募先の志望動機につながる理由を伝えましょう。動機との一貫性を持たせ、面接担当者や書類選考の担当者に、筋が通った説明だと感じてもらう必要があります。
エピソードを交えて信頼性を担保する
転職を決意するに至った理由は、採用担当者がイメージしやすいように回答することも重要です。具体的なエピソードを交えて説明すると、信頼性が高まり、採用担当者も納得しやすくなります。
「キャリアアップのため」「(今の会社の)社風が合わなかった」など、抽象的な説明だけに終始すると、採用側も自社に合った人材か評価ができず、なかなか採用にはつながりません。
志望動機につながるようなエピソードがないか振り返り、面接や応募書類の作成の際に生かせるようにしましょう。
入社意欲が伝わるようにする
事前に応募企業についてよく調べておき、どういった人材ニーズがあるのか、自分なりに明らかにしておきましょう。その上で自分の強みや特性に加えて、転職理由が応募企業のニーズと合致している点を、うまく伝えられると効果的です。
また、企業情報の調査・分析は転職理由の説得力を増すだけではありません。応募企業について調べているアピールにもなるでしょう。さらに転職後に実現したいことを伝えることで、入社意欲を示すこともできます。
ポジティブな言い回しを意識する
人によっては職場の雰囲気が合わなかった、上司との折り合いが悪かったなど、どちらかといえばネガティブな理由で転職を決意するケースは少なくありません。しかし、転職理由を伝える際には、前向きでポジティブな言い回しをする必要があります。
例えば、仕事内容に不満があって転職を決意したのならば、新たな分野の仕事に挑戦したいといった理由に置き換えられます。
待遇に不満がある場合は、努力や創意工夫が評価につながる環境で働きたい、といった理由にするとよいでしょう。このように、ポジティブな言い回しを意識することが大事です。
転職理由を伝える際の注意点
転職理由は、できるだけ説得力のある内容にする必要があります。しかし、少しでも採用担当者の印象をよくしようと、うそをついてしまったり、現状への不満を語ってしまったりしないように注意しましょう。
うそをつかないようにする
ネガティブな言い回しを前向きな理由に変える必要がある場合、うそをつかないように注意しなければいけません。誰でも大なり小なり、現在の職場に不満を持っているものですが、それを完全に否定してうその理由を考える必要はありません。
その不満を転職によって、どのようにプラスに変えられるかを説明するとよいでしょう。特に面接シーンでは、うそをつくと面接担当者からの質問で矛盾が露呈される可能性があり、マイナスのイメージを持たれるおそれがあるので注意が必要です。
職場の不満や悪口は避ける
現在の仕事に不満を感じて転職に踏み切る人は多いため、ある程度は仕事に対する不満をきっかけに転職を決意した旨の説明は問題ありません。ただし上記のように、前向きな理由に言い換える必要はあります。
しかし、所属企業への露骨な不満や悪口は避けなければいけません。会社が悪い・周りの環境が悪いといったスタンスで転職理由を伝えるのは、採用担当者の印象がよくないため、言葉の使い方や表現に注意が求められます。不満や悪口を避けつつ、自分を主語にして転職理由を語ることが大事です。
【ケース別例文】面接で転職理由を聞かれたとき
それでは、面接で転職理由を聞かれた際の回答について、ケース別に例文を紹介します。例文を参考にしつつ、自分なりに転職理由をまとめてみましょう。
仕事内容に不満がある場合
仕事内容に不満があって転職を決意する人は多くいますが、不満をそのまま表現するのではなく、ポジティブな内容に言い換えて志望動機につなげることが大事です。
【回答例】
現職では照明機器の営業を担当していますが、多くの顧客からヒアリングをする中で、機器の販売だけでは顧客ニーズを満たすのが難しい場面を数多く経験しております。営業担当者の職務範囲でニーズに対応してきましたが、完全には顧客の抱える問題や課題の解消は難しい環境でした。
そこで、今後は顧客ニーズをしっかりと反映した商品開発に携わりたいと考え、転職を決意した次第です。顧客の抱える課題の解消や、ニーズを反映した営業管理システムをリリースしている御社で、これまでの営業経験を生かしつつ商品開発をしていきたいと考え、応募させていただきました。
人間関係がうまくいかない場合
職場の人間関係がうまくいかず、転職したいと考える人も多くいます。人間関係の問題に言及する場合、どうしても不満を口にしてしまうものですが、そのまま語るのではなく、どういった問題があるかにフォーカスして説明するとよいでしょう。また、人間関係の問題の解決に取り組んできたことがあれば伝えましょう。
【回答例】
現職では営業ノルマの達成のために詳細な計画を立て、顧客へのアプローチを続けています。しかし、顧客からさまざまな要望や意見を頂戴しているにもかかわらず、十分なサービスの提供が難しい状況でした。
上司に改善策を提案したり異動を願い出たりしたものの、慣例にない方法を受け入れてもらえず、指導を受ける日々が続いています。そこで、新しいアイデアやアプローチを積極的に導入し、業務効率化を図っている御社に魅力を感じて転職を決意いたしました。
給料・収入に不満がある場合
給料の水準に不満があり、転職を決意する人も少なくありません。給料を問題視している場合も、露骨に不満を述べるのは避けましょう。自分の努力や仕事姿勢が、より報酬に反映される仕事をしたいといった表現にすることが大事です。
【回答例】
現職では仕事の成果や達成度合いに応じて、報酬面を見直す制度がないため、より自分の努力や創意工夫が反映される職場への転職を考えておりました。
御社はスキルアップ制度や、実績に応じた報酬制度が確立されているため、とても魅力を感じています。御社でしっかりと売上アップに貢献し、自分の理想とするキャリアを歩んでいきたいと考えております。
会社の将来性に不安がある場合
会社の将来性に不安があり、別の企業に移りたいと考える人もいるでしょう。他の理由に比べると、ある程度はストレートに語って問題はありませんが、会社の悪口に聞こえないように配慮が必要です。
【回答例】
現在、勤怠管理システムの開発の一端を担っておりますが、システム部門の体制変更により、今後は開発リソースが絞られることになりました。それにともない、一部のエンジニアは他の部署への異動が命じられています。
システム開発を長く続けたい身としては、別の部署に異動するよりも、これまで培ってきたエンジニアとしての経験を生かせる企業に転職したいと考えるに至りました。御社はシステム部門のさらなる増強を図る予定と聞いており、自分のスキルを存分に発揮できると感じたため、応募させていただいた次第です。
【NG例文】面接の回答でこんな転職理由は避けよう
面接の回答で避けるべき、NGな例も紹介しておきます。以下のように、仕事や職場への露骨な不平・不満を言わないことはもちろん、ピントのずれた説得力のない回答にならないように注意しましょう。
不平不満をそのまま伝えてしまう例
【NG回答例】
現職はまともに休みが取れない環境で、とてもつらく感じています。連日の残業で疲労がたまっており、休日も何も活動できず、すぐにでも辞めたい状況です。上司も部下の仕事の成果を認めようとしない人で、仕事のパフォーマンスが上がりません。今後も状況の改善が期待できないので、転職を決意しました。
「つらい」「辞めたい」といったネガティブな表現を、ストレートに使うのは避けましょう。日頃から不平不満がたまりやすい性格だと思われてしまうと、なかなか採用にはつながりません。上司や同僚などへの不満も、露骨に口にしないことが大事です。
転職理由に説得力がない例
【NG回答例】
これまで培ってきたスキルを生かせる職場を探していました。学生の頃に思い描いた人生の目標を達成するため、力を発揮できる転職先を探していたところ、イベント事業を営む御社に魅力を感じたので、応募させていただきました。転職後は自分のスキルを生かして活躍したいと思います。
自分の知識やスキル、転職後に生かせる特性などは、具体的に説明する必要があります。漠然とした目標を話したり、転職を決意した理由があいまいだったりすると説得力がありません。
採用担当者は入社後にどういった活躍が期待できるか判断できないので、採用を見送られてしまうでしょう。
転職理由はなぜ聞かれる?
転職理由を考えるにあたっては、そもそも採用担当者がなぜ転職に至った背景を確認しようとするのか、理由を知っておく必要があります。担当者によって理由が異なるケースもありますが、以下のポイントは共通しています。
採用ニーズとマッチしているか把握するため
採用担当者は、応募者の特性や仕事に対する姿勢・考え方などが、自社の価値観や採用ニーズに合致しているか確認するために、転職理由を聞いてきます。さらに、志望動機との関連性・整合性などもチェックすることで、入社後に長く活躍してもらえるか判断しています。
面接ではさまざまな質問をされますが、転職理由と志望動機の回答は特に重要です。担当者が納得する説得力のある回答ができれば、採用に大きく近づけるでしょう。
早期退職の可能性がないか確認するため
転職後に早期退職の可能性がないかチェックするために、転職理由を聞いている採用担当者も多くいます。入社後に前職と同じような不満を持つ可能性がないか、それが原因で早期退職につながらないかなどを確認しているわけです。
したがって、露骨な職場への不平・不満や批判などは避ける必要があります。転職後に同じような問題を抱える可能性があると判断されると、採用には至りません。
転職理由のまとめ方
転職理由をまとめる際には、以下の点を意識する必要があります。実際に転職理由を書き出し、何度も修正することで、説得力のある理由にしていきましょう。
率直な転職理由を書き出す
まずは紙を用意して、転職したい理由を正直に書き出します。パソコンに打ち込んでもよいでしょう。この時点では「給料が低い」「上司との関係が嫌だ」「仕事がつまらない」など、ネガティブなものでも問題ありません。
率直な理由を書いて、自分の頭を整理することが大事です。結果的にうそにならないためにも、自分に正直に理由を書き出してみましょう。
前向きな理由に置き換えてみる
書き出した転職理由を整理して、前向きな理由に置き換えてみましょう。例えば「給料が低い」ならば、「成果に応じた報酬が得られる職場を希望する」といったように、ネガティブな表現からポジティブな表現に変換します。
上司との人間関係が不満で転職したい場合は、「仕事への姿勢が正当に評価される職場を求めていた」など、現職への不平・不満を避けつつ、視点を変えて理由を説明するとよいでしょう。
転職後の展望に結び付ける
自分の考えを整理するとともに、応募先の企業について調査し、どういった人材を求めているか考えてみましょう。企業の公式サイトや提供している商品・サービスの情報、SNSなどで発信している内容などを確認すれば、どういった人材を求めているか、重視している価値観は何かなど、ある程度は把握できます。
その上で、応募先のニーズを満たすために、どのような活躍ができるかを書き出してみましょう。自分の求める環境と応募先のニーズをすり合わせることが大事ですが、うそにならないように注意が必要です。最後は入社後にどういった形で貢献できるのか、しっかりと説明する形にまとめましょう。
説得力のある転職理由を考えるコツ
説得力のある転職理由を考えるためには、以下のポイントも重要です。応募先の情報収集はもちろん、伝えるべきポイントを絞り込み、分かりやすく説明できるようにしましょう。
応募する企業の情報を収集する
多くの人は、事前に応募先の情報をあまり収集せずに、転職理由を考えてしまいます。しかし応募先の採用ニーズと、提示する転職理由や志望動機がマッチしていなければ、採用に至らない可能性が高いでしょう。
ビジネスパーソンとしての実績やスキルも大切ですが、相手のニーズと合っていることがより重要です。事前にしっかりと情報を収集し、相手の求める人材であることを示せるように、表現を工夫する必要があります。
伝えるべきポイントを絞る
入社の意欲を示すため、さまざまな情報を伝えようとする人は少なくありません。しかし、採用面接で転職の理由を説明できる時間には限りがあります。また、履歴書や職務経歴書などに、情報を記載するスペースも有限です。
しっかりとポイントを絞り込んでおかないと、本当に伝えるべき内容を伝えられない可能性があります。自分なりに整理した転職理由と、収集した応募先の情報を照らし合わせ、どの部分を強調すべきかを考えましょう。
5W1Hを意識する
5W1Hや論理構成を意識しつつ、分かりやすく筋の通った内容にすることが重要です。上記のように、退職理由と志望動機の整合性や、転職先でどういった活躍ができるのか、その理由は何かなどを、論理的に伝えることを意識しましょう。
さらに、転職理由をまとめた上で内容に問題がないか、他の人にチェックしてもらうことをおすすめします。自分では気付かなかった修正点が見つかる場合もあるので、確認と改善を繰り返しながら、説得力を高めていきましょう。
例文を参考に転職理由を考えてみよう
転職理由の書き方や回答の仕方などを解説しました。採用担当者に転職の理由を伝える際には、志望動機との一貫性を持たせることや、エピソードを交えて信頼性を高める工夫などが求められます。
また、事前に応募先の企業の情報を収集し、どこにフォーカスして理由を説明するかも考えることも大切です。
自分の状況に合った例文を参考にしつつ、まずは転職理由を書き出してまとめてみましょう。何度も書き直して説得力を高めることで、採用の可能性も高まります。
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